補給の為にアルゼナルへ戻ったレオスが発着場に着陸すると、整備班がレオスの補給に取り掛かると、上空からサリア達が乗っている輸送機とココ達が降りてきた。マサトは自販機からココアが入った缶を購入し、飲んでいるとエルシャがマサトの隣にやって来た。
「ふぅ、..........」
「お疲れさま♪」
「そっちも......」
するとそこにヒルダがやって来た。
「晴が出ることで」
「ヒルダちゃん」
「わっかんないね~、何であんな女を助けようとしてんのか、エルシャお得意のお節介な奴? 」
っとヒルダはレオンとエルシャに向けて笑みを浮かばせながら言って壁にもたれると、エルシャが言う。
「ヒルダちゃんがアンジュちゃんを憎む理由も分かるわ........機体を落としたくなる理由もね」
「え?!」
エルシャの言葉にマサトは驚いた。
「ヒルダ.....お前は何を企んでいるんだ?そこまでにしてまでもアンジュを葬ろとするのだ?」
「ええ、当然じゃん。あんなクソ女、それに.......アタシの目的を知っても、聞いて呆れるよ」
「.......」
「でもそれでも誰かが受け入れてあげないと、彼女はずっと独りぼっち...そんなの寂しいじゃない、同じノーマ同士なのに」
エルシャが笑みで返すとあることを言った。
「それに......アンジュちゃんと似てるのよ、昔のヒルダちゃんに、だからお姉さん放っておけないの」
「え?」
「アハハ!似てる?あのクソ女と? 殺しちゃうよ、あんたも」
そうエルシャに脅すと、その場を去って行くヒルダであった。
「補給~補給っと♪ ってあれヒルダ?」
入れ違いにヴィヴィアンが去っていくヒルダを向き、マサトは考え込む。
「(昔のヒルダがアンジュに似ている?......どう言うことなんだ?)」
マサトはヒルダの事を考えながら、補給を終えたレオスに乗り込み、先に終えたナオミと共にアンジュとヴィルキスの捜索へ向かった。
一晩が立ち、翌朝青年は工具を持ってヴィルキスの修理をしていた。するとそこにアンジュがやって来た。
「もう動いて大丈夫?」
「何してるの?」
「.....修理....かな?」
「直せるの?」
「此処にはたまにバラバラになったパラメイルが流れ着くんだ、それを調べて行っている内に何となくね....そこの六角レンチ取ってくれる?」
アンジュは横にある六角レンチを青年に渡すとあることに気付く。
「マナで動かせば良いじゃない」
その言葉に青年は手を止めた。
「どうして使わないの?、どうしてパラメイルの事を知ってるの? あなた.......一体何者?」
アンジュの問いに青年はアンジュの方を向き、名乗った。
「......俺はタスク、ただのタスクだよ」
青年の名はタスク.......タスクはそう言って作業を再開した。
「いや、そうじゃなく」
「あっ!やっぱり出力系の回路が駄目になってるのか、でもこれさえ直せば無線は回復する....そうすれば君の仲間とも連絡が取れるよ」
「.....直したって無駄よ」
「え?」
「連絡しても誰も来ないし、帰ったって.....誰も待ってないもの」
アンジュは悲しそうな表情で海の方を向くと、タスクはアンジュに問う。
「......あの、しばらくここにいたら?......その、変なことはしないし!」
「.......そうね」
アンジュはタスクの誘いを受け入れ、再び海を見る。その時アンジュは思った。助けてくれたタスク、生きる希望を与えたマサト、心配してくれるヴィヴィアンとエルシャ、あの時慕ってくれているココやミランダ、ナオミの事を思いだし、アンジュの心の中に、凍り付いていた心が少しずつ溶けていくような気がした。
それから数日後、川辺で二人は寝転んでいた。互いに無人島で打ち解けたり、楽しく日々を暮らしていったようだ。
「うわぁ.......こんなに星が見えるなんて」
「子供の頃、師匠が良くここに連れて来て、星を眺めていたんだ......気付かなかった?」
「空なんて、ずっと見てなかったから....、綺麗.....」
アンジュは星を眺めていると、タスクがアンジュの手をそっと握り、顔を赤くしながら言う。
「君の方が.....綺麗さ......」
「え?」
アンジュは少しばかりタスクの言葉にドキッとした。
良い雰囲気となり、アンジュとタスクは顔を近づけようとした時にタスクが何かを感じ取ると、アンジュを押し倒し、"静か"にと言われる。
すると空にある物が見える。
「あれって、ドラゴン!?」
二人は凍結されたガレオン級ドラゴンが輸送機に運ばれていくのを目撃した。
「連れていくの!?何処に!?どうして!?」
アンジュはタスクに問うと、森の方から鳴き声が聞こえた。
「「!?」」
すると、森の中から一匹のスクーナー級ドラゴンが現れた。
「あれは......!?」
アンジュは思い出す。あのスクーナー級ドラゴンは戦っていたドラゴンの一体だと。スクーナー級ドラゴンは凍結されたドラゴンを助けようと輸送機へ目指すと輸送機が反撃してきた。しかし、輸送機は反撃するが全て撃墜されてしまい、凍結されたガレオン級ドラゴンと一緒に島の奥へと墜落した。
「逃げるよ!」
タスクはアンジュの手を引っ張ってその場を逃げようとしたが、目の前にスクーナー級ドラゴンが落ちて来た。
スクーナー級ドラゴンはボロボロであったが、二人を睨み襲い掛かって来た。アンジュはホルスターからハンドガンを取りだし、対抗するが全く効かなかった。
「パラメイル!あれなら!」
「でも!まだ修理が!」
「直して!」
「分かった!」
二人はヴィルキスがある海岸へと向かった。
ヴィルキスがある浜辺に着いた二人、タスクはすぐに修理に取り掛かり、アンジュはナイフでスクーナー級ドラゴンと立ち向かった。
「急いで!」
しかしスクーナー級ドラゴン翼で弾かれてしまいナイフを落としてしまう。
「これをっ!!」
タスクはアサルトライフルを取りだし、アンジュに投げ渡した。
「急いで!」
アンジュはキャッチし、スクーナー級ドラゴンの攻撃を回避し、ドラゴンに攻撃する。タスクは急いで修理していく。しかし、アサルトライフルで攻撃するも、スクーナー級ドラゴンの尾で弾かれてしまった。ドラゴンはアンジュを喰い殺そうした時にアンジュの指輪が光だし、ヴィルキスが起動して、持っていたアサルトライフルがドラゴンへと発砲する。その時の異変にタスクは気付く。不意をつかれたスクーナー級ドラゴンが怯み、アンジュがこの隙に近くに落ちていたナイフを拾い、スクーナー級ドラゴンに立ち向かって行こうとしたその時、一閃の光弾がドラゴンの胴体に風穴を開き、ドラゴンは風穴から鮮血を吹き出しながら、グラリと倒れた。突然のの攻撃にアンジュとタスクは上空を見る、すると空からヴァリアブル・ガンを構えたレオスとナオミのグレイブがゆっくりと降下してきた。
そしてレオスのコックピットが開き、中からマサトが出てて、グレイブからナオミが現れた。
「無事か?」
「アンジュ!」
「まさか!?マサトとナオミなの!?」
「男?!......(それにあの機体は......イクス!?でも、赤い.....?)」
タスクはレオスを見て、"イクス"と勘違いするとマサトはタスクを見る。
「男.....?」
朝日が昇り、一筋の曙光が照らす。スクーナー級ドラゴンの死体は海へ攫われ、そのまま流されて行った。四人は光景を静かに見届けていた。
「仲間を助けようとしたんだ.......帰りたかったんだね、自分達の世界に....」
「ドラゴンにも、仲間意識が.......」
「そう言えば、マサトとナオミはどうしてここに?」
「サリアやココ達と一緒にお前とヴィルキスの捜索をしてる途中、輸送機とドラゴンが交戦して、島へ墜落し見に来たわけだ......それに、」
「それに?」
マサトはアンジュとタスクを見て、言う。
「お前.......いつからボーイフレンドが出来たんだ?」
「なッ!?なに言い出すの!!?」
アンジュはマサトの言葉に頬が少し赤くなり、怒鳴った。
「冗談........ん?」
するとマサトはタスクに近付き、顔を見る。
「え?.......何?」
「........何処かであった?」
「え?」
「前にもあったことがあるんだよな......お前の顔を見てると......」
するとヴィルキスの方からヴィヴィアンの声が聞こえてきた。
『アンジュちゃ.....ん、応答願いまーす!もう死んじゃってますか?死んじゃってるんなら、返事をお願ーい』
「何だ?」
「こちらアンジュ、生きてます」
『嘘っ!?アンジュ!?本当にアンジュなのっ!?』
「救助を要請します」
『りょっ!了解!』
ヴィヴィアンは慌てて通信を切り、アンジュの方はタスクの方を向いて、決意する。
「私、帰るわ....今はあそこしか...私の戻る場所はないみたいだから」
「うん、そっか」
タスクが頷いた直後、アンジュは突然タスクの襟元を掴み、顔を赤めて言う。
「いいこと?私とあなたは何もなかった。何も見られてないし、何もされてないし、どこも吸われてない、全て忘れなさい!!いいわね!?」
「え!?はい....」
二人のやりとりにマサトはクスッと笑っていた。アンジュは優しく微笑み自分の名前を名乗った。
「アンジュ......アンジュよ、タスク」
「良い名前だ.....所で君達の名前は?」
「俺はマサト......初の男のノーマだ、よろしくなタスク」
「私はナオミ」
マサトとタスクは握手を交わすとタスクは言う。
「マサトとナオミ........本来なら、今は出会う筈はなかったけど、アンジュを頼む」
「どう言うことだ?」
「それじゃぁ」
タスクはそう言って、森の中へと消えた。
数分後、サリア達が乗った輸送ヘリが到着して、アンジュとヴィルキスを乗せてアルゼナルへと帰還した。
その頃タスクは防弾ベストを着て、荷物を持って墓標を後にする。するとタスクの後方からオレンジのコートを着た全身包帯だらけ、そして顔全体を覆っており、口元の嘴のように尖った部分を持った鳥の様な仮面を付けた不気味な男が現れた。
「師匠......ヴィルキスとエクストリームが.....」
「うむ、ご苦労だったタスク」
仮面の男はそう言うと、隠れ家の倉庫に巨大な機体が置いてあった。
「これは?」
「フェニックス・ゼロ.....私の愛鳥であるフェニックスのプロトタイプだ.....お前なら使いこなせる....」
「分かった......」
タスクはフェニックスゼロに乗り込み、一枚の写真を見る。それは幼いタスクと両親が一緒に写っている写真であった。タスクはゴーグルをつけ、フェニックスゼロを起動し、無人島を後にする。
「さて、私もそろそろ彼女等と接触するか......」
仮面の男はフェニックスゼロが去っていくのを確認すると、コンパスを取りだし、西の方角を見る。
「待っていろ......マサト......我が弟よ......」
仮面の男は仮面を外すと、叫んだ。
「フェニックス!」
突如、コマンダーフェニックスの頭上からフェニックスガンダムが現れ、コマンダーフェニックスはフェニックスガンダムに乗り込み、バード形態へ変形し、北の方角へ飛んでいった。
ああ.....本当ならタスクの機体をノワールにしたかったのですが、タスクには不死鳥が似合うと友達から言われまして........結果、タスクの愛機をフェニックスゼロに賛成しました。
次回はハチャメチャになります。