長宮優奈の能力事情   作:Feldelt

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第4話 危機と物語

--私は、《リバティー》のボスに面会することになった。

 

夜空も心配だが、まずは目の前のこの人...いかにもボスと言える風格をもっている。

 

『君が、長宮優奈さんかい?』

 

私に対して問う。それは、朝凪とは違う純粋な問いかけだった。

 

「はい、そうです。」

 

『夜空君から話は聞いているよ。私が《リバティー》のトップ、朝凪 天日だ。』

 

衝撃が走る。朝凪...!?あの《ゼヴィア》の...!?

 

『暮人にはもう会ってしまったようだね、すまない。あれは私の弟だ。』

 

「弟...!?けど貴方は...」

 

『あぁ、君の味方だ。第一、《リバティー》という組織は《ゼヴィア》が作られたことで

 生まれた、一種のワクチンみたいなものだよ。』

 

「それが、《リバティー》...」

 

自由、それがリバティーという言葉の意味だ。

 

ならゼヴィアとはどういう意味があるのだろうか...

 

『しかし何故暮人が《ゼヴィア》などという組織を作ったのか...それがわからない。』

 

ただ、そう天日は言葉を繋ぐ。

 

『奴は運命力所持者にして国際指名手配の超危険人物、黒鷺 冷爾と手を組んだ。

 それが、私達《リバティー》を作らせた。』

 

「待ってください、じゃあ夜空はそんな奴がいるかもしれない組織の基地に

 行ったんですか!?そんなの、危なすぎますよ!!」

 

思わず言葉に怒気がこもる。

 

『落ち着きたまえ、まさかそんなピンポイントに暮人の腹心がいるはずなかろう。』

 

「そんなの、憶測にしか過ぎません、私、行きます...!」

 

『二四基地にかい?確かに一番近い基地だがそれでも走っても15分はかかるぞ?

 それに、そこでは間違いなく銃弾が乱れとんでいるだろう。危険過ぎる。』

 

「大丈夫です。何も起こりません、私には。...だって、そういう運命ですから。」

 

そう思うと空しいが、だがしかし夜空が危ない上にトラックとぶつかっても無事だった前例がある。

 

『運命力...か。車を出そう。数刻待ってくれ。』

 

「...はい。」

 

--夜空、無事でいてよ...

 

 

 

----------

 

 

 

 

『えぎゃぎゃ...いいねぇ、俺の力が騒いでいやがるよ...』

 

不吉な声を僕たちは聞いた。

 

『夜天姉さん...まさかとは思うけど...』

 

『よぞくん...そのまさかだね。情報が漏れてる。』

 

『《停止》の能力があっても...』

 

『使う前に皆殺られちゃうね...』

 

人生を諦めるには早いかもしれないが、僕の《天災》の能力が夜天姉さんに

かかってそれで黒鷺を呼んだのなら納得がいく。

 

『《リバティー》の部隊さんよぉ、ボスの兄者は元気かぁ?元気ならこういってやれ...

 あんたは部下を死地に送り込んだ愚か者だってな!』

 

『伝えるよ。じゃあ、一つ聞いていいかな?』

 

『どうせそんなに長くない人生だろう?良いぜ、答えてやるよ。』

 

『なら...どうして私達がここに来るってわかってたの?』

 

夜天姉さんが核心を問う。朝凪 暮人の腹心が何故いるのか。

 

『簡単な話だぁ、ボスがあんたらの新入りに盗聴機を仕込んだだけのことだよ...!』

 

『優奈に...!?通りでね...』

 

『さぞかし可愛い女だったようだが...まぁ、殺していいって言ったから殺ろうと

 トラックをぶつけてやったのによぉ...何で生きてやがるんだろうなぁ...』

 

 

 

「それが、《平常》運命力だから。」

 

 

 

『優奈...!?どうしてここに...!?』

 

何故かここにいてはいけないはずの優奈がいる。

 

「夜空が危ない所にいるって、ボスが言ってたから。」

 

『それは君も同じだよ...!』

 

『お嬢ちゃん...あんただな、俺の力をコケにした奴は...!』

 

まずい、激昂している、それに周囲にはマシンガンを持った連中まで...!

 

『優奈!ここは退くよ!』

 

『甘いんだよ、撃ちやがれぇ!』

 

『ち、姉さん!』

 

『言われなくてもだよ!』

 

夜天姉さんが指を鳴らす。襲いかかる銃弾は止まるが、黒鷺と優奈は止まらない。

 

そもそも《停止》の能力はある範囲の物体の動きを停止させるだけの能力。

物理学的に言うならベクトルは止められるがスカラーは全く影響がない。

 

それに、やはり運命力所持者にも効かない。

 

『面白ぇ、んじゃぁ、その首刈り取ってやるよ、お嬢ちゃん!』

 

黒鷺がナイフを持ち優奈に肉薄する。《停止》の能力を解けば銃弾が全て僕らを穿つ。

 

つまり、優奈は絶体絶命なのだ。さらに悪いことに、声すら出せない。波もベクトルだからだ。

 

 

--優奈...!

 

 

僕に出来るのは祈ることだけ、黒鷺のナイフが、優奈の首元を捉える。

 

畏怖に怯えた表情を僕らに向け、優奈は目をつむり、黒鷺は銀輝くナイフを、降り下ろした。




今回は優奈ちゃんと夜空君の挿絵です。弟が無茶ぶりに答えてくれました。

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というわけで皆さん、良いお年を~
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