Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
久々の本編更新。
あと1.2話ぐらいで4章が終わりそうなので、よろしくお願いします!
あと、通算UA40000越えと、お気に入り登録数が500を超えました!
こんな駄文ですが、お付き合いいただきありがとうございます!
もうしばらくお付き合いください!!
時刻は朝の6時。
執務室のソファに腰掛けながら、ダンテは雑誌を読み更けていた。
ダンテの部屋と同型のジュークボックスが置いてあり、それで音楽をかけていた。流れているのはオシャレなジャズである。
普段のダンテならばハードロックをかけるところだが、今は朝早いので、あまりアップテンポな曲はやめたほうが良いと判断し、そのジュークボックスに入っていたレコードをそのまま流しているのだ。
サックスのソロが終わり、今度はウッドベースのソロが始まる。
「へえ、ダンテさんもジャズを聴くんですね。」
と、ドアを開けながら提督がそう言葉を投げかける。仲間を見つけたかのように嬉しそうな表情を浮かべていた。どうやら、ジャズは提督の趣味らしい。
ダンテは軽く、huh、と笑う。
「たまたまさ。」
「他のみんなは聞いてもくれませんからね。ほら、ここのドラムソロなんか、どうです?」
ドラムが小気味いいリズムを刻みながら、まるで楽器が歌っているかのように音を連ねる。
提督は、楽しそうな笑みを浮かべてそれを聞いていた。
しかし、提督とは対照的にダンテは少し困ったような表情を浮かべる。ダンテはハードロックを好んでいるため、ジャズの方はかなり疎いのだ。
提督が、そうだ、と突然思いだしたかのようにつぶやく。
「ダンテさん、今日はあまり外へ出ないようにしてほしいんです。」
「どうしてだ?」
ダンテはそう言いながら、雑誌をテーブルに投げるように置く。提督は軽く苦笑いを浮かべる。
「実は、今日はあなたに依頼をした、大本営の方が来るんです。」
「…huh、なるほどな。俺と話がしたいって訳か?」
ダンテはそんな風に言いながら、面倒くさそうに苦笑いを浮かべる。当然ながら、自身への依頼をしてきた人物と会うことに異論はない。
ただ、今のダンテには気がかりが二つほどある。それは、昨夜トリッシュが持ってきた書類のこと。
そしてもう一つは…
(…悪魔の匂いが強すぎる。何か起きるかもしれないな。)
ダンテは心の中でそう呟き、ただその目を閉じるのであった。
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作戦指令室の中、鈴谷、熊野、朧、漣、そして赤城、加賀の6人は大淀と電に呼び出されていた。
大淀は近海の図面をホワイトボードに貼り付ける。
「…皆さんには念のため、しばらくの間警備の任をお願いしたいのです。」
「…警備ですか?」
赤城は電の言葉にそう返し、少し考え込むような仕草をする。
電は赤城に微笑みかけながら、一枚の書類を取り出す。
「えっと…今日は大本営から、元帥さんがいらっしゃるのです。」
「げっ…あの人か…」
鈴谷はそう言いながら、顔をしかめる。
元帥と言われる人物は、大本営の中でもとりわけ自分勝手な行動が目立つ人物であり、大本営が指揮する作戦ですら参加せず、独自で作戦を立ててしまうのである。
しかし、その手腕はかなりのもので、大本営の作戦よりも戦果をあげ、さらにその地位を強固なものにした。
それゆえ、慕われているものの、かなり癖の強い人間なのだ。
「そのため、しばらくは最優先で安全を確保しなければなりません。」
大淀はそう言って、その場の全員を見る。その言葉に、6人は少しだけ気を引き締める。
その要人に何かが起きれば、提督の身が危ぶまれる。そうなれば、自分たち艦娘も離れ離れになるか、それとも最悪は…
「…でもさ、そんな重要な任務、漣たちだけで何とかなるかな?」
漣は少し、緊張した面持ちでそう進言する。
それほどの大役を、自分が引き受けることに、不安があったのだ。
漣の言葉を聞いて、大淀が少し苦笑いをしながら口を開く。
「あくまで警備ですから、敵を発見した場合はすぐに連絡を。無理に自分たちだけで倒す必要はありません。」
それは、あくまで警備が『念のため』であり、前に南方棲鬼が率いてきたほどの大艦隊を索敵するものではないからである。前回のように、確実に敵が来る保証はないためだ。
しかし、仮に敵が襲撃してきたとなれば、取り返しのつかないことになる。
いわば、この任務は保険なのだ。
「では、お願いするのです。」
電の言葉に、6人はそれぞれ「了解!」と返事をし、各々の準備を開始するのであった。
時計は、10:00ちょうどを指していた。
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「…わかりました。では、お待ちしております。」
提督はそう電話越しの声にそう返事をし、電話を切る。それを見たダンテは、軽く笑みを浮かべて提督に声をかける。
「…その元帥からか?」
「はい、あと1時間後には到着するみたいです。」
ダンテの言葉に提督は苦笑いで答える。ダンテが元帥に会うことを快く思っていないのは何となくわかっていたからである。
ダンテとしては、軍隊のような面倒くさいものは好ましくないのだろう。
「…まあ、依頼主には会わなきゃな。」
ダンテはそう言いながら、テーブルの上の雑誌を手に取って読み始める。
それを提督は、少し笑いながらジュークボックスの前まで歩み寄る。中のレコードを取り出して、楽しそうな笑みを浮かべる。
「ダンテさん、何かリクエストはありますか?ジャズ以外でもいいですよ?」
提督はそう言いながら、レコードを大事そうにケースへとしまう。
それを聞いたダンテはその表情を笑顔に変える。
「へぇ、何かロックで知ってる曲はあるか?」
「ロックですか…」
ダンテの問いに、提督は少し考え込むような表情を浮かべる。そして、しばらくして思い出したかのようにレコードの棚をあさり始める。
「確かこの辺りに…」
そう言いながら次から次へとレコードを取り出しながら、そのジャケットを見比べていく。ダンテはその様子を見るためにソファから立ち上がり、そのまま提督のもとへと歩み寄る。
そして、提督はその動きを止める。
「ありました…これです。」
「!…Ha-ha!こいつは、いいな。」
ジャケットにはブロンドの女性の写真が使われ、レコードには人魚のイラストが描かれている。
歌手名をエレナ・ヒューストン。曲のタイトルは『Mermaid ROCK』『It's my Rock'n'Roll』。
ダンテはこのレコードをよく知っていた。自身に歌を理解する心があったことを気づかせてくれた、名盤だからである。
「…聞きますか?」
「いいな。かけてくれないか?」
ダンテがそう楽しそうに言うと、提督はジュークボックスへとレコードをいれ、再生する。
アップテンポなギターのソロから始まり、軽快なドラムと重厚なベースが後に続く。
前奏が終わり、女性ボーカルが入る。
『Standing where I should be
Believing as I'm told to believe
Being who I should be
Doing what I should do』
Rock Queenと呼ばれた、エレナ・ヒューストンの歌声が、執務室内に響く。かつて、多くの人を惹きつけ、虜にしたその歌声が。
そして、多くの人を狂わせた歌声が。
「…ジャズが好きな僕も、この曲だけは心の底からいい歌だと感じました。」
「huh、そいつは同感だな。」
提督とダンテは、静かにそのジュークボックスから流れる曲を聴いていた。
ダンテは、その歌手とかつて相対したことを思い出す。悪魔に取り憑かれながらも、歌を愛した人間。
その彼女を、彼女の歌を本気で愛した1人の男。
ダンテはその表情を満足そうな笑みに変える。
曲はサビへと突入し、その激しさを加速させる。
「まさに、彼女がRock Queenですよ。」
「…huh、そうさ。」
ダンテと提督は満足そうな笑みを浮かべる。
時刻は、11時を回ったところであった。
今回はちょっとアニメの話も絡めてみました!
アニメの回で1.2を争うぐらい好きな話、Rock Queen。
どこかに絡めたいと思っていたけど、ようやく絡められた…