Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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いよいよ4章のラストです…

自分が立てていた予定よりも大幅に遅れております…笑



対話

「…っ…ぅ…?」

 

ゆっくりと鈴谷は目を開ける。光に慣れていない目が、少し痛む。

目の前に広がるのは、白い天井。この場所に、鈴谷は見覚えがあった。鎮守府の医務室である。かつて、大規模作戦で大破に陥った時にここへ来た。

 

「…気がつきましたか?」

 

と、鈴谷に問いかける声が部屋に響く。

鈴谷は身体を起こそうとするが、あまりの痛みに軽く息を吐く。

 

「動かないでくださいね。本当なら鈴谷さんは…」

 

そう言って、鈴谷の近くへと寄ってくる影が1つ。

 

「…大淀…さん…」

 

鈴谷は弱々しく呟く。大淀はそれを見て、少し呆れた様子でため息をつく。

 

「…1週間は安静にしてください。全く…ダンテさんは規格外すぎてこちらが疲れます…」

 

大淀はそう言いながら通信機を取り出し、どこかへ報告をし始めた。

鈴谷は、その瞬間に全てを思いだす。

 

(…そうだ…私…)

 

あの暗い海へと、沈んだのだ。あの冷たさ、そしてあの恐怖が身体を震わせる。

そして、それを助けてくれた、あの魔人のことも思い出す。

 

「…まさか、ダンテさんが鈴谷さんをお姫様抱っこで連れてくるなんて。」

「!?…なななっ…!?」

 

鈴谷は大淀の言葉に、顔を真っ赤にして慌てたように身体を起こす。

そして、あぎゃ!?という謎の言葉を叫んで身体を硬直させる。

あまりの激痛に、気を失いそうになったのであった。

 

「…急に動いたら、そうなります。」

 

大淀は少し咎めるようにそう言い放つ。鈴谷は、ゆっくりと身体をベッドへと降ろす。

 

「…あの…ダンテは…?」

 

鈴谷は少し落ち着いてから、そう大淀に尋ねる。

大淀は、微笑みながら鈴谷へ視線を向ける。

 

「今頃執務室で、元帥と話しているところです。」

「…そっか。」

 

鈴谷はそれを聞いて、天井を見上げる。

あの魔人が、ダンテ。そんな証拠は何もないのに、確信を持てる。

半信半疑だったダンテのこと。悪魔のこと。それら全てを、ダンテが証明してくれたのだ。

 

「…悪魔、か。」

 

鈴谷は満足そうにそう呟く。

そして、ドアが勢いよく開く。

 

「鈴谷!!」

 

そう叫んだ熊野が、鈴谷の元へ駆け寄ってくる。

鈴谷は少し笑いながら、熊野に視線を向ける。

 

「熊野…大丈夫だった?」

「本当に…本当にバカですわ!!あんな無茶なことを…!!」

 

熊野は目に涙を浮かべながら、鈴谷の肩に顔を埋める。

少し痛みが走ったが、鈴谷は仕方なくそれを受け入れる。

 

「まあ、助かったんだしさ。」

「そういう問題ではありませんの!」

 

熊野はそう力強く叫び、鈴谷を睨みつける。鈴谷は、少し苦笑いを浮かべる。

 

「…あのまま、別れの言葉にしていたら…私は本気で鈴谷を許しませんの。」

 

熊野はそう呟いて、切なそうな表情を浮かべる。鈴谷は、少し唸りながらため息をつく。

あの時熊野に向けて放った言葉。

 

『…ごめんね。』

 

今まで迷惑をかけてしまったことへの謝罪。助けてもらったことへの感謝。そして、熊野を残してしまうことへの後悔。

助かったことで、その言葉に意味はなくなってしまったのだが。

 

「…ごめんなさい。」

 

熊野は突然そう呟いて、俯く。鈴谷は、少し驚いた様子でそれを見る。

 

「…本当は、私が護らなければならなかったのに…」

 

熊野は、粒のような涙を鈴谷のベッドに落とす。

あの瞬間に後悔を抱いたのは、鈴谷だけではなかった。助けられなかった後悔。自身のミスで鈴谷を失うという恐怖。

それらは、しっかりと熊野の脳裏に焼き付いていた。

鈴谷は困ったような表情を浮かべながら、ため息をつく。

そして、熊野の頭を撫でる。

 

「!…鈴谷…?」

 

熊野は少し不安げな表情で鈴谷を見る。

それに対して、鈴谷は少し嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

「…あの時、熊野が助けに来てくれて、ちょっち嬉しかったんだ。だから、私は十分護られたよ。」

 

その言葉で熊野は、その頰を染める。顔をクシャクシャに歪めて、涙を浮かべる。

 

「ちょ、何で泣くし!?」

 

鈴谷は慌てふためきながら熊野をなだめようとする。だが、熊野は泣き止まない。

熊野は、純粋に嬉しかった。鈴谷が少しずつ変わっていくのを感じて、いつか鈴谷は自分の手の届かないところに行ってしまうのではないかと、不安になっていた。

だから、鈴谷の口からそれを聞いて安心したのだ。

鈴谷は、鈴谷のままだと。

 

「…全くもう。」

 

呆れながら微笑みを浮かべる鈴谷は、どことなく嬉しそうに見えた。

日は沈み始め、空は暗くなり始めるところであった。

 

 

________________________

 

 

 

ダンテは、ソファでピザを片手に元帥と相対する。

先ほどまで、いろんな艦娘から感謝の言葉や質問が来ていたため、かなりダンテは疲れ切っていた。

 

「…がはは!なかなかに規格外とは聞いていたが、どうやら本当のようだな!」

 

元帥はダンテを見ながら、楽しそうに大声で叫ぶ。

ダンテはそんな元帥を見て、少し呆れながらため息をつく。

 

「それで、どんな話だって?」

 

ダンテはそう言って、一口ピザを口に含む。

元帥はその表情を真面目に変え、ピザを1つ取る。

 

「…奴らはどうだった。」

 

ダンテはその問いかけに、その動きを止める。

奴らとは、深海棲艦のことを指しているのだろう。それに対して、どうだったと尋ねるということ。

 

「…そうだな、確かにあれは悪魔だが…それだけじゃない。」

 

ダンテはピザをもう一口食べる。

ダンテの言葉に、元帥と提督はしばらく無言のままそれを見ていた。

 

「…あれは悪魔と人間のハーフだ。」

「!?…」

「…鋭いな。」

 

驚きの表情を浮かべる提督に対し、元帥はダンテの言葉に満足そうな笑みを浮かべる。

ため息をつきながら、ダンテは元帥に鋭い視線を向ける。

 

「もちろん、ハーフとは言えど、しっかりと子を成したわけじゃない。」

「…人工的に作られた…ということですか!?」

 

提督はそのあまりに突拍子も無い話に、そんな風についていくのが精一杯であった。

元帥は身を乗り出し、ダンテへとその顔を近づける。

 

「…それで、貴様はどんな結論を出す?」

 

元帥はその表情を悪どいものへと変える。まるで、悪役である人間のように、憎悪と悪意に満ちた笑みを。

ダンテはその元帥を睨みつけるように表情を変える。

2人の男が、その視線を交わらせる。その殺気のぶつかり合いにも似た雰囲気に、提督はただ鳥肌を立てるだけであった。

 

「…がはは!なかなかやるではないか!」

「…huh、あんたもな。」

 

と、2人は突然お互いの健闘を讃え合うように笑顔を浮かべるのであった。

提督は、全く理解できないまま放置されていた。

 

「…あんたはこう言いたい。それを作っている組織がある。」

「そうだ。その組織を探し出し、このくだらない戦争を終わらせる。」

 

元帥とダンテはそう言いながら、ピザを一口で食べきる。

提督は、それを黙って見守る。2人の間で、何かが決まったということだけ理解し、それ以上のことは何も聞かないことにしたのだ。

 

「…だが、深海棲艦が人工的に作られた悪魔だ…と確定したわけだ。」

 

元帥は考え込むように腕を組む。その表情は、少し困ったようにも見える。

 

「…深海棲艦は、艦娘と何らかの関係があるという見方もある。その点については、どうだ?」

 

元帥はそう言葉を続ける。ダンテはそれを聞いて、軽く笑みを浮かべる。

 

「さあな。」

 

ダンテはそう言って、もう無くなってしまったピザの箱を閉じて、ゴミ箱へと投げる。綺麗な放物線を描き、吸い込まれるようにゴミ箱へと入る。

 

「そうか。まあ、仕方ない。」

 

元帥はそう言って、席を立つ。

 

「もうお帰りになるのですか?」

 

提督は元帥にそう尋ねる。少し楽しそうな表情を浮かべていた元帥は、提督の肩をポンポンと叩く。

 

「これからもよろしく頼む。」

 

元帥はそのまま、執務室のドアへと歩いていく。

ダンテはそれを目で追うようにして見送る。

 

「おっと、忘れておったわ。」

 

と、元帥は突然立ち止まり、ダンテの方へと振り返る。ダンテは少し怪訝な面持ちを浮かべる。

 

「…もう1人、デビルハンターを雇いたいと言ったら、誰か心当たりはいるか?勿論、君の報酬には一切変更はない。」

 

元帥は楽しそうに笑みを浮かべてそう告げる。それを聞いたダンテは、ニヤリとした笑顔に変える。

 

「…いるさ。」

 

ダンテはそう言いながら、ある人物を心の中に浮かべる。

それが、吉となるか凶となるかなど、誰にも分からなかった。

 

 

 




次回予告

艦娘と深海棲艦。その戦いがどんなものだったか。そんな話は実際興味ない。俺は悪魔を狩るのが仕事だ。悪魔か人間か、それだけが1つの指標さ。あんたはどっちだ?…huh、冗談だ。

Mission5
Devil or Human
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