Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
しばらく戦闘はないので、軽く流してもらえれば!
「…こほん、えっと…色々とすみません。悪い子じゃないんです。」
執務室の中、大佐はソファに腰掛けて、そう呟く。その向かいの来客用の椅子には、少し不機嫌そうなネロが座っていた。
結論から言うと、ネロは天龍をいなすことができず、そのまま執務室まで歩いてきた。歩きながらずっと質問を受けていたネロは、他の艦娘達の注目を一気に浴びてしまい、続々と人が集まってきた。はたから見れば、多くの女子を侍らせるイケメンの構図なのだが、本人は心底疲れていた。
そこを、大佐が見つけて、慌ててみんなを制止するという事態になってしまった。
「…ここは女しかいねえのか?」
「な、なはは…そうなりますね…」
ネロの言葉に、大佐は苦笑いをしながらそう答える。
ネロはその事実を聞いて、さらに表情を曇らせる。
日本の海軍は、女性を戦わせる。そのことが頭に引っかかっていた。
「…それで、俺の仕事は?」
「えっと、一応、元帥に聞いたところ、あなたのお仕事は深海棲艦の攻撃を食い止めることです。」
大佐の言葉に、ネロは少しため息をつく。
電話の相手が言っていたことと同じ話であり、どうやら一晩では決着はつきそうにない大掛かりな仕事だということが理解できた。
「…いいさ、やってやるよ。」
ネロは静かにそう呟いて目を閉じる。
「では、お仕事のお話はここまでにして、早速お部屋の方にご案内しますね!」
そう言って楽しそうな笑みを浮かべた大佐は、ソファから立ち上がってそのままドアの方へと歩く。
「…頼むよ。」
ネロは表情を特に変えずに、そばにあったレッドクイーンのケースを手にとって、大佐の後へとついて行くのであった。
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執務室前、4人の艦娘がドアに耳を当てて、中の様子を伺っている。
秘書艦の時雨を筆頭に、夕立、天龍、そして龍田の4人である。
時雨が、ひそひそ声で天龍に尋ねる。
「…それで?どうだったの?」
「どうって、まだ何も聞けてねえよ。提督に途中で止められちまったからな。」
天龍は隣の時雨にそう告げる。質問攻めにしていた途中で、大佐にバレてしまったため、すぐに止められてしまったのだ。
その言葉に、龍田が大きなため息をつく。
「…天龍ちゃん、怒られたりしないかな〜。」
「ばっ、馬鹿な!俺は別に怒られることなんて何も…」
天龍はそこまで呟いて、自分がやったことをよく思い出して見る。
いきなりやってきた来客に攻撃。そして、その来客に質問攻めで困惑させ、そのまま提督に止められるまでそれを続けた。
むしろ、怒られる可能性の方が高いという結論に至るまで、そう時間はかからなかった。
「…むしろ、怒られない方がおかしいっぽい。」
夕立はそう言いながら天龍に少し呆れたような笑みを浮かべる。
大佐が怒ると、もう誰も彼女を止めることはできないことは、この鎮守府では共通認識である。
天龍は、狼狽しきった表情を浮かべて震えだす。
「…ま、まさか…そんな怒られるなんてことは…」
その時、執務室のドアが開く。
当然、耳を当てていた時雨たちはそのまま部屋へとなだれ込んでしまう。
「「「わぁ!?」」」
天龍が下敷きになり、その上に時雨と夕立が覆いかぶさる形になってしまった。
それを見た大佐の表情が、みるみるうちに豹変していく。
「…何やってるの?」
「…あ、あははは…」
大佐の表情を見て、時雨は青ざめた顔でそう笑う。それは形容できないほどに恐ろしいものであった。
ネロはその様子を後ろで見て、ため息をつく。
「…3人とも、覚悟はいいね?」
「…先に出てるぜ。」
ネロはそう言って、そのままドアの外へと出ていく。それを確認して、大佐は時雨たちを執務室の中にいれたまま、ドアを閉める。
そして、大佐はゆっくりと3人の目の前まで歩き、仁王立ちする。
「…て、提督…その…」
「言いたいことは?」
時雨のそんな言葉に対して、無慈悲に響く大佐の声。あまりにも無機質な声。
何かを言おうとするが、喉は完全に乾いてしまい、うまく声が出せない。3人は完全に恐怖していた。
その時、天龍はあることに気がつく。先ほどまで一緒にいた、もう1人の存在のことである。
「!…そうだ!龍田は…!?」
と、そこまで呟いた天龍は、手の中に一枚のメモを握っていることに気がつく。
そこには可愛い字でこう書かれていた。
『ごめんね〜、あとは任せたわ〜』
「…ば、馬鹿な…いつの間に…!?」
天龍は、頭の中で龍田に怒りを覚えながらそう呟く。だが、その目の前の恐怖から解放されることはない。
大佐はその表情を、一切変えることなく3人と対峙する。
「…じゃあ、そういうことだから…」
「…は、はひ…」
3人は、しばらく執務室で固まることしかできなかった。
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「お待たせしてすみません!」
大佐は笑顔でそう言って、執務室から出てくる。
ネロは数分間外で待っていたのだが、中からは物音一つしなかった。中から漂う気配が異常だったが。
「では、早速案内しますね!」
「…ああ、頼む。」
大佐の言葉に頷くことしかできないネロは、そのまま後をついていく。
チラと執務室の方を見るが、3人が出てくる気配はない。何があったか非常に気になるが、今は特に気にしないようにするしかない。
「ここがそのお部屋です!」
と、大佐が意気揚々とした声でそう叫ぶ。
ネロはそれを聞いて、そちらへ視線を戻すと、ドアを開いて楽しそうな視線を向ける大佐がいた。
「あっ、靴は脱いでくださいね!」
大佐の言葉に軽く右腕を挙げて応じ、そのまま部屋の中を見る。
中はそこそこ広く、ベッドとデスク、シャワールームにジュークボックスである。
「日本なのに、タタミってやつはないのか?」
ネロは、日本のことについて色々と調べたのだが、その中の一つ、畳は少し興味があった。
もしかすると、という少し期待はあったのだが…
「あっ…もしかして、畳が良かったですか…?」
大佐はしょんぼりしながらネロにそう告げる。
「…いや、こっちの方が慣れてるし、助かるよ。」
ネロはブーツを脱いで、部屋の中へと足を踏み入れる。
そして、レッドクイーンのケースを床へと置き、そのまま開く。
「少し拝見させてもらっても?」
そう言って、大佐も靴を脱いでネロの側へと駆け寄っていく。
ネロはそれを気にせず、レッドクイーンを組み立てる作業に入る。
一つ一つの部品を丁寧に、かつ迅速に組み上げていく。ガチャリ、という金属音があたりに響き渡る。大佐もその手際の良さに見とれていた。
たった数十秒の間で、ネロはその大剣レッドクイーンを組み立てる。
「凄い…!」
その出来上がったレッドクイーンを見て、大佐はそう呟く。
ネロはそれを背中へと装備して、試すように持ち手の部分のアクセルを捻る。ブルンッ!という激しい音と共に、レッドクイーンが火を噴く。それを確認してから、やっと落ち着いたかのような表情を浮かべる。
「…はっ、そうだ!」
そこまでの動作をずっと見ていた大佐は、ハッとした表情を浮かべてそう呟く。
「2時間後に執務室の方に来てください!長旅でお疲れでしょうし、それまではお部屋でゆっくりしていてください!」
大佐はそう告げて、そのまま部屋を出ていく。
ネロは大佐の言葉をそのまま頭の中で反芻する。
「…2時間ね。」
ネロはそう呟いて、ドアの方へと歩を進める。
その表情は、少し曇っているように見えた。
「…その間は散策させてもらうぜ。」
ネロはそのまま、ブーツを履いて外へ向かうのであった。
もうそろ、ダンテの方のシークレットも動かして行く予定です!
少々お待ちを!
追記:
大変お待たせしております!!
今現在、続きを執筆中ですので、もう1週間ほどお待ちください!!