長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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第3話 物語の悪役

《ゼヴィア》頭目の朝凪暮人と会ったこと以外はほぼ全く問題ない朝から数時間。

 

私は今、夜空と昼食をとっている。

 

『悪いね優奈...僕の分まで頼んじゃって。』

 

「いいよ別に、これぐらい。」

 

厳密に言えばとり始めたというべきか。購買で買ってきた焼きそばパンと

夜空のお金を交換して彼は焼きそばパンを口に運ぶ。

 

『予想より早かったなぁ、朝凪の奴。』

 

--ここは屋上だ。夜空と私以外は絶対に来ない。

 

何でそう言い切れるのかというと、やはり夜空との関わりを大多数は避けているからだ。

 

「その名前は聞きたくないよ...何か、とっても嫌な人だったから。」

 

だろうね。そう夜空は言った。

 

『朝凪はまぁ、えげつなさすら感じるくらいの理論派と言われてる奴だからなぁ...』

 

「夜空より...?」

 

『まぁ、ね。てか、僕と比較するのは間違ってるよ。』

 

そんなことはないだろう、私よりかは筋が通っている話をする。

 

『それよりも優奈。《リバティー》本部に君を連れて来るように言われてるんだ。』

 

「本部に?どうして私が?」

 

率直すぎる疑問をぶつけてみる。

 

『そりゃ、組織初の運命力の持ち主だからさ。』

 

「へぇ...って、いつ私は《リバティー》に入るって言ったっけ?」

 

『言ってないよね、うん。知ってる。夜宵姉さんが言ってた。』

 

「じゃあなんで...」

 

『君を、《ゼヴィア》の連中から護るため。』

 

--こうもはっきり言われては断れない。

 

「...わかった。行くよ、夜空。」

 

『良かった。《リバティー》一同、歓迎するよ。』

 

「けどまだ授業と部活が...」

 

『なーに、《リバティー》は大きな組織だよ。いなくなっても欠席にはならないさ。』

 

「権力にもの言わせてるね...って、もしや、今から行くの!?」

 

『そ、夜宵姉さん、こっちは準備できたよ。』

 

「え、夜宵さん?」

 

『うん、夜宵姉さんは《転移》の能力者...おっと、優奈、ちょっとごめんよ。』

 

そう言って夜空は私をお姫様抱っこする...って、嘘でしょ!?

 

「よよよよよ夜空!?ちょ、ななな、なんれお姫様抱っこなの!?///」

 

『あー、君の《平常》の運命力だと、夜宵姉さんの能力が無効になるだろうから

 直接転移門に触れないようにしてるのさ。ご不満かな?姫様。』

 

「姫様って...夜空らしくもない悪ふざけはやめてよ...!」

 

『夜空、お邪魔だったら面会キャンセルしてもいいわよ?』

 

--助かった、いつの間にか転移し終えていたようだ。

 

『あー、それは困るから行こうか。』

 

「え?うん。ていうか、いい加減下ろしてよ...」

 

『はいはい。』

 

今日の収穫は夜空にもお茶目なところはある、だけど...

 

「お茶目すぎるのも考えものよ...」

 

『優奈?何か言った?』

 

「ううん、なんでもない。」

 

『ふーん、ならいいけどね。』

 

そんな会話から、内容は重くなっていく。

 

『夜空、夜天と一緒に《ゼヴィア》第二四基地を潰しに行って。』

 

『面会後に?』

 

『面会するのは優奈さんだけよ。』

 

「え?私一人でですか!?」

 

夜空は言わなかったよそんなこと!?

 

『そうよ。うちのボスも邪魔立て無しで話したいみたいだし。』

 

『大丈夫かなぁ...あの人ちょっと不思議じゃん。』

 

『大丈夫よ。女子高生に手を出すほど愚かではないから。』

 

「そ、それって...それはなくとも愚かって事じゃ...」

 

『だよねー...まぁ、会って見ればわかるよ、百聞は一見にしかずってね。』

 

「うわー、不安...」

 

そう言いつつも夜空が私を納得させる。諺は本当に役に立つ。

 

『じゃあ、行ってくるから優奈はボスと話しておいて。』

 

「わかった。」

 

 

 

 

--こうして私は、大きなうねりの中に飲み込まれてく。

 

私の住む町で起こる、二つの組織の能力抗争。

 

--それはまるで、かつての源平の争いや、関ヶ原の戦いのよう。

 

少なくともこの時点では、そんな客観的に見ることが許されていた。

 

......と、思うよ、私は。




今回は諺。

『百聞は一見にしかず』

文字通りの意味で、聞いた話よりも見た方が早い様を指す。

見たものは大体信らじれる物ですよ。多分。

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