朝凪天日と長宮優奈が会食してる時、《ゼヴィア》の基地では
既に対《リバティー》の作戦準備がとられていた。
『月波博士...対の様子は?』
『はっ、《氷結》も《炎熱》も対人戦闘に向け調整済みです。
我らに反する者はみな凍てつき、そして灰塵となるでしょう。』
『そうか...兄上よ、この戦いは《必然》でありまた、
我々《ゼヴィア》の勝利も《必然》なのですよ。』
そう言って、《ゼヴィア》首領、朝凪暮人は奇しくも
兄、朝凪天日と同じように不敵に笑みを浮かべていた。
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ーー私は夜空達月波三姉弟が穏健派だと思ってた。
ある程度の戦闘能力は護身用だと思ってた。
けど、それは違っていた。
夜空達は、冗談では済まされない程の殺気を放っていた。
それはまさしく、敵を屠らんとするほどに。
天日さんとお茶を飲んだあと、夜空に対して、
「ねぇ、夜空...そんなに親が憎いの...?どうしてそんなにも
親を憎めるの...?仮にも...仮にも親でしょ...!」
『親だからだよ、優奈...あいつは自らの私利私欲の為に
自分達の娘を...真夜を、モルモットにして、壊して、
新しい人格を植え付けて、それだけでは飽き足らず、
植え付けた人格すら壊すド外道だ。そんなの...
生かしておくわけにはいかないんだよ!』
夜空の主張はやや極端にも聞こえる。
が、それはやはり事情を知っているから、
というよりかは血族であるから、というのもあるかもしれない。
けど、私は何か、何とも言えないある種の違和感のような、
私と夜空の間に、普通じゃない隔たりがあることに気付いた。
「夜空...その話はさっきも聞いたよ。私には...それだけとは思えない。
どうしたの夜空...いつもの冷静な夜空はどこにいったの...?」
『確かに今僕は冷静じゃない。けど、この戦いは《必然》なんだ。
夜宵姉さんも夜天姉さんももう準備している...優奈はここで
おとなしくしてて。こうなることは、決まってたから。《必然》だから。』
そう言って夜空は去っていこうとした。
《必然》...その言葉を聞いた時、違和感の確信を得た。
何がどう違うのかは全く分からないけど、夜空は今、
私の知っている月波夜空ではないことは分かった。
どうしてだろう。夜空は私にとって特別なのだろうか。
きっとそうなのだろう。そう思っていよう。
そんなことよりも、今は夜空を止めなくては。
「待って夜空...!」
夜空の腕を掴む。私の手を振り払おうと夜空は腕を動かすが、
途中で不自然に止まった。お父さんがよく見ている野球の
ハーフスイングのごとく、振り払おうとして、やめた。
『優奈...?あれ、僕は一体何を...たしか、《ゼヴィア》
から宣戦布告があって、それで...』
「そこから...!?ってことは...どういうこと...?」
夜空が盛大にコケる。
『もしかしたら、僕たちは...君には効かないけど、
何者かにマインドコントロールを受けていたのかも...』
「マインド、コントロール...けど、そんなのいつ...?」
『まさか...まずい、姉さん達が...!』
夜空が気づいた時には遅かった。
夜宵さんや夜天さんのいる部屋の方角から、銃声と叫びが聞こえたのだから。
「嘘...まさか、夜宵さん!夜天さん!」
私の叫びは空しくこだまするだけだった。
そして...程なくして銃声が無くなった。
向こう側から足音が近づいてくる。
『...誰だ...!』
すかさず夜空が銃を向けた。
『待て待て、私だよ夜空君。』
足音の正体は、天日さんだった。
そして、天日さんは辛そうな顔をしていた。
『ボスですか...敵襲ですよね...しかもマインドコントロールで
姉さん達を操って...それで、姉さん達は...!?』
『夜空君...残念だが、《ゼヴィア》の連中の手引きをさせられた後に、
機銃の掃射を受けたようだ。...目も当てられない状態だった。
侵入してきた部隊は全て片付けたが、余りにもむごい...
すまない、夜空君。私がもう少し早く気づけていれば、きっと、
こんなことにはならなくて済んだのだろうに...』
天日さんの声音は段々弱くなる。いくら大人でも、辛いのは当然だ。
かくいう私にも相当なショックがあることは自明。
「嘘...夜宵さんも、夜天さんも...さっきまで...さっきまで一緒にいて、
それで...そんなことって...そんなことって...!」
泣き崩れたい筈の夜空よりも先に泣き崩れてしまっていた。
『仇を、とるよ、姉さん達...だから、僕に、力を...
誰もかれも不幸してしまうこの僕に...せめて誰か
一人でも護れる力を...僕に、授けてくれ...』
夜空は静かに、しかし誰よりも深く傷つき、その涙は、
目を赤く染めるだけでなく、敵を全て真っ赤に染めてやらんとする
強い怒りと憎しみまでこめた、悲しみの涙だった。
『僕が、《ゼヴィア》を、ぶっ潰す...!』
後書きコーナー。
え、《必然》って何で《》が付いてるの...?
と、思ったそこのあなた!
えぇ、あなたの思う意味で《》が付いてます。
と、いうわけでまた再来週~