数多の水が私に降り注がれる。
氷点下3度の部屋で、しかも水着姿にされて。
さらなる上には30分おきに南極調査隊の装備を濡れた水着の上から
着させられ、50度のサウナのような暑さの部屋に放りこまれる。
《平常》の運命力でも、死なない、というレベルにしか護身出来ていない。
そしてそれを、あの科学者達...夜空の両親は知ってて延々と続けている。
正直、体は大丈夫でも心は限界だった。
『ヒャッハー!真夜でも音をあげた3セット目を耐えてるよ、
こりゃたまげた。壊しがいがあるなぁ!』
『けどあなた、殺しちゃだめよ。そうねぇ...しばらく休憩させて
あげましょう、録音したあれでも聞かせながら。』
『おぉ、あれか。よし、休憩だ、長宮さん、食事にしよう。』
そんな放送の後、水が止み、部屋も室温にゆっくりと戻っていく。
あれとはなんだろうか。寒くて思考が回らない。声も出せない。
挙げ句、何を考えていたか忘れた。
そんな時にだった。ペースト状の食事とともに、銃声と、
生々しい女の人の悲鳴、聞いたことのあるような断末魔の叫び、
別の銃声で倒れる男の声とべちゃというグロテスクな音。
「なに、これ...」
気づけば私は声を出していた。
繰り返される銃声と悲鳴のせいで食欲は減る一方。
だけど、さっきよりも鮮明な映像が私の脳裏をよぎる。
声も聞き覚えがある。そう、これは《ゼヴィア》が夜宵さんと
夜天さんを殺したときの...その時の音声だ。
『あはは、これは傑作だ!じゃあ次はVR技術でも試してみるか!』
『それを言っては元も子もないでしょあなた...じゃあ、準備でも
しますか..ほら、食事食べないと保たないよ?』
「保たないって...保たせる気なんてないくせに...」
食事は食べない。食べる気になんてなれない...
そしてそんなことを考えていたら眠くなってきた。
夜空...私、耐えられるのかな...
『今度は、甘い夢でも見てもらいましょうか...』
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目が覚めると、そこは《リバティー》の、私の部屋だった。
「帰って...これたの...?」
頭がぼーっとするが、それでもここは私の部屋だった。
「良かった...帰ってこれた...」
その安心感は計り知れない。終わることのない拷問の輪廻
から解脱出来た...というのは私の表現ではないけど、
少しキャラが変わるレベルで嬉しいのは確かだ。
嬉しさを噛み締めてるときに、ドアをノックする音が聞こえた。
『優奈、入るよ。』
それは、夜空だった。
部屋に入ってきた夜空の顔を見て、私はとても、
とてもとても安心した。安堵感からくる涙も溢れた。
「よぞらぁ...帰ってこれたよぉ...」
夜空に抱きつき、顔を埋める。
夜空は抱き返してくれる。
『ごめん、何も出来なくて...お帰り、優奈。』
「うん...ただいま、夜空...」
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『幻影の中でラブコメとは、考えますな、月波博士。』
『なに、押してだめなら引くまでですよ...
ちゃんと壊すので、ごゆっくりお待ちください。』