--結局どうなったのだろうか。
黒鷺に蹂躙されたのか、それともその前に夜空が助けてくれたのか。
《リバティー》の援軍が来てくれたのだろうか。
--それとも、《ゼヴィア》に捕まったのだろうか。
戻ってはいる意識だが、まだ朦朧としている。
故に目を開ける事もまだ出来ない。
だが、あることに気づいたせいで飛び起きる事になった。
...いや、正確には飛び起きても"拘束具"によって胸の辺りが
押さえられている...つまり起きられない。
「どういうこと...?ここは...?」
自らの問いは自らで見つけるしか無かったが、周りは白い壁と窓、
一人部屋にしては無駄に広く、天井は見たことがある。
「《リバティー》の、病院か...」
だが、だとしたら一つ大きな問題がある。
"何故《リバティー》が私を拘束するのか"、だ。
生憎その答えはそうそう聞けそうになく、足音一つすら響いてきていない。
「隔離、かな...だとしてもなんで...」
分からない事を考えるのが学問と言うが、明らかに学問とは関係のない状況だ。
ただ、一つあり得る線があるとすると、私の意識が無かった時。
そこにきっと、何かある。
そのある種の確信を持った私の前に何人かの人が来て、
ベッドごと移動させられたのは間もなくの事だった。
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『ふむ...これは困った事になったねぇ、まさか第二四基地を砂漠化させるだなんて...』
《リバティー》本部、ボスの部屋。そこには今、僕、夜空と夜宵姉さん、ボスがいる。
『ですがボス、こんな事になるなんて予想出来ないでしょう!』
状況は言葉にしても理解するのは難しい。
なんせ、あんなことを言葉にする方が難しいのだから。
『落ち着きなさい夜空。夜天も貴方も怪我だけで済んでいるのは
幸運であることを肝に銘じておくよう言ったわよね。』
夜宵姉さんから釘を刺される。実際、僕の左腕の骨が折れた。
『僕は怪我でも...夜天姉さんは...!』
僕が左腕骨折なら夜天姉さんは両足を膝下から切断だ。とても怪我で"済んだ"ではない。
しかし、そう言わざるを得ない事情が目の前にある。
『私の判断ミスもあるが...同志とも言える部下達をこうも失ってはな...』
ボスの悲哀に満ちた声は場に静けさを、悲しみを呼ぶ。
--僕達を回収するために第二四基地に送られた人員約50名は、文字通り"消えた”のだ。
『...あまりにも危険過ぎる。例え《ゼヴィア》の基地を壊滅させたからといっても、
また今回みたいな暴走を"彼女"が起こしたら...!』
『落ち着きたまえ夜宵君...だが、いや、だからこそ、"彼女"を弟に、
《ゼヴィア》に渡してはいけない。そうだろう?夜空君。』
夜宵姉さんの憤りとも取れる心配の矛先をボスは僕の方へいなした。
『はい...僕は、"彼女"に...優奈に、助けて貰いたいんです。』
『例えそれが...あの暴走の果てとしてもかい?』
『はい。』
結局、僕は誰かを不幸にする。だけど優奈は違う。
彼女だけは、不幸ではない。そう信じてた。
--けど、不幸は伝播して、道連れにする。そういうものだ。
結局は、大体僕のせいなんだよ。
『ボス、対象が目覚めました。』
ドア越しに声が聞こえた。
『ふむ、起きたか。ならば拘束を解いて、ここへ。』
『分かりました。』
数刻して優奈が入ってくる。
「夜空...夜宵さん、天日さん...一体、どういう状況なんですか...!?」
今の優奈は知らない。例え無意識のうちの暴走だとしても、間接的な要因としても、
僕の腕を折り、夜天姉さんの足を切断まで追いやり、仲間を消し飛ばしたのは...
僕のただ一人の友達である...優奈なんだよ。
その事実を伝えることは、完全に優奈が、《リバティー》と《ゼヴィア》の
抗争に巻き込まれる事を意味する。
--それは、ある意味優奈を不幸にしたのかもしれない。
そんなことを、僕は腕の痛みを感じながら思い、遂に口を開いた。
『説明するよ、優奈...いや、要監察対象004、長宮 優奈。』
後書きコーナー。
今回は月波 夜宵の設定などなど。
Age:22
Skill:《転移》
ある場所にいる物を目的地へ転送する能力。
大きさはそんなに関係ない。但し、展開される魔法陣
の範囲内にいないと転送出来ない。また、夜宵が認識
出来る場所にいなければ、転送不可能。
Character:超理性的な冷血主義者。但し身内には優しい。
では、次回もお楽しみに。