高坂家長男の華麗ならざる日常   作:ポーラテック

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UA数12,000ありがとうございます!

こんなクソ駄文ですが、ちまちま更新して完結させたいと思いますので今後とも見守っていただけたら幸いです。




感想や評価付けて頂いたらモチベーションが大変上がるので是非お願いします(小声)


Emotions

「この前のお饅頭、とっても美味しかったです。娘もあっという間に平らげちゃって」

「はは、それはどうも」

地域密着型の穂むらとしては、一つ一つの得意先と親しくするべく配達がてらの雑談は大事な事だ。

免許を取って間もない穂積もその教えを忠実に守り、こうして玄関先で軽い雑談に興じている。

「高坂さんは立派ですね。歳もウチの娘と近いぐらいなのに」

「いえ、好きでやってることッスから」

雑談相手が美人の人妻ともなれば雑談にも熱が入るもので、かれこれ10分程話し込んでしまっている。

「そうだ、そろそろ娘も帰ってくると思いますし、上がってお待ちになって下さい。娘からも挨拶させますので」

「あいや、ありがたいッスけど、そろそろ戻らないと親父…じゃなくて店長に叱られますんで」

ちらり、と穂積は時計を気にする素振りをする。

「あ、ひょっとして引き止めちゃいました?」

「いやそんな事ないッス!今の時間が丁度いいぐらいなんで!」

「そうですか?…それじゃあまた次の機会に」

「はい!それじゃあ今後とも穂むらをご贔屓に!」

一礼して足早に路肩に駐車した配達車へ戻る。

「小泉さんのトコには試供品も渡したし…これで今日分は終わりだな」

独り言を言いながら運転席に乗り込み、ダッシュボード上の名簿に赤い目印を付ける。

エンジンを掛けながら、再度腕時計を確認すると時刻はまもなく16時になろうかという時間だ。

これから車を走らせれば、()()()()()の時間には間に合うだろう。

 

穂積の19年間の人生で女性の友人が出来た事は少なくはない。

2人の妹の友人と仲良くなることもあればクラスメイトと、はたまたちょっとしたキッカケで親交を深めたりという事もあった。

「何あのヒト」

「不審者?」

「何かガラ悪くない?」

「……」

そういう訳で異性には苦手意識は持ってはいなかったが、こうして多数の少女達に怪訝、警戒、好奇心の目線を浴びせられるの(は誰であってもそうだろうが)苦手であった。

腕時計の指し示す時刻は16時丁度、部活動を行わない高校生なら下校時間である。

下校時間真っ盛りのこの時間帯の女子高正門の前に軽自動車を停めた若い男が突っ立っていれば否応なく視線を集めてしまう。

「居心地悪いなぁ…」

「あの」

「あ?」

多数の視線に晒され、場所を変えようかと思案していた穂積は突然声を掛けられる。

声を掛けたのは音ノ木坂学院の制服を身に着けた少女である。

スクールリボンの色から、彼女が3年生の生徒である、と穂積は気付く。

同年代の少女と比べて高い身長に整った顔立ちで、中々の美少女であるとも。

しかし、それ以上に眼を引くのは彼女の頭髪、ブロンド色のポニーテールだ。

日本人でナチュラルな金髪というのは遺伝子上有得ず、精精明るい茶髪が精一杯である。

ともすれば、彼女は金髪に染めてしまうような不良少女なのだろうか?と推測するも、カッチリと海未と同等に制服を着こなしている様から、それはなさそうだと自分の推測を取り下げた。

「当学園に何の御用でしょうか?」

「あっ、えーっと…」

金髪を珍しがる穂積は、厳しい事務的な口調で現実に引き戻された。

質問の内容も穂積を案内しようとしている訳ではなく、職務質問のそれだ。

「妹を待ってる」

「妹さん?何年生の?何組ですか?」

「あの、ひょっとして俺不審者に思われてる?」

質問攻めに一応、穂積は確認する。

「ええ、まぁ」

金髪少女は誤魔化す事無くあっさりと認めた。

耳にピアス穴を空けたジャージにパーカーの長身の男が女子高前に突っ立っていれば当然の対応と言える。

「ああ、そう…一応言っとくけど怪しい者じゃないから」

「そうですか。口では何とでも言えますね」

どこまでも冷たい金髪の対応に穂積がとりあえず場所を移そうか、と思案していると。

「えりち。お待たせ…あれ、ロッキー?」

「おお、希。丁度良いトコに」

校舎から出てきたおさげの少女に助けを求める。

音ノ木坂生徒会副会長が身分を保証してくれるのならこれ以上は無いだろう。

「ロッキー?希、知り合いなの?」

「うん。ウチがお手伝いしてる神社に良く来るお客さん。こんな()()やけど、ロッキーは別に怪しい人やないで」

「…そう、失礼しました」

希の言葉を受けた金髪は素直に頭を下げる。

「いや、いいよ。ジョシコー前にボケっと突っ立ってた俺も無用心だった」

「ところで、ロッキーはどうして音ノ木坂に?」

「穂乃果を待ってるんだが、約束の時間過ぎても来なくてさ」

「穂乃果…妹さんって、高坂穂乃果さんの事ですか?」

穂積が出した名前に心当たりがあるのか、金髪が反応した。

「そうだけど…妹が何かした?」

「穂乃果ちゃん、何回も生徒会室にカチコミに来てるんよ。スクールアイドル活動を認めてもらうためにね。その度にえりちが追い返してるケド」

「カチコミって…あ、ひょっとして生徒会長さん?」

「…絢瀬絵里です」

会話の流れから、穂積は目の前の金髪がウワサの美人敏腕生徒会長だと気付く。

ウワサどおり態度は凛としていて、容姿から聡明さが伝わってくる、とも穂積は感じた。

「何度も生徒会室に行ってるって事は、生徒会はスクールアイドル活動に反対ってことなのか?」

「そうなります。音ノ木坂を廃校から救うと息巻いているようですが、失敗すれば逆に音ノ木坂のイメージダウンに繋がりかねませんから…出来ればお兄さんの方からも、妹さんにスクールアイドルなんて辞めるよう言って頂けませんか?」

「…悪いが、そいつは出来ないな。生憎俺は応援する立場なもんで」

絵里の提案を斬って捨てる。

生徒会長の言うことにも一理あるが、妹が一度やると決めたらテコでも動かないのは兄として良く知っている。

一度応援すると決めた手前、穂積としても外野が何と言おうと妹の為に引き下がる気はさらさら無かった。

「そう、ですか…わかりました。失礼します」

一瞬アテが外れたように残念そうな顔をする絵里は軽く一礼をして足早にその場を去る。

「ゴメンな?えりち、最近ナーバス気味になっとっていつもあんなカンジなんよ」

「ああ、苦労してそうなツラだった」

「せやから、大目に見てあげてな?…それじゃ、また今度」

「おう、またな」

随分遠くへ行ってしまった絵里を追いかけて希は駆け足気味にその場を離れる。

希の絵里を気遣う口調から察するに、2人は公私でも仲が良いのだろう。

少し前の通話で希が言っていた理事長からの『生徒会の廃校阻止活動禁止』の通達から、絵里はナーバスになっているのかも知れない。

「あ!いたいた!おーい!」

1人穂積が思案に暮れていると、目当ての人物が正門からサイドテールと手を振って駆け出してきた。

「ゴメンゴメン。今日教室の掃除係だったの忘れちゃってて」

「掃除やったにしちゃ随分早いな」

腕時計を指し、15分ばかり約束の時間に遅れて現れた妹に兄は怪訝な視線を向ける。

「ウン、友達に手伝って貰ったんだ」

「クラスメートの?」

「そう。ヒデコとフミコとミカって言うんだけど――」

「おーい穂乃果~」

「あ、ウワサをすれば」

穂乃果に続いて正門から現れた三人組に声を掛けられる。

声を掛けたのはポニーテール、ショートカット、おさげの三人組で、彼女らが掃除を手伝ってくれた友人なのだろう。

しかしその友人らはクラスメートの背後に立つ男を見るなりギョっとする。

予定調和の反応であるため穂積は大して気に留めなかった。

「…アレ、ひょっとして彼氏さん?」

「ウソ!?穂乃果ちゃん彼氏居たの!?」

「良く捕まえてきたなぁ」

「違うよぉ!お兄ちゃんだってば!前から話はしてたでしょ!」

「ハハ…」

懐疑、驚愕、感心。

三者三様の反応をする友人らに反論する妹に穂積は苦笑した。

「ウッ、ウォッホン!」

からかってくる友人らに対して仕切りなおしとばかりに穂乃果は咳払いをする。

「改めて紹介するね!お兄ちゃんでーす!」

「あっ、えーっと、兄の穂積です。妹がお世話になってます」

妹の級友に軽く一礼して簡潔に自己紹介を済ませる穂積。

「あっ、これはご丁寧に」

「こちらこそ妹さんのお世話に…なってる?」

「あんまり覚えないなぁ」

「ちょっとぉ!」

クラスメートの兄からの一礼を受けて、対する三人組も一礼と社交辞令を返すも、言うほど世話にはなっていないようだ。

予定調和の反応であるため穂積は大して気に留めなかった。

「もう!この3人はヒデコ、フミカ、ミカ!ヒフミで覚えちゃっていいよ!」

友人からの裏切りにむくれた穂乃果は三人組を省略して兄に伝える。

「略すなよ!」

「ウーン、穂乃果のお兄さんが…その、チョイ悪なカンジだったとは想定外だったなぁ」

「背も高いし…」

省略された事に抗議の声を上げる()、友人のイメージとかけ離れた兄の感想を口にする()()

妹の友人が始めて中学生以後の穂積と出会うと総じて『予想外』『怖そう』と口を揃えて言うもので、ヒフミトリオの反応は比較的マイルドだった。

「それよかお兄ちゃん、配達大丈夫なの?」

「もう全部終わったから帰るだけだ」

今日穂積が音ノ木坂にやってきたのは何も衆人観衆の視線を受ける為ではなく、店の商品の配達ルートで偶々近くを通るので穂乃果を迎えにやってきたという事だけだ。

「あっ、そうだ」

折角だから、と穂積は背後の配達車のドアを開けて包みを三つほど取り出す。

「これ、ウチの店の詰め合わせ。良かったら食べてくれ」

「いいんですか!?」

「おお、久々の和菓子だ!」

「これ、お兄さんが作ったんですか?」

「試作品だけどね。新作出さなきゃいけないからいろんな人に食ってもらって感想聞いてるんだ」

「すごーい!お兄さん職人さんみたい!」

「いや、みたいじゃなくて職人さんだから…」

「実際まだ見習いだからさ」

「じゃ、連絡先教えてもらって良いですか?後で感想送るんで!」

「あ、私も私も!」

「おう、いいぜ」

「む…」

初対面ながらヒフミトリオと打ち解けた様子の穂積を輪の外から見る穂乃果。

どこかその表情は不満気であった。

 

「…おい穂乃果、何だよそのツラ」

「べっつにー?」

助手席に座る穂乃果はドライバーの問いかけに不機嫌そうな膨れっ面で答えた。

ヒフミトリオと連絡先を交換した後、急に虫の居所を悪くした穂乃果を車に乗せて帰路に就いた穂積だったが、ずっとこの調子の妹に辟易していた。

「別にはねぇだろ。いつもなら楽しそうにベラベラ喋ってるのに」

「別にいいでしょ。お兄ちゃん、さっきまで鼻の下伸ばして3人と楽しそうに話してたんだから」

「は?」

「そうだよねぇ、お兄ちゃんも年下の女の子に囲まれてチヤホヤされて嬉しくない訳無いよねぇ。あんなにだらしなくヘラヘラしちゃってさぁ」

「ヘラヘラなんてしてねぇって」

「してたもん!一気に女子高生3人の連絡先ゲットして嬉しかったんでしょ!?」

「…まぁ、ちょっとはな」

「お兄ちゃんのスケベ!ケダモノ!」

「あっ、コラ!やめろ!危ねぇだろ!」

あっさりと下心を認めた穂積に穂乃果は脇腹を力を入れて小突き始める。

両手でしっかりとハンドルを握る初心者ドライバーな穂積はその攻撃でハンドルを誤りかけた。

「免許取立てで事故ったらシャレにならねぇ…悪かったよ。お前が考えてるような事はないから。そこまで見境ない兄ちゃんじゃないって」

「…ホントに?」

「お前の大事な友達に手ぇ出したりしないよ」

「…えへへ、わかった。小突いてゴメンね?」

「あひひっ、やめっ、撫でんな!」

「お~?相変わらず脇腹弱いみたいですなぁ~?」

機嫌を直した穂乃果は小突いた穂積の脇腹を優しく撫でる。

小突かれた痛みよりも撫でられたくすぐったさの方が効くのか、先程より穂積は身体を捩った。

「うりうり…あ痛!」

「運転中はやめろ、マジで」

調子の乗って脇を擽ろうとする穂乃果の脳天にチョップを食らわせ阻止する。

「うう~、ごめんなさい…」

「それよかお前ら、生徒会室に何度もカチコミに行ってるんだって?生徒副会長から聞いたぜ」

「カ、カチコミ?穂乃カたちそんな事してないよ?ちょっと講堂の使用許可貰いに行っただけだって」

「講堂…あ、初ライブの?」

「うん、新入生歓迎会の時にライブする事にしたんだ。まだ私達、部活動としては認められて無いけど、講堂は生徒だったら誰でも使えるから」

「そっか…生徒会長は許可してくれたのか?」

「うん、まぁね。副会長さんも援護してくれたし…生徒会長は不服そうだったけどさ。何であそこまでつっけんどんなのかな」

生徒会長の非協力的な態度を思い出したのか、穂乃果は口を尖らせて不満そうな表情をする。

「会長さんもナーバス気味なんだろうよ。これも副会長に聞いた話だけど、何でも生徒会は理事長から学校存続の為の活動を禁止されてるらしいぜ」

「ええ?何で?」

「『学校存続よりも在校生が充実した生活を送れるように生徒会は努力しろ』だと」

「ことりちゃんのお母さんがそんな事言ってたんだ」

「センセーも何か思うトコがあっての事だろうし、会長さんも悪気があってお前らにキツくしてる訳じゃないと思うからさ、多目に見てやれよ」

「ウン、わかった」

暫く会っていない幼馴染の母親と、先程会ったばかりの友人の友人。

それぞれ理事長と生徒会長という学校内で重要なポジションに就いている2人も現状を打開しようと行動し苦心しているだろう。

多少言葉端に棘がついてしまっていてもそれは仕方ないと言える。

「…さっきから気になってたんだけどお兄ちゃんさ、副会長さんとも仲が良いの?」

「えっ?ああ、あいつ神田明神でバイトしててな。丁度ロードワーク中寄った時に知り合ったんだ。つっても、最近は生徒会の仕事が忙しくてバイト出来てないらしいけどよ」

「…ふ~ん、()()()ね~…そんな気安く呼ぶくらい副会長さんと仲良いんだ」

「…おい、また顔また膨れてんぞ」

「副会長さんの連絡先、知ってるの?」

「時々夜中電話するけど」

「お兄ちゃんのエッチ!ヘンタイヤロー!こーしてやる!」

「あっ、いひひひっ!おいっ、やめっ、あはははははははは!!!!」

嫉妬に駆られた穂乃果に脇腹を擽られるも、両手はハンドルを操るのに必死で先程のように反撃する事は出来ない。

穂積は必死に白線からはみ出さないように爆笑しながら、ハンドルを必死に操るのだった。




Emotions(MAN WITH A MISSION)

14話にしてやっとこさ花陽接点作り&えりち登場回、展開遅いなぁ…

穂乃果のブラコンっぽさを描くのが難しい…
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