そのせいでサンリオコラボのキリンボクカワウソランド最終日中止になってしまったよ…。
Jリーグも延期になってどうなるんですかねこの先。早く収束してほしいです。
とりあえず一般人ができることは人混みにはなるべく行かずに、手洗いうがいに栄養を取ることですね!
演習もいよいよ終盤に差し掛かってきた。
お互いの距離はすでに5㎞をきっており、もう間もなく目視距離に入ろうとしている。
さらに吹雪から見て左4km先にはロクマルが超低空で飛行していた。
「なにあれ?!」と、吹雪が異変に気づいたのは聞きなれない初めての音と殺気を感知したからだ。
そう、ヘルファイアⅡとの距離はすでに1㎞まで迫っていた。
見慣れない2つの物体が超低空でこちらに来ているのを確認すると、すぐさま回避行動をとりながら対空射撃体勢へと整える。
(第一優先は噴進弾のようなもの!次にオートジャイロっぽいのだけれど…なんか遅い?)
先ほどの噴進弾を見た吹雪にとってヘルファイアⅡは物足りない速度であっただろう。
しかしながら、あの時の噴進弾のように命中率は100%であったため油断はできない。
「くっ、あれより遅いけど海面ギリギリ飛行してるから、狙いにくいったらありゃしない!」
対空機銃は調整破片弾による攻撃で使い物にならなくなってしまったため、10cm高角砲+高射装置による対空射撃をする他なかった。
最大で毎分16発も放てる高角砲の砲弾でも、ただむなしく通り過ぎたり海面に突っ込み、水柱を作るものばかりであった。
「間に合わない…避けなきゃ!」
ギリギリまで粘ったものの噴進弾には一発も当たることはなく、吹雪はスピードをあげ回避に専念していく。
ギリギリまで引き付けられ急に大きく回避したためかヘルファイアⅡは超低空のまま吹雪の後ろを通りすぎていく。
(まぁこいつもどうせ追尾するんだろうなぁ)
あの魚雷のことを思い出しいやそうな顔を浮かべながら右に顔を向けたが、あの噴進弾が視界からいきなり消えていた。
「…はっ?」と、はてなマークがたくさん浮かんだような顔でキョロキョロと左右を見回した。
(えっ、どこ行った?!前、後ろ、左右、いない…そうなると残りは…ッッ?!)
吹雪は殺気を感じばっと空を見上げると、そこには上昇を終え、こちらにめがけて落下する噴進弾が視界に入る。
「畜生めッッ!!」
盛大に舌打ちしつつもありったけの砲弾を噴進弾に向けて打ち出そうと再度主砲を空にへと構えた刹那、殺気と光の筋が空からではなく護衛艦がいる方向から感じ取った。
その光の筋は腕まで延びていた。対空射撃体勢のため両腕は伸び切っており、もしこのまま砲弾が直撃してしまえば腕はあらぬ方向へと曲がり、最悪開放骨折してしまうだろう。
(やばい想像してしまった…しかし間に合うかこれ?!)
タイミングは最悪中の最悪。
完全に避けることは難しいと判断した吹雪は少しでも被害を減らそうとわずかにバックステップし、護衛艦からの砲弾は右主砲にへと着弾するように位置調節をしてゆく。
真正面にはヘルファイアⅡが、左には砲弾が向かってきているため両腕を九時のように開かなければならない。
(上手くいく保証はないし、見た目的にもあまりこれは使いたくなかったけど)
ふぅ、とため息つくと、吹雪は左眼だけを動かした。
“外斜視”と呼ばれる片方の眼を別の方向に動かして見る技術である。
武術だと片方だけの“散眼”に近い。
古代インドにて僧たちが四方八方から迫りくる矢を避けるために編み出された技だ。
訓練すればできるようになるが吹雪の懸念通り、見た目があまりよろしくないのが欠点だろう。
「お願い!当たって!!」
対空射撃を開始しようとした途端、ソナー員の悲痛な叫びが耳に入った。
『またあの音と魚雷です! 今度は3本ッッ!!』
(なっ、なんて最悪なタイミング…ッ)
吹雪はぶわっと冷や汗が溢れ出た。
数分前
護衛艦ふぶきのほうでは更なる飽和攻撃を仕掛けるべく、準備していた。
協議した結果、3段階に分けられた。
ロクマルによるヘルファイアⅡを用いた対艦攻撃はすでに放たれ、目視外からの主砲射撃による攻撃とロクマルが接近してドアガンからの射撃が第1フェーズ。
直後、残りの魚雷をすべて放つまでが第2フェーズ。
ここまでうまくいかなければ、目視距離まで接近して水平線からちょっと顔を出すように主砲でちまちまと攻撃し、意識がこちらに向いた時に最後のヘルファイアⅡを放つまでが第3フェーズであった。
ヘルファイアと魚雷がうまくいけば第3フェーズは行わなず、中破している瑞鶴に対し最後の攻撃を仕掛ける。
「これでもうまくいかなかったらどうしよう…」
かなりの損害は与えたが、ここまで常識外れの回避をたっぷりと見せつけられたため不安がぐるぐると渦巻いていた。
頭を悩ませているうちにアタックポイントに到着しようとし、流れるように操艦号令を出すと左に回頭していく。主砲と右舷魚雷も展開し吹雪の方へ睨んだ。
この時点で駆逐艦吹雪との距離は4.8㎞。あと数百メートルも進んでしまえばお互いの姿はギリギリ見えるところまできている。
(あー怖い…某怪獣映画で護衛艦がどういうわけか某怪獣王に接近し、熱線でフェードアウトしたのを思い出しちゃった。っとそろそろね)
気持ちを切替え、ふぶきは主砲のモードを手動を選択した。
自動なら機械が勝手に調節し最適解なところへ砲弾が飛んでくれるありがたいものだが、今回の相手の場合分が悪い。
では、発射タイミングなどいくつか応用が効く手動ならば試してみる価値はあるだろうと判断した。
「撃った1秒後に魚雷を全て投下します。そちらはいつでも撃てますか?」
『はい、ばっちりです!』
『水雷員に冥利につくなぁこりゃ』
まさか水上艦相手に全魚雷を投下するとは思いもしなかったが、あと一歩まで追いつめていたということもあり士気は高く保たれたままだ。
「よろしい、では始めましょう」
『了解。CIC指示の目標、050度、2.98マイル、目標駆逐艦吹雪。撃ち方始め」
「撃ち方始め、発砲ッ!」
一発の砲弾が撃ちだされるとすぐさま次の号令をかける。
「右舷魚雷2.4.6番管、発射用意、発射っ」
魚雷はトラブルなく全ての発射管から圧縮空気とともに吐き出され海中を進んでゆく。
「流石です。さぁ、あとはどんどん驚かせましょう」
吹雪はあまりの情報の多さに脳内がさすがにパンクしそうになった。
前、横、海中だけでなく、後ろからは得体の知れないオートジャイロが迫っているのも大きなストレスとなっている。
飽和攻撃は特別海域で深海棲艦によって何回も仕掛けられたことがあるも、今回の攻撃精度は群を抜いていた。
(一歩でも対応間違えたら死ぬわこれ)
そのような状況でも吹雪は冷静に、そして楽しんでいた。
まず落とすべき最優先は噴進弾、次に砲弾、オートジャイロ、最下位に魚雷となった。
(せめて後ろの対空機銃が使えればオートジャイロにも同時に行けたのに…)
先ほどの調整破片弾による攻撃で機銃等がボロボロになってしまったためだ。
無いものは嘆いても仕方ないと割り切り、まずは目の前の脅威を排除すべく引き金に力をこめた矢先、機関銃の音とともに小さな痛みが体のあちこちに走った。
「はぁっ?!」これはさすがに想定外すぎた。
あのオートジャイロは機関銃も装備していたことに!
そのせいか殺気を感知するのが遅れてしまった。
幸いなことは機関銃が小口径でありダメージはほぼなかったこと、不幸なことは一秒にも満たさない時間であるが、意識がオートジャイロとそこから放たれる機銃に向けてしまったこと。
(しまっ…)
追尾する噴進弾はもう目と鼻の先にいた。
なにもしなけばこのまま頭に直撃してしまうだろう。
脳内では超高速で選択肢が浮かんでは削除されていった。そこから導き出された回答とは…。
右主砲を投げることだった。
主砲がオシャカになることは確実だが、弾薬たっぷりの誘爆によってダメージを与えたと勘違いする可能性もある。わざと海面に倒れるのも忘れない。それを“餌”として使うことにした。
今までもそのような餌をまくことで深海棲艦を釣り出し、止めを刺そうと近づいた所を逆にボッコボコにしてあげたり、味方が囲んで殲滅させたりしたこともある。
覚悟を決め主砲を投げ大きめにバックステップで下がった瞬間、ヘルファイヤⅡが起爆し火球とともに辺りに衝撃波が生まれた。
その光景はまさしく地獄の業火そのものだった。
ヘルファイアⅡは艦船用に金属サーモバリック弾頭を採用している。
BLEVE(沸騰液膨張蒸気爆発)とUVCE(自由空間蒸気雲爆発)の現象を応用した兵器であり、従来の金属片による損傷ではなく爆発衝撃波そのもので損傷させる。
装甲の薄い駆逐艦や護衛艦は上部構造がめちゃくちゃになりえる。とくにイージス艦などは高価な電子類が外部に剥き出しになっている物が多く、目を潰すこともできる。
さて、そのような兵器が人体に対して使用されたならば無論言うまでもない。
鼓膜破裂、眼球破裂、皮膚の裂傷、内臓破裂等々、生命維持に係る器官が軒並み破壊される。
勿論艦娘も例外ではない。
大半のダメージは艤装や服が身代わりとなって壊れたり破れたりするが、とあるキャパを超えると身体に支障がでることもある。
至近距離で食らった吹雪はというとわざと倒れていたわけでもなく、吹き飛ばされノックダウンしてしまっていた。
幸運だったのは鍛えていたこと、バックステップで下がったこと、砲を投げたことで少しばかり衝撃波を食らうのを防いだことだがそれでも容赦ない衝撃波が吹雪を襲った。
何秒気絶したのか分からなかったが、演習中だと思い出し勢いよく立ち上がった。
しかしその1秒後、なぜか目の前に海面が迫っていた。
(~~~っっ!!!???)
勢いよく顔から海面に突っ込んでしまいおぼれかけたものの、なぜ目の前に海面があったのか理解できなかった。
今度はゆっくりとひざ立ちしながら起き上がるも、先ほどのあれとは比べ物にならないほど景色がグニャグニャドロッドロに溶けており、激しい耳鳴りと痛みで聴力は一時的に失われた。
それだけでなく穴という穴から出血しており、呼吸するたびに肺にするどい痛みが走り、気管もまるで超高温の鉄棒を入れられたかのように熱く感じた。
鼓膜は破れ、肋骨は折れて肺に刺さり気管も火傷。
服はボロボロに破け、結んでいた髪はほどけチリチリに焦げている部分もある。
横隔膜もショックでせり上がっているためうまく酸素が取り込めない。
すると鉄の味がすぐそこまできていた。
どこかの内臓が損傷でもしたのだろう。
鼻腔に鉄の匂いもしている。
「ガハッ!!!」耐えきれず思いっきり吐血してしまった。気道が火傷しているため吐血するたびに熱いナイフで刺されたような激痛が走る。
(手足がもげなかっただけでもマシだ…) 肩で大きく息するも酸素が体の隅々まで行き渡らない。
吹雪は過去に連合艦隊第二旗艦でラスダンボスマス前のところで、ツ級からの魚雷攻撃で脚がおさらばしかけたことがある。出血は止まらず骨もコンニチワしていたため応急処置を施したものの、さすがに三途の川を渡りかけた。
「なにか忘れてるような……あっ!?」 まだ頭がクラクラするも慌てて海面を見渡す。
あの時忌々しい音を放す魚雷が3本放たれていたことを。
かすかに残った聴力でなんとかあの音を聞き取れたものの、もはや回避するには遅すぎる距離まで迫っていた。
「クソがッッ!!」
もしアメリカンな艦娘がいたならf〇ckを連呼していたに違いない。
眩暈と格闘し血反吐を吐きながらも足を動かすが時すでに遅く、吹雪はバブルパルス現象によるジェット衝撃によって生まれた水柱に巻き込まれ、勢いよく海面に叩き付けられた。
その様子をパブリックで見ていた会場は大きな悲鳴がいくつも上がる。
そうなるのも無理はないだろう。
吹雪たちがここまでコテンパンにされてしまうのは久しいことであった。
負けてしまうのか
あの軍神が
あのミセスウォーズが
あの教導隊が
不敗神話がいまここで崩れてしまうのか
否
否
否
彼女はどんなにボロボロになろうが立ち上がってきた。
ほらそこには不敵な笑いを浮かべている吹雪は
いなかった。
水柱が消え画面に映っていたのは
神が神に討たれ地に伏していた。
『主砲弾は命中せず!されどヘルファイア、魚雷とともに命中!』
ふぶきは火球と水柱を目視で確認でき、CICや艦橋では歓喜に沸いていた。
『なお目標は動きがありません!』
『これはkill判定か?!』
ちょこまかと回避していた彼女にやっと大ダメージを与えることができ、しかもようやく動きも止まった。
そのことに少しばかり安堵の表情を浮かべる者、勝利を確信し小さくガッツポーズする者、気を引き締めて第二次攻撃を検討する者様々な反応が見られた。
(流石にあれだけの爆破なら撃破確実かな…。実際レーダー上でも彼女はピクリとも動いていないから第3フェーズは中止。さて、残りは空母瑞鶴のみ。この時間まで艦載機が発艦できていないということはダメージコントロールは間に合わなかった様子ね。対艦ミサイルで止めを刺したいところだけど距離的に短いかな)
こちらから近づいたというものあるが、瑞鶴は先程の対艦ミサイルによる攻撃でどうやら舵取機や電動機まで被害が及んでいるようで操艦が難しい状況の為、ゆっくりとした速度で進んでいる。
そのため、ふぶきと瑞鶴の距離は8kmを切っていたのだ。
(主砲弾の残弾はまだ余裕だけど127mmだからなぁ…。なら07式垂直発射魚雷投射ロケットのほうがいいかな。これも対艦向けじゃないけど実験と割り切ればいいか)
短魚雷といい07式垂直発射魚雷投射ロケットといい全て対艦用になってしまったことに苦笑した。
今回は2セル分積んでおいたが、優秀なヘリのおかげで潜水艦に対して使うのは次回に持ち越しとなったが。
「水雷員の皆さん、もう一仕事しますよ」
『うっひょおおぉ!?』
『まじかぁー!!』
水雷妖精さんらのテンションは最高潮になっていた。それに引き付けられるように艦内を包んでいた暗く重々しい空気は彼方へ吹き飛んでいた。
ふぶきだけでなく艦内にいる皆、あの攻撃なら彼女に勝てるだろうと思っていた。
最強の対戦車ミサイルと名高いヘルファイア。
潜水艦絶対殺すマンの12式魚雷。
イタリアが生んだ傑作砲127/64砲。
この現代兵器の三重奏は必ず屠れると。
しかし、その認識はお花畑のように甘く、70年間平和という沼にどっぷりとつかった弊害と現代兵器の過信は鎖のように脳内をがんじがらめにしてしまった。
それだけでなくもう1つ致命的な犯しをしていた。
ほんのわずかな時間であるが、彼女に対して警戒を緩めたところだ。
例えるならば、猛獣相手に背中を見せたことに等しい。
実際に某動画サイトで子供が強化ガラス越しに肉食動物を見つめており、肉食動物もじっと見つめていた。そして子供が撮影者に振り向いた途端に肉食動物はまるで獲物に食らいかかるように飛びついた。
幸い強化ガラスの覆われた檻であったが、もしそれがサバンナならばあっという間に肉食動物のご馳走になっていただろう。
しかも演習とはいえここは戦場。
少しでも隙を見せてしまえば魔物は容赦なく牙をむいてくる。
ふぶきは後悔した。
なぜ一瞬だけ彼女に対し意識や視線を外したのか。
ぞわりと心臓が冷たく捕まれているような?
死神が首に鎌をかけているような?
そんな気がした。
力いっぱい機関一杯、と叫ぼうと肺に酸素を入れた同時にCICと見張りから
『敵艦から発砲!!2発…いや4発!!』と悲鳴に近い声が聞こえた。
「はあっ?!砲弾はどこ…つっ?!」
ふぶきはコンタクトに表示された情報を見るとなんと海面スレスレに、次弾は放物線を描くように上から飛翔していた。
慌ててヘリからの映像を確認すると、倒れながらも砲をこちらに向けているのが確認できた。
(意識を失いながらも砲撃…なんという精神力!)
心の中で称賛しつつも号令を速やかに出していく。
「機関一杯ッッ!回避運動! 艦をやや真っすぐに立てたらすぐさま後進に切替えて! 主砲、CIWSオートッ!!」
少しでも被弾面積を小さくするのが狙いだ。完全に真っ直ぐにしないのはSeaRAMの死角にならないようにするためだ。
機関が甲高い唸りをあげ海面が勢いよく泡立ち、調整破片をセットした砲身と2つの近接防御兵器が恐ろしい速度で旋回しピタリと睨む。
同時に本能的に危機を知らせる警報音がオーケストラのように鳴り響き、Mk.137発射機から自動的にチャフやフレアがまかれてゆく。
「面舵回頭する、動揺に注意!」
艦内に注意を呼びかけ速度を保ったまま面舵一杯の回避運動をしたため、体が右へと引っ張られる。
『うおおぉっ?!』
『耐えろーっ!!』
妖精さん達も艦内を転がり落ちないようにイスに座りながら必死に掴まっている。
『海面が近い……』右舷にいた見張り妖精さんも青ざめた顔しながら海にボッシュートされないよう万力の力をこめて耐える。
『わー空が見える……』
左舷の見張り妖精さんも同じように踏ん張って耐えている。
まずは脅威度が高い低空で飛翔している砲弾から狙い、主砲で弾幕を張っていく。
まず一発撃ち墜とすことに成功した。
残り3発。
すぐさま高性能20mm機関砲より射程の長いSeaRAMがミサイルを3発発射した。
前後の蓋がポンッと取れ、バックドラフトとともにキャニスターから発射されたミサイルはライフル銃弾のように回転しマッハ2.5で飛翔していくと、近接信管が作動しあっという間に花火を咲かせた。
しかし、最低飛翔高度が1.5mであり、それ以下を飛んでいる物体を落とすのは難しくなるため成功したのは1発のみであった。
残り2発は低空と上空から襲来している。
面舵でやや真っすぐに立てたところで一気に後進に切替え、慣性でガクッと前のめりになりつつも耐え、徐々に後進していった。
砲弾との距離が1.5kmまで迫ると、高性能20mm機関砲も火を噴き濃厚な弾幕を張った。
機関砲の回転が安定するまでは弾がばらけてしまいなかなか当たらない。
「まずい…墜ちて!」
それでも無数のタングステン弾芯高性能徹甲弾が襲い掛かり、なんとか撃墜に成功したのも束の間、距離が500mまで迫っていたため、爆風や破片が高速で降りかかった。
しかも、低空で飛翔していた砲弾の一部破片は水切りのように襲い掛かってくる。
「見張員は艦内に退避!総員対ショック体勢をとれ!!」
見張り員が艦内に退避したと同時に大小様々な破片がふぶきの体に刺さったり切り傷を作った。
「いたっ…!」
思わず顔を苦痛にゆがめる。頭部はとっさに守ったものの手足を中心に傷ができ、出血も見られた。
「被害状況報告…えっ?!」
コンタクトにとあるシステムのエラーが表示され、目が点になる。
“ECM使用不能”
“前方SPY-1一部損傷”
ツぅっと冷や汗が流れた。
「まさか…」
NOLQ-2Bがある場所に顔を向けると、悪い予感は的中しズダボロになっていた。
デリケートな高価電子機器が剥き出しになっていることが多い現代艦の弱点が露呈し
、イージス艦のアドバンテージが崩れた瞬間だ。
幸い武装や機関等のハード面は無事であるものの、電子妨害が使えなくなったのは痛い問題だ。
ならチャフやフレアを展開すればいい話であるがそう簡単にはいかない。
Mk.36 SRBOCはレーダー警報受信機などと連携し、自動的に対抗手段を投射するシステムのため脅威がなければ投射はできないからだ。
SPY-1も穴が開いてしまったがアレイ端子がたくさんあるため、システムは失われることはなかった。
一部が損傷してしまってもSPY-1は4面で相互補完しているので、無事なSPY-1がカバーすればいいだけだ。
また、護衛艦のほとんどはステルス化のために傾斜船体をしているが、RCSを低減させる気休めでしかならない。
第2次世界大戦時の電探上ではとても小さく映るだろう。
まるで漁船がそこにいるかのように。
しかし、演習中の演習場においては一般人は立ち入り禁止となっているため、そこにいるのはふぶきしかいない。
演習開始から45分が経過し、教導隊はようやく彼女の姿を小さながらも捉えることができた。
「電波障害が消えたわ!吹雪がやってくれたのね…無駄にはしないわ!第二次攻撃隊。稼働機全機発艦急げっ」
装甲化と優秀なダメコンのおかげでなんとか発艦できる状態になった瑞鶴は、痛みをこらえながらも残りの弓矢を全て放つ。
時間的にもこれが最後の攻撃になるだろう。
運よく生き残った攻撃機、雷撃機は数少ないながらも一矢向こうと士気は高く、エンジンを轟かせ一機、また一機と大空へ翔けてゆく。
次回で演習編は終了します。
誤字や脱字などがありましたら報告宜しくお願いいたします。
それでは皆さんコロナにもお気をつけて