DDG-191ふぶきの物語   作:シン・アルビレオ

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半年以上も更新せず大変申し訳ありませんでした<(_ _*)>

色んなイベントに行って精神的にも創作意欲が湧いてきたのでやっと書き終えて投稿することができました

冬コミ、艦これジャズコンサート、ズイパラ、舞鶴砲雷撃戦…うん色々と行きすぎやな。
そういえば艦これサーカスもありますね。当選したのは嬉しいんだけど艦これでサーカスって…ズイパラといいスケートといいジャズコンサートといい艦これってなんだっけ??

そうそう、期間限定作戦もお疲れ様でした!今回も無事に突破できたけどフレッチャー堀が一番きつかった…なんとかお迎えできましたよ…30周以上は行ったと思う。
あと雲龍も来ました!実装から五年以上もかかったよ…(笑)


15話 ロクマルの対潜戦闘

会場では二人が瞬く間に大破したアナウンスが流れると、あちこちから悲鳴が上がった。

「うっそだろ……一体なにが?!」提督は状況が読み込めない様子だった。先程まで護衛艦の砲撃を弾いていた戦艦が大破したから当然の反応だろう。

「突然煙突部分が爆ぜたように見えますが、よく見えると…ほらここです!」

青葉はすぐさま倍速を遅くした映像を提督らに見せた。

「これは…!」よく見ると上から砲弾が降ってきて二人の煙突に入り込み爆ぜた様子が映っていた。

「うっわぁ~まさかあんなこともできるなんて」

「けど実際にああやって見せられちゃねぇ」

明石と夕張は難なくとやってのけた彼女にショックと称賛の感情を心の中で渦巻いていた。

妖精さんとともにふぶきの兵装を調べていたときに、異なる砲弾がいくつかあったのを発見した。

海自妖精さんによれば通常砲弾のほか、対水上射撃を主眼とした赤外線誘導弾、沿岸射撃を主眼としたINS/GPS誘導弾等がある。

ちなみに今回の演習では通常砲弾、赤外線誘導弾、VT信管付調整破片弾(対空用)をふぶきは選択したそうだ。

「すごい技術の塊だなイージス艦というものは」提督も心の中で拍手をした。

 

 

 

一方でロクマルは北東へ飛び立って10km圏内を索敵していた。

酸素魚雷は戦後にロング・ランス(長槍)とつけられその名の通り長い射程を誇っていたものの、当然無誘導であり艦も移動しているため、偏差を取っても距離が遠くなるほど命中するのは難しい。

それらを考慮して潜水艦は10km圏内から魚雷を撃つだろうと読んだ。

潜水艦は水中での速度は低下するため護衛艦より前方にいるのは確実だが、どの方角にいるのかはまだわからず、北東に行ったのは賭けに近かった。

「見つからんなぁ……」妖精さんは海面とにらめっこしながらぼやく。

「だな……そろそろ磁気探査装置(MAD)かソノブイ落とす、もしくはディッピングソーナーを降ろすか?」

「潜水艦ならMADとかは有効だが、潜水艦娘にはどうなんだ?あれぶっちゃけ人だよね」

うーん、と機内にいる妖精たちは唸った。

というのも潜水艦は大量の強磁性材料の塊であり少なからぬ磁場の乱れを生み出す。それを探知するのが磁気探査装置(MAD)の役割なのだが、伊58はスクール水着の上からセーラー服を重ね着するという独特のファッションをしている。ましてや艦娘という人型だ。

「磁気を帯びてるのは考えにくいから、まずはソノブイを使おう。発見したらディッピングソーナーで追い詰めるぞ」 

「了解」

機内で準備を終えるとヘリは高度を下げホバリングし、ソノブイを一定の間隔でポンポンと海面に投下する。投下したあとは反撃を考慮してその場を離れていく。

着水したソノブイはパッシブモードを使って索敵を試みた。

 

 

SH60Kが来る数分前ー

伊58は6.5ノットで水中を優雅に潜行していた。

「そろそろ浮上するでち。潜望鏡上げるでち」

ゆっくりと浮上し、艤装から潜望鏡を展開して周りの様子をクルクルと確認していく。

「うーん聞きなれない推進音が僅かにしてるから、この方角で間違いはないけど……まだ敵影なしでちね……んっ?」

北東方向の上空になにかが飛んでる物体を捉えた。あれを見た瞬間、本能的に"逃げろ"と危険信号がジャンジャンと頭の中で響いた。

「あの方向からということは敵の艦載機…しかもカ号観測機の様な見た目…対潜哨戒機でちか?!まずいでち!潜望鏡下げ!!急速潜行!!!」

幸いあの哨戒機まだ遠くにいた。カ号観測機なら目視による索敵だから見つかる可能性は低いと考えたが、万が一のこともある。

焦らずに潜行し、ある深度まで来たところで機関を止めた。ゴーヤは無音走行でしばらくやり過ごそうと考えたのだ。

しかしそのプランは早くも崩れることになった。

遠くからなにかが海面に着水する音が聞こえてきた。しかも一定間隔でこちらに近づいてきている。

(まさか……見つかった?!爆雷でち?!)

このままではまずい。この深度にいると爆雷は起動されるだろう。上昇と下降を繰り返す三次元運動で回避するか、安全深度まで潜りそのまま突っ切るか…どちらにせよ爆雷が起動したらバブルパルス現象が起こるため、損傷は免れないだろう。

(どっちにするでち…いやちょっと待て。瑞鶴は中破しているとはいえ装甲空母になったからまだ艦載機は発艦できたはず…更に吹雪さんはあれを装備してたはず…よしやって見る価値はあるでち)

ゴーヤの新たなプランとは[見つかったから攻撃は難しいので泣く泣く艦隊に合流します、というように見せかせて吹雪の対空砲や瑞鶴の艦載機で追っ払ってもらう]という長ったらしい作戦を考えついた。

ゴーヤは安全深度ギリギリまで潜り、ゆっくりと仲間のいる方向に進路を向け海中を進み始めた。

 

 

 

 

「ムッ…5番ブイが何かを探知したもよう!」

ロクマルでは動きがみられた。ソーナー妖精さんはついに見つけたと言わんばかりに報告する。

「よしっ!」

「恐らくソノブイを爆雷と勘違いして回避運動をとったと思われます」

聴知するブイが次々と変わっているため投下したブイに沿って移動していることが分かった。

「なるほどな。してやつはどこにいる?」

「いやそれが……敵はソノブイ投下したあと、45度回頭して進路を北西に向けて海中を進み始めているんですよ」ソーナー妖精はもう一度確認したが、やはり敵潜水艦は逃げるようだ。

「ふむ……仮にこのまま潜水艦が進路を変えず進んだ場合、どこにたどり着く?」

「えぇとですね、このままだと35分前後で敵艦隊と吹雪の間に合流しますな」計算を終えた妖精さんが機長らに報告する。

35分前後となると残り時間ギリギリで艦隊に合流することになる。

「ふぅむ……よし、合流して連携をとる前に潜水艦を撃破するぞ」

「了解。しかし、攻撃意思がない敵を撃破するのは気が引けますね……」

自衛隊はあの大戦から今日まで専守防衛を貫いてきた。葛藤するのは当然だろう。

「そうだな……けれど六隻すべて大破させなければ演習とはいえ我々は負けてしまう。未来から来た最新鋭の艦がここで負けてしまっては自衛隊にとって一生の汚点となるだろうな」

元の世界に帰れる道筋も見つからないため、暫くはこの鎮守府でお世話になることに決まったばかりだ。

弱いし役に立たねぇなこいつ(笑)と判断が下されしまえば、調査どころか海に出られず内地勤務になる可能性もありえる。それだけはなんとしても避けたかった。

「魚雷を目標の手前20mで自爆するようにセットせよ。この距離なら直撃しなくても十分損傷は与えられる」

「まさか敵潜水艦も魚雷攻撃されるとは思ってもないでしょうしね」

操縦妖精さんはにやりと笑みを浮かびながら魚雷を撃つのに最適な位置を微調整していく。

「その通り。おったまげるだろうな。さてソーナーはどうだ?」

「アクティブを使用するまでもなく、バッチリと聞こえますよ。距離1000、方位345、深度75m」

「頃合いだな。撃てるか?」

「えぇ、いつでも」魚雷にデーターを入力し終え、あとは発射号令を待つだけだ。

直後、発射号令が機長妖精から発せられると、97式魚雷が機体から切り離された。

着水すると同時にポンプジェットが作動し一直線に潜水艦へと向かっていく。

魚雷は暫く進むと潜水艦にとっては死の音色であるアクティブを強烈に発した。

また、クロードサイクルエンジンとポンプジェットを採用したことで高速化とキャビテーションの低減を実現可能させ最高で58ノット、時速にすれば約107km/hにもなる。

決して逃げられない死神の足音が刻々と潜水艦に迫っていく。

 

 

 

哨戒ヘリから魚雷が発射される少し前に遡ると、58は上にいたカ号のようなものが遠のいたことに疑問を持ちつつもまずは合流が先だと言い聞かせ海中をゆっくりと進んでいた。本当は全速力と行きたいところだが、焦ってはいけないと抑えていた。

元凶はプカプカと海面に浮いてるあれだ。

あれが投下されたとき咄嗟に回避行動を取ってしまったが、沈まず爆破することはなかった。

そしてブイみたいにプカプカと浮いている、ということは海洋気象ブイや津波ブイのように、この潜水艦の音紋をカ号のようなものに送信している可能性があると判断した。

このような判断が瞬時にできるのは日頃の訓練だけでなく、実戦も数多くこなしている。そのおかげかゴーヤのレベルは98と潜水艦娘の中ではトップに立つ。

(んっ、ちょっと待って……ブイのように音紋を集めているとしたら……いやダメでち。不自然にブイが消えたらかえって怪しまれるでちね)

ブイを海中に沈めようと思考したが消えればそこに潜水艦がいますよと自ら教えるようなものだ。

「悔しいけどそのままにするしかなさそうでちねぇ……」

恨めしそうにブイを見つめながら海中を進んでいると、僅かだが後方から魚雷の着水音とスクリュー音が聞こえた。

「えっ、なんで……?」

吹雪が敵艦に向けて発射したのかと思ったが、まだ合流しておらず、吹雪の機関音が聞こえないのと、聞いたことのない小さなスクリュー音であったからだ。

ゴーヤは混乱しつつもゆっくりと深度を下げていった。

 

経験からか、それとも直感なのか、胸の奥からざわわ、ざわわと得たしれない何かが満たされいくのをゴーヤは感じていた。

 

 

直後、強烈な探信音がゴーヤの身体隅々を叩いた!

潜水艦にとっては死の宣告音、アクティブだった。

しかも探信音はどんどんとこちらに近づいてきている!

「なっ……魚雷から探信音?!ありえないでち!!ダイブッッ!100まで一気に潜行するでち!」

すぐさま妖精さんに指示を出しベントが最大限に開かれ、注水されるとメインタンク内の空気が勢い良く減っていく。

日頃の訓練の賜物か素早く行え、滞ることなく順調に急速潜行することができた。

が、お構いなしに刻々と近づいてくる魚雷にゴーヤは焦りからかバタ足で速度アップを図りつつ急旋回も行った。

それはふぶきがいた現代戦ならばスパイラルターンと呼ばれる、急激な挙動をすることで気泡や渦を後方に作り迫りくる対潜魚雷を惑わす回避方法なのだが対潜魚雷は惑わされることなく、獲物をロックオンした肉食動物のように向かってくる。

(作戦失敗でち。まさかソナーと魚雷をセットにして対潜兵器にするなんてすごい発想でちぃ…)

賞賛すると同時に追いかけてきた魚雷がなぜか当たらず自爆した。しかしそれでも潜水艦を行動不能にするには十分の衝撃が襲った。

たまらず58は緊急浮上をした。

直撃しなかったとはいえ体のあちこちが痛むし水着もところどころ破れてしまっている。

「機能美溢れる提督指定の水着がっ……」

ため息をつきながら空を見上げると、どこからかロータ音が大きく聞こえてくる。音のする方向に目を向けると白色を基本とした哨戒機がこちらを近づいてきて、上空を旋回してきた。

本来ならば対空機銃で追っ払うところだが先程の衝撃のせいでオシャカになってしまった。

なにもできなかった58は悔しさに歯切りし、遠ざかっていく哨戒機をただただ見つめることしかできなかった。

 

58が哨戒ヘリによって大破したアナウンスが流れると会場内はもう茫然自失と化していた。

理解がもはやキャリーオーバーしていたのだ。

「艦載機まで化物……すげぇな」

提督は脱帽したようでため息つきながら会場内を見渡すと、もはやお通夜状態となってしまってる。

 

けれど皆の眼差しは諦めていない。

 

 

なぜならば彼女がまだ残っているから。

 

 

 

ある艦娘は彼女をこう呼ぶ 

 

"軍神"

 

 

 

 

ある海外艦娘は彼女をこう呼ぶ

 

"ミセス・ウォーズ"

 

 

 

 

 

ある深海棲艦は彼女をこう呼ぶ

 

"戦慄の吹雪"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

矛vs盾

 

それは中国戦国時代から今日までの永遠の問題である。

 

その火蓋はもう間もなく切り落とされようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらマイヅル、潜水艦の撃破確認。これより砲撃支援に移る』

マイヅルとはロクマルのコールサインである。そのロクマルは潜水艦の撃破を確認すると吹雪がいるであろう航路にむけて進路をとる。

「了解」

ふぶきはそれだけ言うと対水上戦闘に移行すべく主砲の最終チェックを行う。

レーダー上には単艦でこちらに向かってくる彼女の姿がはっきりと捉えている。向こうはECMとステルス性を意識した船体のおかげか未だこちらの存在を見つけていないようだ。

いくら高練度だろうが経験を積んでいようが、最新鋭イタリア産主砲と主砲用のFCSとロクマルの観測を組み合わせた砲撃は決して外れるわけがない。そう信じていた。

「抗うこともできず即死ね……ご愁訴様。対水上戦闘用意、目標吹雪、弾種通常弾、うちーかたはじめっ!てぇっ!!」

薬莢をカランと甲版に排出すると、火を吹いた主砲は硝煙を砲身から吐き出した。

そして1つ、もう1つと短い間隔で砲弾を連射していく。

808m/sの初速で放たれた3つの砲弾は吹雪が進むであろう未来予測航路に向かって寸分狂わず猛進してゆく。

 




そういえば新しいイージス艦が就任しましたね

「まや」と「はぐろ」でしたね。日本を守護る盾として頑張ってほしい。一番は平和が続いて使わないことなんですが世界情勢はきな臭くなってるよなぁ…

ふぶきはまだかぁ〜っっ!?

次話のタイトル「想定外」で送りする予定です!お楽しみに!

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