マティス達がアルゼナルで要られる様になってから翌日、マティス達にはここに居られる為に仕事を与えられる様になった。マティスとセリカはジャスミンモールの従業員、パトリックとメリーはパラメイルの整備員、ガイとアイカは食堂のコック、モニカはマギーの助手を務める事となった。セリカとニコラスとリクトはアストラ兄さんに特訓されていた。何やら特殊戦闘班としての役割を与えられた。さらに翌日後、その日の夜、サリアは自室でこれまでの戦闘や訓練、作業の内容を記録に残していた。
『隊長日誌 三月三日ドラゴン出現。我が隊に出撃令が出される。だが、またもアンジュが命令を無視し独断先行。アンジュ単騎にて突撃し目標を撃破。
しかし突如もう一体のドラゴンが出現、これをマサトのレオスが撃退した。規律遵守の徹底それが出来ないのであればアンジュをヴィルキスから降ろすべきだと私は考えている。』
そうサリアはまとめた内容をパソコンに打ち込んで、データを保存しパソコンを閉じた。
そして翌日の夜、ジルの執務室で、ジャスミン、バルカン、マギー、アストラ、メイ、サリア、何故かマサトも呼ばれていた。
『隊長日誌、三月四日。アルゼナル外部より入伝あり』
「『ガリアの南端に到達、しかし仲間の姿は見当たらず。そこでドラゴンと遭遇し、所持していたパラメイルで撃退した。今後はミスルギ方面に移動し、捜索を続ける』。生きてたんだね、あのはなたれ坊主」
ジャスミンがタスクの報告書を言うと、ジルはそれに笑みを上げた。
「ジル......知ってたんだな? タスクの存在を.....」
マサトは厳しい表情でジルを見る。
「タスク....? はっ!」
ジルはサリアがある事に気が付いた
「そうだ.....」
「アンジュを助けたのがアイツだったなんてね」
「じゃあヴィルキスを修理したのはその『騎士さん』だったんだ!」
「騎士?.....どう言うことなんだ?」
「まさか....アンジュはマサトとナオミが見つけてくれるまで、そのタスクと二人っきりだったって事?!」
サリアは思わず頬赤くなり、アンジュとタスクの事を思う。
「ジャスミン、タスクとの連絡は任せたよ。いずれまた『彼ら』の力が必要になる......」
「はいよ」
「私も.....そろそろ学院の者に通達する....味方は多い方が良いからな....」
アストラの言葉にマサトは驚いた。
「学院の者って.....まさか学院の教師!?」
「そうだ......皆、この世界に対抗するために作られたレジスタンスなんだ.....」
「......はぁ、マジかよ......!」
マサトは今まで知らなかったことをようやく知ると、マギーがあることを言う。
「だが、良いのか?相手はあの馬鹿デカイ兵器も使ってくるんだよ?」
「「デカイ兵器?」」
マサトが首を傾げると、アストラが言う。
「........『モビルアーマー』の事か?」
「.......そうだ。」
「兄さん......『モビルアーマー』って......何だ?」
「..........."本能のままに人類を殺す天使".......言わば、殺戮兵器の事さ.......」
「ふ~ん.....そんなのがいたら俺のレオスで破壊すれば良いだけさ♪」
マサトは余裕満々に言うと、アストラの表情が厳しくなる。
「........」
「いずれにせよマサトとアストラにもリベルタスには参加させるつもりでいたからな」
「リベルタス?何だそれ.....?」
「リベルタス.......ノーマ達の自由を賭けた、反抗作戦だ.........」
「面白そ......」
ジルの計画している作戦にマサトやアストラも加えられている事に更に疑問が浮かび上がった。
『隊長日誌 三月五日』
アルゼナル食堂で何やらエマが叫んでいた。
「ありえないわ!人間がノーマの使用人になるなんて!ノーマは反社会的で無教養で不潔で、マナが使えない文明社会の不良品なのよ!?」
エマはアンジュがモモカを買い取った事とマサトが他のガイ達を買い取り、さらにアストラもマティス達を買い取った事に納得していない様子であった。
「モモカさん! あなたはそれでいいの?!」
「はい!わたくし幸せです!」
満面な笑顔で言うモモカにエマは呆れかえった。それの光景を見ていたヴィヴィアンとエルシャ、サリアは飲み物を飲みながら言う。
「良かったねモモカ、アンジュと一緒に居られて」
するとエルシャが突然ため息をした。
「 どったのエルシャ?」
「もうすぐフェスタの時期でしょ? 幼年部の子供たちに色々と送ろうか迷ってるんだけど......」
エルシャが通帳を見て苦笑いしながら言い、それにサリアが聞く。
「アンジュのせい? 何とかしなくちゃ」
するとそこにヒルダとロザリー、クリスが現れた。
「どんな罰でも金でなんとかするだろうねアイツ....聞きやしないさアンタの命令なんてさ」
「何が言いたいの?」
「舐められてるんだよアンタ。ゾーラが隊長だった時はこんな事なかった筈だけどね隊長さん?」
っとサリアがその場を立って、食堂を後にする。その様子を見ていたマサトは心配する。
「サリア.......」
「マサト.....」
するとマサトの所にアストラが現れた。
「兄さん?」
「ちょっと、ジャスミンモールに来い........良いものを見せてやる」
マサトはアストラに連れられ、ジャスミンモールに来ると、前に見た大きなカプセルを見る。
「これって.....あのカプセルだ.......」
「ジャスミン!これ使えるか?」
「あぁ、使えるとも........だが、それを使うなら先にこれを作ってから使え」
ジャスミンが持ち出したのは、プラモデルであった。
「兄さん、一体何するんだ?」
「.......ゲームだ」
アストラは笑顔でマサトに返し、早速、ゲームに使うプラモデル"ガンプラ"を作り始める。
「何でこれを作らなきゃ駄目なんだよ?」
「仕方ないだろ、あの機械はガンプラが無ければ起動しないから.......」
「ったく、昔のゲームって本当にめんどくさいことするな.......」
「俺に言うな........良し、出来た!」
アストラが作ったのは、赤き翼を持ち、マサトのレオスと同じガンダムであった。
「それが.....兄さんのガンプラ?」
「ああ、ウィングガンダムゼロ炎だ.....」
そしてようやくマサトのガンプラも出来た。そのガンダムタイプは見たことのない形状をしており、手にバスターソードメイスを持っていた、
「俺のは........バルバトスルプス.....って言うガンダムだ」
「ほ~、お前も飛んでもないガンプラを選んだか.......」
「だって......爪が尖ってて、悪魔みたいでカッコいいからなぁ......それにこのバスターソードメイスと腕部ロケットランチャー、太刀も付属してきたから....」
「あはは.....」
アストラとマサトはカプセルの中に入り、自分のガンプラをセットすると、アストラは外にいるジャスミンに言う。
「じゃあ、始めるぞ......ジャスミン、頼む。」
「あいよ、」
ジャスミンは機械の電源を付けると、マサトの目の前が光、レオスと同じコックピット風景になった、
「何するんだ?」
目の前に広がる荒野、静かに吹く風、マサトの使っているバルバトスルプスが夕陽の光で、赤く染まっていた。
「兄さん......誰を相手するんだ?」
「マサト.......前にモビルアーマーと戦いたいって言ったなぁ.......」
「うん.......それが何だ?」
「........お前の考えているモビルアーマーって言うものは.........現実では甘くはないぞ........目の前をみろ!」
マサトが目の前を見た直後、コックピットが揺れ始めた。すると地面が割れ、中から巨大な叫び声のような咆哮が聞こえ、現れたのは、白く、尻尾にブレードを持った巨大な鳥型の機体であった、
「あれが.......モビルアーマー?」
マサトは初めてモビルアーマーを見て、呆れる。
「ただのデカイ鳥じゃないか.......図体もデカイし、動きも鈍そう......こんなの、俺一人で充分だ!」
マサトがバルバトスルプスを動かし、モビルアーマーに斬りかかった直後、モビルアーマーは前足の鉤爪でバルバトスルプスのバスターソードメイスを受け止めた、
「何っ!?」
モビルアーマーはもう一つの足でマサトを蹴り飛ばした。
「グアッ!!」
倒れたマサトは立ち上がった。
「クソォ...っ!?」
するとモビルアーマーは頭部を露出展開し、強力なビームを放った。マサトは危機一髪回避し、モビルアーマーのビームで大地が割れた、
「今のは.......ビーム兵器!?しかも高出力ビーム砲だと!?グッ!」
その時、マサトの目の前にモビルアーマーの尻尾武器"ワイヤーブレード"が迫っていき、マサトはバスターソードメイスでワイヤーブレードの刃を受け流し、回避した。
「あのモビルアーマー......尻尾がブレードになっているのかよ!?」
「油断していると、奴等も来るぞ!」
上空から見ているアストラがマサトに言う。
「え?....がっ!、今度は!?」
今度は地面から複数の紫の蟻のような機体がわんさか出てきた。
「何だ!?......こいつらは!?」
「"プルーマ"....コアとなるモビルアーマー"ハシュマル"を守ろうとする小型のモビルアーマーだ.......分かりやすく言えば、付属品だ」
「付属品って!......滅茶苦茶いるじゃないか!!」
マサトはバスターソードメイスでプルーマを凪ぎ払うと、2体のプルーマがバルバトスにしがみつき、ドリルを突き付けてきた、
「クッ!.....こっのぉぉぉぉっ!!」
マサトはバルバトスの手でプルーマの装甲を貫き、バスターソードメイスを振り回した。バスターソードメイスの打撃にプルーマは吹き飛ばされていく。
「ぶった切ってやる!.....っ!?」
その直後、マサトの目の前にハシュマルがまたビーム砲を放った。
「ヤバッ!!?」
マサトは急いで防御体制を取ると、ビーム砲が直撃した。しかし、ビームはバルバトスの装甲で拡散していく。
「あれ!?......どうなっているんだ!?」
ビームが消え、マサトはバルバトスの腕を見る。しかし、ビームでの損傷部位が一つもなかった。
「あのビームを受けたのに.........無傷!?」
「それが"ナノラミネートアーマー"だ。お前が使っているガンプラはただのガンプラじゃない.......ソイツはガンダムフレームと言う。モビルアーマーを殲滅するために開発された"悪魔の名を持つもの達"一機だからな.......ソイツの装甲は完全に対ビーム装甲だ........思いきって殺っても良いんだぞ.....」
マサトは事実を知ると、ハシュマルを睨み、装備していた太刀を抜刀した。
「早くそれ言えよ.......ったく!」
マサトはバルバトスの出力を上げ、太刀でハシュマルに斬りかかる。
「おらっ!」
ハシュマルは鉤爪で攻撃したが、マサトは太刀で鉤爪を太刀で受け流し、カウンターを仕掛ける。その光景にアストラは驚く。
「うわぁ.....」
マサトはハシュマルのワイヤーブレードを掴み上げ、ハシュマルごと振り回す。
「ウォォォォォッ!!」
そしてマサトはハシュマルを放り投げ、太刀でハシュマルの翼に突き刺す。
「どうしたモビルアーマー!?......それで本気か!?.......何が殺戮兵器だっ!?鉄屑の塊め!!」
「もう少し.......もう少しで.......」
するとハシュマルは怒りだし、ワイヤーブレードをバルバトスの顔左半分に突き刺した。しかしマサトは気にしない表情で、ハシュマルに殴った。
「あっぶねぇ.....なぁっ!!」
渾身を込めた拳がハシュマルの頭部に直撃し、のろける。
「良し.....仕上げだ」
するとアストラはウィングガンダムゼロ炎の翼剣"カレッドヴォルフ"マサトに投げ渡した。
「使っていいの?」
「あぁ、勿論♪」
「じゃあ、遠慮なく!」
マサトはカレッドヴォルフを突きつけると、カレッドヴォルフの刃から炎が吹き荒れ、炎刃へとなりハシュマルのナノラミネートアーマーを切り刻んでいく。
「お~、お~」
そしてハシュマルはワイヤーブレードで攻撃しようとした直前、マサトはそれに気付き、ブレードに取り付いているワイヤーを断ち切った。ワイヤーブレードを失ったハシュマルは断末魔の悲鳴を上げ、鉤爪で襲いかかる。マサトはハシュマルの鉤爪攻撃を回避し、カレッドヴォルフを突き付け突撃する。
「行ける.......これなら、ぶち殺せる....!」
ハシュマルはマサトに向けて、最大出力のビーム砲を放とうとしたが、遅かった。カレッドヴォルフの炎刃がハシュマルの頭部を貫通し、火を吹きながら、ハシュマルは足ったまま絶命した。
『シュミレーター修了 お疲れさまでした』
機械のシステムが修了報告を言う中、マサトの額には大量の汗が流れ落ちていた。マサトはカプセルから出るとアストラが待っていた。
「どうだった?」
「良いんじゃない?モビルアーマーって.....以外と狂暴なんだ........」
「そりゃそうよ........何せモビルアーマーは.......彼女も倒せなかった奴だからな......」
「彼女?」
「まぁ、それは置いといて、この機械はパラメイルのシュミレーターと同じだから、レオスを使ってのシュミレーターよりも良いぞ。仲間と協力したりできるからなぁ.......今度アイツ等を誘ったら?」
「分かった.....♪」
マサトはそう言って、自室へと戻ると、アストラは困った表情をする。
「ジャスミン.....ありがとう」
「気にするな.......それにあんたもちょっと手加減したね」
「すまん.....マサト.......モビルアーマーってのは.....」
アストラは機械の設定で難易度をカジュアルにしていたことに、不安を持った、
「そんなに甘くはないんだ.......」
「あんたもジルと同じ悪い奴だね、モビルアーマーの難易度をカジュアルにするなんて........本当ならスーパーハードしとけば、本当のモビルアーマーの力を示したんじゃない?」
「.......それもそうだな」
アストラはそう言い、ジャスミンモールから出た。だが、この時ジャスミンモールの試着室でアンジュはサリアの秘密を知ってしまったのであった。