クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

6 / 52
第5話:白き天使と紅き悪魔の覚醒 前編

 

ココを救出したその先に、ドラゴンの群が出現してきた。

ピンク色の小型ドラゴンが20匹、そして青黒い巨大なドラゴンが2体が出現した。

 

『スクーナー級が20匹、ガレオン級が2匹』

 

「ガレオン級が2匹!?」

 

「一匹でも厄介なのに2匹くるものか.....」

 

『総員聞け!新兵教育は中止だ!まずはカトンボを殲滅し、退路を確保する!全機、駆逐形態!陣形空間方陣!』

 

「「「イェス!マム!」」」

 

第一中隊のパラメイルが飛翔形態から駆逐形態へと変形し迎撃を開始した。

 

「命令違反の処分は?」

 

『後にしろ』

 

「イエス、マム......」

 

サリアは銃をしまい、部隊と合流する。

 

「.......ゾーラ隊長、俺達はどうすればいい?」

 

『私達がドラゴンを引き付けておく!!その間に逃げ切れ!!』

 

「了解!」

 

ゾーラの命令に従い、マサトはアンジュ達に通信する。

 

「アンジュ!ミランダ! 奴らから逃げるぞ!」

 

「は!はい!!」

 

「嫌です!私はミスルギ皇国に帰ります!」

 

アンジュは命令を拒否すると、マサトは怒鳴る。

 

「いい加減にしろ!!パラメイル出撃一回分の燃料でどうやってミスルギ皇国に帰るつもりなんだ!?第一に何処にミスルギ皇国があるんだよ!?」

 

「それでも構いません! 行けるところまで行って...あそこに戻らずに済むのであれば!」

 

すると、スクーナー級のドラゴンがアンジュに向かってきた。

 

「ひぃっ!! い!いやああああああああああああ!!!」

 

ドラゴンの威嚇に恐怖に踊らされたのかアンジュは混乱しながらその場から離れて行く。飛んでもない回避行動だが、それでもドラゴンからは逃げまくった。

 

「なんちゅう回避行動だ.........」

 

『ガレオン級一体! マサト機に迫っています!!』

 

オペレーターから最悪な報告された時、2時の方向から猛獣のような雄叫びを上げた巨大なドラゴンが迫ってきた。

 

「嘘っ!?.....仕方ない!.....ミランダ!来てくれ!」

 

ミランダを呼ぶと、マサトは後ろに乗せていたココをミランダの後ろに乗せる。

 

「マサトさん、何を?!」

 

「俺が囮になる!二人はその間にアルゼナルへ逃げろ!」

 

「え!?そんな事出来ません!」

 

「いいから!早く!俺もあのバカ女を連れて戻ってくるから!......早くっ!!」

 

ミランダはココを乗せたままその場から離れていった。マサトはグレイブを飛翔形態から駆逐形態へ変形し、対ドラゴン用アサルトライフル持ち、ブロードソードを抜刀すると、叫んだ。

 

「こっから先を通りたかったら..........俺を倒すか食い殺してみろぉ!!」

 

ガレオン級のドラゴンが咆哮を上げ、魔方陣を展開し、雷撃を放った。マサトは緊急回避し、ドラゴンの後ろに回り込み、ライフルを向け、発砲した。ライフルの弾丸がドラゴンの皮膚に直撃し、血渋きが出る。ドラゴンは苦しみながら、マサトのグレイブに向けて、尻尾を振り下ろすが、マサトは回避し、ブロードソードでドラゴンの皮膚に突き刺し、ライフルを発砲した直後、ライフルの弾が切れ、射撃武器がなくなってしまった。

 

「糞がっ!弾が切れやがって!!」

 

すると、ドラゴンはマサトを振り払い、グレイブを捕まえる。すると、グレイブのコックピットからライフルを持ったマサトが出てきて、ドラゴンの顔に向けて、乱射する。

 

「この化け物がぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その直後、ドラゴンの口から赤いレーザーが放たれ、マサトがライフルを持っていた右腕に直撃し、腕の付け根から紅い鮮血が飛び散った。

 

「ああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

マサトは激痛に耐えれなく、悲鳴を上げた。

 

「ハァ..........ハァ........ハァ..........」

 

『さらにスクーナー級10匹がマサト機に接近!』

 

スクーナー級のドラゴン達が、マサトのグレイブに取り付き、みるみるうちに部位が食いちぎられていった。マサトはコックピット内で悔し涙を流していた。

 

「どうやら.......俺の死に場所はドラゴン達の胃袋の中か..........皆.......ごめん........」

 

マサトはその場で気を失うとドラゴンがコックピットのハッチをこじ開けようと迫っていた。すると、コックピットの隙間から黄色い閃光が輝き、ドラゴン達がマサトから離れていく。マサトは目を覚ますと、腕を押さえながら、コックピットのハッチを開けた。

 

「あれ?.........パラメイルは大破しているのに..........何で上空にいるんだ.........?」

 

すると、下から機械でできた大きな指が現れた。マサトは上を見上げると、目の前に白と赤の色をした機体がマサトを守っていた。

 

「何だこの機体!?」

 

マサトは驚くと、白と赤の機体の目が光、コックピットのハッチを開けた。

 

「乗れって言うことか?」

 

マサトが問うと、その機体は目を光らせながらジェスチャーする。

 

「分かった........!」

 

マサトはグレイブから白と赤の色をした機体に乗り移った。コックピット内は操縦席と全周モニターであり、操縦席に義手の右腕が置かれていた。

 

「これって.........」

 

すると、義手が光だし、無くなった右腕に取り付いた。

 

「傷が無くなった!?」

 

傷だらけの肌が薄々と治り始め、義手は完全にマサトの肉と骨と神経に取り付いた。

 

「義手が..........!?」

 

マサトは楽々と義手を動かすと操縦桿を握り、モニターに映っているドラゴンを睨む。

 

「行くぞ!ドラゴン共!!どっちがミンチになるか勝負だ!!」

 

マサトは背部にマウントされているビームサーベルを抜刀すると、ピンク色に発光するビームの刃が放出された。

 

「光のブレード........これなら!」

 

マサトはビームサーベルを振り回し、接近してくるスクーナー級ドラゴンを切り裂いていった。ガレオン級ドラゴンが仲間が死んでいくのを見て、怒り出した。

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!

 

マサトはビームサーベルの出力を低く調整し、ビームダガーへとなると、ビームブーメランとして投げ、ガレオン級ドラゴンに向かっていった。

 

「切り裂け!」

 

ビームブーメランの刃がガレオン級ドラゴンの腹に直撃し、クロス字の傷ができ、血が吹き出す。

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!!』

 

ドラゴンは口から血を吐きながら、マサトに迫り、腕に噛み付いた。しかし機体の装甲は超硬度でありドラゴンの牙が砕け落ちた。

 

「そんな噛み付き攻撃で......この機体の腕を砕こうと言うのか?........バカがっ!!」

 

マサトはドラゴンの頭部を掴み絞める。

 

「このトカゲがぁぁぁぁ!!!」

 

骨と肉が潰れる音と、ドラゴンの断末魔の悲鳴が鳴り響き、そして、

 

『アアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』

 

機体の握力に耐えれることなく、ドラゴンの頭蓋骨は砕け、肉が避け、そこから血が吹き出し、海へ落ちていった。ドラゴンの返り血で真っ赤に染まった機体は緑色に発光する目を光らせていた。

 

「ハァ.....ハァ.....ハァ........『次は隊長の方だ....』?!」

 

マサトの耳からまたあの声がし、マサトは辺りを見回すが誰もいなかった

 

「.......お前なのか?」

 

マサトは上を見上げ、乗っている機体に言うと、システム音で返事した。

 

「分かった.......!」

 

マサトは機体の出力を上げ、部隊のいる所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、第一中隊の方では凍結バレットを撃ち込んでいた。

 

「後はお前だけだよデカブツ!コイツでトドメだ!」

 

ゾーラが凍結バレットで止めを刺そうとした時であった。

 

「いやああああぁぁぁぁぁ!!」

 

混乱したアンジュのグレイブがゾーラのアーキバスにしがみつき、動きを封じてしまった。

 

「アンジュ何をやってるのよ!?」

 

丁度、マサトの機体が皆の機体が見えてきて、猛スピード向かうと、マサトの耳から、また耳鳴りがした。

 

「また耳鳴りが!......間に合えぇぇぇぇ!!!」

 

マサトは手を差し伸ばした直後、コックピット内で音声がした。

 

『極限進化状態!"EXA・フェース"!!』

 

音声がヤンキー口調な声で叫ぶと、マサトの機体が金色に光だした。

 

「何しやがる!?アンジュ離れろ!」

 

すると、ゾーラとアンジュの所にもう一体のガレオン級のドラゴンが向かってきて、両翼でゾーラとアンジュを叩き落とした。

 

「ゾーラァァァァァァッ!!」

 

ヒルダが悲痛な叫びをあげると、マサトの機体が海へと墜落するゾーラとアンジュを受け止めた。コックピット内で汗だくのマサトはホッとする。

 

「ハァ....ハァ....ハァ...........何とか.........間に合った.......」

 

光が少し薄れていくと、マサトの機体は凄い姿になっていた。両腕部にユニット、背部と脚部にバーニアが追加されていて、両肩に配置された2連装ビーム砲、腰のランチャー、そして特長だったのが、背部に紅き翼である。翼からでる黄色い粒子を放出させ、頭の後ろに光輪を浮かばせていた。サリア達はその姿に見とれていた。

 

「その声って.......まさかマサト!?その機体に乗っているのはあなたなの!?」

 

「おお!デッケェ!そしてカッコイイ!」

 

「綺麗......」

 

ヴィヴィアンは興奮し、クリスもマサトの機体を見とれる。

 

「.......副長.......ガレオン級は.....?」

 

「.......残念だけど、追撃は無理ね........隊長とアンジュの機体も大破してるし、ひとまずアルゼナルへ帰投するわよ」

 

「了解.......」

 

マサトはゾーラとアンジュの機体を抱え、アルゼナルへ帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルに帰還したマサトはマギーに右腕の義手を見せると、マギーは驚く。理由は信じられないことに、義手の神経プロセスがマサトの体と完全にシンクロしており、さらにジル以上の回復力と生命力を持っていた。前の右腕はあの時に無くなってしまって治すことができないが、マサトは構わなかった。一応義手の点検の為、マサトは義手外してマギーに渡した。それから怪我の手当てをして頭や右肩に包帯を巻いた。

 

 

翌日ドラゴンの攻撃を受けたゾーラは意識不明のままの状態、アンジュは逃げられないように拘束具を付けられていた。

 

「パラメイル4機大破。メイルライダー1名、意識不明の重傷.......ドラゴンも撃ち漏らした.......これがお前の敵前逃亡がもたらした戦果だ、アンジュ......」

 

「なんとか言えよ!おい!!」

 

「手出すなよ。一応は負傷者だからな.....」

 

ロザリーが手を出そうとしたが、マギーに止められた。

 

「私は、私は故国に帰ろうとしただけで何も悪い事をしていません」

 

「お前がお姉様をあんな状態に!......この人でなし、人でなしィ!」

 

「人でなし?......ノーマは、人間ではありません」

 

アンジュの放った言葉にマサトはブチ切れ、ヒルダが蹴りを入れようとした瞬間、マサトは左手で平手打ちをした。

 

ーーパシンッ!

 

「いい加減分かれっ!この屑野郎!........お前の勝手な判断で隊長は目を覚まさない......ココとミランダを危険な状態へ追いやがって..........いい加減自分がノーマだと分かれ!........腰抜けがっ!!」

 

今にも手を出そうとしたマサトであったが、エルシャとヴィヴィアンが抑える。

 

「..........」

 

「サリア......」

 

ジルがサリアに言う。

 

「ゾーラは暫く動けん......復帰するまでは隊長はサリア、副隊長はヒルダでいく......ドラゴンが発見され次第、再出撃する......では、解散」

 

《イエス、マム!》

 

マサト達はジルに敬礼し、部屋から出た。部屋から出たマサトの所にココとミランダが悲しそうな表情でやって来た。

 

「あのぅ、マサトお兄ちゃん....」

 

「ん?」

 

「........腕の方は大丈夫ですか?」

 

「........まだズキズキするかな.....」

 

「ごめんなさい.......私のせいで......私のせいでマサトお兄ちゃんを」

 

ココがマサトの腕を見て、その場で泣き崩れると、ミランダがココを慰める。

 

「ココは悪くないよ........悪いのは」

 

ミランダがアンジュの事を言うとしたとき、マサトが言う。

 

「嫌.....アンジュも悪くない..............悪いのはこの世界のルールなんだ.........マナが使えないだけで差別や暴力される..........この世界が..............」

 

二人は落ち込むと、マサトは二人を慰める。

 

「そう落ち込むなよ、二人とも.........俺は今もこの通りピンピンしてるぜ.......♪」

 

マサトは元気そうな表情をすると、あることに気付いた。

 

「そう言えば、お前達花瓶とか持って何処に行くつもりなんだ?」

 

「あ、ナオミがいる所にです」

 

「ナオミ?二人の友達?」

 

「はい......マサトさんが来る数日前に、パラメイルの起動テストでドラゴンに襲われて.......今も意識不明の状態なっているの.....」

 

「.......そうか、」

 

すると、マサトの所にジルがやって来た。

 

「ここにいたか.......マサト、来い........見せたいものがある.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトが連れられた場所はズラリと並んだら墓であり、雨が降る墓地に傘を差したジャスミンとゴーグルをかけた番犬"バルカン"とアンジュがいた。

 

「ここは........墓場?」

 

「ドラゴンと戦い散っていたノーマたちだよ」

 

「こんなにも......」

 

「そう言えば、あんた.....ゾーラと新兵二人を助けたって?.......ありがとうよ、おかげで墓石が増えずに済んだよ.......それより、あんた.......右腕は大丈夫か?」

 

ジャスミンがマサトの右肩を見る。マサトは抑え、返答する。

 

「えぇ、ただ......腕が無くなったことで少し疼きます.......」

 

「これからどうなるのですか?ミスルギ皇国もなくなったと聞かされて.....」

 

マサトはアンジュの放った言葉に驚愕した。

 

「はっ!?ミスルギ皇国が......無くなった!?」

 

「そんなに驚くことか?」

 

「........あぁ、彼処には俺の幼馴染みがいるんです........ノーマの少女でミスルギ皇国へ引っ越して........」

 

「そうか.......」

 

「ほんの少しマナが使えないだけではないですか!?それだけでこんな地獄に!.....」

 

「お前はお前達の作ったルールで此処にいる....」

 

「わ、私は決してノーマなどでは....」

 

「じぁあなんだ.......ココとミランダを死に追いやろうとして、隊長は意識不明のままの状態!それでもお前は否定し続けるのか!!?」

 

「私は..........うわぁぁぁぁぁっ........ああああああ!」

 

その場で泣き崩れるアンジュにマサトは慰める。

 

「アンジュ........お前は生きている........きっとお母さんはお前を生かせようと願っていると思う.........だから、死んだらダメだ..........死んだらそこで.......人生は終わる.......」

 

すると、そこにサリアがやって来て、ジルに報告した。

 

「司令、ドラゴンを見つけました...」

 

「そうか.....アンジュ、マサト....お前達も出てもらうぞ」

 

「え?ですがアンジュとマサトの機体は......」

 

「あるじゃないか.......」

 

「.......まさか!?」

 

「それに.......マサトのはもう既にあの機体に選ばれてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルにアルゼナル格納庫に案内されると、そこに埃かぶって少々錆びついていた白いパラメイルがあった。

 

「コイツがお前の機体だ.......名は"ヴィルキス"かなり古い機体でな......まともに動かせる奴がいないのだが、お前にコイツを任せよう......死にたいのならばうってつけだろ?」

 

「ヴィルキス......」

 

「あの、俺のは?」

 

「あるじゃないか.......目の前に......」

 

「え?」

 

メイがレバーを引くと、上部のライトが照らされた。マサトはその機体に驚いた。

 

「こ!これは!?......あの時の!?」

 

マサトが乗り替えた機体がそこにあると、ジルは言う。

 

「そう......この機体の名は"レオス"..........またの名を"エクストリームガンダム(タイプ-レオス)"だ..........そしてこの機体はお前の両親が持ってきた物だ.......」

 

「え?!、俺の両親が!!?」

 

「あぁ......お前が産まれる三ヶ月前に、お前の父親オルト・ラスタルと母親マナミア・ラスタルが現れて、この機体を置いていったんだ......."この機体を操る者が現れると、その時はソイツに渡してくれ"とそう言って、行方が分からなくなったんだ.......」

 

「(父さん......母さん.......俺がここに来るって言うことを分かって.......と言うことは......兄さんも....?!)」

 

「考えるのは後にしろ.....出撃しろ!」

 

「........了解!」

 

マサトは取り逃がしたドラゴン討伐へ向かった。

 




次回はついにあの機体が覚醒します。ついでにレオスも......

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。