DDG-191ふぶきの物語   作:シン・アルビレオ

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3か月ぶりの投稿となってしまいました

スローペース過ぎて申し訳ないのじゃ

けどエタらないように頑張っていきます!


14話 対艦攻撃 始め

「対水上戦闘用意」

『戦闘用意。目標はどうなされますか?』

「まずは空母、重巡、戦艦を叩きます。戦艦には二発放ちます。」

『了解。CIC指示の目標…050度、9.32マイル』

「だいぶ近いけど、攻撃開始しましょう」

『了解。SSM1番から4番まで発射用意』

「攻撃始め…発射っ」

キャニスターの蓋が外れると、強烈な発射炎と共に最新鋭の対艦ミサイルが白い弧を描いて発射された。

『着弾まで48秒です』

17式対艦ミサイルの速度は従来の90式対艦ミサイルである時速1150km/hをゆうに超える。

発射されたあとはシースキミングといわれる低空飛行に入り、すぐに海面スレスレの低高度を飛びながら曇天の彼方へ消えていった。

電探類が使えず人間の身長とほぼ大差ない艦娘の目視距離である4キロでは、対処できる時間はあまりにも短すぎるものだった。

 

 

 「…おかしい…すでに艦載機は帰投している時間帯なのに…」

合流した瑞鶴は水平線をじっと見つめるが、一機も見当たらない。未だに無線が通じないので、どのような状態になっているかさっぱり不明なのだ。

「まさか全機撃墜されたとか?ハァ…もうこのノイズ鬱陶しいわね…」霧島改二もメガネ型スカウターで索敵するが、復旧はできずノイズが酷く流れるだけのものと化した

「おいおい、そんなの無理だぜ。たかが一隻だけで40機近い艦載機をすべて撃ち落とすなんてさ」防空巡洋艦として名が高い摩耶改二が言うと説得力はあるが…

「いや…その線はあり得ます。彼女のスペックを少しだけ見たのですが、精度のよい砲で数を減らした可能性も…」

「おいおい吹雪、一門の砲で艦載機をすべて落としたというのか?!いくら何でもそれはありえねぇだろ!」

「えぇ、弾薬にも限りはあるでしょうし…一体どんな手段を…んっ?」吹雪は何か気配と音を感じ、水平線に目を細めた

「あれは…?」一瞬艦載機と思ったが何か変だ。なぜあんなにも低く、速く飛んでいるんだろうと。

「なーんかいやな予感しますねぇ」

「同感です北上さん。総員対空戦闘用意!!」

旗艦である吹雪の号令のもと、対空砲が、機銃が、一斉に動きだした。

すでに機銃妖精さんたちは配置についているので、艦内をわちゃわちゃ移動する手間は省けた。後は引き金を引き弾幕を張るだけだ。

そこまでは良かった…その相手がマッハを超える対艦ミサイルでなければ、完璧な初動だった。

「待っ……何あの速さ?!摩耶さんっ!高角砲を早く!!」

「えっ、なっ…!計算途中だっていうのに…撃ちまくれ!!」

摩耶改二の90mm高角砲が火を吹いたのを皮切りに、吹雪の10cm高角砲が、北上改二の155mm副砲が、霧島改二の三式弾と12.7cm連装高角砲が、様々な対空機銃が戦闘機など比較にならないほど物凄い速さで猛進してくる4発の「白い矢」に対し、これ以上ないほど濃厚な弾幕を張っていく。

だが、もちろん全くというか1発も当たらない。速度も厄介なのだが、海面スレスレという高度がさらに迎撃を困難にしていた。虚しく通り過ぎ、海面に突っこみ、水柱を立てる弾が後をたたない。

「速すぎだろ?! なんだありゃ!!」

摩耶は吐き捨てるように毒づくが

「愚痴垂れるよりも一発でも多く撃ちまくって! 砲身、銃身が焼けても構わないから!!」

吹雪は叱責するが、内心はとても焦っていた。

(もし私が敵なら狙うべき最優先目標は戦艦か空母となる。そしてあのコースは間違いなく…霧島と瑞鶴を狙っている!もう一個は…摩耶か!くっ…煙幕を出すか?しかし着弾による爆風で煙幕が晴れたら意味がない)

「全艦回避運動!!」

吹雪が指示を出し、全艦が最大船速に出力を上げ右、左へと蛇行しつつ濃密な弾幕を張り続けるが、無情にも弾は一発も当たることなく、レーザービームのよう吸い込まれるように摩耶、瑞鶴、霧島に弾着した。

三人は戦艦の砲撃を喰らったと錯覚したほどの爆発に包まれ、爆音が鼓膜をつんざき、衝撃が五臓六腑にしみわたった。

音速を超える速度エネルギーと500kgを超える重量エネルギーを組み合わせた破壊力としては十分すぎるものだ。

三人を包んでいた黒煙が晴れると制服はボロボロ、艤装は黒煙は火花をあげ、体は煤まみれいて所々出血していた。

「クソが…いってぇ……」

「私の戦況分析を超える破壊力ね…ぐふっ」

「ッッ…各自損傷確認。それと煙幕張ります」

吹雪は艦隊を包み込むように煙幕を張り、攻撃された三人の被害状況をまとめるようにした。

報告によれば摩耶は大破、霧島と瑞鶴は大破ギリギリの中破であった

しかし瑞鶴は着弾する前、とっさの判断で弓を左に持ち替え飛行甲板も守る形で右側に着弾するように体勢を変えた。

「ぐぅっ…私が被弾するなんて…誘爆を防いで!甲板は大丈夫ね…右腕はもうダメだけど…まだまだ戦えるわ」

右腕は力が入らないほどダランと垂れ、血まみれになってしまったが、弓と甲板が無事なら発艦は可能だ。

(さぁて…ここからどーする)

吹雪は逆転勝ちするためのプランを脳内でフル回転していった。

 

 

 一方、パブリックビューイング会場では百発百中の白い矢に声を失っていた。

「なんですかあの兵器……」

「まるでサジタリウスの矢ね」瑞鶴の独り言にサラトガはふと反応した。

「サジタリウスの矢…ですか?」

「えぇ、決して外れることのない神の矢という意味よ」

その白い矢、いやサジタリウスの矢は対空砲火を難なく掻い潜り、瞬く間に3隻が大破と大破ギリギリの中破に追い込まれたのだから、唖然とするのも無理はない。

「あれが…対艦ミサイルというものか」提督はふぶきのスペック資料を再度見た。するとその資料をまとめた夕張が

「えぇ、彼女のいた世界ではこれがスタンダードな攻撃だそうです」と付け加えてくれた。

「はぁ~…まさに一撃必殺というわけか」

次は一体どんな行動を取るのか。会場は教導艦を応援しつつも護衛艦のほうにジッと注目した。

 

 

 『マークインターセプト(命中)。重巡大破、戦艦、空母中破の損害を確認』

「了解…うーん…戦艦はともかく空母も中破は意外ね。当たりどころが悪かったのかな?」

しかし、空母が中破ならば誘爆を防ぐためのダメコン作業等で暫くは発艦できないだろうと思い、潜水艦対策の為ヘリを発艦させるように指示した。幸い上空にいた残りの艦載機は空母付近にいるようで、よほどのことがない限り見つかることはないだろう。

ヘリは格納庫から甲板へ移動され、折りたたまれたロータが最後まで展開されると、パタパタと回りだす。ロータから吹き付ける強風にどこ吹く風かのように航空妖精さんはヘッドフォンと手振りを使い指示を出す。

そして一定の回転数に達し、着艦拘束装置を解除されたヘリはゆっくりと上に上昇していき潜水艦がいると思われる場所へ転回し向かっていく。まるで獲物を探す肉食動物のように。

「ご武運を。さてと…あちらは煙幕を使っているっぽいね」

視界を隠すのと電探による弾着観測を防ぐ目的で使ったと推測するが、SPY-1はSバンドと呼ばれるマイクロ波を使っている。マイクロ波は雲や霧などに吸収されたり、減衰したりすることが少ないため、残念ながらレーダ上でははっきりと見えている。

「残りは駆逐艦、雷巡、潜水艦、戦艦か。空母は後にして…次は砲撃するか」

煙幕で隠しているのにいきなり砲撃で当てられたら相当慌てるだろうし、ショックだろう。

「砲撃用意。目標は雷巡、北上」

雷巡は酸素魚雷を抱えているため、長距離から雷撃できる利点があるが、魚雷が砲撃によって誘爆する確率は高い。そのため北上が優先順位として高くなったのだ。

『了解。CIC指示の目標、035度、8.7マイルの目標、雷巡北上。主砲、撃ち~方始め』

オートメラーラ127/64の砲身がわずか上を向き、目標に向けて砲を素早く旋回していく。旋回し終えるとスナイパーのように虎視眈眈と見つめる。

「撃ち~方始め…発砲!」

砲雷妖精がトリガーをカチリと引くと、カランと薬莢が落ちたあとにドン!乾いた発砲音が響いた。しかし一発だけでなく何発か砲弾が発射され、煙幕内にいる北上に向けられた。

発砲音だけ聞くと大したことはないだろうが、その主砲は先程瑞鶴の攻撃隊を全滅させた化け物じみたものだ。

パブリックビューイング会場は北上避けろだの逃げろと騒いだが、当然ながら彼女らに聞こえることはない。そんなことは分かっているが、叫ばずにはいられなかった。

 

 ふぶきによる砲撃が行われる数分前、煙幕内で移動しながら新たな作戦が吹雪によって立てられた。

「まず、陣形は単縦陣、私と北上さんで突撃し、それに気を取られている隙に霧島さんが砲撃を行いつつゴーヤさんによる雷撃も行います。しかし、未知なる相手なので作戦が失敗する可能性もあり得えます。もし私達がすべて撃破されれば相手は安堵するでしょう…そこを突きます。鍵は…瑞鶴さんです」

「えっ?!私?!確かにまだ中破だから発艦はできないことはないけど…上げられる艦載機は少ないしそもそも…」

「えぇ、言いたいことは分かります。化け物じみた対空兵器ですべて落とされると…。それを行わないために私達が突撃するんです」

「え゛っ…なんでそんな囮のようなことをするのさ?」 北上は納得がいかなかった。せっかく魚雷をたんまりと積んだのに囮とはなんたることかと。

「先程三名の方が食らった攻撃は主砲によるものではないからです。一瞬だけでしたのでよく分からなかったのですが、魚雷のような見た目してました…おそらくあれが最大の攻撃かと。そしてその攻撃は薄い装甲をもつ艦にはコスパが悪いのではないか…となると次は主砲による攻撃が考えられます」

「なるほどね…向こうはたかが一隻、補給艦もいない。相手の弾薬をたっぷりと消費してくれれば、攻撃隊が入れるということね」瑞鶴はその作戦を理解し、同意した。

「えぇ、そろそろ煙幕が晴れますし行きましょうか」

「「「了解!!」」」

吹雪を先頭に霧島、北上、瑞鶴、摩耶の並び順で単縦陣に移行しようとした矢先、吹雪が叫んだ。

「えっ…て、敵砲弾、来ます!」

「っ?!」砲弾の気配を感じた北上は咄嗟に主砲で頭をガードすると、ガァン!!と主砲の装甲が弾く金属音が鳴り響き、キーンと耳鳴りを感じた。

「おおっ……初弾で命中弾っすか」

北上が驚くのも突然、初弾で命中させるのは通常起こりえない。

様々な計算を行い最適な数字を出し、目標を照準して発射、第二射、三射と重ねるごとに弾着修正を行うのがここでは普通だからだ。

弾いたところをチラリみると、ベッコリと凹んでいた。

「気を抜かないで! まだまだ来ます! 各艦回避行動!」

予想外だったのは、視野外から短い間隔で何発のも砲弾が降り注いだことだ。

発煙管タイプの白煙幕は再始動まで3~4分ほど時間がかかるために、吹雪は妖精さんらに指示を出し、機関室で重油を不完全燃焼させ煙突から黒煙を出して艦隊を覆い隠そうと試みた。

しかし、煙幕や回避行動なんて意味がないよと言わんばかりに至近弾がたくさん降り注ぎ、ついに北上の左足魚雷発射管付近に着弾した。

「痛った…あっやばい!」

北上は魚雷の誘爆を防ぐために、両足に装着してあった魚雷発射管から魚雷を放棄した。

あぁ、なんという理不尽!

戦艦の砲撃ならまだしも、未だ目視できずたった一門の砲しか持たない相手にここまで追い込まれるなんて誰が想像できようか。

「くっ…霧島さん!北上さんを守るようにガードして!発射レートは高いけど、砲弾から見る限り口径は大きくない。貫通力は低いっぽいから戦艦の装甲じゃ貫けないはず!」と吹雪は水柱でびしょ濡れになりながらも指示をだす。

「了解ッ!北上さん私の動きに合わせて回避行動を!」

「ぐぅっ…」北上は小破で左足を負傷し、痛みでやや速度が落ちたもののしっかりと霧島の動きに合わせるように動いた。

すると敵の砲弾は戦艦に当たるようになったが、すべて弾いている。

「フフフ…これが戦艦の装甲よ。何十発何百発当たろうが貫くことはありません…!」と霧島は不敵な笑みを浮かべて北上を守護りつつも、皆反撃の機会を伺っていた。

 

 『マークインターセプト。北上に命中2。目標は小破』

「了解。やっぱ回避行動取ってると命中率は落ちるなぁ…んっ?霧島が北上の前に出てきた!?」ならばと霧島に目標を変えて次々と着弾させるが…

『砲弾、全弾命中!しかし、損傷は確認できず!!』と妖精はあり得ないと言いたげそうな口調で報告した。

「中破なのに?!くーっ…なんて硬いんだ…これが戦艦…やっぱ127mmじゃ厳しいか」

対艦ミサイルで手負いのはずの戦艦に対して10発撃ちすべて全弾命中したものの、大破にはならないとは…と、ため息まじりに吐きすてた。

「うーむ…ならば赤外線誘導弾に変更。狙うのは煙突部分を」

煙突はボイラーからの煙や熱を外に逃すためのものだ。熱を逃がすということは当然赤外線も発生する。

なので、ふぶきらのステルス性を持った艦は、煙突の赤外線対策として周囲の冷気と混ぜて温度を下げたり、熱放射を抑制するなどと、様々な工夫を行っているのが普通である。

が、WW2の艦船はそのような対策を施してないため煙突からの赤外線はただ漏れであり、赤外線誘導砲弾としては美味しい獲物だ。

通常弾から赤外線誘導砲弾に変更し、砲身を空へあげていく。

そこからどのようにして煙突を狙うのかというと、某有名バスケ漫画であるキセキの時代の内の一人である超長距離3Pシュートで高く長いループを使い、超高精度で煙突を狙うようなもの、といえば分かりやすいだろうか。

『砲弾変更完了。CIC指示の目標、030度、6.84マイル。目標、霧島と北上の煙突。主砲、撃ち~方始め』

「撃ち~方始め、発砲!」

ドン!ドン!とテンポ良く上空に向けて赤外線誘導砲弾を4発発射する。

(煙突内部ならたとえ戦艦でも大した装甲はないはず……運が良ければ主機を破壊できて走行不能に追い込むことができる!)

 

 「砲撃が止んだ…?」

盾となっていた霧島はそれほど被害は見られなかった…ただ機銃や高角砲がオシャカになってしまったが、肝心の装甲は抜かれておらず、ほんの少し凹んだ程度だ。

「あれだけの弾幕です。砲身が焼けたか、弾薬が尽きたか…それとも罠か…。どちらにせよ距離を詰めるチャンスですが…北上さん大丈夫ですか?」吹雪はちらりと後ろを向いた。悪化してないか確認するためだ。

「結構痛いけど…大丈夫よ~」先程砲撃を足に食らった北上は歯を食いしばりながらなんとかついていってる状況だ。主機やスクリューは無事なのが幸いだろう。

「なら良し。全艦、最大船速!!」

タービンの回転数を上げると、グングンと速度が上がるとともに、煙や様々な機が勢い良く靡いていく。

順調に進んでいくが、その時は突然やってきた。

霧島、北上の煙突と主機がどういう訳か突然爆ぜた。強烈な衝撃が腰に襲い、みるみる速度が落ちていく。

「なっっ……どうして?!」

「くっ……大破しちゃったか。修理したいけどこれじゃ無理だ」

霧島と北上は大破判定を受けてしまった。

(一体どこから…?!砲弾は見えなかった…つまり前からじゃない…まさか上から?!しかし、それはピンポイントで煙突を狙ったことになる。あり得ない…なんてやつだ…けど久々に楽しめそうだな)

吹雪は我が精鋭達をここまで叩きのめした驚きと、精度の高い攻撃に対する畏怖と、久々に強敵が出た喜びが混じり合った感情をぞくりと、感じた。

 

 

さぁ、どうやって屠ろう。

 

 

吹雪の集中力は深い呼吸とともに高まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

                                                                                                  

私は  

 

 

敗北を 

 

 

知りたい




迫り来る未知なる航空機!強烈なソナー音と魚雷!

果たしてゴーヤはどうなってしまうのか!?

次回対潜戦闘!!狩人 SH60k vs 海の忍者 伊58

そしてついに神の盾と最強の矛が激突してしまう

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