問題児たちと一緒に禍巫女も異世界へ来るそうですよ?   作:禍巫女

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1話 問題児と黒ウサギだそうですよ?

手元の手紙が光、その光が収まってまず目に入った光景は……

 

「(……ふむ。空じゃな)」

 

現在地点、上空4000メートル。

 

「うお!?」

 

「わっ」

 

「きゃ!」

 

ふと思い、周りを見渡してみると、一緒に召喚されたとおもわれる男一人に女の子二人、加えて三毛猫が一匹。

 

どうやら自分たちは空から落ちているようだ。

 

「(……たしか、外の世界ではこれの事を、"ばんじーじゃんぷ"と呼ぶのであったかのぉ)」

 

そんな呑気な事を考えながらも、頭から落ちている状態を直し足から落ちるようにする。

 

自分たちの落下地点には湖らしきものがある。このまま落下するとそこに落ちることとなるのだ。

 

「(……ふむ。濡れるか。)」

 

そう思った瞬間、空を飛ぶ事で落ちずにすみ、空中で落下の勢いは停止した。

 

バシャン!!

 

するとすぐに、水面に3つの柱ができた。

 

『ぎにゃあああああああ!!お、お嬢ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

ふと叫び声が聞こえ、そちらへ視線を向けると、自身の停止しているすぐ近くでさっきの三毛猫が叫んでいたのだ。

 

ワシはそれをついでにと感じながらとりあえず助けた。

 

『お、おう。嬢ちゃんすまねぇな。助かった』

 

「気にするでないぞ。ただの気まぐれだ、猫のオッサンよ」

 

歳の割には凄く綺麗な毛並みをした猫を不思議に見ながら抱え、陸地に着くと後ろから別の気配が感じた。

 

後ろを向くと、無表情な顔の女の子がいた。

 

「……この猫は、お主のかの?」

 

「……うん。」

 

「そうか! ならば御主人の所へ返さねばな、ほれ!」

 

「……うん。ありがとう。三毛猫を助けてくれて」

 

「よいよい。そやつにも言ったが、気にしなくてよい。ただの気まぐれよ」

 

「……うん。それでもありがとう」

 

お礼をいう女の子に三毛猫を渡し、周りを見ると先ほど一緒に落ちた残りの2人が視界に入った。

 

「し、信じられないわ! 問答無用で引き摺りこんだ挙げ句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだ、クソッタレ。場合によってはその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「…………いえ、石の中に呼び出されたら動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう、身勝手ね」

 

……なかなか面白い発言をする小僧じゃの。まあ、ワシも岩の中なら平気だがな。マグマの中はともかく、流石に深海は行ったとがないのでわからないんだがな……。

 

それにしても、ただの人の身であそこまで異常な力を持つか……いや、もしかしたら、ただの人の子…ではないのかもしれんのぉ。ふむ、ワシの眼力も落ちたものだな。昔なら一目見ればそ奴の"全て"を解析出来たというのに…。

 

「此所……どこだろう?」

 

「さあな。まあ、世界の果てっぼいのが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃないか」

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しておくぞ。もしかしてお前達にもあの変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずその “オマエ” って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。それで、そちらの猫を抱き抱えている貴方は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「そう、よろしく春日部さん。それで次に、野蛮で凶悪そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で、適切な態度で接してくれよお嬢様」

 

「取扱説明書をくれたら、考えておいてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ、今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

ケラケラと笑う逆廻十六夜に傲慢そうな態度の久遠飛鳥。それと我関せずで無関心な春日部耀。

 

……ふむ。なんか、物凄く僕たち問題児ですって感じの人間だのぉ。

 

――クックックッ! これはとても退屈しなさそうな連中じゃのぉ

 

「それで、最後にそこの、着物が凄く似合ってる大和撫子な貴女は?」

 

すると、飛鳥といった少女が話しかけてきた。

 

「ふむ、ワシか?……ワs――いや、俺の名前は博麗……博麗祐奈だよ。これから、よろしくな」

 

それともう一つ……

 

「――あと、俺はこう見えて男だからな。間違えるのではないぞ?」

 

――――――――――――――――――――――

 

あれからしばらくたち

 

「ヤハハ…嘘だろ?信じられねぇ……」

 

「う……嘘でしょう?その顔で」

 

「………………男の娘?」

 

どうやら、ワシの発言にしばらく固まってた3人がやっと起動し、そんな事を言ってきた。

 

「ふむ。まぁ、気にするな。ワシもとっくの昔に男に見えんのは自覚しておる。もう慣れたものでな。だからこそ、気にするだけ無駄じゃということだ。」

 

「ふ〜ん。そうなのね。……それと、そのジジ口調の感じが貴方の素なの?」

 

「この喋り方かの? その答えは正解じゃ。昔からこの口調なのでな。稀に"俺"といった言葉は挨拶の時にも使うが、やはりなれない口調より、慣れしんだ口調のほうが喋りやすいからな。基本、この口調だよ」

 

「そうなのね。まぁ、いいわ。いまは、そんな事は置いといて……それで?みんなはこれからどうするの?」

 

「そうだな。呼び出されたのはいいけど、なんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれてた"箱庭"について説明してくれる奴がいるんじゃねえか?」

 

「そうね、何の説明もないままだと動きようがないものね」

 

「……ワシは、この状況で落ち着き過ぎてるのも、どうかと思うけどのぉ」

 

 

「仕方がねえな。こうなったらそこに隠れてる奴にでも話を聞くか?」

 

――ふむ、気づいておったのか。

 

逆廻十六夜の視線に釣られるようにワシらも同じ方向を睨む

 

すると、物陰に隠れていた"黒いウサギ"は心臓を鷲掴みにされたようにガサガサと音をたてて体を跳ね上げた。

 

随分と騒がしいウサギだのぉ。"月の兎"と同じ似たような気配は感じるが……あやつは何者なのだ?

 

「あら、貴方も気づいてたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負け無しだぜ? そこの二人も気づいてるんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でも判る」

 

「ワシのいた世界ではそれぐらいわからねば、簡単に命を落とすからのぉ(……特に、力のない人間などな)」

 

「へえ、面白いなお前ら」

 

そんなやり取りと共に向けられる冷ややかな視線に耐えきれなくなったのか、物陰から一人の少女が現れた。

 

「や、やだなあ御四名様。そんな狼みたいな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここはひとつ穏便に話を聞いていただけたら嬉しいのでございますよ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「無理じゃな」

 

「あっは、とりつくシマもないですね♪」

 

バンザーイ、と降参のポーズを取りながらしょんぼりするという器用な事をやってのける黒ウサギ。

 

しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。)

 

などと、黒ウサギが考えていると……

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

突然、消えるかの如く移動した春日部耀が、力いっぱい黒ウサギのウサ耳を引っ張る。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか、初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはいったいどういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にも程があります!」

 

そう言いつつ耀の魔の手から脱出した黒ウサギ。しかし、ついた先は更なる問題児たちの下だった。

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

「………。じゃあ私も」

 

そう言いながら即座にウサ耳を掴む二人

 

「ちょっ!ちょっと!」

 

黒ウサギが助けを求める視線をワシに向けてくる…………が。

 

「あんまり引っ張ってあげるなよ?なんせ、"月の兎"の耳はデリケートだからの〜」

 

そういいながら、遠くでニヤニヤとして手をふっていた。

 

「おう!わかったぜ!」

 

「ええ、わかったわ」

 

「うん。わかった」

 

3人は同時に返事をする。

 

「この、問題児様方ー!」

 

黒ウサギは叫ぶが、逆廻十六夜は右、久遠飛鳥は左のウサギ耳を掴むと左右同時に引っ張った。

 

「フギャァァァァァァッッ!!!??」

 

そんな叫び……いや、悲鳴が辺りを木霊した。

 

「(月の兎は幻想郷も箱庭もいじられるのは変わらない運命なのだな。哀れな…)」

 

そんな呑気な事を思いながら十六夜たちと黒うさぎのじゃれあいを見守るのだった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「―――――あ、あり得ない。あり得ないのですよ……。

まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは……。

学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス……」

 

「いいからさっさと進めろ」

 

半ば本気の涙を瞳に浮かべる黒ウサギに同情する者は誰一人として居なかった。

 

「(今頃、幻想郷の月兎はいつもの如く、イタズラ大好き因幡の兎の小娘に弄られてるのかのぉ…?……うむ。毎日の日課のようなものだから考えるまでもないか)」

 

その時……幻想郷では1人の不幸な月兎が、因幡のイタズラ兎により、落とし穴にはめられているのであった。

 

そんな呑気な事を思いながらも黒うさぎの言葉に耳を傾ける。

 

「――コホン。それでは改めまして。ようこそ、皆様!"箱庭の世界"へっ!

我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる【ギフトゲーム】への参加資格をプレゼントさせて頂こうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません!

その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵なのでございます。

"ギフトゲーム"はその"恩義"を用いて競い合うためのゲーム。

そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に作られたステージなのでございますよ!」

 

大げさに両手を広げ、逆廻十六夜たちに説明していく黒ウサギ。

 

そんな中ワシは……

 

「(……ワシは、もう人間やめておるんだけどのぉ……だから、人間じゃないんだけどな)」

 

そんな事を思っていた。

 

その時に、久遠飛鳥はその説明に対して質問するために手をあげていた。

 

「まず、初歩的な質問からしていい?

貴方の言う【我々】とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「Yes!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある"コミュニティ"に属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

逆廻十六夜はコンマ数秒で拒否の言葉を口にした。

 

「属していただきますっ!!!

そして"ギフトゲーム"の勝者はゲームの【主催者】が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

「………【主催者】って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。

特徴として、前者は自由参加が多いですが【主催者】が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。

しかし、見返りは大きいです。【主催者】次第ですが、新たな"恩義"を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらは【主催者】のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「後者は結構俗物ね……チップには何を?」

 

「それも様々ですね。金品、土地、利権、 名誉、人間、……そしてギフトを賭け合うことも可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然ご自身の才能も失われるのであしからず」

 

黒ウサギはその笑みのなかに黒さを混ぜる。

……ふむ。幻想郷の月の兎もそうだが、月の兎は皆、笑顔の中に黒さを混ぜるのは流行っておるのか?

 

鈴仙もたまにそんな笑みを浮かべておるしの。……まぁ

そのあとだいたい因幡てゐのイタズラにハマっているが

……

 

すると、久遠飛鳥はその持ち前の挑発的な声音で黒ウサギに質問をする。

 

「そう。なら最後に一つだけ質問させてもらってもいいかしら?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOKです!

商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加して行ってくださいな」

 

「………つまり"ギフトゲーム"はこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」

 

久遠飛鳥の問いに黒ウサギは感心したかのような声をあげまた喋り出す。

 

「ふふん?なかなか鋭いですね。しかし、それは八割正解、二割間違いです。

我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。

……が、しかし! "ギフトゲーム"の本質は全く逆!!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。

店頭に置かれている賞品も、店側が提示したゲームやクリアすればタダで手に入れることも可能ということですね」

 

「そう。なかなか野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし、【主催者】は全て自己責任でゲームを開催しております。

つまり奪われるのが嫌な腰ぬけは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

そう告げると黒ウサギは一枚の封書を取り出した。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。

……が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。

新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない……。

ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが………よろしいですか?」

 

 

「―――――待てよ、俺がまだ質問してないだろ?」

 

 

今まで静聴していた逆廻十六夜が黒ウサギに向かって真剣な顔で話しかけた。

 

「……どんな質問でしょうか?ルールですか?それともゲームそのものですか?」

 

「そんなのはどうでもいい。あぁ、どうでもいいんだ。

俺が聞きたいことはただ一つだけ。

 

―――――この世界は面白いか?」

 

逆廻十六夜の言葉にを全員が黒ウサギを見つめ、次の言葉に耳を傾けた。

 

 

「―――――Yes。"ギフトゲーム"は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。

箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

黒ウサギは目を輝かせ楽しそうにそして嬉しそうに自信満々で答えた。

 

……この世界にはどんな面白い事が待ち受けてるのだろうか?

 

「――クックックッ!……じつに、楽しみだねぇ」

 

新たな出会いに胸をときめかせながら、これから先の未来を楽しみにしていた。

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