Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
医者「帯状疱疹ですね、あともう少し遅れてたら手遅れでしたよ。」
自分「マジかよ…orz」
医者「お薬出しますけど、基本的に自然治癒で治すしかないのでしっかりと睡眠、休養を取ってくださいね。」
というわけで更新遅れて申し訳ありません、お待たせしました演習です。
「…行くぞダンテ!」
武蔵はそう言って、いきなり艤装の主砲をダンテに向けて発砲した。あたりに轟音が響き、一つの炎の矢がダンテに迫る。しかし、音速を超えるその弾丸を、ダンテは軽く身体を翻すことで回避する。
「…Ha-ha!
ダンテは楽しそうな表情を崩さずに、まるで犬を呼んでいるかのように腰を落として両手を叩きながら挑発を続ける。それを見た朧と漣が目を合わせ、アイコンタクトを送り合う。
二人は同時に武蔵の方を見る。
「…武蔵さん!」
「…分かった。」
朧の呼びかけに、武蔵はダンテを見据えながらそう返す。それと同時に、駆逐艦の速度を生かし、朧と漣がダンテへと急速に接近していく。ダンテはそんな2人を見ながら、軽くいたずらっぽい笑顔を見せる。
「漣!」
「そこなのねっ!」
朧の呼びかけと同時に、漣がダンテに向けて主砲を放つ。ダンテはそれを見て、軽く笑いながら足に力を入れる。海上を滑るように動きつつその弾丸を回避すると、朧達に迫る。そのスピードは、速力が高い島風のそれよりも速く見えた。
「!…来た!」
「速っ!?」
朧と漣はそう言いながら、気を引き締めて主砲を構える。いつ攻撃されても対応できるように、身体を落ち着かせる。しかし、ダンテの次の行動によって、その二人の集中は完全に切れることになる。
目の前のダンテが、突如として消えたのだ。一瞬、思考回路がフリーズする。
「中々やるな、俺も少し本気を出さなきゃな。」
それと同時に、ダンテの声が二人の耳に響く。それも、頭上からである。
「えっ?」
思考が戻ってきた漣がそう呟いたと同時に、ダンテが水しぶきをあげて二人の間に降り立っていた。まるで天使が降臨してきたかのように、その瞬間だけ時が止まった。
「!?…」
ほんの一瞬反応に遅れた朧がそれに気がつき、そちらに主砲を向けた。瞬間、ダンテは朧の足を引っかける。見事にバランスを崩した朧は、重力に身を任せることしかできなかった。
「わぷっ!?」
朧はそのまま顔面から着水し、身体中を濡らす。漣はそれを見て驚愕の表情を浮かべる。そして、頭の中をさまざまな思考が駆け巡った。
いつの間にこの距離を詰めて来た?瞬間的な加速か?なら、この後どうなる?
ダンテはそんな漣を見て軽く笑みを浮かべる。
「こんなところで惚けられても困るぜ。」
ダンテはそんな軽いジョークを口にすると、漣の頭をポンポンと叩いて武蔵たちへと向かっていた。
「…なんもいえねぇ〜…」
漣はそう呟いて、その場でへたり込んでしまった。これはあくまで演習だから良かったものの、実戦であれば…
そう考えると、身体中に悪寒が走った。
「い、今の何!?」
そう慌てる鈴谷は、かろうじて主砲をダンテに向けてはいるものの、発砲することはできなかった。あまりに急な出来事に、焦りが出たのであろう。
そんな鈴谷を見て、大井は少し歯嚙みをした。今の力の差を見せつけられて、どうやって勝てば良いのか思いつかなかったのだ。
だが、それでも逃げることは許されない。これが実戦であれば、勝てないと思ったところで何もしなければ、それすなわち死を表す。
「北上さん!魚雷で足を止めましょう!」
「それと対空砲。頭上にいきなり現れるんじゃ、魚雷だけじゃ対処のしようがないからね。」
北上は大井の意見を聞き入れつつ、そう言って策を練る。冷静さを装っている北上も、内心はかなり混乱していた。だが、演習とはいえ今は戦闘中なのだ。少し考え込むような表情を浮かべたのち、武蔵のそばへと近づく。
「大井っち、二人で武蔵さんを挟むよ。それで全弾発射でどう?」
北上の言葉に、大井は尊敬の眼差しを向けながらその言葉にはい!と頷く。武蔵もその策に異論は無いようで、ただダンテを見据えるのみであった。鈴谷はそれを見て軽くため息をつきながら、先行する。
「じゃあ、鈴谷はダンテに突撃して時間稼ぎってことで!」
「頼む。」
武蔵の言葉を聞いた鈴谷はその表情を固くしてスピードを上げ、ダンテを見据える。ダンテは依然、そのスピードを緩めることはしなかった。そして、ダンテとの距離がある程度近くなった時、鈴谷は笑顔でダンテに声をかける。
「チーッス、ダンテ。悪いけど、ここで倒すからね!」
「そいつは光栄だ。
鈴谷の言葉に、ダンテは不敵な笑みを浮かべてそう返す。鈴谷はそれを聞いて、ニヤリと笑いながら、魚雷と主砲をダンテに向けた。
「先手必勝!」
鈴谷は主砲と魚雷を一斉に発射し、ダンテに集中砲火を浴びせた。一つ一つの弾道は、ダンテを追い詰めるために計算されているにもかかわらず、ダンテはHa-ha!!と笑いながら、その弾道を見極めひょいひょいと躱していく。
「ちょっち規格外すぎない…!?」
鈴谷は軽く舌打ちしながら、さらに弾丸を装填して撃ち続ける。ダンテはその軌道をもはや見ずに突っ込んでくる。それはまるで弾丸がダンテを避けていくかのように見えた。
「キッモー!なんなのよマジ!!」
鈴谷はそう言いながら、かなり焦っていた。まず、ダンテとの演習と聞いて、どうやって手加減したらダンテを怪我させないだろうか、いかにダンテを傷つけずに勝とうか、などと考えてていた。
だが、現実はどうだろうか?
今となっては、手加減などしていたら、あっという間に全滅である。先行した朧と漣は完全に戦意を失ったようで、後ろの三人はダンテの様子をうかがっているため動けない。自由に動けるのは自分だけである。もはや、ダンテに手加減を所望するレベルである。(これでもダンテの方はかなり手加減しているが。)
しかし、ここで負けてはいられない。鈴谷は覚悟を決めたように、その表情を強張らせた。
「おりゃああ!!」
鈴谷は掛け声とともに高角砲と主砲を弧を描くようにダンテへと放つ。それを見たダンテは、その弾丸を撃ち落とすためにホルスターからエボニーとアイボリーを取り出そうと手を伸ばす。
その瞬間、鈴谷は魚雷を発射する。ダンテの視線が上に向いたと同時に魚雷をばらまくことで、ダンテを釘付けにするのだ。そして、ダンテから決して目を離さず、主砲をいつでも撃てる状態にして警戒していた。
仮にダンテがその場に留まろうと、魚雷を避けて空へ飛ぼうと鈴谷はこれで倒せる、と確信を持った表情でダンテを見る。
しかしダンテは不敵な笑みを崩さない。
「…悪いな、お見通しだぜ。」
ダンテは小さい声でそうつぶやくと、海面を蹴って空中に跳ぶ。魚雷はダンテがいた地点を通り過ぎて、そのまま爆発した。しかし、飛び上がった先に鈴谷が放った砲弾が降り注ぐ。次々とダンテに着弾し、爆煙が辺りを包む。
「ふひひひ!どうだ!」
鈴谷は純粋にダンテを仕留めたことが嬉しくて、笑顔を浮かべる。だが、その笑顔は完全に凍りつくことになる。
「Ha-ha!!惜しかったな!!」
ダンテがそんな声とともに、爆煙から姿を現した。その身体には、傷一つさえなかった。ダンテは空中にて、弾丸を全てガードしたのであった。
「や、やるじゃーん…」
鈴谷は引きつった笑みでそう告げる。ダンテはその言葉に、両手を広げて礼をすることで答える。
「鈴谷!下がれ!後はこちらでやる!!」
武蔵がそう叫ぶと、大井と北上もその砲門をダンテに向けていた。
「!…了解!」
鈴谷はそう言って、ダンテから背を向けてスピードを上げる。それを確認した武蔵は、右手を高く振り上げ、合図を出す。
「撃てぇ!!」
武蔵の言葉を皮切りに、大井と北上が主砲と魚雷を発射し、武蔵が艤装の全弾をダンテに向けて放つ。武蔵の46cm三連装砲がダンテを確実に仕留めようと火を噴き、北上と大井の12.7cm連装高角砲と酸素魚雷が、そのアシストをする。
「
ダンテはそう叫び、リベリオンを背中から取り出し、そのままスピードを上げる。次々と降り注いでくる弾頭を、ダンテはリベリオンで斬り落としていき、魚雷が迫ってくれば、それをダッシュでかわし、当たる寸前まで弾を引き付けたかと思えば、すぐに体を翻して弾丸を踏み台にして高く飛び、また海上に立つ。
そうして迫ってくる脅威を淡々といなしつつ、その距離を縮めていく。
「くっ…なんて奴だ。」
武蔵はそう呟き、主砲に力をこめる。しかし、主砲はうんともすんとも言わなくなっていた。どうやら、弾切れのようだ。武蔵はそれを確認したと同時に、舌打ちをする。
「くっ…北上さん!」
「大井っち…こっちも…そろそろ…」
と、二人も残弾が残り少ないようで、弾幕が薄くなってきている。ダンテがそれを確認したと同時に、スピードを軽く落とし、弾丸一つ一つを丁寧に捌いていく。
全員、弾薬も燃料も満タンに補給していた。武蔵たち3人の装弾数を合わせれば、200発以上の弾丸はあったはずだ。
それを、ダンテは全てかわし切ったのだ。その内の1発も当たることなくである。弾幕を張ったのも、しっかりと本命の弾丸を当てるためである。それらすべての計算を、ダンテは上回ったのだ。
そこまで頭の中で考えて、武蔵はその結論にたどり着いた。
(遠いな…)
武蔵は、両手に力を込める。改めて自分とダンテとの差を認識し、己の非力を嘆くように。
だが、そう思ったのもつかの間、ダンテがすぐ近くまで迫ってきていた。気がつくと、もはや大井と北上の弾幕は完全に途絶えていた。
「Hey、もう終わりか?」
未だ楽しそうな表情を浮かべているダンテは、そう言ってファイティングポーズをとる。
武蔵は、そのダンテを見てハッとなった。何を感傷に浸っているのだ。これが実戦であれば、自らの死を認めたことになってしまうではないか。
どうやら、演習だと思って手を抜いていたのは、自分の方であったようだ。
そう考えた武蔵は不敵に笑う。そして、心の中で覚悟を決めた。最後の最後まで、戦い抜くと。
「…フッ、まだ終わらんさ!!」
武蔵はそう叫んで、ダンテに向けて肉迫する。それに続いて、他の艦娘たちもダンテへと迫る。それを見たダンテは高らかに笑いながら、両手を広げた。
戦いは、完全な泥試合へと姿を変えた。
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「で、完封負けと。」
提督はそう言いながら、ため息をついた。
結論から言えば、ダンテは最後に一発パンチを食らった以外にダメージはなく、艦娘たちの弾薬と燃料が切れるという形で勝敗がついた。弾薬が空になった後も武蔵たちは燃料が尽きるまでダンテにパンチを打ち続けたが、結局最後にパンチを打ち込んだときは、すでにヘロヘロの状態であり、もはやただ弱々しいハイタッチになっていたのはここだけの話である。
「Ha-ha!まあ、艦娘ってのがどんな感じなのか分かって楽しかったぜ?」
ダンテはそう言いながら、海の上で水上スキーを楽しんでいた。先ほどまでのぶっ飛んだ様子はなく、今はただ海の上をただ動き続けていると言ったほうがいいだろう。
陸では武蔵が疲れ切ってで地べたに座り込んでいるのを、びしょびしょになった朧がタオルを差し出し、鈴谷と漣はもはや何も語らずにただ大の字になって寝っころがるだけであった。大井は涙ながらに北上に抱きつき、北上はそれを鬱陶しそうにしながら、引き離そうともせずにただ受け入れている。
それを見た提督と電は、さらに大きなため息をついたのであった。
「…すまない、提督。こんなことになるとは思ってもみなかったよ。」
武蔵はそう言いながら、やりきったというような顔をしていた。少し納得のいっていない表情で、提督は少し呆れたような表情を浮かべる。
本来、この演習のルールは、演習用の戦闘方式で、それぞれが一定数交互に攻撃を行い、大破、中破、小破判定をつけて、それに応じて勝利と敗北の度合いをつけるというものであった。
結果として、そんなルールなど御構い無しに戦闘を行ってしまったわけだが、提督としてはダンテの強さを見れたことで満足していた。少し納得がいっていないのだが。
「すぐに、補給と入渠の準備をするのです。」
「ああ、頼むよ。」
提督の返事を聞くと、電はすぐに本棟へと戻っていった。そして、提督はよし、と一言つぶやいて、その両手を合わせてパンと叩く。それを聞いた艦娘たちの視線が集中した。
「みんなお疲れさま。入渠して、補給を済ませたら、間宮に連れて行くよ。」
「キタコレ!!」
その言葉を聞いた漣は勢いよく立ち上がり、そのまま入渠施設へと走り去っていった。それに続いて、朧、北上と大井の3人もそちらへと向かっていった。
「…鈴谷はパース…眠たいし…疲れた…入渠して寝る…」
鈴谷は未だ大の字で倒れた状態から起き上がる気配すら見せず、ただ寝転がるだけであった。それを見た提督は、少し笑った。
「武蔵はどうだい?」
「…遠慮しよう。少し風に当たってから入渠する。」
武蔵はそう言って、ゆっくりと立ち上がりフラフラと歩いて行った。それを見た提督は、少しダンテに期待の眼差しを向けた。もしかすると、彼は膠着状態の戦局だけでなく、この鎮守府の艦娘たちをも変えうる力があるのではないか、そう考えていたのだ。ダンテは、一通り海上を見て満足したのか、陸に上がってきていた。
「…お疲れ様です、ダンテさん。」
「気にするなよ。俺は楽しかったんだぜ?」
ダンテは右手を軽く振り上げ、そんな風に軽い言葉をかけながら自室へと歩き始めていた。提督は、その人間離れしたダンテに対して抱いたのは、恐怖ではなく信頼であった。と、そんなことなどつゆ知らず、ダンテは突然振り返ってこう言った。
「そうだ、俺の要望に可能な限り答えるって言ってたよな?」
「ええ、そう言いましたね。何かご要望はありますか?」
提督の言葉に、ダンテは少し楽しそうな笑みを浮かべた。
「甘味処に、ストロベリーサンデーを置いてくれ。食堂にピザも置けたら頼むぜ。」
「ははは、ダンテさんはそういうのが好きなんですね。わかりました。手配しておきますよ。」
ダンテはそれを聞いたやいなや、満足そうな表情を浮かべて自室へとふたたび歩みを進めた。こうしてダンテは、死活問題の解消に成功したのであった。
やっと…本腰をいれられる…
時間かかりそうですが、皆さまよろしければお付き合いください。
あと、いつの間にかUA10000越えと、お気に入り数が200を超えてました!
マジでありがとうございます!気力が湧きました!!