長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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大変お待たせしました。22時間30分の遅刻です。

では、どうぞ。


第14話 独白と物語

僕にとって、長宮優奈とはどういう存在だったんだろうか。

失ってから気づいた、という大仰なものでも無いけど、

僕の生み出す不幸を少しだけでも抑制してくれる、

救いの女神のような、そんな存在だった。

 

それに比べて僕は何を優奈にしてあげたのだろうか。

戦いに巻き込んで、暴走の事実を突きつけて、

挙げ句、《ゼヴィア》の連中にさらわれて...

 

『僕は...何をしてるんだよ...結局、優奈も不幸にしてしまったじゃないか...』

 

その一人語りには誰も何も答えてはくれない。

答えられる筈もない。だって、僕のこの呪われた力は誰も理解することは

出来なんてしない。僕と同じ、《悲劇》の運命力でも持たない限り。

 

だがしかし、そもそもの話だが、運命力というものは重複しない。

運命は交錯し、他者と運命を共にすることはあれど、個人としての、

人間一人一人の運命は人それぞれ、つまり一つとして同じ物はない。

 

何を言いたいのかと問う人もいるだろう。

だったら僕は何も言わない。

 

例え問われたとして、その答えを理解させることはできないのだから。

 

...思えば、僕の運命はあの狂気と狂乱のマッドサイエンティストが親だった

時点で、僕の、いや、僕達運命は定まっていたのだろう。

 

永遠にして悠久にして絶対の不幸。

 

それは、僕の家族、夜宵姉さんと夜天姉さん...そして真夜をも不幸に、

いや、不幸どころではない、三人とも、もういない。

厳密には真夜は生きている。それでも心が壊されていては

それを元の真夜と認められるだろうか。

 

認めたくても認められない。

その苦しみはどうしようもなく僕の魂を穿つ。

 

いっそのこと、僕が奴ら、《ゼヴィア》に捕まって、何も考えることも

できないくらいに壊されるのもありかもしれない。

 

けど、それじゃダメだ。

それじゃ、《虚無》の運命力の引き金になりかねない。

 

無自覚、無意識に優奈は人を消し飛ばした。それは事実。

優奈にとって、それは枷だ。数多の犠牲の上に立つ事は、

優しすぎる優奈には酷だ。

 

そう、優奈は優しすぎるんだよ。

 

『だからか...だから僕は頭ではいちゃいけないって、不幸にさせて

 はいけないって、思ってたのに...優奈を、無意識にしろ意識的にしろ、

 求めてしまってたんだ、それをどれだけ否定したくとも出来ない、

 だって僕は、優奈が好きだから...』

 

失ってから気づいた、という大仰なものでも無いけど、

気づくには遅すぎた。

 

あの狂気と狂乱のマッドサイエンティストにはそれすら無意味なのだから。

 

 

----------

 

 

『フフ、ようこそ《ゼヴィア》へ、長宮優奈さん。さて、逆さ釣りとむち打ち、

 どちらが好みかな?あぁ、でも君に自由意思は今は存在していない。』

『あなた、まだ新入りなのよ、ここはやっぱり拘束監禁、そして水攻めか

 水着にさせて凍えさせるかだよ...それとも南極装備で50°Cの部屋にでも

 放り込むのもありかしら...軽く10時間くらい...脱げないようにしてね。』

 

目覚めた私の耳に聞こえてきたのは恐ろしいほどの、

耳を疑うような言葉の数々。そして目に映る人影。

 

『兄上の《リバティー》もこれで終わりだ...では、月波博士...

 殺さない程度に、壊してください。』

 

恐怖以外の何物でもない感情が私を覆いつくす。

 

《ゼヴィア》...そこは、悪魔の巣窟だった。

 

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