Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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花粉が飛んできて、鼻がつまり、目は荒れ、熱まで上がる始末。
誰か花粉を止めてくれ…

あぁ…頭がいたい…


遭遇

「…ダンテったら、無事かしら…」

 

雷は不安そうな表情で呟く。ダンテのことなので、何か最悪の事態は起きないだろうと思ってはいるのだが。

暁と響はそれぞれが辺りをぼんやりと眺めつつ、警戒をする。何と言っても、海上にてダンテを待っていることで、敵の攻撃を受ける可能性もあるのだ。

と、そこに通信が入る。

 

『とりあえず、大丈夫そうだぜ。』

「!…本当に?」

 

ダンテの言葉に、少しだけ訝しげな表情を浮かべて暁はそう通信機に返す。

今まで羅針盤に従わない艦隊は全て行方不明になっている経緯を考えれば、南西に向かうのは御免被りたい。

だが、ダンテの言葉ならばある程度は信頼できると思うのも事実。

 

「…電、どうするの?」

 

雷は電に指示を仰ぐ。電は少し悩むような表情を浮かべるが、ダンテの言うことならば問題はないと判断した。

 

「では、ダンテさんと合流するのです。」

『待ってるぜ。』

 

ダンテのその声を聞いて電は通信を切り、南西の方角へと向かうのであった。

 

 

________________________

 

 

 

「…にしても、ダンテがいなかったらかなり時間かかってたかもね。」

「でも、羅針盤に従わないと艦隊が沈むって話は、なんだったのかしら?」

「そうだね、少し気になるよ。」

 

雷達3人はそんな話をしながらのんびりとしている。その前を、電、漣と朧が進み続けていく。

ダンテはただ水上スキーを楽しみながら、件の鎮守府の方を見る。

 

「…あの、ダンテさん…」

 

と、ダンテのすぐ後ろに朧が近づいてくる。ダンテはチラとそちらを見る。

 

「…もしかして、悪魔が出たとか…?」

「…そういうことさ。まあ、気にするな。」

 

笑顔を浮かべるダンテに対して、朧は自分の推測が当たっていたことに少し恐怖を感じた。もし仮に、ダンテが居ない状態で羅針盤を無視していたら…

 

「…ダンテさんは規格外なので仕方ないのです。」

 

電は少し、ため息交じりでそう呟く。漣はそれを聞いて、少し楽しそうに笑顔を浮かべる。

 

「まあ、ダンテがいたら多分あっという間にこの戦争も終わり!って感じですぞ?」

 

漣の言葉に、他のメンバーも首を縦に振る。

ダンテが来なければ、この膠着した戦局に動きは永遠に訪れなかった。そんな考えは、鎮守府の全員が思っていた。

 

「買い被りすぎだぜ。」

 

ダンテは困ったように呟き、目線を前へと向ける。

その時、異様な感覚がダンテを襲う。

 

「!…」

 

ダンテはその表情を曇らせる。その異変に気が付いたのはダンテのみであり、他のメンバーはただ雑談を続けている。

悪魔の匂いがするのは勿論のこと、その中に何やら見知ったような人物の感覚が混ざりこんでいる。

かつて袂を別ち、自らの手で葬り去ったその人物。

 

「…まさかな。」

 

ダンテは誰にも聞こえない声で呟く。だが、自身に流れる悪魔の血が、確実に騒ぎ始めていた。

 

 

________________________

 

 

ダンテ達が向かっている鎮守府前の海域。

深海棲艦の戦艦レ級と南方棲鬼が佇みながら、鎮守府をじっと見ている。

 

「…動キハ無イナ。」

 

戦艦レ級はただぼんやりと鎮守府を眺めている。

その言葉を聞いた南方棲鬼は少しため息をつく。

 

「ネエ、モウソロソロ帰ッテモイインジャナイ?」

「マダダ。僕達ノ任務ハマダ終ワッテナイ。」

 

南方棲鬼の提案を秒で却下し、レ級はまた鎮守府へと向きなおる。

鎮守府は、何も動きがない。それは、単に出撃が無いという意味ではなく、完全に動きがないのだ。まるで無人のように。

と、その時レ級は何か違和感を覚える。それは、自分がいる地点からそう遠くない近海に、覚えのある人物がいるということ。

 

「…嫌ナタイミングダナ。」

 

レ級は呟き、そちらを見る。

少し大きめな波を立てながら、接近してくる影。赤いコートをなびかせるその姿は、確実にヤツである。

 

「ウ、嘘デショ…!?」

 

南方棲鬼は信じられないと言った表情でそれを見る。それもそのはず、今回の任務では戦闘は指示されておらず、ここで待機するだけだったのだ。

そこに現れた、赤い悪魔。

 

「…気ヲツケロ。任務ガ終ワルマデハ、ナントシテモ凌グ。」

 

レ級のその瞳の中に、ゆらりと闘志の炎が灯った。

 

 

________________________

 

 

「…お前は…本当に何者なんだ…?」

 

鎮守府の入渠ドックの中、球磨型軽巡洋艦の5番艦である木曾が、地面に突っ伏しながらその男へ問いかける。その腹部は何かに貫かれたような穴があり、止めどなく血が溢れ出している。

この入渠ドックの壁や地面にも、夥しい量の血液が飛び散っていた。

男は、軽くため息をつきながら、その場を後にしようとする。

 

「!…おい…待てって…」

 

木曾は最後の力を振り絞って、その男に手を伸ばす。

だが、男は振り返ることはなく、ただ黙って歩き続けていく。

木曾は、そんな彼をなんだか微笑ましく思った。

彼は人間味はないけれど、決して化け物ではない、そんな風に思えたのだ。

 

「…お前の魂は何と叫んでいる?」

 

突然、男は立ち止まってそう呟く。

木曾はその言葉を聞いて、変な笑みがこぼれた。魂が何と叫んでいるか。そんな質問を、こんな死にかけの人間にするのか、と。

だが、自分の魂が今叫ぶとしたら。心の底から思うことは。

 

「…生きて…生きてやりたい…この鎮守府の仲間達のために…」

「…humph。」

 

男は、そのまま歩き始める。

木曾は、少し心がやすらかになる。だが、何だか先ほどまでは頭の中に浮かんでいた死の予感は消え失せた。

 

「…自分で何とか生き延びろってことかよ…!」

 

木曾は不敵な笑みを浮かべながら、立ち上がる。

身体中は痛みや疲労のせいで悲鳴をあげているが、そんなのに構う暇はない。

ゆらりゆらりと歩いて、入渠ドックの湯船に倒れるようにして入る。

その瞬間、傷口から液体が入り込み、自分の身体を治すように循環し始める。

 

「…っ…ぐぁ…!!」

 

だからこそ、かなりの痛みを伴っていたが、ここで死なぬように、意識をしっかりと保つ。

木曾は覚悟を決め、自身の魂の叫びを実行に移すのであった。

 

 

________________________

 

 

「…お前らだけか?」

 

ダンテは、海上に佇む2人の影に向けてそう言い放つ。それは、他に誰かいないかどうかの確認だけでなく、自分が感じたあの気配は何者なのかと尋ねるようであった。

レ級と南方棲鬼は、それを聞いてため息をつく。

 

「…今日ハ戦ウツモリハ無カッタンダケドナ。」

 

レ級は疲れた様子でそう呟くと、ダンテの方へと鋭い目線を向ける。

戦闘時特有の命の危機を感じるほどの緊張感が漂う。

南方棲鬼は、少し楽しそうな笑みを浮かべて、レ級に言い放つ。

 

「…ダンテハ任セルワ。後ロノ駆逐艦デ遊ブカラ。」

 

そのまま、南方棲鬼は電達の方へと進んでいく。それを見た電は、ダンテの方へと視線を向ける。

 

「ダンテさん…南方棲鬼は任せて欲しいのです。」

「その代わり、戦艦レ級は頼んだよ。」

「…ああ、任せた。」

 

電と響の言葉に、ダンテはそう返す。

そのまま第1艦隊はダンテから離れていく。それを見た南方棲鬼も、引きつけられたかのように第1艦隊の方へと舵を切った。

ダンテはそれを流し目で見た後に、戦艦レ級へと向きなおる。

 

「何だか雰囲気変わったか?誰かに何かされたみたいだな。」

「ソレハ君ニハ関係ナイネ。」

 

ダンテの言葉に、そう吐き捨てるようにレ級は返す。

それを聞いたダンテは、少し残念そうに顔をしかめる。

 

「…で、今日は踊ってくれるのか?前はダメだったしな。」

 

ダンテはおちゃらけたように戦艦レ級へと話しかける。両手を挙げて、不敵な笑みを浮かべたその様を見て、戦艦レ級も楽しそうに笑い始める。

 

「生憎、急ナモノダカラ振付ハ覚エテイナクテネ。」

 

レ級は尻尾の砲塔をダンテへと向けて、その表情を凶悪な笑顔に変えた。

 

「…深イキスデモドウダイ?」

 

一言。その一言でダンテは満足そうな表情を浮かべる。

 

「そいつはありがたいな。」

 

ダンテは楽しそうな笑みを浮かべて、単装砲を取り出してクルクルと回す。

 

「…ダンスより、そっちの方が良いな。遊ぼうぜ。」

 

そう言って、戦艦レ級へとその銃口を向ける。

2人の視線が交わり、戦いの火蓋が切って落とされる。

日は少しずつ傾き始めた。

 

 

 

 

 




もう少し時間を取りたいんだよなぁ…
時間を…
もっと時間を(I need more time)

まあ、そこそこ時間は取れてるんですけどね!
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