Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
少しペースが遅れた分、早めの投稿です。
それと通算UAが30000を超えました!
本当にありがとうございます!!
「!…ダンテ!!」
武蔵はダンテに向かってそう叫ぶ。交戦中に、ダンテが南方棲鬼の砲撃を受けたのを見てしまったのだ。
それを確認した敵の駆逐艦が、武蔵の方に主砲を向け放とうとする。
しかし、その動作は大和の砲撃によって阻止された。
「武蔵!敵の前で何をしているのです!」
大和がそう叫びながら武蔵の方を見る。
武蔵は悔しそうに歯嚙みをする。ダンテが危険な状況に陥っているというのに、何も手助けすることが出来ないことを。
「!…見てください!敵が!!」
「!?…」
と、赤城が声を張り上げたのを聞いた大和達は、敵艦隊の方を見る。
そこには、撤退を開始し始めた敵艦隊の姿が見えた。それを見て、その場の全員が驚愕していた。
「な、なぜ…いえ、そんなことは重要では!」
大和はそう呟き、敵艦隊の追撃戦をしようと試みる。
だが、予想以上に敵艦隊の動きが早いため、追撃をすることはできなかった。あまりにも敵の引きが早いという事実に、大和は戸惑う。
「ならば、ダンテの救援に行くぞ!!」
武蔵はそう言って、スピードを上げようとする。
「待ってください!ダンテさんはそんな簡単にやられないのです!」
と、電が武蔵を止めるように叫ぶ。それを聞いた武蔵は、電の方に訝しげな表情を向ける。
「どういう意味だ?確かに、奴は規格外に強いが…」
「その…規格外とか…そういう程度じゃないのです…」
ダンテのことをよく知る電は、ダンテが深海棲艦に遅れを取るなど、微塵も思っていなかった。
常に余裕綽々な態度で相手を挑発し、その相手に合わせて様々な戦い方で対応するのだ。並みの深海棲艦程度では、ダンテに太刀打ちできないだろう、と。
その予測は、間違ってなどいなかった。
煙から出てきたのは、無傷のダンテであったからである。
「Ha-ha!!今のは悪くなかったぜ?」
その姿を見て、南方棲鬼は絶望の表情を浮かべていた。
あの不意打ちを喰らわせたのにも関わらず、ダンテは全くの無傷であったのだ。
「…何故…ナノ…!?」
その疑問は至極当然のものであった。弾着の寸前まで、ダンテはただ立ち止まっているだけであった。
しかし、弾着の瞬間、ダンテはその腕を前で組み、防御の姿勢を作り上げた。それによって、攻撃を完全に防ぐことができたのだ。
スタイル名をRoyal Guard。ダンテが使いこなすスタイルの1つである。
「…さて、仕上げか?」
ダンテはそう言いながら、単装砲を南方棲鬼に向ける。太陽の光がその砲口に反射し、南方棲鬼を今まさに撃ち抜くと思われた。
しかし、南方棲鬼は命の危険を感じてなどいなかった。ダンテの表情が、南方棲鬼に微笑みかけているようであったからである。
「…トドメヲ刺ス気ハナイッテ表情ネ。」
「…どうやら、お前らはただの悪魔とは違うらしい。」
ダンテの言葉を、南方棲鬼は理解できなかった。なぜ、悪魔という単語が出てくるのだろうか、それも____
____自身の提督以外から。
「…何ノ話?」
「…そのうち分かるさ。」
ダンテはそう呟いて、単装砲をクルクルと回しながらホルスターへとしまう。
だからこそ、南方棲鬼は少し警戒心を高める。
「…本当ニ逃ガスツモリ?」
「もしあの世まで行きたいなら、今すぐご案内しても良いぜ?」
そう言って、ダンテは不敵な笑みを浮かべる。南方棲鬼は、歯嚙みをした。
このままこの男に殺されるか、一度体制を立て直すか。
考えるまでもなく、決まっている。
「…名前ハ?」
南方棲鬼はそう静かに尋ねる。ダンテはやれやれと言わんばかりの表情で、こう返す。
「…ダンテだ。今度会った時には、容赦はしないぜ。」
「…逃シタコトヲ後悔サセテヤルワ。」
南方棲鬼は、全身に悪寒が走るのを感じつつも、そのダンテの言葉を胸に刻み、その場から撤退する。
ダンテは、ただその後ろ姿を見つめるのであった。
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「…敵は撤退、そして艦娘に中破以上の被害は無しか。」
提督は静かにそう呟きながら、報告書に目を通す。
時刻は夜の8時を回ったところである。先ほどまで戦闘があったとは思えないほどに、海は静寂に包まれている。
出撃に当たった艦娘達は入渠中であり、秘書艦の電ですら今この場にはいない。
「…で、何故南方棲鬼を逃したのか、説明だけでもお願いできませんか?」
と、提督は椅子から立ち上がり、ソファに腰掛けているダンテを見る。その表情は、純粋に何故そうしたのかが気になっている、といったものであった。
ダンテは気だるそうにただ、huh、と笑うのであった。
「…聞きたいか?あんまりオススメしないがな。」
「…電が言ってた、異形のものと関わりがあるんですか?」
提督は興味があるような笑みを浮かべて、ダンテにそう告げる。
それを聞いたダンテは、少し楽しそうな笑みを浮かべながら、提督のデスクまで歩み寄る。
「へぇ、聞いたのか?なら、話は早いな。そうさ、奴らはどうやら、ただの悪魔ではないらしい。」
「…悪魔ですか。」
と、ダンテの言葉を聞いた提督は眉をひそめる。
悪魔という非日常な単語が出てきたため、どういうことか考えていたのだ。
ダンテはそれを見て、提督は電から悪魔の話を聞いてないことを悟った。
「…もしかして、あなたは…その、悪魔を狩るのが専門なんですか?」
提督は少し考え込んだ後に、ダンテにそう返す。ダンテは軽く肩をすくめて、肯定の意として両手をあげる。
「…まあ、その専門の俺から言わせれば、あれは悪魔は悪魔でも異質だってことさ。」
ダンテはそう言って、執務机の上に軽く腰をかける。提督はそれを聞いて、少しだけ疑問が晴れたと言わんばかりに満足そうな笑みを浮かべる。
彼が何故ここに呼ばれたのか、そして、深海棲艦とは何なのか、その答えが全て悪魔という単語に収束していることは、明白であった。
そして、ダンテが口にした、悪魔の中でも異質という言葉。
提督は、それを尋ねずにはいられなかった。
「…それで、深海棲艦は何だと言うんですか?」
「まあ、深海棲艦とやらの全部に当てはまるとは思っちゃいないが。」
ダンテはそう前置きをした上で、提督にこう告げた。
「…少なくとも南方棲鬼とかいう奴は、純粋な悪魔じゃない。人間らしさがあるのさ。」
静かな夜は、始まったばかりだ。
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入渠施設とは、ほとんど大浴場と似たような施設である。真ん中に大きな湯船があり、中は入浴剤で満たされている。洗い場には6つほどのシャワーが付いており、シャンプーとリンス、そしてボディーソープが常備されている。
第六駆逐隊は湯船に浸かりながら、今日の疲れを癒していた。
「…ねぇ、電。」
不意に、雷の声が響く。
「?…どうしたのです?」
電は少しキョトンとした顔で雷の方を見る。雷は少し言いづらそうな表情をしつつ、ため息をつく。
「ダンテは、何で南方棲鬼を逃したのかって、みんな大騒ぎよ?」
それを聞いた暁と響も、それに便乗するかのように電に顔を向ける。
「そうよ!あんなに強かったのに!」
「そうだね。あのままなら、確実に倒してたはず。」
「えっと…」
響と暁の言葉に、電は少し苦笑いをする。
実際、ダンテの行動に疑問を持っていたのは電も同じである。
南方棲鬼の強さとダンテの強さ。どちらが優っていたのかは一目瞭然であった。あそこでダンテが南方棲鬼を倒していたのならば、敵の戦力をかなり削ぐことができただろう。
しかし、ダンテは南方棲鬼を逃した。それが何を意味しているのか…
「…今度司令官さんとダンテさんに聞いてみるのです。」
「…まあ、電にもわかんないわよね。ダンテのことだし。」
雷は電の言葉を聞いて、ため息をつきながら肩までお湯に浸かる。暁と響もそれを聞いて軽く息をつく。
電は、少しだけダンテの考えが分かってしまった。
彼は、デビルハンターとして、南方棲鬼に何かを感じ取ったのかもしれない。
「…はぁ…何だか疲れるのです…」
そう呟くと、電は口元までお湯に浸かったのであった。
次回予告
フォルトナで、あるやつにこう言ったことがある。「人間には、悪魔にはない力がある。」そんな力はないと思うか?そいつは、あんたが気づいてないだけさ。俺は人間の可能性を信じてる。悪魔なんかには劣らないほどの可能性をな。
Mission 4
Trust you