Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
なんとか週一更新ができてますが、そろそろペースが落ちそうです…
いや、でも週一はキープしたい…(じゃなきゃ時間かかって仕方がない)
「…電、何かいいことでもあったのかい?」
提督は、いつもより元気な電を見て、不思議そうに尋ねる。
心なしか笑顔が増えており、仕事のスピードも早い。そんな電を見るのが久々だったのか、提督は疑問に思ったのだ。
それに対しても、電は笑顔で答える。
「少しだけ、なのです。」
「…そうか。それは良いことだ。」
それにつられて、提督も笑顔を浮かべる。提督から見て、最近の電は何か思いつめていた部分があった。
それが解決されたのを良かったと思いつつ、提督は少し寂しい気もしていた。
おそらく、電を変えたのは、ダンテ。
(…やはり、みんなの力にはなれないか。)
提督は心の中で呟いて、すぐさま目の前の書類へと目を通す。
と、そこへ黒電話のベルがなる。それを軽く見て、提督はすぐに受話器を取る。
「はい、こちら横須賀鎮守府。」
『!…あの!元帥の秘書艦の吹雪です!』
その声が電話の向こうから響き、提督は怪訝な表情を浮かべる。
「何かあったんですか?」
『それが!ダンテさんのことなんですけど!』
その内容を聞いた提督は、困惑の表情を浮かべることしかできなかった。
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「うん、身体の調子は万全!」
鈴谷はベッドから這い出て、軽く伸びをする。
鈴谷は体調が回復し、やっと戦列へ復帰出来るようになったため、これから訓練に向かうことになっている。
「…俺はもう少しかかりそうだな。」
木曾は軽く鈴谷の方をみて、ため息をつく。
身体は完全に治っているが、この部屋を出ることが許可されないのだ。理由としては、まだ心の傷が癒えていないこともあげられる。
「ゆっくり休みなよ。まだ色々大変だろうし。」
隣のベッドに寝転ぶ木曾に軽くそう告げて、鈴谷は腰に手を当てて笑いかける。
そんな鈴谷の言葉に、木曾は微笑みを浮かべる。なんだかんだ、2人は一緒の部屋にベッドで寝転んでいたため、そこそこ仲が良くなっていた。お互いに何を考えているかぐらいは察することが出来るほどに。
と、そこへダンテがやってくる。
「スズヤ、もう大丈夫なのか?」
「ダンテ!ちーっす!もうバッチリ!」
鈴谷はまるで友達のように軽い敬礼でダンテにウィンクをする。
ダンテはチラと木曾の方を見る。目線があった木曾は、少しだけ身震いをする。
それは、ダンテには少し迷惑をかけたという自覚があるから。
「…大丈夫なのか?その…」
木曾はそう言いながら、口ごもる。
あの時、ダンテの心臓に刀を…
「気にするなよ。刀ってのも新鮮だったぜ。いつもは、こいつだからな。」
と、ダンテは背中のリベリオンを指差して笑う。
その言葉の真意を、鈴谷と木曾は理解することなどできなかったが、よほどいつもは酷い目にあっているということだけは伝わる。
「…それで、ダンテはどうしてここに?」
鈴谷が話題を変えるようにそう呟く。それを聞いて、思い出したかのようにダンテが指を鳴らす。
「こいつを渡しにきた。」
と、ダンテはコートのポケットをあさる。
そこから出てきたのは、紫色で星の形をした何か。
「綺麗な紫色だね。これは?」
「気にするな。こいつをいつも肌身離さず持ってな。」
鈴谷の言葉に、ダンテはただそう答える。それを聞いて、少し怪訝な表情を浮かべる鈴谷だったが、ダンテから物がもらえることに嬉しさを感じて素直にそれを受け取る。
「これに穴を開けてブレスレットにでもしようかな〜、ふひひ!」
「好きに使って構わないさ。」
ダンテはそれを聞いて、少しだけ楽しそうな笑みを浮かべる。
しかし、そんなダンテの下にその報せが届く。
「ダンテさん!大変なのです!」
電が息を切らして医務室へと駆け込んでくる。
それを見て、3人が少しだけ驚いたような表情を見せる。
「どうした?何かあったのか?」
木曾が肩で息をする電にそう問いかけると、電がその表情を青ざめさせる。
「ダンテさんを、大本営に呼びつけるらしいのです…それも、無期限で…!」
「んなっ!?」
その言葉を聞いた木曾と鈴谷は、あまりの事態に言葉を失う。
大本営に無期限で呼びつけられる。その処置が取られるのは、あまりに極悪非道な行いをした鎮守府の提督か、上官の命令に何度も反抗した艦娘のどちらかだけである。
「そんなに悪いことなのか?」
そんな3人を尻目に、ダンテがよく分からないまま楽しそうに呟く。
それを見た電は、ため息まじりにこう告げる。
「軍の中で言うなれば、極刑の次に重い罰なのです…要は、大本営の方でずっと閉じ込められるのです…」
「…何か悪いことした心当たりはあるの?」
鈴谷もつられて呆れたような声を上げる。
ダンテは、それを聞いて笑いながら手を叩く。
「覚えがあったら、苦労はしないさ。」
「…まあ、それならすぐに戻ってこれるだろ。」
木曾も軽く笑いながらそう告げる。
確かに、何もしていないのだから、すぐに帰ってこれるというのはあり得るだろう。
だが、電の心には形容しがたいざわつきが出ていた。
「とにかく、1度執務室まで戻って欲しいのです。」
「そうかい。」
電の言葉を聞いたダンテは、軽く笑みを浮かべて医務室を退出する。
その心の中では、ニヤリとした笑みを浮かべていたのであった。
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「…納得がいきません。」
提督が、電話越しにそう呟く。だが、電話の向こうからは無慈悲な返答。
『これは命令だ。』
大本営の人間は、そう冷酷なほどに落ち着いた声でそう告げて、そのまま電話を切る。
電話を持っていない方の手を強く握りしめて、提督は静かにため息をつく。
「…気にするなよ。俺が大本営に行けば済む話だ。」
ダンテがいつものソファへと腰掛けながら、足をテーブルに乗せる。
それを見て、提督は少し食い気味に反論する。
「それがおかしいんです…何故ダンテさんをわざわざ大本営に…!」
「俺が来る前の鎮守府に戻るだけさ。別に心配はいらないさ。」
ダンテはそう呟いて、軽くあくびをする。
提督はそんなダンテを見て、少し歯噛みする。
確かに、ダンテが来る前に戻るだけ。あの時の日常に戻るだけ。
だが、ダンテがこの鎮守府に来たことによって変わったことがたくさんある。
「…ダンテさんがいなくなってしまっては…この鎮守府は…」
だからこそ、提督は弱気に呟く。
己の非力さを、自分が艦娘のことを何ひとつまともに知らないことをマジマジと見せつけられて、自信がなくなってしまった。
それを見たダンテは、まるで提督がおかしなことを言っているかのように、笑いかける。
「おいおい、俺がやったことなんて些細なことさ。ここの提督は俺じゃないだろ?」
ダンテはそう言って、軽く手をあげる。
その言葉を聞いた提督は、少しだけ言葉に詰まる。
「…僕は…艦娘達を救うことができなかった…」
力なく呟いて、提督は静かに拳を握る。
南方棲鬼が鎮守府に侵攻して来た時、ダンテ無くして鎮守府を無傷で守ることはできなかったかもしれない。鈴谷のこともそうだ。ダンテがいなければ、鈴谷はそのまま帰って来ることもなかったかもしれない。
電だって、ずっと前から秘書艦として共に過ごして来たのに、その心の内を解消できたのはダンテ。
提督は、自分の存在が希薄になっていくのを感じる。全て、ダンテがいれば事足りる。
自分は必要のない存在。
「…そいつは違うな。」
と、ダンテがそう言ったことで、提督の思考を遮る。
「…違う…んですか?」
提督はそう呟いて、ダンテの方を見る。
いつの間にかソファから立ち上がり、両手を腰に当てて仁王立ちするダンテは、微笑みを浮かべていた。
「…俺は、悪魔の視点からあいつらを見ただけさ。人間の視点から見るのは、あんたの仕事だ。」
そう言って、ダンテは提督の目を見る。
その瞳の奥に宿った、人間としての感情を読み取る。
「…人間の視点…」
提督はポツリと呟く。
「…俺じゃあいつら全員を助けることなんてできない。それを俺が来るまでの間、誰が助けてやっていたんだ?」
「…はは、そんな言い方をされちゃ、僕も拗ねているわけにはいきませんね。」
提督は、大きくため息をついてダンテの言葉に応じる。
今まで、誰が艦娘のことを1番に考えて行動してきたのか。轟沈を出さぬように、そしてこき使ったりしないように細心の注意を払ってきたのは誰か。
「…これからも、僕が正しいと思ったようにやります。艦娘を守りたい。これからも、僕はその想いを胸に頑張りますよ。」
提督は自信に満ち溢れた表情でそう告げる。
ダンテはそれを見て軽く笑う。
「…そいつは良いな。楽しみにしてるぜ。」
そう呟いて、ダンテは身体を翻して部屋を出ようとする。
提督はそのダンテに声をかける。
「…すぐに戻ってこれるように計らいます。それまで待っていてください。」
提督の言葉に、ダンテは軽く右手を挙げることで答え、そのまま執務室を後にする。
太陽は真上に位置し、世界を照らし続ける。
全然関係ないですけど、敵キャラの中で1番好きなのはアルトアンジェロだったりします。(見た目と登場シーンが好きでした)
まあ、この作品では出ないんですけどね!