もこっちの楽しい日常   作:ニックワンワン

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【ホラー】原幕小の七不思議(エピローグ的おまけ)

原幕小の七不思議

五年一組 黒木智子  

【はじめに】わたしは自由研究のテーマとして、この学校の七不思議を調べました。原幕小学校は今年で創立一三三年目を迎えますが、その長い歴史のなかで実はこれまでに沢山の七不思議が流行ってきたことを、きっとみんなは知らないと思います。そして、幽霊や妖怪が本当にいることも信じていない子が多いと思います。

 わたしと、わたしが会長を務めるオカルト研究会(略してオカ研と呼びます)のメンバーは、この研究を命がけで進めていくうちに、この世のものではない者たちに何度も出くわしました。わたしたちが撮った本物の心霊写真があるので、見たい人はいってください。ずっと昔に旧校舎で撮られた心霊写真も見せてあげます。

 オカ研は三年三組の今江先生が顧問をしていて、会員はわたしを入れた五年生が三人、わたしの弟の四年生が一人です。もし入会したい人がいたら声をかけてください。怖いものやふしぎなものに興味のある人、歓迎です。

 それでは、これから色んな世代の七不思議を紹介していきます。お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんがウチの学校にかよっていたことがあるという子がいたら、ぜひこの七不思議を教えてあげてください。きっと懐かしがってくれると思います。

 

【戦前の七不思議】

 大正末期から昭和の最初期にかけて流行った噂たちで、原幕小の歴史のなかでもっとも古い時期に成立した七不思議です。明治後期におこった怪談ブームのなごりがうかがえ、江戸時代の妖怪伝説や、地方の民話を題材にした噂も多いようです。

▼1 上総の化猫党(かずさの ばけねことう)

 学校に住みついている六匹の人面猫たち。「内御前(うちごぜん)」という妖術使いの猫又(猫妖怪の一種)がリーダーで、狙った人間を校内に建てた自分たちの屋敷へ言葉巧みに誘い込み、よってたかって食い殺す。ヘビが大の苦手らしく、見せつけてやると追い払うことができる。江戸時代の民話においても上総国(かずさのくに)(現在の千葉県中部)の山中にあらわれる妖怪として語られ、歌と踊りが得意とされている。※四年生の国語の教科書に載っている『キモビトと内猫(うちねこ)』は、この化猫党をモデルにしたお話だそうです。

▼2 喪蠱入道(もこにゅうどう)

 ものすごく大きな巨人で、昼間は寝ているが夜になると地響きを立てながら校内を散歩しはじめる。ダイダラボッチの仲間らしい。奈良時代に書かれた〈上総国風土記(かずさのくにふどき)〉という幻の古文書に「独人法師(ヒトリボッチ)」という呼び名でその伝説が載っていたとされ、茂子原市の土地は喪蠱入道が整えたといわれている。

▼3 光姫人形(みつひめにんぎょう)

 いつもどこかで児童たちのことをそっと見ている日本人形。もとは学校の創立五〇周年を記念して地元の人から寄贈されたものだったけれど、関東大震災のあとに行方をくらましてしまい、それから何年かして学校のあちこちで目撃されるようになった。

▼4 姉弟崎の山女(あねとさきの やまおんな)

 白いコートを着た髪の長いノッポの妖怪で、「ポポポポポ」とブキミな鳴き声を上げる。死んでしまった弟の代わりを探していて、気に入った男の子を見つけると連れ去ろうとする。茂子原市に伝わる古い民話のなかでもその存在が語られていて、そこでは山女に狙われたときの対処法として、身代わりの人形を用意するか、希心ノ森の神社(今はもうない)にお参りするのがよいとされていた。

▼5 蠱毒の壺(こどくの つぼ)

 虫をぎっしり詰めこんだ壺が校内のどこかに隠されていて、そのフタをあけてしまうと壺から湧き出た虫の大群におそわれる。「蠱毒」というのは呪術の一種で、たくさんの虫を壺に閉じ込め共食いさせることで強力な呪いの力を生み出すことができるという。

▼6 里崎屋敷の隠し穴(さとざきやしきの かくしあな)

 校内のどこかに隠されているワープホールで、これを通っていくと見知らぬ場所へ出てしまう。学校が建てられている土地にはかつて里崎家という武家の屋敷が存在していて、隠し穴もこの家の人々がもしものときの避難用に作り出したとされている。

▼7 きこさん

 ゲタをはいた小さな女の子で、子供に首輪をつけて死ぬまで引きずり回したり、犬の姿に変えたりするという。もとは希心ノ森の神社に祀られていた神さまだったとも、あるいはずっと昔にこの神社の巫女さんをしていた女の子の幽霊だともいわれている。「きこさん祭り」という禁断の儀式をおこなうと、きこさんがあらわれるらしい。※調査のためにオカ研がこの儀式を試してみましたが、たいへんな目にあいましたので絶対に真似をしないでください。

 

【戦時中の七不思議】

 第二次世界大戦のころに流行ったもので、戦時体制ならではの怪談が中心です。当時は自粛(じしゅく)ムードのせいで世間から怪奇性を帯びた話題がすっかり消えていましたが、それでも子供たちだけは大人に隠れて色んな噂をしあっていたようです。大戦がはじまる数年前に人気だったマンガや、そのころ世の中を騒がせた人さらい怪人の話を題材にしたものもあり、これらは戦前を懐かしむ上級生たちによって生み出されたのかもしれません。

▼1 国民学校放送の怪(こくみんがっこうほうそうの かい)

 授業中にラジオで学校放送を聴いていると、突然お経が流れてくることがある。これは茂子原市にある上総国分寺(かずさこくぶんじ)というお寺のお坊さんたちの唱えるお経が電波に紛れ込むせいだといわれている。

▼2 怪球ショボーン(かいきゅうしょぼーん)

 しょんぼり顔の模様がえがかれた白い巨大な物体がときおり空を飛んでいるが、これは陸軍にて開発中のひみつ兵器が試験飛行をしているのだという。たった一機で敵国の戦車や航空機を多数撃破する力を秘めているらしい。また、一説には兵器ではなく飛頭蛮(ひとうばん)という妖怪の仲間の「飛翔坊(ひしょうぼん)」であるとも、あるいは怨霊となった大昔の武士の生首であるともいわれている。

▼3 黒い短冊(くろい たんざく)

 七夕祭りのときに飾る笹のてっぺんに、一枚だけまっくろな短冊が飾られていることがある。これを読んでしまった者は呪われて死ぬらしい。七夕が終わるころになると、知らないうちにこの短冊は消えてしまっているという。

▼4 人食いアリの復讐(ひとくいありの ふくしゅう)

 巨大な軍隊アリの群れが学校を徘徊していて、これにつかまってしまうと巣に連れ去られてしまうという。このおばけアリは子供に殺されたアリたちの怨念が集まったもので、普段からアリをいじめて遊んでいるような子供を狙うとされる。アリジゴクを怖がる習性があり、それを見せてやると一目散に逃げていく。

▼5 白紙の書状(はくしの しょじょう)

 みんなからの笑いが取れずに死んでしまった子の怨念がこもった紙。なにも書かれていない書状が折り畳まれて地面に落ちていることがあるが、これをひらいてしまった者には笑いの止まらなくなる呪いがかかる。そのままでいるとやがて笑い死にしてしまうが、誰かにおもしろい冗談を聞かせてもらうことで症状がおさまるという。

▼6 あの世へ通じる黄泉ヶ池(あのよへ つうじる よみがいけ)

 校門前の池に腐った魚の死がいが浮いていたら、それは池があの世とつながっている証拠なので、このときは決して池を覗いてはいけない。もし覗いてしまうと池のなかから死者の手が無数に伸びてきて、あの世に引きずりこまれてしまう。もうひとつの噂では、池に向かって戦地で亡くなったお父さんの名を呼ぶと、その顔が水面に映って話をすることができるという。

▼7 蠱惑マント(こわくまんと)

 放課後になると、時計塔の上に黒いマント姿の軍人さんが立っている。この軍人さんは『のらくろ』(作・田河水泡(たがわすいほう))というマンガのキャラクターのお面で顔を隠しているが、軍の密命を受けて活動しているスパイだという。素顔を見せた相手を魅了して自分の虜にする能力があり、蠱惑マントに魅了されたものはそのままどこかへ連れ去られてしまうらしい。

 

【戦後復興期~高度経済成長期の七不思議】

 戦争が終わって復興事業が盛んとなり、日本が大きく経済発展していこうとする時期に流行った噂たちです。マンガ界では『鉄腕アトム』の連載がはじまり、映画界では『ローマの休日』や『ゴジラ』が公開されるなど、日本の娯楽文化が新たな幕開けを迎えていましたが、怪談のほうは戦争のなごりを感じさせるものが多いようです。

▼1 鬼校長(おにこうちょう)

 戦時中、この学校にはとても厳しい校長先生がいて、ささいなことで児童を激しくせっかんしたり、ときにはやり過ぎて殺してしまっていたらしい。このおそろしい先生は病気で死んでしまったけれど、今でも幽霊となって校長室にあらわれ、血のついた湯飲みを手に児童が来るのを待っているという。

▼2 紫キババア(むらさききばばあ)

 食糧難のころ、飢えのあまり妖怪になってしまったおばあさん。全身が紫色で、虎のように大きなキバが生えている。足が速くて力も強いこのおばあさんは子供の生き血、特に心の優しい子の血が好物で、かみついて血を吸おうとしてくる。出くわしてしまった場合は、「きんぴら甘い」と唱えながら逃げれば助かる。力の源となっているキバが折れたり抜けたりすると白い灰になってしまうらしい。

▼3 絵がかける安藤くん(えがかける あんどうくん)

 絵が得意だった男の子の幽霊。毎日学校に居残って展覧会に出すための絵をかいていたが、完成しないうちに交通事故で死んでしまった。それでも作品を完成させたい彼は幽霊になった今も学校のどこかで絵をかき続けているらしい。安藤くんのかいた絵を見てしまった者は、数日以内に彼と同じ死に方をするという。

▼4 きれいだったマリアさま

 学校に置いてある「マリアさま」という銅像が、ときおり血の涙を流す。本来は母子像として赤ちゃんとセットで造られたものだったけれど、抱っこしていた赤ちゃん像を失ってからは、おこったような怖い表情へと変わってしまった。ときおり本来の優しい顔に戻って子供に話しかけてくるが、このときに相手をしてしまうと赤ちゃんの代わりにされてしまうという。悩みを抱えている子供はマリアさまに「迷える子羊」と見なされて、特に狙われやすいとされる。

▼5 ねぇさんのげんこつ

 階段の踊り場にある大きな鏡(もうなくなった)の前に立つと、鏡のなかにげんこつをにぎりしめた女の子があらわれて肩を殴ってくる。他にも腕をつねってきたり、服の裾をつまんできたりするが、たまにものすごい力で頭を叩き割ろうとしてくることがある。この魔の鏡は戦時中に地元の人が学校へ寄贈したものらしい。

▼6 十九番目の防空壕(じゅうきゅうばんめの ぼうくうごう)

 学校のなかにある防空壕は本来十八個しかないけれど、たまにひとつ増えていることがある。この防空壕に一旦はいってから外に戻ると、見知らぬ場所に出てしまうという。

▼7 保健室のしずくちゃん(ほけんしつの しずくちゃん)

「死ズ苦ちゃん」ともいう。学校中の男の子たちから好かれていたかわいい女の子がいたけれど、あるとき保健室で死んでしまった。それ以来、保健室に彼女の幽霊が出るようになり、「落ちる、落ちる」といってしくしく泣いているという。なにが落ちるのかは謎で、爆弾が落ちてくるとか、髪の毛が抜け落ちるとか、色々いわれている。しずくちゃんがあらわれるとカーテンが赤く染まるが、これは彼女が血を沢山吐いて死んでいったから。「大丈夫だよ」と、なぐさめてあげると安心して泣き止む。

 

【六〇年代半ば~七〇年代半ばの七不思議】

 東京オリンピックが開催され、日本初の新幹線が開通したころに流行った噂たちです。特撮番組『ウルトラマン』や、マンガ『ゲゲゲの鬼太郎』が人気になるなど、子供たちのあいだで科学やオカルトへの関心が高まっていた時期で、その影響を感じさせる噂が多いようです。

▼1 まぼろしのキツネヘビ

 学校のどこかに生息しているという未確認生物。キツネの頭がついたヘビのような姿をしていて、体は白いふわふわの体毛におおわれている。

▼2 砂場に埋められた女の子(すなばに うめられた おんなのこ)

 砂場から英語で助けを求める声が聞こえてくるが、近寄ると地中から手がつきだしてきて足をつかみ、引きずりこもうとしてくる。これはこの砂場に生き埋めにされて死んでしまったいじめられっ子の幽霊のしわざで、自分を埋めたいじめっ子たちをずっと恨んでいるらしい。

▼3 家庭科室の魔女(かていかしつの まじょ)

 黒魔術に詳しい児童がいて、魔女の家系の子供だという。魔法の毒薬の実験のため、調理実習のときに料理へ薬を混ぜ、クラスメイトをみなごろしにしようとしたらしい。この騒ぎは集団食中毒事件として実際にニュースにもなったことがある。

▼4 音楽室のU先生(おんがくしつの ゆーせんせい)

 音楽室でひとりでにピアノが鳴っていて、なかにはいると閉じ込められる。するとU先生があらわれて、〈きよしこの夜〉を歌うようにいってくるが、ちゃんと最後まで歌いきらないと外へ出してもらえない。U先生はむかしこの学校で音楽教師をしていたが、楽しみにしていたクリスマス会の前日に死んでしまったらしい。

▼5 ワイハ星人(わいはせいじん)

 UFO(ユーフォー)に乗ってC棟屋上の天文台(もうなくなった)にやってくる宇宙人。純粋な心の持ち主の前にだけあらわれるとされていて、遭遇した者は彼らの住む光の国に招待してもらえるという。

▼6 四次元水路(よじげんすいろ)

 大雨が降る日、学校にある水路を四時四四分に覗くと、四次元の世界へとつながった「ディメンジョン・ストリーム」を見ることができる。このとき水路に落ちてしまうと時空の彼方へ飛ばされてしまうが、番人のおじさんが助けてくれることもある。

▼7 フーセン太郎(ふーせんたろう)

 放課後になると、校門前で怪しい着ぐるみが風船を配っている。これを受け取ってしまうと、抱きしめられて放してもらえなくなる。※私は実際にフーセン太郎を見たことがありますが、外見は千葉県のマスコットキャラのチーバくんによく似ていました。

 

【八〇年代の七不思議】

 七〇年代オカルトブームを引きずっていたころに流行った噂たちです。校内暴力の深刻化や、テレビゲーム人気の過熱ぶりを背景に生まれた噂などもあり、当時話題になっていた事柄の影響がうかがえます。

▼1 のっぺらぼうのサチ・ノリ・マキ

 悪口ばかりいっている子供に取りつく三人組の顔なし妖怪で、とてもおしゃべり。取りつかれた子はそれまでの友達関係を全て失うが、代わりにサチ・ノリ・マキのことを親友だと思い込まされてしまうという。もとから友達がいない子には取りつかないものの、代わりにその子への悪口を言いはじめるので聞かないほうがいい。

▼2 学年マキ戻し(がくねんまきもどし)

 テスト用紙の名前欄に緑色のボールペンで「マキ戻し」と書くと、自分の学年をひとつぶん巻き戻すことができる。また、あまりにも過去に戻りたがっていると、知らないうちにこの巻き戻し現象が起きてしまうともいわれている。

▼3 目無しのスケバンライダー(めなしの すけばんらいだー)

 事故死した暴走族の幽霊が、バイクに乗って運動場を走り回っていることがある。通りかかった子供を追い立てたり、竹刀で叩いたりしてくるが、サイフの中身を全部差し出せば見逃してもらえるという。また、タイマン勝負を挑んで勝つことができれば消え去るらしい。

▼4 トイレの魔子さん(といれの まこさん)

 A棟三階の女子トイレに出る女の子の幽霊で、三番目の個室にはいるとあらわれる。友達になってほしいと頼んでくるが、もし断ってしまうと大変なことになるという。生前の魔子さんはとてもお人よしだったけれど、友達のことでものすごく悩んでいて、とうとうそのストレスで死んでしまったらしい。

▼5 加速するパスの怪(かそくする ぱすの かい)

 ゴール台の手前でボールがひとりでに跳ねていることがある。このボールには悪霊が取りついていて、どこまでも追いかけて攻撃してくる。「ヒナーボール」とも呼ばれていて、もとはバスケットボールが得意だった子の生首だという説があり、「ヒナー」というのもその子の断末魔だったとされている。

▼6 旧校舎の怪(きゅうこうしゃの かい)

 午前零時に旧校舎へ足を踏み入れると、窓や扉がすべて閉ざされてなかにとじこめられてしまう。深夜の旧校舎は冥界とつながっていて、死者の霊魂がさまよっているという。

▼7 やべー奴(やべーやつ)

 発売後まもなく回収され、販売停止となった幻のゲームソフトがあった。このゲームをクリアしたあとに画面の前で禁断の歌を歌うと、真のラスボス「やべー奴」が現実世界にあらわれてプレイヤーを殺しにくるという。やべー奴はとても狂暴なので、プレイヤーの家族もまとめてみなごろしにされるらしい。

 

【九〇年代の七不思議】

 九〇年代初期に流行った噂たちで、このころは怪談や都市伝説が日本中の子供たちのあいだで大ブームになっていました。最後のところで紹介している神さまの話は少し変わっていて、これは今まで誰にも知られていなかった「七番目の七不思議」だそうです。

▼1 ひとりぼっちの先輩(ひとりぼっちの せんぱい)

 卒業式の帰りに心臓発作で死んでしまった六年生の男の子が、毎年卒業式の日になると校門前にあらわれるようになった。式を終えて家に帰っていくみんなのことをさみしそうに見ているが、記念写真を撮ってあげると満足して消えていくという。

▼2 ピンクの番号(ぴんくの ばんごう)

 昇降口にあるピンク色の公衆電話から「96(クロ)」を3回プッシュすると声色もしゃべり方も自分とそっくりの人間が電話に出てこちらの真似をしてくるという。これは電話機にとりついた幽霊のイタズラなのだけれど、()()()な言葉を真似させようとすると向こうのほうから電話を切ってくる。

▼3 人面犬・キモイーヌ(じんめんけん・きもいーぬ)

 人間のような顔をしたノラ犬が学校に迷い込んでくることがある。頭がよくて人なつっこいが、もとは人間だったといわれていて、呪いのせいで犬になってしまったらしい。

▼4 闇のプロゲーマー・死鬼(やみの ぷろげーまー・しき)

 ゲームやスポーツなどで誰かと対戦するのが大好きな女の子で、あらゆる勝負ごとにおいて達人級の腕前をもつ。普段はゲームセンターに入り浸っているが、たまに学校へもやってきて、目をつけた相手に対戦をもちかけてくる。もしこの申し出を受けて試合に負けてしまうと、魂を吸い取られて死んでしまうという。死鬼が挑戦してきたとき、それに応じず「乱入おことわり」といってやればおとなしく去っていく。

▼5 例のあの人(れいの あのひと)

 学校に出没するブキミな女の人で、口裂け女に似ている。モテたくて仕方がなく、いつも自分が人からどう見られているかを気にしているため、誰彼かまわずつかまえて「わたしってカワイイ?」としつこくたずねてくる。しかし結局どう答えても最後には機嫌が悪くなり、「わたしがモテないのはどう考えてもおまえらが悪い!」と叫びながら、カマをふりかざして追いかけてくるという。例のあの人についてはたくさんの噂があって書ききれないが、彼女のせいで学校中が大騒ぎになったことがある。

▼6 裏幕(うらまく)

「裏の原幕小学校」の略で、この学校の裏側に存在するもうひとつの学校のこと。校内のどこかにひみつの入り口が隠されていて、そこから裏幕へと行くことができるが、一度はいったら二度と帰ってこられないとされている。昔は希心ノ森にも似たような場所があったらしい。

▼7 喪蠱原忌孤神(もこはらのきこのかみ)

 C棟裏の小屋のなかにある祠(昭和のはじめごろに設置された)の神さまで、もとは子供をさらっていく怨霊として平安時代の人たちにおそれられていたらしい。昔は希心ノ森にあった神社のほうで祀られていたけれど、この神社は関東大震災のときに倒壊してしまって、今はもうない。祠の前へC棟を建てようとしたときに怪奇現象が多発し、完成したあとも一階南側の教室で女の子の笑い声が聞こえるようになったので、今は空き教室になっている。※祠が小屋のなかに隠されている理由についてはオカ研にて調査中です。

 

【二〇〇〇年代の七不思議】

 ここ最近になって生まれた噂たちです。まだあまりみんなに知られていませんが、もう少ししたら原幕小学校の七不思議として新聞で紹介されるかもしれないので、そのうちきっと有名になります。

▼1 あかずの小屋の花子さん(あかずの こやの はなこさん)

 C棟裏の小屋に潜む幽霊。この小屋の入り口はいつも鍵がかかっているけれど、時々あいていることがある。そのときになかを覗いてしまうと花子さんに引きずりこまれ、異次元に存在するもうひとつの学校へと連れ去られてしまう。

▼2 鬼体育教師(おにたいいくきょうし)

 とてもデリカシーのない先生がいて、朝になると校門の前に立って児童にあいさつをするよう命令してくる。とにかく無神経で余計なお世話ばかりしてくるので、被害にあった児童はみんなストレスで死んでしまったらしい。片目をパチンとつむるのが癖。

▼3 人面ゼミ(じんめんぜみ)

 背中に人の顔が浮き出ているセミが学校の木にへばりついていて、「キモキモ」とか「きもいきもい」と鳴きわめいている。この鳴き声を発しているのは背中の顔で、歯をくいしばった悔しそうな表情をしているという。人面ゼミの抜け殻はとても貴重なので、ペットショップに持っていくと一個一〇〇円で買い取ってくれる。

▼4 マリア先生のエンジェルメイク(まりあせんせいの えんじぇるめいく)

 人にメイクしてあげるのが得意な、ものすごい美人の先生がいる。マリア先生にメイクしてもらった子は天使のようにかわいくなれるけれど、その代わり数日後に死んでしまうという。それは先生のしてくれるメイクがお葬式のときに故人へ施すための「死化粧(エンジェルメイク)」だから。この先生のことを他の先生たちは誰も知らない。

▼5 ちんちん姉妹(ちんちんしまい)

 ふたりの女子の変態が、男子のちんちんを狙っているという。ちんちん型の手作りチョコを渡してくるのが姉で、ちんちんを見てみたいなとねだってくるのが妹。この姉妹はいつも仲よしだけれど、たまにちんちんを巡って争うこともあるらしい。

▼6 消えた兄弟校・原幕狂育学園(きえた きょうだいこう・はらまくきょういくがくえん)

 原幕小との戦いに敗れた結果、先生や児童ごと異次元に封印されてしまった兄弟校がある。ここに足を踏み入れてしまうと、二度ともとの世界に帰れなくなる。七不思議のひとつ「あかずの小屋の花子さん」は、この学校にかよう児童の一人らしい。

▼7 Kちゃんからのメール

 Kちゃんという子から突然メールが送られてくる。このメールのなかでKちゃんがクイズをひとつずつ出してくるが、もし全問正解できなかったり、クイズ自体を無視してしまうと、Kちゃんがやってきて犬の姿に変えられてしまう。クイズの問題は全部でみっつあって、順に「わたしが好きなのは?」「わたしが嫌いなのは?」「わたしのホントの名前は?」となっている。ひとつめの答えは「お姉ちゃん」で、ふたつめの答えは「ウソをつく人」だけど、みっつめの答えは誰も知らない。

 

【おわりに】原幕小の七不思議は、これで全部です。でも、ここに書いていないようなことが他にも沢山あります。そういうのも、いつかちゃんとまとめて発表したいです。みんなも怪奇現象に遭遇したり、幽霊を見てしまったりしたら、そのことを教えてください。わたしたちオカルト研究会が真相を調査してあげます。

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