長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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第11話 悲劇の物語

月波夜空。

 

彼は絶対的、相対的、そして全体的に不幸不運であり、

不幸不運を振り撒く《天災》の能力者。

 

『全て能力と言って片付けられるのなら楽なんだけどね、

 どうやら僕のこれは仕組まれたものだったんだろう...』

 

そう夜空は言った。硝煙と血の焼けた匂いがたちこめる空間の中、

慟哭の後に、淡々と。

 

『仕組まれたもの、か...何故、そう思うんだい?』

 

天日さんが夜空に問う。

そして夜空が答える。

 

『きっと、それが僕の、運命なんだと思います。

 他者を不幸に引きずりこむ運命の力...僕は、《悲劇》の運命力を

 持ったんだと思います。他人よりも、自分自身が一番、不幸になりつつあるのだから。』

 

「《悲劇》...」

 

悲劇、辞書で調べると悲惨な出来事、とある。

なるほど、確かに納得はいく。しかしそれでも、まだ決めつけるには

時期尚早だろう。それに、もしそうであったのだとしても、私なら...

 

『夜空君、運命力ならば、優奈君がいるだろう?』

 

あ、天日さんに先を越された。

 

『そうですけど...そしたら優奈はずっと僕に束縛されてしまう...

 僕は...そこまでさせてまでこの運命に抗う気なんて無いです。』

 

「違うよ夜空...!」

 

反射的に声を出していた。束縛?そこまでさせる?確実に違う。

当の夜空は少しだけ、ほんの少しだけ驚いたような、そんな顔をした。

 

「束縛なんかじゃないよ...私が好きでやることだよ...だって...

 いや、そうでなくとも...不幸が振り撒かれるのを防げるのも、

 それで夜空が不幸になるのを防げるのも..私だけだから。」

 

『優奈...いや、でも...』

 

夜空はそれでも否定しようとする。

自らの不幸の運命を享受しようとしている。

それでも、私はそんなのは認めたくない。だって夜空は...

 

「反論なんてさせないよ。しようものなら、説き伏せるまで。」

 

私は、そう言った後に一拍の呼吸を置いた。

二拍の深呼吸を置いた。

三拍の沈黙も置いた。

そして、黙っていた夜空に四拍もの間、抱きついた。

 

『優奈...!?』

 

狼狽してよろめく夜空を支える。

今はまだ、これでいい。けど、いつかは物理的だけでなく、

精神的にも支えてあげたい。そんな思いを込めて、

私は夜空を強く抱き締めていた。

 

『...離れてよ、優奈...いくら君でも、僕の生み出す不幸は

 止められない...いくら、君でも...!』

 

「そんなの...!そんなのやってみなくちゃわかんないよ!

 夜空が今、辛いのはわかる。けど、夜空は言ったでしょ、

 何もない平坦な日々を過ごしている私のほうが辛いって...

 そう思ってくれてるんだったら、辛いなら辛いなりに...

 日常を過ごそうよ......夜空は...誰かを不幸にするのが嫌なんでしょ...?

 だったら、私だけでいいから...」

 

自己犠牲というものなのかは分からないけど、せめて、私は夜空の

支えになりたかった。今、それができたのかどうかはわかんないけど、

夜空と一緒にいれるのは嬉しかった。素直には喜べないけど。

 

--けど、それでも私は口走っていた。

 

 

「夜空......好きだよ。」と。

 

 




後書きコーナー。

話が進んでませんね、こうなったのも全て私の責任だ。だが私は謝らない。

というか、能力が運命力にグレードアップすることもあるんですね。
作者が言うなという声が聞こえます。

では、また再来週~
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