後悔はしていない(`-ω-´)キリッ
1230(ヒトフターサンマル)
本来ならばお昼休憩であり、皆食堂で昼ご飯を食べているのだが今日に限っては食堂には誰もいなかった。否、皆急いで食べたのだ。
なぜか?
それは1300(ヒトサンサンマル)から始まる仮想敵演習のせいだろう。妖精さんらが急いで作った屋外パブリックビューイングでは、全艦娘が熱気を抑えきれず今か今かと待っていた。
演習場はここからかなり離れた場所で行う。従来は無線で戦果などを伝えていたが、リアルタイムでの映像はまだなかった。そのため、カメラ付の偵察機や定点カメラ等を使う中継式を最近やり始めたが、ここまで大掛かりにパブリックビューイングをするのは初めてらしい。
ここまで注目を集めたのは、掲示板に貼られてある今朝の幌鎮日報を見れば納得がいく。
その見出しにはデカデカと「前代未聞!1vs6の仮想敵演習か!?」と書かれていたを
この見出しだけで寝ぼけ眼だった艦娘達は大層驚いた。更に記事の本文には、前日のオリエンテーションでふぶきが喧嘩を売っただの殴り合い寸前までなりかけただの、一部誇張表現があるものの、彼女(ふぶき)は一体どれだけ強いんだ?!と当然の疑問が湧く。
中には大淀らの演習指導艦にあの記事は本当なのかと直撃する子もいたが、ほぼ間違い無いと聞かされ否応なしに期待が高まっていた。
しかしながら、いくら別世界からの最新鋭艦娘とはいえ噂では全く戦闘したことがないらしい。経験値ではこちらのほうが完全に上だと思っているのも少なくはなかった。
艦娘達の反応はほぼ半々に分かれた。
さて、この決戦を見逃せまいと午後の遠征などがあった艦娘らまで延期にして、すべての艦娘がパブリックビューイング会場に来ている。
そのうちの一人である天龍も、こうしゃいられないと遠征隊の駆逐艦を連れて会場に来た。
「ちくしょー俺も戦いたかったなぁ」うずうずしながら羨ましそうに海を見つめる。
「天龍さんが選ばれると思ったけど違うのかぁ」朝霜は少し納得が行かなかった。天龍の艤装の一つである刀さばきは艦隊でも屈指の指折りに数えられるからだ。
「記事には精鋭の6人が相手になると書いてありましたよね。一体どんな編成になるのでしょうか」浜風は考えるポーズで考える。
「あー、それならうちの姉が出るのは確定だよ」後ろから鬼怒改二を旗艦とする第四艦隊遠征隊のうちの一人、深雪がひょっこりと話しかけてきた。
「はぁっ?!まじかよそれ!?姉さんって、吹雪改のほうか…こりゃご愁訴様だな」
天龍は吹雪改の強さは身にしめている。以前も何回か武器ありで演習したことあるが畏怖するような殺気をしたかと思えば、フッと殺気を消せたり、桁外れの反射神経、戦艦かと錯覚するほどのパワーなのに繊細な技術も使う…思い出しただけでも冷汗をかきぶるり、と背中を震わせた。
「天龍ちゃん?」龍田は天龍の変化に気づき声をかけた。
「…あいつ普段はほのぼのとしていてすっげぇ可愛いのに、いざ戦闘となれば二重人格だったのか?と思うほど豹変するしな…龍田だって吹雪の強さ分かってるんだろ?」
「……えぇ。ほんと味方でよかったわ。もし敵だったらと思うと…考えたくもないわね~」
龍田も天龍とタッグを組んで武器ありで吹雪改に挑んだことは数えきれないほどあるが、ほとんどは完敗している。
「…同感だ。おっそろそろか」
壇上に青葉が上がって来るとともに会場のボルテージは一気に高まっていった。
「さぁ皆さんお待たせいたしました!司会を務める青葉です!!」すぅ、と大きく息を吸い込むと
「本気の!演習を!!みたいかぁぁ!!」
おおおおおぉぉ!!とパブリックビューイング会場が歓声で大きく揺れるように感じるほどだった。
私もッ…私もです皆…!!と青葉は心の中で嬉しそうに観客を見つめた。
「それでは、全艦娘入場ッッ!!」
「海の中からこんにちは!! 更なる研鑚を積みスナイパーが甦った!!!
海の暗殺者!! 伊58だァ――――!!! 」
「真のアウトレンジ戦法を知らしめたい!! 装甲空母 瑞鶴改二甲だァ!! 」
「対空なら絶対に敗けん!!
防空巡洋艦の対空カットイン見せたる 対空番長 摩耶改二だ!!! 」
「戦艦だったらこの人を外せない!! 超A級戦艦 霧島改二だ!!! 」
「雷撃はこの艦娘が完成させた!!!
イベント(特別海域)の切り札!!! 北上改二だ!!! 」
「若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
私達は貴方を待っていたッッッ 吹雪改の登場だ――――――――ッ!! 」
\うおおおおおぉぉぉ!!!/
吹雪が意気揚々と登場し、また一段と、どわっと大きな歓声が上がった。
それぞれ艦娘のコールが鳴り響く中、青葉は一旦皆を落ち着かせた。
「そして、そのガチンコ6人に相手するのはたった一人ッッ!!
神の盾の技が今ベールを脱ぐ!! 海上自衛隊から イージス艦ふぶきだ!!!」
ふぶきが壇上に上がると、歓声は上がったものの本当に一人で挑むのかと驚きや戸惑いの声がやはり多かった。
「オイオイオイ」
「死ぬわこれ…」日向と伊勢は既に結果が見えてしまったようなリアクションをとったのも無理はない。初めてイージス艦の艤装を見た艦娘はなんて貧弱な装備をしているのかと思っただろう。が、一人の艦娘を除いて反応は全く違った。
「Oh…大したものデスね。CIWSにSSMのキャニスター…あぁ懐かしい装備ネ」アイオワが懐かしそうにふぶきの艤装を見つめる。
ここの世界でのアイオワは、1990年代前半に近代化改修を行う計画が上がったものの、既に各国は大規模な軍縮を行っていたために割に合わないと判断され、近代化改修を受けることなく1995年除籍した。
その流れで近代化改修で載せる予定だったCIWSやハープーン等の資料は後の研究資料としてアメリカの某所で厳重に保管されてあったものの、2001年にバージニア地震帯で発生した巨大地震で、バージニア州周辺は壊滅的な被害を受けてしまいそれらの資料はすべて失ってしまった。
アイオワの記憶としては残っているものの、肝心の設計図面等の資料がすべて失っているため妖精さんの力を持っていても開発はまだできていない。
「アイオワ…知っているのかあれを?」長門は未知の装備がまさかアイオワが知っていたのに驚いた。
「Ah, just a little。けど詳しくは話さないワ。Japanには百聞は一見にしかず、というfamous proverdがあるじゃない」
「なんでもいいけど…」
「相手はあのブッキーが率いる教導隊デスよ?」比叡と金剛はあの人数相手にたった一人で勝てるとはとても思えなかった。
「でも、good matchをすると思うヨ♪」
「ほぅ…アイオワがここまで言うとは面白い。どれ見せてもらうか。イージス艦の実力とやらを」武蔵を初めとした戦艦らは期待の眼差しで見つめる。
「はい皆さん静かに」我が提督が壇上に上がった途端、ぴたっと歓声が止んだ。流石というべきか。
「さて、今回の仮想敵演習のルールを説明する。ここから21km南東に離れた所の20km×20kmの演習場で行う。なお、電探類での索敵は演習が始まるまで行ってはいけない。勝敗の決め方はシンプルに、制限時間内…そうだな1時間以内にイージス艦ふぶきは六隻を全て大破にすること。なお戦艦のみは中破以上にすること。教導隊は彼女を見つけ大破にすることだ。ただし、どちらも逃げ回って演習場外に出てしまった場合は強制失格とする。
今回はより実戦に近い形の演習弾を用いない普通の砲弾でやってもらう。けど心配ご無用。演習場は鎮守府神社で演習妖精さんが亜空間を設定してくれてるから、例え被弾して服が脱げても亜空間の演習場から出れば損害はなかったことになる」
それらを応用して艦載機の妖精さんも海の藻屑になることはなく各空母の部隊に戻れたり、補給もすべての艦で一定になるのも、演習妖精さんの力のおかげらしい。
「なるほど~…ってちょっと待ってください!服が脱げるんですか?!一体どんな羞恥プレイなんですかこれ!?」
顔を少しだけ赤めたふぶきはテンプレのような反応を見せたので観客からはどっ、と笑いが起こる。
「まぁいつの間にか慣れたよね~」
「うんそのうち慣れるでちよ」
北上とゴーヤはうんうんと頷く。
(ええぇ…そういうもの??感覚が麻痺しちゃってるのかな…まぁ皆さん私が服が脱げることを期待しているかもしれませんがッ!私は被弾しませんよ!)イージス艦だから、というのもあるがなによりもカメラ等の前にして服が脱げるのはなんとしても避けたかった。
絶対被弾しまい!と心に決めたふぶきは気持ちを入れ替えた。
「それでは、これより仮想敵演習編を始める!両者互いに礼っ!」と提督が促すと
「「宜しくお願いします!!」」と向かい合ってお互いに一糸乱れぬお辞儀と握手をし、観客からは自然と拍手が漏れた。そして壇上を降り頑張れだの負けるななど色々な応援があちこちから上がり、ふぶきと教導隊らはゆっくりと海へと歩を進める。
「ではまずイージス艦ふぶきから!演習場まで、いってらっしゃい!」青葉もノリノリでダー○の旅風にアナウンスすると
「ふぅ…よぉし!本艦只今から演習場海域に向けて急行する…艦橋、第四戦速!」とふぶきは流れるような動作で妖精さんに命令を出し、キィィィィンと甲高いエンジン音が辺りに響き渡り白煙が出たかと思うと、あれよあれよという間にぐんぐんと白波をかき分けていく。
それを見た観客達は大きくどよめいた。
ーなにあの号令?!
ーなんという加速力…しかも煙も少ないッッ
ーこんなエンジン音初めて聞いた…などなどと皆顔を見合わせザワザワした。
黒煙は少なく、エンジン音も全く異なる彼女を見て教導隊達も驚くと同時に、彼女は強いと直感的に感じた。
しかし一人だけ異なっていた。
そう、吹雪は久々に楽しくなる、と予感した。
イージス艦ふぶきの姿が水平線から消えると同時に、教導隊達も主機を起動させ演習場へと向かう。その間に作戦の再確認を吹雪を中心にまとめていった。
「しかし、よくこんなのを思いつきますね…警戒陣を応用するとは流石ね吹雪さん」霧島は感心した。
「未知数な相手だからね…これなら索敵もしやすいだろうと判断しました。そろそろ着きますからあれを詠唱しましょうか。」
「おぉ、吹雪いいこと言うね!燃えるぜ!!」摩耶は意気昂然とし、吹雪を筆頭に詠唱を始める。
「「ダーティプレイに徹しろ!!」」
そして瑞鶴にバトンタッチすると、少し照れながらも空母達が唱えている詠唱をする。
「「敵より早く見つけ、敵より早く殺れ!!」」
ファーストルックファーストキル…
戦闘機乗りだけでなく艦娘にも言えることなのでみんな結構大事にしている心掛けだそうだ。
30分後
互いに演習場に着くと、無線から提督の声が聞こえてきた。
『護衛艦ふぶき、感度は大丈夫か?』
「えぇ、こちらは問題ありません」
『了解。教導隊旗艦吹雪以下五名のはどうだ?』
吹雪は五人の無線状況を確認し、問題ないことを「感度良好です司令官」と伝えた。
『よし、では仮想敵演習、始めッッ!!』
演習場とパブリックビューイング会場では演習が開始されたサイレン(ピストル音)が鳴り響く。
演習場では互いの作戦開始の号令と演習を撮影する二式偵察機のプロペラ音が混ざり合う。
が、パブリックビューイング会場は先程の歓声とは打って変わって固唾を見守るかのようにとても静かにスクリーンを見つめていた。
いよいよ、戦いの火蓋が落とされたのだ。
次話からいよいよ戦闘シーンになります!
演習相手は駆逐艦、戦艦、正規空母、重巡、雷巡、潜水艦となりました。予想は当たったかな?
BGMなにしようかな。個人的には…おっとここまでにしておこう。
ここで教導隊艦娘の簡単な紹介を。()内の数字はレベルです
吹雪改(140)…秘書艦だけでなく第一艦隊旗艦や教導隊も務める。着任当時から第一線で戦っているため経験は豊富だから強さも半端ない。得意なのは潜水艦狩りと戦場格闘技。因みに提督ラブ勢、夜戦(意味深)もお手のもの。
北上改二(99)…いつの間にか99になっていた。けど先制雷撃は大井改二と並ぶトップレベルの威力、精度を誇る。
格闘技の使い手は空手と中国拳法。
摩耶改二(98)…秋月型にも引けを取らない対空カットインのエース。因みにプロレス技を近接格闘技として使う。得意技はマヤ式ジャーマンスープレックス。ケッコン間近なのでそわそわしているとかないとか可愛い。
伊58(96)…最初に来た潜水艦。そのためレベルは潜水艦の中でもトップクラス。経験も高めで様々な戦術を使い相手に見つからず雷撃をお見舞いする。まさに暗殺者。
霧島改二(93)…砲撃よりも拳!握力×スピード×体重=破壊力を体現する戦艦。まさにインテリヤ○ザ。
吹雪とは数少ない互角の戦いをする。
瑞鶴改二甲(90)…正規空母芸人。ヒダリデウテヤ。
それは置いといて、たった一人の装甲空母。えっ大鳳…知らない子ですね(꒪ཀ꒪*)グフッ
翔鶴改二甲?…カタパルトぇ……( ˆᴘˆ )オッフ
2018年9/28
本文を少しだけ変えました。そして次話はもうすぐ投稿します!お楽しみに!