「戦う...?私が...?」
--夜空は分かっている筈だ、私はただの女子高生だ。
『そう、君と、僕たちとで。』
「...どうやって...?」
『僕は一応戦闘も出来る訓練はしてあるからね、直接的な君への攻撃は
僕が排除する。君は僕たちの敵の力を無効化してほしい。』
「だから、どうやって...!?」
思わず声を荒げる。
--少し身体が痛むのは仕方ない...
『ふむ、まぁ、無理もないよね。いきなりこんなこと言われたら。』
「夜空...あなた、一体私に何を求めてるの...?」
『求めてる、か。それはね、優奈。』
《救済》だよ。
--そう言って、夜空は病室から出た。
『長宮さん、貴女は《平常》の運命力の持ち主。...嫌が応でも、貴女は私達と、
《ゼヴィア》の抗争に巻き込まれる。せめて、敵にならない事を望むわ。』
「《ゼヴィア》...?」
『《リバティー》と対をなす、危険な組織よ。』
「危険な、組織...?」
『これ以上は言えないわ。けど、貴女は夜空といた方がいい。』
「夜空と...?ところで、貴女の名前は?」
『私?私は月波 夜宵。夜空の姉よ。』
「お姉さん、ですか...」
『そうよ。夜空のこと、頼むわ。』
「頼むって...って、あれ?夜宵さん、夜空って、周りの人に不運が起きますよね...?」
『そうよ、あの子は《天災》の能力を持ってるの。
だからずっと人との関わりを絶っていたのよ。』
--やっぱり、そうだったんだ...
「ところで、能力って、何ですか?」
『能力は...先天的な特殊性のあるもの、としか言えないわね。
私達が気にしているのは、能力よりも凶悪で、対処も難しい力、"運命力"。』
「運命力...?」
『貴女も持っているわ。』
「えっと、《平常》でしたっけ...」
『そう。効果は...推測だけど貴女の身に起こる全ての事象の無効化。』
「だから、事故に遭っても何も起きなかったわけですか...」
『骨も折れなかったとはね...おっと、長話が過ぎたわね。
私もここで失礼するわ。それと、長宮さん。』
「何ですか?」
『《リバティー》へようこそ。』
--そう言って夜宵さんは出ていった。
「ようこそ...?」
--私は《リバティー》に入るなんて一言も言ってない。
...ただ一つ不可解なのは、両親が一切合切見舞いに来てないことだ。
...一体ここは、何の病院なのだろう。設備も整っている。最新機器だろう。
「能力、運命力...どういうことなの、全く...」
=貴女も持ってるのよ。=
「私は、ただの女子高生よ...?」
私はずっとそんなことを考え続けた。
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時は流れて退院したとき、私は知った。
全ては《リバティー》の差し金であったことに。
差し金...辞書でひくと操り人形の操作する道具のこととある。
つまりはこの病院は《リバティー》の管轄下の病院であり、
《リバティー》の人間以外入れない。親族くらい入れてほしいものだが。
「ますます分からない。どうして私なんだろう。」
"どうして"というフレーズは便利だ。最近多用しているから過労で倒れて欲しくはない。
『ほう、《リバティー》から解放されましたか。全く、黒鷺君という奴は。』
聞きなれない、背後から私に向けられた声。
それは興味ととれるような声だった。
だが、私は普通の女子高生だ。こんな状況に出会えばこう言うのは当然だろう。
「誰...っ!?」
振り向いて警戒する。
「そんなに警戒しないで下さいよ、お嬢さん。ここはほぼ奴ら、
《リバティー》の管轄...挨拶に来ただけですよ、長宮優奈さん。」
「私の、名前...!」
ますます警戒する。ストーカーだろうか。
「貴女は有名ですよ?《平常》の運命力の持ち主として、ね...」
「またそれを...私はただの、ただの女子高生よ!?」
「ふむ、自らの可能性、優位性を否定しますか...まぁよいでしょう。
私は《ゼヴィア》の頭目、朝凪暮人。以後、お見知りおきを。では。」
そう言って、朝凪はどこかへ消えた。
...ただ一つ分かったのは...
「何、あの人...気持ち悪い...」
朝凪暮人とは、全くそりがあわず、また全く会いたくない、
--私の嫌悪の対象を凝縮したような存在であったことだ。
今回の言葉。優奈ちゃんは文学少女です。
差し金:大工さんが使う直角の定規みたいなあれ。
というだけでなく、操る、や支配下などという意味もある言葉。
例文は「奴らの差し金か!?」とかですかね。
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