世界の終わりというのは唐突だった。
あの紋様の中心にいるのはおそらくながみやさん。
お兄ちゃんの生み出した現象...けど、どうしてお兄ちゃんが死んだ
ときじゃなくて一年後に起こったんだろう...
『夜空君の望んだ《救済》...世界の崩壊か...』
考えられない。いや、考え付いたとしてももう手遅れだ。
だって、もう世界は終わる。
『行きます、《ゼヴィア》基地にならここからすぐ...!』
『言ったところで止められるものでもあるまい...だが...
君はそうせずにいられないのだな。行きたまえ。真夜君。』
天日さんは動きそうにもない。
私は行こうと思ったけど、視界がだんだん白けてくる。
意識も遠のいていく。そうか...
これが...世界の終わり...
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あぁ、訪れてしまった。いずれ来ると分かっていたけれども、そうなるから忘れたくて、
自由意思に自由にさせていたのに、訪れてしまった。
私の、《救済》のプログラムが発動する時が。
『幽君...君は...一体何をしている...』
朝凪暮人が私に疑問を投げ掛ける。
私は数十秒前まで『虚目 幽』であったが、今の私には名がない。
便宜的に、私が生まれた時に付けられた名でも語るか。
「私は...《救済》を呼び覚ます者。福音の女神。朝凪暮人。貴方は私、いや、
虚目 幽に月波夜空を殺させた。そのせいでこの《救済》が自動的に行われることになった。」
私の足元から半径が分からないほどに特殊な紋様が広がっている。
『これが...月波夜空の《救済》だとでもいうのか...ちぃ...完全にこの世を
手中に収めた筈ではなかったのか...』
朝凪暮人は動揺する。他責の念も感じ取れる。
「貴方は...人の上に立つには利己的過ぎた...」
そして一拍置く。
「さぁ、《救済》の時間だ、月波夜空。貴方の十六年と八ヶ月四日と二時間の
押さえ込んだ絶望と悲劇と災厄の力を、全て引き出して、全てを救おう。」
『幽ぁ!』
朝凪暮人は私に向けて発砲する。無駄なことだ。今の私は、いかなる外的干渉を
受けず、《救済》を執り行う福音の女神...
「潰えよ、邪なる者よ。貴様を救うならば、貴方よりも罪の軽き罪人を
千人救う方が、世界の為になろう。もっとも、救われた後の世界など、
私の管轄ではないが...」
朝凪暮人は私が手を下す。腕を朝凪に向けて振るだけで、原子に還元させる。
「さぁ、横槍ももうない...救われよ、世界...」
瞬間、全てが紋様から出ずる白き光が世界を包み...
全てが砂漠となり、世界の上に残された生命は私一人。
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「夜空...」
砂漠の中に、瞬間的に自由意思を得た私はその一言に万感の思いを込めて言う。
夜空に出会う前に作られた、偽物の記憶から、夜空に出会ってからの悲しみの記憶も、
全て、夜空がいなければ存在しなかったもの。
「さよなら、言えなかったね、ゴメンね、夜空...
やり遂げたよ...《救済》。」
私の体も光となって消えつつある。
「今行くよ...夜空...」
一粒の泪が砂漠に落ちる。
光に包まれた私は消える。
-そして、この物語は終わる。
続く余地もなく、終わる。
『そうか...やってくれたんだね、優奈...』
「頑張ったよ、夜空...」
完、結...
初オリジナルというわけで色々至らないところもありますが、
まぁ、ここまでお付き合い頂いた皆様はそのところご了承されてるものと思います。
オリジナル二作目は...しばらく作りませんね。
一つ構想はありますがそれはオリジナルではないので...
しばらくは新生に集中しますね。
では、長宮優奈の能力事情、完結です。
ありがとうございました。