しばらく亀更新になりますすみません(定期試験や就活があるため)
私はキスカ島から大分離れた所-Y地点で艦隊と合流することができた。
だが、そこで待っていたのは船ではなく私と同じような艤装を付けた人だった。
ーまだ夢でもみているのかな…?と若干ため息ついたがどうやら向こうもなにやらきょとんとしている。
「えーと…お前が“かいじょうじえいたい”というやつの“ふぶき”…で間違いないのか?」
眼帯をしていてなんだか怖そうな方から質問された。どうやら警戒しているようで、腰にある二つの14cm単装砲の主砲がこちらに向けており、柄にも手をかけている。それだけではなく、後ろの子たちも主砲を向けている。
いくら最新鋭でもこの至近距離で避けられる可能性は極めて低いし、仮に抵抗したとしても兵装のデーターリンクはできないため、腰にある9ミリ拳銃か徒手での反撃になるが…はっきり言って分が悪すぎる。そもそも装甲は薄いから一隻からでも主砲撃たれたら間違いなく行動不能、運が悪ければ轟沈だってありえる。
最悪眼帯をしている方を人質に取って交渉…なんて考えたが、腰にある刀っぽいので斬られやられる可能性もある。
(つまり…チェックメイトされている状態ってことね。)
「えぇ、私が先ほど無線で救難信号を出した…日本国海上自衛隊舞鶴基地所属、ふぶき型護衛艦一番艦のふぶきです。まず救援していただき感謝します。」ピシッとお辞儀してお礼を言った。
それをみた天龍達は驚いた。少なくともある疑惑は晴れた…この艦娘は深海棲艦ではないと。
そして何よりも、第一艦隊旗艦であり提督代理も務めるあの彼女に瓜二つであるからだ。
しかし油断を誘っておいて攻撃…もありえるので武装解除はせず天龍がこう返した。
「俺は幌筵泊地所属、天龍型一番艦天龍だ。とりあえずお前がふぶきだということは分かった。だが少なくともまだ確証したわけではない。」
(…デスヨネー)
私はため息ついた。こうして敵意がないことを示しているが、仕方がないことだろう。幌筵泊地と聞いて疑問に思ったが話を穏便に進めるために後回しにした。
「貴女は私の味方ですよね?」
「…あぁ。今は訳ありでこんな状態だが、味方だ。」違和感を感じたため少し戸惑ったが、はっきりと味方だと天龍は伝えた。
「…ならその主砲を下ろしてもらえませんか?」
「そうしたいのは山々なんだがな、こっちは命がかかっているんでね」柄を握る力が強くなった。
さっきよりも一段と警戒が強まった気がした。
ここでの説得は無理か…と思い話を変えた。
「なるほど…けど私はあなた方の司令官と話がしたいだけです」
「そのために救援信号を出したのか?」天龍が聞くと
「はい」ふぶきは即答した。
ほぅ、と天龍は感心した。なにせあのキス島の包囲部隊を、霧を利用していたとはいえ無傷で抜けたのだ。しかも単艦である。また、救難信号をだしたとしてもたまたま俺らの遠征部隊がキャッチしただけで、下手すりゃ深海棲艦に拿捕された可能性も十分に高かった。
「了解した。とりあえずお前は俺たちの鎮守府、幌筵泊地まで曳航する。詳しい話は向こうでだ。」
こうして私は曳航用のロープで繋がれながら幌筵泊地へと向かっていこうとしたが…
「お、重っ…」あまりにも天龍の速度が出なかったので曳航はあきらめ、水雷戦隊に囲まれながら泊地へ向かうことになった。
ただ、最大船速は出せないことを伝えた。
(重いとは失礼な!)と思ったけど私の基準排水量が8300トンもあるからね仕方ないと割り切った。
駆逐艦が先導するなか、私の真後ろには天龍がまだ主砲を向けたまま距離を保って後についていく。
それだけでなく左右にも他の駆逐艦らが一定の距離を保ちつつ、変な動きがないか私を見張っている。
9ミリ拳銃などはその駆逐艦たちに預けた。私が攻撃の意思を持っていないことを示すためだ。
(ほぼ丸腰状態だけど、我慢するしかないよね…)ため息をついたが後ろから話し声が聞こえてきた。
「高雄型に似た艦橋だけど、あの白いのはなんなんだ?」
「こんな拳銃、見たこともないぜ」
「砲が一門に対空装備が二基、それに飛行甲板と筒のなにか…戦えるのかそれで?」
後続の彼女たちは口々に感想を漏らした。珍しいみたいだがどうも胸にわだかまりがある。
まさかと思うが、おそらく彼女たちは私を知っているようで知らないのではないか。
なぜなら、初めて私を見た時の反応は誰かを知っているような顔をしてた。
しかし、所属と艦名を言ってからは?マークが沢山浮かんでいるような感じだった。
それに、私の装備を見てもその有効性が分からないのは、私がいた時代では少なくとも有り得ないことだ。
つまりここは…現代ではない別の時代ということになる。が、そんなことはありえないと脳内で必死に解釈した。
だってタイムトラベルなんてないのだから。あったとしてもまだドラ○もんの世界だ。
けど、この人型になったこととかはどう説明すればいいのか。
そして私は頭が爆発しそうになったので、考えるのをやめた。
「なんか色々と考えているような顔してますねぇ」右舷には青いセーラ服で黒の外ハネしたショートボブの子が言った。
「泊地に着いてから暴れようだなんて無駄だぜ。」左舷に赤紅色の髪でへそチラしている子も話してきた。
(いやそれどころじゃないし、私武装解除されているに等しいから無理なんですけどー)心のなかで軽くツッコんだ。
「でもありえそう…天龍さん本当に大丈夫かしら?」天龍の後ろにいる、右舷の駆逐艦とはまた違ったセーラ服で紺色ロングストレートの駆逐艦が不安そうに言ってきた。
「大丈夫だ暁。言っただろ俺がすべて責任を持つって。いざとなったらこの愛刀で叩き切ってやるぜ」
「えっそれ斬れるんですか?!」私は驚き天龍の方へ顔を向けた。てっきり見かけの刀だと思っていた。
「お、おぅ。これで敵の砲弾を弾くこともあるぜ」
「砲弾も弾くんですか!?」なんなんですかこの彼女。弾を弾くなんてル○ンの○ェ門でしか見たことないですよ。
ということはかなりの手練れだろう。敵には回したくないと思った。
「くっちゃべってないでしっかり警戒しなさいったら!」先導している銀髪のサイドーテル駆逐艦からお怒りを受けた。
「えーだって移動してから数時間経ってるし、敵も見えないから暇なんだよー」右舷の駆逐艦が不満をもらした。
確かに、私のレーダー上でも周辺の水雷戦隊が映るのみで他は全くといっていいほど反応がない。ただ、レーダー出力を抑えているので探知距離は狭くなっているが。
「でも霞さんの言う通りだと思うわ。いきなり襲ってきたら私達やられているわ。」
どうやらしっかりした子だな…確か暁というんだっけ。
「まぁこうもなにもないとはねぇ…そろそろ敵の哨戒圏を抜けるとはいえ追っかけられてないのが不思議だぜ」
「そういや私が島抜けるとき、なんか同士討ちがあったような気が…」
ふぶきがそういうと皆驚いた。
「ほ、ほんとか?!」天龍が食い気味に言った。
「は、はい。霧でよく分からなかったけど…れーd、いや電探上では同士討ちで敵の数が減っていました」
「すごい運持ってるね。幸運の女神でもついているんじゃ?」左舷の駆逐艦が絶賛してた。
(幸運ねぇ…濃霧という天候を味方につけたけど、それよりもこのステルス性が大きかったのかもしれませんね)
私はステルスという技術に感謝した。雑談しながらも泊地へと順調に進んでいった。
数十時間後 幌筵島から東200キロ付近
ここでトラブルが発生した。ふぶきの主機の調子が悪くなり速度が低下した。それだけでなく、ふぶきの足取りがフラフラしてきた。
(吐き気もするしめまいが…)
流石に危ないので両舷の駆逐艦に支えられて曳航される形となった。
天龍の見方によると初めて建造されたりドロップしたばかりの艦娘は、練度や精神的に未熟なので兵装などのリンクがうまくいかないこともあるようだ。また、船酔いの症状も稀に見られるそうだ。
さらにドロップの例では艦娘としての責務、自覚を知りながら出現する場合と、自分が艦娘になったのを知らずに出現するパターンもある。
今回のは後者で長距離航海の疲労や精神的な処理が追いつかなくなり体調不良ー船酔いとなったのだろうと推測した。
また彼女は深海棲艦を知らない可能性があった。それに話がかみ合ない部分も多少見受けられた。
天龍は無線で医療班と医務室の手配も泊地へと要請した。
するとすぐに受理され、空母による艦載機での警戒や明石による泊地につくまでの簡易の治療も出ることになった。
そして数時間後、ふぶきを曳航した水雷戦隊は護衛隊と接触したが肝心のふぶきは精神に過負荷がかかったのか、気を失ったように眠っていた。
これは重症の可能性もあったので、曳航されながら明石が応急手当していくことになった。
「しかしこんな装備見たこともありませんね…」
明石も見たこともないとなると、ますます訳が分からなってきた。
「えぇ、私が知る限りね。それに、吹雪さんとほんとにそっくりね」
「だろ。ただ、“海上自衛隊”という組織は知らない」
「新しい艦娘なのか…私たちがその組織を知らないだけか。それとも未来から来たのか。…でもタイムスリップだなんて今まで報告されてません」空母機動部隊の赤城が護衛しつつ意見を申し出た。
「私もよ。タイムスリップだなんてありえないことだし、そのような組織も聞いたことないわ。」空母の中でも一番の高練度である加賀も赤城の言っていることに賛同した。
「加賀さんまで知らないとは…もしかしたら経歴を偽っている可能性も…」秋月も不安そうに言った。
「ありえるわね」加賀は色々な記憶を脳内で思い出していたが、やはり該当する項目がない。
第一経歴詐欺までして接触する知能の高い深海棲艦なんていないはずだ。
だが鬼級や姫級は片言であるが話せるし、より艦娘に近いのもいるが。
「未来…かぁ」天龍は誰にもわかなないようにボソッと呟いた。ありえない話だけどもし本当に未来からきた艦娘だったら、あの違和感も納得できるが所詮そういうのは空想の世界だろう。
(とんでもないものを持ち込んでしまったかもな…)これほど不安になるのは久々だった。
(泊地に着いたら詳しい検査が必要ですが…“D事案”となると厄介ですね)明石は護衛されながらふぶきの肩部分を見てみた。幸いまだなにも出ていなかったので一安心した。
敵影は全く確認されず、妨害もなく順調に鎮守府へと曳航され医務室へと運ばれていった。
翌日、ふぶきはベッドの上で目覚めた。
痛みなどはないが意識を失った時からの記憶が曖昧で途切れ途切れしか思い出せなかった。ゆっくりと起き上がり辺りを見回してみると、個室タイプの医務室のようで私以外誰もいなかった。
するとタイミングよくドアが開き誰かが入ってきた。
「おっと、起きてたのね。気分はどう?ふぶきさん?」ピンク髪で横紙をおさげっぽくまとめているんですが、スカートがすごい。腰回りが露出しているんですよ。
「気分は悪くないですし痛みもないです…けど貴女は?」
「あぁ自己紹介が遅れたわね。私は工作艦明石です。貴女が気を失ってからずっと看病してたのよ」
「あ、ありがとうございます」ペコリとお辞儀した。
「いえいえ。っとちょっと失礼。異常がないか診察するね」明石はふぶきのセーラー服の袖口をまくったり、襟から肩を出してみて観察していった。
てっきり聴診器とかで診察するのかと思ったが違ったのでびっくりしました。
「…うん、今のところ異常なし。よかった」明石はほっと息をつきながら慣れた手つきで診断書みたいなのを書いていき、内線でどこかと電話していった。
一体何をチェックしたんでしょうか…色々と聞きたいことはあるがそれは明石も同じようだった。
「んーと聞きたいことはいっぱいあるけど…とりあえず起きたから提督のところに連れていきます。お話したいことがあるそうですし、貴女もですよね」
「…はい。」 工作艦明石、幌筵泊地、軽巡天龍…様々な疑問点が湧き出てくる。第一、ここは日本なのかすらまだわからない。
だが、ここで一番偉い方と話すことで真実が分かるのだが結果が怖い。
でも、その覚悟はできているし受け入れるしかない。
「さて行きますか。立てます?」
わたしはベッドから出て靴を履いたところまではよかったが、やはり少しふらついた。
とっさに明石さんが支えてくれて助かった。
「ありがとうございます明石さん」
「まぁあれだけ寝込んでいたからね。体力が落ちているのは仕方がないことよ」
(それにしてもこのふぶきさん…ほんとそっくりだけどよく見ると違うわね。わたしよりも若干背が高いし、グレーがかかった瞳だから珍しい。それに胸部装甲もかなり持っているみたいですねぇ)
「なんか私の顔についています?」まじまじと明石さんが見つめていたためだ。
「…えっ?あっいやなにもついていないよ。さ、行きましょう」
二月から就活などで忙しくなるためあまり更新しないかもしれませんが頑張ってちょくちょく書いていきたいです。
今さらだけどふぶきの服のコンセプトが決まりそうです。後日解説するかも。
あ、感想等ももお待ちしています(^O^)/