Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
ここから、色々伏線張るけどまだ気にしないでください!
そのうち回収するので!
「悪魔…?」
朧がそう呟きながら、怪訝な表情を浮かべる。全員、その単語自体には聞き覚えはあった。所謂空想上の存在だという認識である。
「…それが、どうしたのですか?」
熊野はただそうダンテに問いかける。漣もその質問の意図がわからず首を傾げる。
気がつけば、鈴谷もダンテの方へと顔を向けていた。
「俺はその悪魔を狩る、Devil hunterさ。」
「!?…あ、あく…!?」
鈴谷は、そう言いながら言葉を失う。
悪魔を狩る。その言葉だけが、とてつもなく重くのしかかるのだ。
「…悪魔だなんて…非現実的ですわ!」
熊野は少し語気を強めてそうダンテに言い放つ。
ダンテの言うことを、全く信じていないといった表情であった。
ダンテはそれに対して、ニヤついた笑みを浮かべるだけであった。
「huh、じゃあ、見れば信じるか?」
「!…それは…」
熊野は言葉に詰まる。
もちろん、見たことのないものを信じることは難しい。そして、自分の目にしたことは信じられるものである。
しかし、それを目にすることとは、とても危険なことのようにも思えるのだ。
漣は納得したような表情で頷く。
「…つまり、その悪魔が…深海棲艦と関係ある…って!信じられるか!!」
と、いきなり大声で叫んだため、隣の朧がビクリと身体を震わせる。
ダンテは漣に不敵な笑みを向ける。
「まあ、そういうことさ。信じられなくても仕方ない。」
ダンテはそう言って、スプーンをまた口に運ぶ。
鈴谷は黙ってその様子を見ていた。
思えば、鈴谷にとってダンテが自身のことを語るのは、これが初めてのことであった。
つまり、ダンテのことを全く知らなかった自分は、やっと一つの情報を得られたのだ。
「…私は…信じる…かな。」
鈴谷は小さくそう呟く。
それを聞いた熊野は、へっ?と素っ頓狂な声を上げる。
ダンテは少し驚いた表情を見せるが、すぐに不敵な笑みに変える。
朧が、少し慌てた様子で鈴谷を見る。
「鈴谷さん…でも…!」
「だって、ダンテの強さは確かに私達よりも人間離れしてるし、それに深海棲艦だって、解明されてない部分も多いし、あり得なくはないじゃん?」
鈴谷はそう言いながら、笑顔を浮かべる。
それを聞いた3人は、何も返せなくなってしまう。
確かに、ダンテの強さは明らかに人間離れしている。それも、艦娘とは違うベクトルである。
となれば、先ほどの話もあながち嘘ではない、ということもあり得る。
「…本当に、それだけが根拠ですの?」
「…そうだよ。」
鈴谷はただ小さく頷く。
熊野は少し戸惑っていた。ダンテに好意を寄せている鈴谷だからこそ、ダンテのことを盲信してしまっているのではないか、と。
ダンテが、huh、と軽く笑う。
「…さてと。」
ダンテはそう言って、席から立ち上がる。
全員の視線が、ダンテに集まる。
「今日は楽しかったぜ。」
ダンテは全員にそう言って、軽く笑みを浮かべながら店を出ていく。
鈴谷はそれを引き留めようとするも、うまく言葉が出なかった。
「…戻りますか?」
と、少し悪くなっていた空気を誤魔化すように、朧がそう提案する。
漣もそれに同意見らしく、そのまま席を立つ。
「…鈴谷、戻りましょう?」
「…ん。」
鈴谷は心ここにあらずな表情で返事をし、席を立って出口へと歩き出す。
熊野達は、少し不安に思いながらも、その後についていくのであった。
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「…鈴谷。」
帰り道、熊野は鈴谷をそう呼び止める。
鈴谷はそれに対して、ん〜?と言いながら振り返る。
「…ダンテさんのことが、その…好きだというのはわかりますの。でも、それで本質を見失っては…」
「…分かってる。」
鈴谷は熊野の言葉に、笑顔でそう答える。
朧と漣が、少し戸惑っている表情で2人を見る。
「…冷静に考えなさいな。ダンテさんの言葉が事実であるかどうかなんて、私たちには分かりませんのよ?」
熊野は少し厳しめな口調でそう言い放つ。しかし、鈴谷はその言葉を聞いても、その笑みを崩すことはなかった。
そして、その重い口を開く。
「…そりゃ、そうだよ。深海棲艦が悪魔と関係しているとか、ダンテが
「!…なら、どうしてあんなことを?」
鈴谷の言葉に、熊野は驚いていた。
それは、自身が考えていたより、鈴谷が冷静であったからである。
「ダンテって軽いところあるし、何だかいつも余裕綽々な感じで、掴みどころが無いっていうか。」
鈴谷はそう言いながら少し不貞腐れたような表情を浮かべる。
しかし、すぐにその表情を微笑みに変える。
「でも、嘘はあんまりつかない気がするんだよねぇ〜。」
「だから…信じると?」
熊野はそう言いながら、少し訝しげな表情を浮かべる。
「まあ、ダンテのことが少しでも知れたから良いかなって!」
鈴谷はそう言って、振り返らずにどんどん先へと歩き始める。
それを聞いた3人は、よく分かってはいないものの、鈴谷がただダンテの言うことを鵜呑みにしたというわけではないことがわかった。
朧と漣は、顔を見合わせて、熊野の方へと向き直る。
「…はぁ…どうやら、恋とは人を変えるのですわね。」
熊野は呆れたような、それでいて優しい笑みを浮かべていた。
朧が少し俯きながら微笑む。
「…私も、いつか巡り会えるかな…」
「ご主人様じゃなくて?」
漣はそう言いながらニヤニヤとした笑みを浮かべる。朧はそれを聞いて、顔を真っ赤にする。
「ふふ、提督とはなかなか…頑張らないとですわね。」
「は、はい!頑張ります!多分…」
朧はそう力強く言い放ちながら、鈴谷の後を追う。漣もそれに合わせるように走り出す。
「…鈴谷を泣かせるような人で無ければ良いですわね。」
熊野は小さくそう呟いて、空を見上げる。
日は傾き始め、少しずつ暗くなっていく。
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裏路地の中、ダンテが1人で歩いている。
あたりの暗闇は、まるでダンテに襲いかかろうとしているように見えた。
そして、ダンテは突然立ち止まる。
「…Hey、デートの邪魔して楽しかったか?」
と、辺りには誰もいないのにもかかわらず、ダンテが大きめな声でそう尋ねる。
すると、ダンテの目の前に、電流が走る。その電流は少しずつ大きくなり、雷になる。そしてその地面を焼いたと同時に、その場所から女性が現れる。
長い金髪は妖艶に輝き、黒いピッチリとした服がその魅力的なボディラインを際立たせている。
その女性は、ゆっくりと口を開く。
「…あれがデート?親子みたいだったわ。」
「Ha-ha!そいつは酷いなトリッシュ!」
ダンテはそう言いながら、両手を軽く広げる。それを見たトリッシュと呼ばれた女性は、そちらに歩み寄る。
「それで、聞きたい?」
「huh、頼むぜ。」
トリッシュの言葉にそう返すダンテ。その顔には今までのようなふざけた様子はなく、いつもの不敵な笑みを浮かべていた。
「…まだ潜入したばかりだしわからないけど…裏はありそうね。」
トリッシュはそう言いながら、ダンテにある書類を渡す。ダンテはそれを見ると、huh、と笑う。
「こいつは、怪しいな。」
ダンテが持っていた書類は、鎮守府を運営している大本営の資金の帳簿であった。
そこに書かれていたのは、全体の資金のうち7割が艤装開発に充てられているという事実であった。
それが指し示すのは、魔具をそれだけ量産する技術が、日本にはあるという事実。
「…また何か分かったら教えてくれ。」
「…了解。」
トリッシュはそう返すと、再び電流を身に纏い、そのまま雷となって消えた。
ダンテは不敵な笑みを浮かべて、天を仰ぐ。
「…どうやら、相当面倒くさそうな仕事を押し付けられたみたいだな。」
ダンテの呟きは、ただ辺りに木霊するだけであった。
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鈴谷はベッドに寝転んで、天井を眺める。
今日は、ダンテが初めて自分のことを語った日。自分が知らないダンテを知れた日。
なのに、このモヤモヤ感はなんだろうか。
(…ダンテのことを1つ知れたはずなのに、なんだか全く進歩してない気がする。)
寝返りをうち仰向けになり、少しだけ目を閉じる。
(でも…ダンテも自分のこと話してくれたし…良いよね。)
鈴谷は、そのまま意識を落としていく。
暗い夜は、全てを包み込む。赤ん坊であろうと、老人であろうと、誰にでも平等に…
とか言ったけど、あんまり伏線になってないきがする…