Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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大変お待たせいたしました!!

やっと続きに着手できたので、心機一転ここからまた頑張ります!!


右腕

「元帥、無事にネロさんは到着しました。」

 

大佐は、電話の受話器にそう告げる。その電話の相手は、大本営本部にいる元帥である。

電話の向こうの元帥は、ふうむ、と満足そうな声を上げる。

 

『ご苦労。しばらくの間、彼の世話を頼むぞ。』

「はい、了解しました!」

 

元帥の言葉に、大佐は受話器越しに敬礼をして、その電話が切れるのを待つ。その敬礼は、元帥には絶対に見えることはないので、意味がないのだが。

しばらくして、ガチャリ、と電話が切れたのを伝える音がなる。それを聞いて、大佐は両目を閉じて息を吐く。

 

「…はぁ…疲れた…」

 

大佐はそのままぐったりとした表情を浮かべ、執務机にへたり込む。

その目の前に、先ほどの一件のおかげで、天龍と時雨と夕立が正座をさせられている。

 

「…ねえ、提督。僕たちはいつまでこうしていれば良いのかな?」

 

時雨が、少し苦笑いでそう問いかける。ネロを部屋に案内して、その後元帥へと電話をかけている間、ずっと正座していたのだ。もうそろそろ、両足の限界が来ていた。

しかし、その言葉にジト目で反応する大佐。

 

「…反省するまでそうしてなさい。」

「もう十分反省したっぽい〜…」

 

大佐の無慈悲な言葉に、夕立はぐったりと首を項垂れる。全てを諦めたようなそんな雰囲気が漂っていた。

天龍はそんな中、静かにただ黙りこくる。

 

「…なあ、あいつ、ネロっていうのか?」

 

天龍は少し陰る面持ちで呟く。

それを見た大佐は、少し不思議そうな表情を浮かべる。

 

「…そうだよ。ネロさん。」

 

大佐の言葉に、天龍は考え込むような表情を浮かべ、そのままこう呟く。

 

「…なんてこった…カッコ良すぎかよ…」

「…何の話?」

 

大佐は軽く頭を抱えて、そう天龍に返答する。正直、何を言っているのか分からないという事実。

 

「…でも、なんだかネロはかっこいいよね。」

 

時雨はそう呟いて、軽くぽうっとした表情を浮かべる。

それを見た夕立は、ニヤニヤとした笑みで時雨の肩をつつく。

 

「もしかして、好きになっちゃったっぽい〜?」

「!…そんなことはないよ!」

 

夕立の言葉に、時雨は顔を赤くして反論する。それを見て、またまた〜、と夕立が楽しそうに微笑む。

そんな光景を、大佐はただぼんやりと眺めていた。

 

(なんだか、みんなが楽しそうだなぁ。)

 

大佐はそんなことをしみじみ思いながら、微笑みを浮かべるのであった。

 

 

______________________

 

 

外を散策し始めていたネロ。通りかかった艦娘達にひたすら声をかけられ、その都度軽く話をしていた。そして、しっかりとこの鎮守府の女性の割合が異常だという現実を突きつけられていた。

そんなネロが工廠の前を通りかかると、またも強烈な個性を持った艦娘に相対する。

 

「ぱんぱかぱーん♪ようこそ呉鎮守府へ!」

 

そう言いながら、両手を広げるその艦娘。高雄型重巡洋艦2番艦の愛宕という。髪型はセミロングの金髪であり、服装は青いキャビンアテンダントのような制服を着用、頭には同じく青色の丸帽子を被っている。

彼女のそのテンションの高さに、ネロはただ戸惑うだけであった。

 

「…なんなんだよここは…」

 

まるで異界にやってきてしまったかのような感覚を覚えて、ネロは呟く。神の胎内に比べれば、まだここは平和な分マシだ、と言われるかもしれないが。

愛宕はそんなネロを、キョトンとした表情で見つめる。

 

「…あんまりお気に召さなかった?」

「…だったらなんだよ?」

 

愛宕の質問を、そんな面倒くさそうな表情で返すネロ。

明らかに好意的ではない反応を示すその姿を見た愛宕は、困ったような表情を浮かべて、考え込む。

 

「歓迎したつもりだったんだけど、失敗しちゃったかな?残念。」

「…」

 

愛宕のそんな微笑みの表情に、ネロはただ呆れるように沈黙する。

そこへ少しずつ近寄ってくる影。高雄型重巡の1番艦の高雄である。

 

「…全く、困らせているじゃない。」

「あら、高雄。演習は終わったの?」

 

高雄の言葉に、笑顔で答える愛宕。

高雄も愛宕と同じように、青い制服に身を包み、丸帽子を被っている。髪型は愛宕とは全く違い、黒髪のボブヘアーである。

高雄はネロと愛宕の両方を見て、軽くため息をつく。

 

「…妹がごめんなさい。でも、悪気があるわけじゃないの。」

「…だろうな。」

 

ネロもその点については納得したらしく、そう返答する。正直、ネロが愛宕に対して抱いたのは、戸惑いだけなので、謝られるほどのことではないと思っていたが、素直にその言葉を受け取っておく。

 

「それにしても、男の人がここに配属なんて、初めてだわ。」

 

高雄がそう珍しそうに呟くと、ネロはため息をつく。

それは今まで話して来た艦娘達全員に言われたことであった。今までこの鎮守府に、男性が着任したことはないということ。

 

「ここはマジで女しかいないみたいだな。」

「うふふ、この鎮守府は提督も女の子だし、本当に男の人はいないわね♪もちろん、他の鎮守府でなら、男の人に会ったことはあるわよ?」

 

愛宕は楽しそうに笑みを浮かべて、ネロに視線を向ける。そして、右腕をじっくりと見る。

その視線に気がついたネロは、その右腕を隠すことなく、堂々とそれを見せるだけであった。

 

「…この右腕、どうなってるの?」

「さあな、それは俺にも分からねえよ。」

 

フォルトナにいた頃、任務中に右腕を負傷した。

それが原因で、右腕はこの異様な形へと変貌して行ったのだ。

故に、この右腕がどんなものなのかを正確に説明することはできない。だが、この右腕は彼を何度も窮地から救ったのも事実である。

 

「…まあ、俺の相棒みたいなやつさ。」

「相棒…?」

 

ネロの言葉を聞いた2人は、少し考え込むような表情を浮かべる。右腕が相棒という感覚に違和感を覚えたのだが、それは自分たちの艤装と同じようなことなのかもしれない、と無理やり頭の中で納得させる。

 

その瞬間、あたりにけたたましい警報音が響く。

 

「!?…」

 

高雄はそれを聞いた瞬間、愛宕へと視線を向ける。愛宕もその音を聞いたことで、一瞬で思考を巡らせる。警報がなったということは…

 

「近場で戦闘か、偵察が敵艦隊を発見したか…」

「とにかく、戦闘準備を!!」

 

高雄と愛宕はそう呟きながら、艤装を取りにいくために走る。

取り残されたネロは、その様子を黙って見守る。

 

「…そうかよ。」

 

ネロはそう呟いて、遠くの水平線を見る。何かが見えるわけではない。だが、その向こうから感じる気配。

 

「…さっさと終わらせて、フォルトナに戻らなきゃいけないしな。」

 

ネロはそう呟いて、右手を強く握りしめた。

 

 

 

______________________

 

 

「…急いでこちらから援軍を送ります。持ちこたえてください!」

 

大佐は電話に向かってそう叫び、そのまま電話を切る。そして、すぐに時雨達に指示を出す。

 

「第1艦隊の編成を、愛宕、高雄、時雨、夕立、隼鷹、飛鷹!第2艦隊は、天龍、白露、村雨!第3艦隊は、龍田、睦月、如月、弥生で編成!確実に味方の救援を成功させて!!」

「了解!」

 

先ほどまでの和やかな雰囲気から打って変わって、その場の全員が真剣な表情を浮かべていた。

戦闘前という緊張感に包まれ、それぞれの目の色が変わる。

 

「では、健闘を祈ります!」

 

大佐のその言葉を皮切りに、時雨達は部屋を急いで出ていく。

大佐は、ただ1人執務室に残されたまま、じんわりと滲む汗を拭う。

 

「…大丈夫…みんなを信じるんだから…」

 

大佐は自分に言い聞かせるように呟いて、椅子に座り込むのであった。

太陽は傾き始め、新たな戦いを呼び寄せる。

 

 

 





さて、次回からネロ編の初戦闘になると思います!
スタイリッシュに決めたい…!!
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