Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
WBCの応援でこちらの更新が遅くなりました…
というわけで、続きをどうぞ!
「ハッ!!」
南方棲鬼は腰についている主砲を、漣と朧へ向けて放つ。慌てて2人舵を切り、それをなんとか回避する。
それを流し目で見ながら、電はその右手を振り上げる。
「複縦陣なのです!」
それを聞いた面々は、了解!と声を張り上げて、2列に並ぶ。先頭は、電と雷である。
南方棲鬼はそれを見て、ニヤリとした表情を浮かべる。
「ドンナ陣形デ来テモ、力デネジ伏セル!」
南方棲鬼は心底楽しそうな笑顔を浮かべていた。それもそのはず、ダンテに敗北した日から提督の特訓を毎日受けていたため、そこそこ強くなったつもりなのだ。本当を言えば、ダンテと戦ってみたいと思うのだが…
(マア…レ級ガ指名サレタンジャショウガナイワネ。)
南方棲鬼は腕の砲塔を電達へと向ける。
そして、一言呟くのであった。
「オチナサイ!」
「あいつも雰囲気変わったな。なんかやったのか?」
ダンテは南方棲鬼を見ながら、腰に手をあてる。その表情は余裕綽々といった様子で、まるで傍観者のようだ。
「ヨソミハイケナイナ!」
しかし、それは決して戦艦レ級の攻撃が緩んだわけではない。
レ級はダンテの背後に回り、尻尾を勢いよく振り下ろす。ダンテはそれを軽く身体を翻すことで回避する。
水しぶきが上がり、強張ったレ級の表情を彩る。
「…僕トノデート中ニ、他ノ女ニウツツヲ抜カスナンテネ。」
レ級から、殺気のこもったセリフが飛んでくると同時に、ダンテは笑みを浮かべて両手を挙げる。
「悪いな。気をつけるよ。」
そのまま、ダンテは背中のリベリオンに手をかける。
それを見たレ級は、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべる。
「…ソノ剣ヲ飛バスノカ?ソレトモ、衝撃波?」
「…ハズレだ。」
ダンテはそう呟いた瞬間、瞬間的な移動でレ級の目の前に現れる。そして、そのまま剣を振り下ろそうとする。
そのトリッキーな動きに、敵は翻弄され、瞬く間に撃破される。
そのはずだった。
「オ見通シダヨ。」
レ級はそれを読んでいたかのように、剣を尻尾で防ぐ。それによってリベリオンは弾かれ、ダンテは体勢を崩す。その瞬間に、尻尾をダンテの顔面へと滑り込ませ、主砲を放った。至近距離からの砲撃に、ダンテは成すすべもなく海上を転がる。
「クッ…決定打カト思ッタガ…!」
しかし、その結果にレ級は満足していなかった。
行動、タイミング、それらは完璧に近いほどの成功であった。
だが、手応えがないのだ。
「…驚いたぜ。そんなに強くなってたとはな。」
ダンテはそう言いながら、ピョンと身体を起こし、水で濡れたコートを軽くはたいた。
吹き飛ばしたはずの頭が戻っていることは、もはや気になどしなかった。
「じゃあ、こっちも『本気』出すか。」
そう呟いて、ダンテは右手を前に出してフィンガースナップをし、そのままレ級へと迫る。
レ級はそれを見て、尻尾をくねくねと動かしながらダンテへと砲撃を開始する。
「オチナヨ!!」
「それは無理な相談だ。」
レ級の叫びを軽く一蹴したダンテは、剣を一度ぐるりと回しただけで、迫ってきた砲弾を斬り落とす。あたりに広がる爆煙。
「…ドコカラ来ル?」
レ級は目の前に広がる爆煙を凝視する。煙幕のどこから出て来るか。目の前か、それとも頭上か。
「答えは、どちらでもない、だ。」
「!…」
レ級は、煙が晴れた瞬間に驚いた表情を浮かべた。
ダンテが、結局その場から一歩も動いていなかったからである。
「…何ノツモリダ。」
「お前がどうしてこんなところにいたのか、考えてたのさ。」
レ級の言葉に、ダンテは一言呟いて黙り込む。
その沈黙は、まるで友人との間に流れるもののようなラフさがあり、まるで歴戦の猛者だけが体得するような隙の無さが伺えた。
「…なあ、教えてくれよ。誰を待ってる?」
「ッ…!!」
レ級はダンテの『本気』に、顔を歪ませるだけであった。
「動きが止まった?」
電はダンテの方を軽く見て呟く。しっかりとそれを確認することが出来ないのは、南方棲鬼の猛攻に苦戦しているからである。
「クライナサイ!!」
南方棲鬼は、腰の主砲を電に向けて放つ。その砲弾は、電の頬をかすめる。だが、それに負けじと電も主砲を放つ。
しかし、その弾道は、南方棲鬼の遥か後方へ着弾する。
「…ドコヲ狙ッテイル?」
電が外したのではない。その砲弾のスピードを超える速度で、南方棲鬼がその砲弾を回避したのだ。
電は驚きつつも、すぐに声を張り上げる。
「魚雷装填!」
その言葉を聞いた漣と朧は、時間を稼ぐように主砲を南方棲鬼に向けて放つ。その間に、暁と響、そして雷は魚雷を装填する。
主砲を次々と回避し、南方棲鬼はそれをじっと見る。
「…フゥン…」
南方棲鬼は小さく呟く。主砲で釘付けにして、魚雷で仕留める作戦であろう。
船では出来ない戦法であり、確実に仕留めるためには十分な作戦である。
だが、それを黙って喰らうわけにはいかない。
南方棲鬼は瞬時にスピードを上げ、そのまま電の方へ肉薄する。
「んなっ…!?」
漣と朧は、その速度に恐怖を抱く。
南方棲鬼に、何か危険な雰囲気を感じ、主砲を放つことが出来ない。
「フフフ…!!」
南方棲鬼は凶悪な笑みを浮かべ、そのまま電の目の前まで迫る。
電は、その南方棲鬼に主砲を向け、迎え撃とうと闘志を宿す。
そして、その2人がぶつかりあうかと思われた瞬間…
「もういい。」
その低い声が響いたと同時に、南方棲鬼の動きが止まる。それに伴い、主砲を放とうとした電の指先も、力が抜けていく。
それは、ほんの一瞬前まではその場にはいなかったはずの人物。
「…提督。」
レ級は、その声をあげた人物へ向けてそう呟く。
その青いコートを身に纏い、左手に日本刀を持った男に向けて。
「…」
ダンテは、しばらく黙り込むだけであった。
その表情は、自身の予感が間違っていなかったこと、そして、その再会に戸惑うような表情であった。
「…ダンテ。」
青いコートの男は、そう呟いてダンテを見る。
それを聞いた他の面々は、驚きの表情を浮かべる。
「ダ、ダンテさん…お知り合いなのですか…?」
「提督…マサカ、コイツヲ?」
電とレ級は、それぞれに問いかける。だが、2人は黙し語らず、ただ睨み合うだけである。
「…huh。」
ダンテはその両手を軽く上げる。
「随分と久しぶりだな。感動の再会ってやつだぜ。」
ダンテはその男へと鋭い視線を向けつつ、楽しそうに笑みを浮かべ、こう付け加える。
「なあ?バージル。」
それは、かつて3度も戦い、自らが葬りさった人物の名前。自身の双子の兄の名前。
そう呼ばれた男、バージルはため息をつく。
その表情は、まるで人を見下しているかのような冷たいものであった。
「…らしいな。」
バージルはそう呟くと、鎮守府の方を軽く見る。その視線の先を追うように、ダンテもそちらを見る。
そこからは何も感じなかった。悪魔も、人の気配すらも。
だが、バージルはそちらを見た。それが何を表しているのか、ダンテにはまだわからない。
「…だが、そんなにゆっくりしていくつもりはない。」
「…そうかい。」
バージルはそう言って、ダンテに背中を向ける。それを見て、黙ってレ級も後を追う。
ダンテはそれをただじっと見送る。かつて、バージルとダンテは戦った。しかし、今はその必要はないことは分かっていた。あくまで、今はというだけだが。
「…フン。」
南方棲鬼はそれだけ呟くと、ため息をついて電に背中を向ける。電は、その状況で攻撃する気は無くなっていた。
避けられる争いは避けられるに越したことはない。それに、今回の任務は、あの鎮守府の確認である。
「…ダンテさん。」
電はそうダンテに言葉を投げかける。それに対して、ダンテは何も返さずに、ため息をつく。
「…とにかく、まずは任務なのです。今は何も聞かないのです。」
電はただそう呟いて、鎮守府へと向かう。それに続いて、雷達もそちらへ舵を切る。
ダンテは、両手を腰に当てて、ため息をつくだけであった。
ここら辺から、しばらく投稿がまた遅れそうです!
1週間ぐらいかかってしまうかも…?