クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

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第12話:厄祭の天使

 

翌日、アンジュが風邪を引いた。兄さんが言うには.........アンジュは隊長の憂鬱......つまり"コスプレ姿"を見てしまい、隊長の方は証拠隠滅の為にアンジュを風呂場で殺そうとしたが、そこで乱闘となり、問題のエルシャがデッキブラシを投げ渡すと言う"火に油を掛ける"様な行動をして、結果アンジュは湯冷めしてしまったと言う。問題は出撃欠席での罰金だ。100万キャッシュとは.........辛いなぁ......それで、アンジュとヴィルキス無しの戦闘や訓練が行われていた。さらにその日の夜、アストラが地下格納庫で何やら大きなコンテナが複数運ばれてきた。そこにジルやジャスミンもいた。

 

「全く、あの子達にこれを乗せる気か?」

 

「あぁ、そろそろⅡ年Ⅳ組には......."狩り"の授業を学ばないとな.........何れにせよ、教師達の足手まといになってしまう。それに......その中にいる"彼等"もな」

 

「彼等?」

 

「そう言うことか............」

 

ジルは分かったような表情で格納庫から去る。そして複数のコンテナが同時に開き、中からレオス並の全長を持つ機体が並べられていた。

 

「さぁ、第2フェーズを始めるぞ.........」

 

アストラの声と共に全機体のモノアイが発光し、その中枢に格納されている深紅の機体もツインアイも発光した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ドラゴンが出現した事に第一中隊に出撃命令が下った。

 

「総員騎乗!」

 

「マサト!フライトパックの燃料を満タンにしておいたよ!」

 

「ありがとう!パトリック!」

 

そしてマサトのレオスがカタパルトに付いた。

 

「サリア隊、マサト機レオス......box out!」

 

マサトはレオスと共に第一中隊へ合流しにいった。その様子をアルゼナルから見ていたパトリックとメリーが語る。

 

「僕達も........マサトの役に経ちたいね」

 

「仕方ないよ、マサト見たいなあのモビルスーツがあったら.......」

 

するとパトリックとメリーの所にアストラが来た。

 

「お前たち.....」

 

「「アストラさん?」」

 

「マサトを除いて、Ⅱ年Ⅳ組全員集合だ.......狩りに使う兵器を渡す。」

 

「「??」」

 

パトリックとメリー、そしてⅡ年Ⅳ組メンバーはアストラに付いていった。

アストラはⅡ年Ⅳ組メンバーと共に地下室を下りていった。

 

「アストラさん......どうしたんですか?急に俺達をこんな場所に集めて.....」

 

地下室のドアを開き、中は真っ暗であった。アストラは部屋の電気を入れた。辺りが照らされ、Ⅱ年Ⅳ組メンバーは部屋ではなく、広い空間にいることに驚いた。さらにもっと驚かせる物を目撃した。

 

《.......!?》

 

左右にレオス並の全長を持つ機体が並べられていた。緑色で右肩にスパイク、左肩部プロテクタ上部にはシールドが装備されていた。さらにシールドを両方もった機体もあり、他に鶏冠の様なアンテナを持つ機体も収納されていた。

 

「これって!!?」

 

左右に並べられている機体のモノアイが光だした。

 

《モビルスーツ!?》

 

「お前達の機体........その名は"ザク ウォーリア"と"ザク ファントム"だ.......そしてセリカは"シグーディープアームズ"、ニコラスは"ジンハイマニューバ"、リクトは"ジンハイマニューバ2"だ......。」

 

「ザク ウォーリアと......」

 

マティスがザク ウォーリアを見つめ。

 

「ザク ファントム........」

 

ガイはザク ファントムを見つめる。

 

「この機体は........学院長からの君達への贈り物だ」

 

アストラの言葉にⅡ年Ⅳ組メンバーは驚いた。

 

「学院長からのですか!?」

 

「あぁ、対モビルアーマー用に造られた悪魔たちだ......」

 

「モビルアーマー.....?」

 

「........."天使"の名を持つ兵器の事だ........多分、今回の任務で"天使"達は現れる.......マサトは一人で張り切ってやり合うつもりだ........だからお前達の......."仲間"の力が必要なんだ........お前達や私も人間、マサトはノーマ.......確かに身分は違うが、1タス1は、1よりも大きくなる。助け合うのが当然。」

 

アストラの願いに皆は感動した。

 

「アストラさん......」

 

「アストラさんの言う通り、いつもマサトは俺達をここへ養う為に戦っている!」

 

パトリックが決意する。

 

「そうだ!俺達もマサトに恩返ししないとな!」

 

「そうだね♪アストラさん、受け言葉、感激です!」

 

ニコラスとアイカも決意し、Ⅱ年Ⅳ組メンバーはマサトを助けに行くと団結した。

 

「よぉ~しっ!皆でマサトを助けに行くぞ!」

 

《おぉ~!》

 

「フフ........」

 

アストラは笑い、Ⅱ年Ⅳ組メンバーはそれぞれの機体に乗り込み、水中用の熱核水流ジェットを装備し、海中から出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マサトの方では、上空からワームホールが開き、スクーナー級ドラゴンと共に他のドラゴンよりも大きく、巨大な角が特徴のドラゴンも現れた。

 

「何だ!?」

 

「デカッ!?」

 

「あらあら大きいわ~」

 

「あれは?」

 

皆は驚いていると、ヒルダはサリアに通信を入れる。

 

「サリア、アイツのデータは?」

 

「あんなの、見た事無いわ......」

 

サリアの言葉に皆は驚くと同時に、喜びへと変わる。

 

「おぉ!?サリアも見た事ないって事は!」

 

「じゃあ、まさか.....まさか!」

 

「初物!」

 

ヒルダは思わず喜びの笑みを上げる。そして司令室でジル達と見ていたエマは聞き慣れない言葉を聞いて首を傾げる。

 

「初物?」

 

「監察官は初めてでしたか、過去に遭遇のないドラゴンの事ですよ」

 

ジルはエマにその事を説明し、納得させる。そして戦場では未遭遇のドラゴンにヒルダ達は盛り上がっていた。

 

「コイツの情報持ち帰るだけでも大金持ちだぜ!」

 

「どうせなら初物喰いして札束風呂で祝杯といこうじゃないか!」

 

ヒルダはそう言い、ロザリー、クリスと共にドラゴンへ突撃した。

 

「(初物か.........ま、アイツ等とリナとシアを養う為だ。レオスのビームサーベルで腹を切り裂く!)ココ!ミランダ!ナオミ!援護頼む!」

 

「「「イエス!マム!」」」

 

マサトがドラゴンを向かう直前、ヴィヴィアンの様子に気付く。

 

「ん?.....どうしたんたヴィヴィアン?」

 

「なんか髪の毛がピリピリする......」

 

「え?......」

 

その直後、マサトの耳から何やら声が聞こえてきた。

 

「っ!?」

 

『此方へもっと来い......もっと来い........偽りの人間めぇ....!!』

 

「え!?」

 

マサトはその声の主に目をつける。その目先にはドラゴンが写っていた。

 

「まさか!!?」

 

「ビンゴ!プヨプヨだ!!」

 

そしてヒルダ達が大型ドラゴンに突撃しようとしたその時、ヴィヴィアンが叫ぶ。

 

「っ!ヒルダ戻れ!」

 

ドラゴンが咆哮を上げたと同時にと角が光りその瞬間、周囲が巨大な魔方陣が浮かび上がった。ヴィヴィアンが警告を促したが、既に遅くヒルダ達の機体が囚われてしまった。

 

「なっ!?」

 

「う.....動けねえ....」

 

三人が混乱している中、マサト達が上空で見ていると、オペレーターが報告してきた。

 

『新型ドラゴン周囲に高重力反応!』

 

「重力!?」

 

オペレーターからの報告に驚くと、更にドラゴンは角を光らし、重力範囲を広げ始めた。

 

「!? 全機急速回避!!!」

 

「ヤバイ!」

 

マサト達は急いで回避するが遅く、サリア、ヴィヴィアン、エルシャ、ココ、ミランダ、ナオミが囚われてしまうが、マサトはレオスとフライトパックの出力を最大に上げ、重力を退け続けていた。その直後、また耳鳴りが始まり、声が聞こえてきた。

 

『逃がさんぞ!双極の悪魔め!同胞の仇........今此処で取らせて貰うぞ!!』

 

「まただ!」

 

マサトの通信を聞いていたエルシャとナオミが首をかしげる。

 

「「?」」

 

丁度その時、別の通信が入り、咳き込む声が聞こえた。思わずマサト達は顔を上げると、此方に向かってくるヴィルキスが視界に入る。

 

「アンジュ!?」

 

「え?!」

 

「ヴィルキス?アンジュなの.......?」

 

「アンジュの奴......無茶やるなぁ.......」

 

「うう~フラフラする.......とっとと終わらせよう」

 

体調が戻っていないアンジュは無理しながらドラゴンへ向かっていく。

 

「来るなアンジュ!重力に捕まるだけだ!」

 

「大丈夫よいつも通り私一人で十分」

 

そう呟くアンジュにサリアは唇を噛み、肩がワナワナと震え、怒鳴った。

 

「まったく、どいつもこいつも勝手なことばかり.........いい加減にしろこの馬鹿女!単騎でやれる程このドラゴンは甘くない!」

 

「!?」

 

「いっつもいつも勝手な事ばかりして......死にたくなかったら命令を聞きなさい!」

 

「は.....はい.....」

 

サリアの怒声と気迫にアンジュは思わずたじろぐ。

 

「よしっ! そのまま上昇!」

 

サリアの指示にアンジュは機体を上昇させる。そしてホーンドラゴンは此方に向かってくるヴィルキスを睨み、範囲を広げた。そしてヴィルキスは重力の影響で落ちていく。

 

「今よアンジュ! 蹴れぇぇ!」

 

「はい?」

 

「思いっ切り蹴りなさい!私にやったみたいに!」

 

サリアの言葉にアンジュは反応し、ヴィルキスが落下しながら体勢を変える。そしてヴィルキスの蹴りがホーンドラゴンの左角を粉砕し、それと同時に右足を失ったヴィルキスも落ちた。そして角を失った事で重力が消え、マサト達は重力から解放された。

 

「やっと動けるぜ!!」

 

「総員!一斉攻撃!」

 

《イエス!マム!》

 

マサト達はホーンドラゴンへ一斉攻撃を開始し、勝利した。そして夕陽がホーンドラゴンの死体を照らしていた。

 

「ふぅ、何とか終わった!」

 

「帰ったら札束の風呂で祝杯だ!」

 

「....ん?」

 

マサトが寛いでいると、三度めの耳鳴りが鳴り始めた。

 

「耳鳴りが!?」

 

さらにマサトの両目が金色へ変わり、皆の色がどす黒く染まった。

 

「何だ!?全員......."赤"じゃなく.........."黒"!?.........っ!?」

 

その直後、地面からとてつもない殺気と恐怖を感じ、目が震え出した。

 

「皆!!急いで上空へ上がって!!」

 

「マサト!あなた何を!?」

 

「早く!此処で死にたいのか!!?」

 

「っ!?総員!マサトの命令に従って!」

 

サリアはマサトの言う通りに従い、全員を上空へ上がらせた。

 

「おいおい!どうなってんだ!?」

 

「マサト......一体何を?」

 

「来た!!」

 

「え.....?」

 

マサトの両目の震えが止まった直後、轟音と共に大地が割れた。

 

《っ!!?》

 

「分かるぞ.........この感じ!......こいつは........."モビルアーマー"!!」

 

その直後、地中から赤色のビームが出てきた。ホーンドラゴンの死体を焼き尽くすと同時にビームの発射音が地中から鳴り響いた。

 

『ンヮアアアアアアアアアアアッ!!!!!』

 

《っ!!!?》

 

すると地中から赤色のビームを放つ紫色のモビルアーマーが現れた。さらに、他の地中から紫色のモビルアーマーの似た白いモビルアーマーも現れた。

 

『ンヮアアアアアアッ!!!!!』

 

赤色ビームを放つモビルアーマー.......レグナントはがビームの発射音を止め、上空にいるマサトを見る。

 

「モビルアーマー.........."レグナント".....他2機は"エンプランス"」

 

マサトがレグナントとエンプランスを睨むと同時に、レグナントと2機のエンプランスは鳴き声を上げる。

 

『『『ンヮアアアアアアッ!!!!!/キシャアアアアッ!!!!!』』』

 

血に植えた天使達を照らす夕陽がまるで、血で赤く染まった天使と思わせていた。

 




次回........悪魔達が......天使を狩る"授業"を殺ります!
それからそろそろレオスの力の一部を解放します!

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