Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
とか言うと、意外と3日後に投稿しちゃいそう…
「こちら鈴谷!異常な〜し!」
鈴谷は元気よくそうヘッドセット型の通信機に告げる。
あたりは静まり返っており、波の音しか聞こえない。この穏やかな風景は、まるで今が戦時中ではないかのように平和な雰囲気を漂わせている。
『了解しました。引き続きお願いします。』
大淀が、通信機の向こうからそう返事をする。いつもの戦闘時と違い、穏やかな口調である。
鈴谷はほっと一息つきながら、あたりを見渡す。
「…にしても、本当こうしてみると平和なんだけどね。」
鈴谷はそう呟いてぐっと背伸びをし、水平線をぼんやり眺めてみる。
この戦いの果てに、一体何があるのだろうか。
敵を沈めて、仲間を沈められて。鎮守府を守って、敵の拠点を攻撃して。
この際限なく続くループを抜け出した先には、一体何があるのだろうか。
「…分かんないよね、そんなの。」
鈴谷はため息をつきながらそう呟く。そんなことなんて、気にしている場合じゃない。今は目の前のことをこなして行くんだ、と。
その瞬間、その違和感に気がつく。
自分の腹部を、何かが通過していることに。
「!?…何こいつ!?」
鈴谷がそう叫ぶと同時に、それはすぐにその身体をすり抜け、鈴谷の目の前に全身を晒す。
鈴谷は視線を自身の腹部に向けるが、そこには傷一つなかった。
「…敵…?」
水上ではなく、空中に漂うその生物は、全身を黒いガスで覆っている。いや、生物と呼ぶのは間違いである。正しくは、悪魔。
その名をメフィスト。フォルトナの地獄門が開いたときに大量に現れた、下級悪魔である。
「ふぅ…さてと、こちらも異常なしですわね。」
熊野はそう呟きながら、通信機に手をかける。鎮守府への定時連絡を行うためである。
『こちら鈴谷!なんか不気味な生物を発見!!』
そんな声が通信機から聞こえてくるとは、少しも思わず。
「!…どうされましたの?」
『なんかよく分かんない!黒い霧を纏ってて、私の体を貫通してったけど、全然痛くない!』
鈴谷の言葉を理解できずに、熊野の頭の中は疑問符で埋め尽くされる。
ただそれが、かなり危険な状態だということはよくわかった。
「どういうことですの!?一体何が…」
そこまで熊野が言いかけた瞬間、通信機からの音声がプツリと途切れる。
「!?…鈴谷!?」
熊野の心の中を、焦燥感が満たしていく。
鈴谷のもとへと急がなければ。
ただそれだけが、今の彼女を動かす原動力となっていた。
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「!…どういうことですか!?」
執務室の大淀は、通信機から聞こえてくるその報告に驚きの声をあげる。
しかし、鈴谷からの返答が来ることはない。
「何かあったのか?」
「…どうやら、鈴谷さんが会敵したそうです。」
提督の言葉に、大淀は緊張の面持ちで呟く。
ダンテはそんなことなど興味も持たず、ただテーブルの上のピザを食べながら雑誌を読む。
「敵の数は?」
提督は冷静にそうたずね、資料に目を通す。現在待機中の艦娘を確認するためである。
しかし、大淀はその言葉を詰まらせる。
「それが…よくわからないんです。」
「わからない?」
その視線を大淀に戻し、提督はそう怪訝な面持ちで告げる。
「…何か、黒い霧を纏った生物…とか…身体を貫通したとか…」
「?…何だそれは?」
大淀の言葉を聞いて、ますます不安そうな表情を浮かべる提督。
その後ろのダンテが少しニヤけて、ピザを一口で飲み込んだことに気がつかなかった。
「その後、通信も途絶えたので、危険な状態かもしれません…」
大淀は心配そうな表情を浮かべてそう呟く。
提督も少し、考え込む仕草をする。元帥が来る前になんとかこの状態から脱したいと考えたからである。
「よし、待機中の何人かを…」
「その必要はあるまい。」
と、提督がそう呟いた瞬間、執務室のドアが開く。
驚いた様子で、提督はそちらを見る。
そこには、白い髪で初老の男性が立っていた。その格好は提督と同じ白い軍服。ただ、その身に纏うのは熟練者の覇気。
提督はかしこまったようにその男に敬礼をする。
「!…元帥!もういらしていたんですか?」
「がはは!出迎えがなくて寂しかったがな。」
元帥と呼ばれる人物は、そう皮肉るように言いながら、ソファへとドカッと座る。
そこには、ダンテが食べ散らかしたピザがあった。
提督が慌ててそれを片付けようとテーブルに歩み寄る。
「!…そ、それはあの!」
「わかっとる。あの男が置いていったんだろ。さっき廊下ですれ違った時、食べないでくれと言われたわ。」
元帥は笑いながらピザを手に取る。ここにこのまま置いておけ、と言わんばかりの目線であった。
提督は、あたりを見渡しダンテがいないことを確認する。
「ダンテさん…まさか、行ったんですか?」
「ああ、そうらしいな。」
と、元帥は笑顔でピザを頬張る。
提督は、あれだけ出ないでくれと言っていたのに、外へと出て行ってしまったダンテに少し呆れつつ、深く考えることはしなかった。
ダンテが出ていくということ。それはつまり…
「…その何かが、ダンテさんに関係あるということですか?」
「そうなるな。」
元帥は、そう言って笑みを浮かべる。
どうやら、元帥はダンテの秘密を知っているらしく、何の疑問もなく提督の言葉に返事をする。
「…待つだけだ。あれは、わしらよりもあれの扱い方を熟知している。」
元帥はそう言って、一切れのピザを食べきり、もう一切れに手を出すのであった。
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「…っ…通信機を壊されるなんて…!」
鈴谷が呑気に通信をしていたら、メフィストがその爪を伸ばして攻撃をしてきた。
辛うじて、鈴谷はメフィストの爪攻撃を避けたものの、通信機に攻撃があたってしまい、通信機は壊れてしまった。あのまま避けそこなえば、頭を完全に撃ち抜かれていただろう。
メフィストはただ空中を漂いながら、鈴谷の隙を伺う。
「…っ!!」
鈴谷はメフィストへ目掛けて主砲を放つ。
しかし、メフィストも止まらずに動き続けているため、主砲を避けてしまう。
「!…何なのこいつ!」
鈴谷は苛立ちながら、メフィストに向けて対空砲を放つ。
連発して放ち、確実に命中させようと考えたのだ。
その弾丸は、1発だけ命中する。
しかし、それは全くひるむことなく宙に浮き続ける。
「…どうやって勝てばいいってわけ?」
鈴谷は少し呆れたような表情を浮かべつつ、ただ浮き続けるメフィストに視線を向ける。
油断などするつもりはないが、ここまで規格外の相手に攻撃を続けても意味がない。
と、メフィストが急にグルグルと鈴谷の周りを回り始める。
「!…またあの攻撃…!?」
先ほどはただまっすぐ爪を伸ばすだけであったが、こうグルグル回られては、どこから攻撃が飛んでくるかわからない。
メフィストの爪が光り始め、鈴谷目掛けて攻撃が飛ぶ。鈴谷はその爪を躱そうと身体を翻す。
しかし、今度は主砲に掠り、砲塔が故障する。
「このままじゃ…ジリ貧だし…!」
鈴谷は焦りの表情を浮かべながら、対空砲を撃ちまくる。弾道は真っ直ぐメフィストへと向かう。
すると、そのメフィストの黒いガスが少しずつ剥がれていく。
「!…」
鈴谷はそれに気がつき、ひたすら対空砲を撃ち続ける。メフィストも砲弾を避けようと動き回るが、鈴谷の精密な射撃に対応できず、攻撃を受けてしまう。
ガスが完全に剥がれ、メフィストは自由落下を開始する。
「よし!!」
鈴谷はガッツポーズをする。
メフィストはそのまま海へと墜落し、沈んでいく。
「こちら鈴谷!敵を…って、通信機無いんだった。」
鈴谷はそう言ってあたりを見渡し、仲間が居ないかどうかを確認する。鈴谷は、その時完全に油断していた。
背後に、3体の黒い霧が現れたのに気づかずに…
メフィストの対処法がわからなかった初期は大変苦戦しました…(小声)
今ではスタイリッシュポイントの良いカモです。