長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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第15話 狂気の物語

数多の水が私に降り注がれる。

氷点下3度の部屋で、しかも水着姿にされて。

さらなる上には30分おきに南極調査隊の装備を濡れた水着の上から

着させられ、50度のサウナのような暑さの部屋に放りこまれる。

 

《平常》の運命力でも、死なない、というレベルにしか護身出来ていない。

そしてそれを、あの科学者達...夜空の両親は知ってて延々と続けている。

 

正直、体は大丈夫でも心は限界だった。

 

『ヒャッハー!真夜でも音をあげた3セット目を耐えてるよ、

 こりゃたまげた。壊しがいがあるなぁ!』

『けどあなた、殺しちゃだめよ。そうねぇ...しばらく休憩させて

 あげましょう、録音したあれでも聞かせながら。』

『おぉ、あれか。よし、休憩だ、長宮さん、食事にしよう。』

 

そんな放送の後、水が止み、部屋も室温にゆっくりと戻っていく。

あれとはなんだろうか。寒くて思考が回らない。声も出せない。

 

挙げ句、何を考えていたか忘れた。

そんな時にだった。ペースト状の食事とともに、銃声と、

生々しい女の人の悲鳴、聞いたことのあるような断末魔の叫び、

別の銃声で倒れる男の声とべちゃというグロテスクな音。

 

「なに、これ...」

 

気づけば私は声を出していた。

繰り返される銃声と悲鳴のせいで食欲は減る一方。

だけど、さっきよりも鮮明な映像が私の脳裏をよぎる。

声も聞き覚えがある。そう、これは《ゼヴィア》が夜宵さんと

夜天さんを殺したときの...その時の音声だ。

 

『あはは、これは傑作だ!じゃあ次はVR技術でも試してみるか!』

『それを言っては元も子もないでしょあなた...じゃあ、準備でも

 しますか..ほら、食事食べないと保たないよ?』

 

「保たないって...保たせる気なんてないくせに...」

 

食事は食べない。食べる気になんてなれない...

そしてそんなことを考えていたら眠くなってきた。

夜空...私、耐えられるのかな...

 

『今度は、甘い夢でも見てもらいましょうか...』

 

 

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目が覚めると、そこは《リバティー》の、私の部屋だった。

 

「帰って...これたの...?」

 

頭がぼーっとするが、それでもここは私の部屋だった。

 

「良かった...帰ってこれた...」

 

その安心感は計り知れない。終わることのない拷問の輪廻

から解脱出来た...というのは私の表現ではないけど、

少しキャラが変わるレベルで嬉しいのは確かだ。

嬉しさを噛み締めてるときに、ドアをノックする音が聞こえた。

 

『優奈、入るよ。』

 

それは、夜空だった。

部屋に入ってきた夜空の顔を見て、私はとても、

とてもとても安心した。安堵感からくる涙も溢れた。

 

「よぞらぁ...帰ってこれたよぉ...」

 

夜空に抱きつき、顔を埋める。

夜空は抱き返してくれる。

 

『ごめん、何も出来なくて...お帰り、優奈。』

「うん...ただいま、夜空...」

 

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『幻影の中でラブコメとは、考えますな、月波博士。』

『なに、押してだめなら引くまでですよ...

 ちゃんと壊すので、ごゆっくりお待ちください。』

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