ルイズの聖剣伝説   作:駄文書きの道化

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創造の宣誓

「王党派に接触する!?」

 

 

 マチルダが驚愕と憤怒を混ぜ合わせた声でルイズに怒鳴りつける。ルイズはマチルダの怒声を予測していたのか、耳を塞ぐように手で押さえている。マチルダは柳眉を上げて、ルイズを睨み付けている。

 ルイズはマチルダに睨み付けられている事をまるで柳のように受け流しながら、そうよ、と頷いた。二人の様子をおろおろして見守るティファニア。苦笑を浮かべるエルザとアレクサンドルという図がそこにはあった。

 

 

「アンタ! この状況で一体何馬鹿げた事を言ってるんだい!?」

「こんな状況だからこそ、でしょ?」

「何……?」

 

 

 訝しげに声を出すマチルダにルイズはいい? と前置きをして続ける。

 

 

「この状況を私は利用するつもりよ」

「利用って、どういう風に?」

「この内乱を終結させる」

「はぁあああ!?」

 

 

 何を言っているんだ、と言わんばかりにマチルダはルイズを見る。ルイズはさも当たり前のように内乱を終結させる、と言い切った。それが一体どれだけの事か、本当にルイズはわかっているのか、と疑うようにルイズをマチルダは見る。

 ルイズは涼しげな顔をしながら肩を竦める。いいから最後まで話を聞け、と釘を刺すようにマチルダに見せるように指を立てながら言う。

 

 

「で、その手柄をティファニアのものにしてしまえば、幾ら王族と言えど文句は言えないでしょ」

「えぇ!?」

「……アンタ、本気でそれを言っているのかい?」

 

 

 自分の名を出されたティファニアは驚いたように目を見開かせて叫ぶ。マチルダもルイズの口から出てきた突拍子もない話に頭が痛くなってきたのか、額を抑える。

 

 

「本気も本気。国が滅びようとしようとしている所に颯爽と現れて国を救うのよ? 血筋としてもモード大公の血を継いでるし、更に言えば虚無である事を証明させてしまえば王族としては尚更文句は言えないじゃない」

「それでテファを利用されたりするかもしれないじゃないか!?」

「だからこそ国を救うのよ。国を救って恩を叩き付けて、文句を言わせない状態にすれば良いんじゃない。後はティファニアの希望で王族として扱われるなり、存在を認めて貰うなりすれば良いじゃない」

「あんた、国相手に脅迫するつもり!?」

「そういう事になるわね」

 

 

 何でもないように告げるルイズの提案にマチルダは絶句し、ぱくぱくと口を開閉する。視線をずらしてみれば苦笑し、お手上げというように両手を挙げているアレクサンドルと、苦笑して頬を指で掻いてるエルザの姿が見える。

 

 

「そもそもの前提がおかしい! 国を救うって……テファに何が出来るって言うんだい!? 虚無だって言っても、テファ自身には記憶を消す魔法ぐらいしか扱えないんだよ!?」

「だから私がいるんじゃない。私が貴族派をどうにかすれば良いんでしょう?」

 

 

 さも当然のようにルイズはマチルダに告げる。ルイズの言葉を受け、マチルダは憤りを叩き付けるように机を叩く。

 

 

「そんな簡単にどうにか出来る訳ないだろ!? それこそあんた一人で何が出来るってんだい!? 相手は軍隊なんだよ!? アンタがガンダールヴでも、軍隊相手には勝ち目なんか無い!! そんな、無謀とも言えない案に乗れる訳ないだろ!?」

「――あるわよ」

「何が!?」

「勝ち目、よ」

 

 

 ぞっ、と。マチルダはルイズの表情を見て、背筋に悪寒を走らせた。マチルダをまっすぐと見据える瞳は風のない水面のように清んでいて、感情を隠してしまっている。

 表情も消え、静けさを感じさせる表情に気圧された。まるで揺らいでないその様はまるで何も疑っていない。自身の発言に何の疑いもない、圧倒的な自信を以てルイズは答えている。

 

 

「まぁ準備はいるから1、2日は欲しいけれどね。でも貴族派を相手にして勝つ算段は私の中にあるわ」

「……本気? いや、正気なのかい?」

「――ハッ。んじゃなきゃ言わないって」

 

 

 不適に笑ってみせるルイズが告げた言葉にマチルダが再び言葉を失うのはごく当たり前の事だった。

 

 

 

 

 

「これでも世界を一つ救った事もあるのよ? ―――国の一つぐらい救って見せるわよ」

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 アルビオン王国、ニューカッスル城。ここは現在アルビオンの王族が纏める王党派が立てこもり防戦を続ける戦地である。だが、その戦力差は思わず鼻で笑ってしまいたくなるまで圧倒的であり、最早、王党派は風前の灯火である。

 故に、城に残りし者達は死ぬ時には多くの敵を道連れにしてやる、と息巻いており、皮肉な事に指揮が最も高いと言えた。

 そんな決死の覚悟を抱く兵達。見張りもまたネズミ一匹たりとも見逃さぬ、と言う程まで緊張を高めて警戒に当たっていた。

 張り詰められた彼等の聴覚がその音を耳にしたのは自然の事だろう。上空より迫る翼の羽ばたきの音。それは飛竜の羽ばたきの音だと察知した彼等は上空へと視線を上げた。

 

 

「竜騎士!? しかし、単騎だと!?」

 

 

 城へと一直線に急降下をしてくるのは空を舞う竜騎士、しかしその数は驚く事に単騎である。その姿に兵達が覚えたのは困惑だ。確かに我が軍は壊滅的な被害を受け、その命運も風前の灯火であろう。

 だが、だからといって単騎で突撃してくる等、無謀とも言えない愚行だ。あの竜騎士は一体何だ、と誰もが視線を向ける。そんな兵士達を嘲笑うかのように竜は滑空し、高度を下げてくる。

 目の良い兵は真っ先に気付く。その竜の背に跨るのは三人。出で立ちから見て大凡、兵とも思えぬ軽装備。その内の一人が―――竜の背を勢いよく蹴って空を舞った。

 

 

「なぁ―――!?」

 

 

 誰もが驚愕の声を上げた。竜の背より飛んだ何者かは重力に身を任せ落下を続けている。フライやレビテーションといった飛翔の為の魔法を使う気配もない。更に驚くべきは―――その手に握られていたのは剣だったからだ。

 剣を握るという事は平民なのか、しかし飛び降りた高度は明らかに魔法が無ければ無事着地も出来ないだろう高度。自殺とも思いかねない行動を見せた何者かは更に驚くべき事態を巻き起こす。

 

 

「―――」

 

 

 風だ。

 風が吹き荒れる。まるで風が落下してくる彼女を守護するかのように猛り、渦を巻き起こす。渦は勢いを増し、近場にいたものは態勢を崩し、下手をすれば渦に巻き込まれかねない。

 そして渦によって兵の誰もが動きを止められている間に竜の背より降り立った者は大地に降り立つ。渦が収まり、改めて降り立った者の姿を見た兵達は呆気取られる。

 少女だ。桃色がかったブロンドの髪を風に揺らし、鳶色の瞳は何かを見定めるように細められている。手に握ったのは少女の身には似合わぬ無骨な剣。ちぐはぐでいて、しかしその姿が余りにも様になっている奇怪な印象。

 困惑は広がっていく。突如現れた彼女は敵なのか、それすらもわからない。警戒するように突き出した杖すら困惑に震えている。兵達の困惑を笑うかのように少女―ルイズ―は鼻を鳴らし、通るような声で告げた。

 

 

「―――アルビオン王国が国王、ジェームズ1世様はご健在かしら? お目通り願いたい」

 

 

 ルイズの問いかけに誰もが呆気取られ、しかしすぐに敵意と警戒を帯びた瞳でルイズを睨み据える。

 

 

「貴様、一体何者!?」

 

 

 前に進み出た兵は恐らく兵達を従える長なのだろう。杖を向け、いつでも立ち向かえるようにと腰を落としながらルイズへと問いを投げかける。

 ルイズはその問いにゆっくりと左手を掲げる。その手に浮かぶのは使い魔のルーン。見せつけるように掲げた手にルイズを取り囲む兵達は訝しげに眉を寄せる。

 

 

「私はガンダールヴ。我が友、モード大公が忘れ形見にして虚無の再臨、ティファニアの意思を受け、ここに馳せ参じた」

 

 

 ルイズが高らかに告げた言葉に兵達の間に動揺が駆けめぐる。アルビオン国の人間であれば知るモード大公の名、更に飛び出した虚無の再臨という言葉。それが兵達の意識を奪い、混乱を呼び寄せる。

 

 

「デ、デタラメを!?」

「デタラメと言うならば試すか! かつて始祖ブリミルが従えた神の左手、ガンダールヴの力を!!」

  

 

 叫ぼうとした兵の声を遮るようにルイズが叫ぶ。始祖ブリミルが従えしガンダールヴ。それは貴族達の間で御伽噺として伝えられている伝承。掲げて見せた左手のルーンをまるで証のように、ルイズは兵達を睨み据える。

 兵達がルイズの気迫に押されるようにして言葉を失う。ルイズの気に呑まれようとした空気を一新したのはこの場に新たに姿を見せた者が発した声によってだった。

 

 

「……敵襲かと思えば、その口上、ただ事ではないようだね?」

 

 

 ルイズは一瞬、その姿に驚き、しかし安堵したように笑みを見せる。ルイズの前に姿を現したのは青年、油断無く杖を構えるその姿にルイズは見覚えがあった。

 親しみを見せるように声を柔らかくし、ルイズは彼に、アルビオンの王子であるウェールズ・テューダーに声をかけた。

 

 

「お会いできて光栄ですわ。ウェールズ皇太子」

「虚無の使い魔を名乗る君は一体何者だ?」

 

 

 彼、ウェールズ・テューダーは警戒を崩さずにルイズを見据える。ウェールズの姿を確認したルイズは口元を緩め、ほくそ笑む。

 手に握った剣を背に吊した鞘へと収める。敵地において鞘を納めるという愚行を為した侵入者に誰もが不気味さを覚えながらも警戒を続ける。

 ルイズが剣を納めたのを合図にしたように空より先ほどの飛竜が舞い降りる。ルイズに気を取られていた為に誰もが竜の降下に気づけず、竜はルイズの傍へと降り立つ。

 その背から二人の人物が降りてくる。その片割れを目にしたウェールズは目を見開き、馬鹿な、と掠れた声を漏らした。

 

 

「なぜ……? 何故、貴方がここに……!?」

「……ふん。久しぶりだね。皇太子殿下殿?」

「マチルダ・オブ・サウスゴータ!!」

 

 

 皮肉気に笑みを浮かべたマチルダの姿にウェールズは唖然としてマチルダを見つめる。

 

 

 

 

「時間がないんだ。さっさと国王陛下に面通しさせな。――アンタの姪が会いに来たってねッ!!」

 

 

 

 * * *

 

 

 

 かつてない緊張がニューカッスル城の謁見の間を支配する。兵達が国王であるジェームズ一世を守るように並び、国王の隣には王子であるウェールズが並び立つ。

 その対面に立つのはルイズ達だ。正面にはルイズが立ち、その後ろにはマチルダとティファニアが守られるように並ぶ。ルイズはすっかりと老け込み、皺を刻んだジェームズを見て、僅かに目を細めた。

 言いようのない緊張感にティファニアが身を震わせ、マチルダが落ち着かせるようにティファニアの手を握る。しかし、彼女の瞳からは感情が伺えない。睨み据えるように視線を向けるのは玉座に座るジェームズへ。

 一体どれだけの沈黙の時間が流れただろうか。沈黙を破ったのは玉座に座るジェームズの言葉だった。

 

 

「……モードの忘れ形見、と言ったな。その言葉に嘘偽りはないか?」

 

 

 老い、疲れ果てたような声であっても威厳はなお消えず。真実を確かめようと、その眼はルイズの背に立つティファニアへと向けられている。まるで誰かの面影を探すかのように。

 ルイズは首を横に向け、ティファニアへと視線を送る。ティファニアはルイズの視線を受け、躊躇したように一度身を震わせたものの、ゆっくりと頭に被っていた帽子を脱ぎ去った。

 頭を覆い隠すように被っていた鍔の広い帽子を脱ぎ去った。帽子を脱いだ事によってティファニアの金髪が揺れ、そして帽子によって隠されていたエルフの象徴である尖った耳が露わになる。

 おぉ、と兵士達の恐怖とも感嘆とも取れる息が零れた。ざわめきが広がる中、ジェームズはティファニアの姿を改めて見据え、静かに目を閉ざし、顔を項垂れさせた。

 

 

「……生きていたのか」

 

 

 どのような感情を持って言葉が紡がれたのか、ルイズにはわからなかった。老王が重ねた時間、自ら投獄した弟の事、そして弟とエルフの間に生まれたティファニアについての感情など、ルイズには推し量る事さえ出来ないだろう。

 暫し、目を閉じて黙考をしていたジェームズだがゆっくりを顔をあげる。そこには私人としての感情は見受けられず、王として応対を決めた姿があった。

 

 

「……エルフの耳に、そしてサウスゴータの娘。なるほど、確かに我が弟、モードの忘れ形見と認めよう。……して? その忘れ形見が亡国の王に何の用だ? 仇討ちにでも参ったか?」

 

 

 王に問われ、息を呑んだのはマチルダとティファニアだ。マチルダは激情を抑える為、ティファニアは威圧感に呑まれた為に。

 ジェームズの言葉に、ルイズが振り返る。後ろにいたティファニアとルイズの視線が絡み、ティファニアは息を整えるように大きく息を吸い、前に出た。

 マチルダと握っていた手を離し、一歩前へ。心配げなマチルダの視線を受けながらもティファニアはルイズに並び立つ。震える手で拳を作り、玉座に座るジェームズを見る。

 

 

「わ、私は……」

 

 

 彼女の言葉に場の緊張が尚更高まる。ジェームズはただ静かにティファニアの言葉を待っている。震え、顔を背けてしまいそうになりながらもティファニアはジェームズを見続けた。

 

 

「……私は、仇討ちとか、そんなつもりはありません」

「……ほぅ?」

「……王様に対して、憎い、って気持ちがない訳じゃないです。だって、貴方は私の両親を、殺したんだから」

 

 

 言葉を選ぶように、ティファニアは言葉を続ける。震えながらも、泣き出してしまいそうになりながらもただ懸命に前を向く。

 

 

「辛かった、悲しかった。でも、でも……! それで、じゃあ、貴方を憎んで……、殺して……、母と父が、帰ってくる訳じゃない……!」

 

 

 遂に堪えきれなかった涙が一つ、ティファニアの頬を伝う。

 

 

「だから仇討ちとか、しません。その為に来た訳じゃ、ない」

 

 

 涙を拭う事もせず、ティファニアは言い切った。そんなティファニアを複雑な表情でマチルダは見つめている。

 二人の姿を見守るようにルイズは見ていた。そしてティファニアの肩にそっと手を置く。

 

 

「……それで、良いのね?」

「……うん」

「わかった。それで良いなら」

 

 

 ルイズは頷いて、ティファニアを下げさせる。一歩引いたティファニアの肩を抱くようにマチルダが寄り添う。限界だったのか、マチルダに寄り添って身を預けるティファニア。

 その姿を見た後、ルイズは改めてジェームズへと向き直った。まるで揺れていないその姿を睨み据えるように。

 

 

「我が友は復讐を望まない」

「……では尚更、何故ここへ?」

「彼女の生きる世界を手に入れに。その為に、彼女の存在を……ジェームズ1世様。貴方が認めてください。彼女はアルビオンの子であると。生を許された存在である事を。この地で、この世界で生きる事を」

「……不可解だ。何故、そんなものを欲す?」

「不可解? 不可解と申したか王よ! ならば何故、ティファニアの両親は死ななければならなかったのですか!?」

 

 

 ルイズの声が謁見の間を響かせる。

 

 

「彼女はハーフエルフです。人にもなれず、エルフにもなれない。始祖ブリミルの末裔である我らが、聖地を奪ったエルフと結ばれ、子を為すなど背信も良いところ! 故に貴方はモード大公を殺した。国を守る為に!

 しかし貴方は国を守れなかった。国は別れ、大地は荒れ、民は荒み! 残せたのは何ですか? 貴族の誇り? 敢えて言いましょう。こんな結果の為に! 貴方はティファニアの両親を殺したのか!?」

 

 

 吠え、噛みつかんばかりにルイズは叫ぶ。牙のように歯を剥く姿に兵の誰もが身構え、息を呑む。ジェームズの傍らに立つウェールズも杖に手をかけ、ルイズを警戒するように睨む。

 しかし、ジェームズの一喝が場を制す。杖を収めよ、と。王の厳命に誰もが戸惑い、けれど王に従うように杖を下げた。

 

 

「……では、ガンダールヴ殿よ。そなたはどうしろ、と言うのか」

「率直に言いましょう。この亡国、アルビオンの全てを……ティファニアに渡していただきたい」

 

 

 しん、と。場が沈黙を帯びた。ルイズはただ凜としてその場に立つのみ。

 

 

「……ガンダールヴ殿。敢えて問おう。何故だ?」

「……何故?」

「君が言った通り、既に我ら王党派の敗北は決しているだろう。ならば何故その亡国を欲す? 君の言っていることは合理的ではない。故に理解が出来ない」

 

 

 ジェームズは首を振った。彼が言ったとおり、理解が出来ないだろう。彼女の言うとおりこの国は滅びる運命だ。それはもう間もなく訪れるだろう。

 故にジェームズは理解が出来ない。その存在を認める、という事も、滅びようとしている国を求める事も。何もかもが合理的ではなく、その先の展望を想像する事も出来ない。

 

 

「滅びる国だからこそ、です」

「……どういう事かね?」

「新しい国とするのです。人間とエルフの間に生まれるハーフエルフが認められる国にするのです」

「……正気、なのかね? 仮に、仮にこの亡国を貰い受け、君のように国を為すとしよう。しかしそれは始祖ブリミルへの背信だ。ロマリアが……いいや、ハルケギニアが黙っていないだろう」

「――ではティファニアはどこで生きれば良いのですか!?」

 

 

 国王の問いにルイズは叫ぶ。

 

 

「人間でもなく、エルフでもなく、両者の血を引いた彼女はどこで生きれば良い? 生きる場所がないから生まれる事自体が間違っていたとでも言うの? 

 ――違う! ならば命は生まれていない! 世界は彼女の存在を許している!! 生まれたからには許されている!!

 命は巡る! 時に争って、時に傷つけ合って、時に憎み合って、失わせたり、奪ったりして! でも世界はそれを許してくれる! でも、傷つけ合うだけで、憎み合うだけで、失うだけでは命は巡らない!

 この6000年という長い時を私達は始祖ブリミルが為した命の流れに守られてきた! でも、その流れだけではティファニアが救えないなら!! 生きる事すら許されないというのならば私は新たな流れを作る!!

 ティファニアはこの世界に生まれた、許されるべき新たな命だ!! 虚無の魔法を蘇らせた事も!! 彼女がこの世界に許されて生まれた証だ!!」

 

 

 

 

 

 ――そう、だからこそ。

 

 

 

 

 

 

「滅びる国が王よ。ただ滅びるならば、共に新たな世界を作って欲しい。ティファニアから両親を奪いながらも国を守れなかった貴方たちだからこそ。ティファニアを許してくれる世界を作る事に手を貸しなさい! 新たに生まれた虚無が! 始祖ブリミルの偉業を超える為に!!」

 

 

 

 

 

 

 


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