長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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第2話 物語の役者

「戦う...?私が...?」

 

--夜空は分かっている筈だ、私はただの女子高生だ。

 

『そう、君と、僕たちとで。』

 

「...どうやって...?」

 

『僕は一応戦闘も出来る訓練はしてあるからね、直接的な君への攻撃は

 僕が排除する。君は僕たちの敵の力を無効化してほしい。』

 

「だから、どうやって...!?」

 

思わず声を荒げる。

 

--少し身体が痛むのは仕方ない...

 

『ふむ、まぁ、無理もないよね。いきなりこんなこと言われたら。』

 

「夜空...あなた、一体私に何を求めてるの...?」

 

『求めてる、か。それはね、優奈。』

 

 

 

《救済》だよ。

 

 

 

--そう言って、夜空は病室から出た。

 

『長宮さん、貴女は《平常》の運命力の持ち主。...嫌が応でも、貴女は私達と、

 《ゼヴィア》の抗争に巻き込まれる。せめて、敵にならない事を望むわ。』

 

「《ゼヴィア》...?」

 

『《リバティー》と対をなす、危険な組織よ。』

 

「危険な、組織...?」

 

『これ以上は言えないわ。けど、貴女は夜空といた方がいい。』

 

「夜空と...?ところで、貴女の名前は?」

 

『私?私は月波 夜宵。夜空の姉よ。』

 

「お姉さん、ですか...」

 

『そうよ。夜空のこと、頼むわ。』

 

「頼むって...って、あれ?夜宵さん、夜空って、周りの人に不運が起きますよね...?」

 

『そうよ、あの子は《天災》の能力を持ってるの。

 だからずっと人との関わりを絶っていたのよ。』

 

--やっぱり、そうだったんだ...

 

「ところで、能力って、何ですか?」

 

『能力は...先天的な特殊性のあるもの、としか言えないわね。

 私達が気にしているのは、能力よりも凶悪で、対処も難しい力、"運命力"。』

 

「運命力...?」

 

『貴女も持っているわ。』

 

「えっと、《平常》でしたっけ...」

 

『そう。効果は...推測だけど貴女の身に起こる全ての事象の無効化。』

 

「だから、事故に遭っても何も起きなかったわけですか...」

 

『骨も折れなかったとはね...おっと、長話が過ぎたわね。

 私もここで失礼するわ。それと、長宮さん。』

 

「何ですか?」

 

『《リバティー》へようこそ。』

 

--そう言って夜宵さんは出ていった。

 

 

「ようこそ...?」

 

 

--私は《リバティー》に入るなんて一言も言ってない。

 

...ただ一つ不可解なのは、両親が一切合切見舞いに来てないことだ。

 

...一体ここは、何の病院なのだろう。設備も整っている。最新機器だろう。

 

「能力、運命力...どういうことなの、全く...」

 

 

=貴女も持ってるのよ。=

 

 

「私は、ただの女子高生よ...?」

 

私はずっとそんなことを考え続けた。

 

 

----------

 

 

時は流れて退院したとき、私は知った。

 

全ては《リバティー》の差し金であったことに。

 

差し金...辞書でひくと操り人形の操作する道具のこととある。

 

つまりはこの病院は《リバティー》の管轄下の病院であり、

 

《リバティー》の人間以外入れない。親族くらい入れてほしいものだが。

 

「ますます分からない。どうして私なんだろう。」

 

"どうして"というフレーズは便利だ。最近多用しているから過労で倒れて欲しくはない。

 

 

『ほう、《リバティー》から解放されましたか。全く、黒鷺君という奴は。』

 

 

聞きなれない、背後から私に向けられた声。

 

それは興味ととれるような声だった。

 

だが、私は普通の女子高生だ。こんな状況に出会えばこう言うのは当然だろう。

 

「誰...っ!?」

 

振り向いて警戒する。

 

「そんなに警戒しないで下さいよ、お嬢さん。ここはほぼ奴ら、

 《リバティー》の管轄...挨拶に来ただけですよ、長宮優奈さん。」

 

「私の、名前...!」

 

ますます警戒する。ストーカーだろうか。

 

「貴女は有名ですよ?《平常》の運命力の持ち主として、ね...」

 

「またそれを...私はただの、ただの女子高生よ!?」

 

「ふむ、自らの可能性、優位性を否定しますか...まぁよいでしょう。

 私は《ゼヴィア》の頭目、朝凪暮人。以後、お見知りおきを。では。」

 

そう言って、朝凪はどこかへ消えた。

 

...ただ一つ分かったのは...

 

「何、あの人...気持ち悪い...」

 

朝凪暮人とは、全くそりがあわず、また全く会いたくない、

 

 

--私の嫌悪の対象を凝縮したような存在であったことだ。

 

 




今回の言葉。優奈ちゃんは文学少女です。

差し金:大工さんが使う直角の定規みたいなあれ。

というだけでなく、操る、や支配下などという意味もある言葉。

例文は「奴らの差し金か!?」とかですかね。


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