Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
何か今回の章が非常に長くなってしまっている気がしますが…
とにかく!続きでございます!
「くっ…!!」
朝潮型駆逐艦1番艦の朝潮は、確実に今の状況を絶望的と見ていた。
自分の後ろには、姉妹艦である大潮と満潮が大破の状態で苦しんでいる。そして、朝潮自身も中破状態である。
そして、目の前には、大本営からも危険な敵と言われる、戦艦レ級が佇んでいた。
「…ツマラナイナ。」
戦艦レ級は欠伸をしながら、飽きてしまったような表情を浮かべている。
このままでは、3人とも生きて帰ることが出来ないかもしれない。朝潮の頭の中に、そんな最悪な未来がよぎる。
朝潮は歯を食いしばり、戦艦レ級に鋭い目線を向ける。
「…オヤ…?」
そんなことなど露知らず、レ級は遠くから近づいてくるその影を見た。
その瞬間、レ級を爆煙が包む。
「!?…」
朝潮はそれに驚愕し、それを凝視する。
その朝潮と爆煙の間に割って入るように、艦娘が1人やってくる。
第1艦隊旗艦、高雄である。
「こちら高雄!救援に間に合いました!」
高雄が通信機に向かってそう叫ぶと同時に、第1艦隊の面々が朝潮達を保護するように囲む。
「…あの…あなた方は…?」
朝潮は、恐る恐る尋ねる。それに対して、時雨は微笑みながら返答する。
「呉鎮守府所属の時雨だよ。とにかく、一回君達を保護するね。」
「あ、あの…大潮と満潮が…!!」
朝潮は、時雨に縋るように叫ぶ。
何としても、妹達を救ってほしいと願うその姿に、隣にいた夕立もその表情を柔らかくする。
「大丈夫!私たちが助けるっぽい!!」
「夕立、時雨!そこの3人を頼むよ〜!!」
と、隼鷹がそう叫ぶと同時に、爆煙が晴れていく。
そこには、全く傷を負っていない戦艦レ級が立っていた。
「…ヘェ、重巡モ中々ヤルジャナイカ。」
戦艦レ級は、そう言いながら凶悪な笑みを浮かべる。
高雄と愛宕は、すぐに主砲を戦艦レ級へと向ける。隼鷹と飛鷹も艦載機をいつでも放てるように構える。
戦艦レ級はその目で、愛宕達を順番に見ていく。
「…マァ、イイ…軽ク相手シテアゲルヨ。」
戦艦レ級は尻尾についている砲塔を愛宕へと向ける。
高雄はそれを見て、表情を硬くする。
ただでさえ、大本営から危険視されている戦艦レ級との対峙にも関わらず、負傷状態の駆逐艦3隻を援護しながら戦わなければならない。
しかし、戦艦レ級はため息をついてその砲塔を降ろす。
「…ト、言イタイトコロダケド、今日ハ見逃シテヤル。」
「!?…」
その言葉に、高雄達は驚愕の表情を浮かべる。
それは、高雄達にとって前代未聞の出来事であったからだ。
「…どういう風の吹きまわし?」
愛宕が怪訝な表情でそう尋ねる。
それに対して、戦艦レ級は面倒くさそうな表情を浮かべる。
「…君達ガココニ来タ時点デ、必要ガナクナッタンダヨ。モウ、僕ノ仲間ガ色々頑張ッテイルトコロダロウシネ。」
「!…まさか!?」
高雄は通信機へと叫ぶ。
「皆さん!!急いで鎮守府へ帰還してください!!」
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「…嘘…!?」
湾頭に立つ大佐は、恐怖に足を震わせていた。
近海に、空母棲鬼が率いる小規模の艦隊が近づいてきているのを視認したからである。
「…何とかしなきゃ…!!」
大佐はすぐに工廠へと走る。
今は動ける艦娘が1人もいない。ならば、自分で何とかするしかない。
このまま、みんなが帰る場所を失うわけにはいかない。
「…すぐに建造して、艦隊を編成しなきゃ…!!」
「なあ、あれが深海棲艦なのか?」
そんな大佐の目の前に、ネロが腕を組んで立っていた。
その様子は、面倒くさそうな反面、やっと出番が来たか、と言わんばかりの表情であった。
「本当に海の上を動き回ってんだな。」
「ネロさん…」
大佐は、そのネロの表情を見て確信していた。
間違いなく、彼は戦う気だと。
「…ネロさん。時間稼ぎをお願いできますか?」
「それは無理だろうな。」
ネロはそう言って、左手に、『回転式拳銃』ブルーローズを海に向ける。その瞬間、海面から駆逐イ級が飛び出し、ネロへと飛びかかる。
イ級はその口内の主砲を放とうと口を大きく開く。
「その前に全滅しちまうからな。」
ネロはそう呟くと、その引き金を3回引く。
一度の射撃につき2発の弾丸が射出されるため、イ級の身体に合計6発の弾丸が突き刺さる。
弾丸の勢いに、イ級は後ろに飛ばされ、海面に力強く叩きつけられる。
「!…」
大佐はその光景を見て、言葉を失っていた。
駆逐イ級をあれだけの動作で倒してしまうことへの驚き。深海棲艦と遭遇しても全く動じないその立ち姿への憧憬。
何よりも、自分と同じぐらいの青年が出すものではないほどの余裕が見えることへの切なさ。それほどの死線をくぐり抜けてきたということの証明。
「…なあ、俺も海の上に浮けないのか?」
ネロはそう呟きながら、海を見る。大佐はそれを聞いて思いついたのは、艦娘か履いているブーツである。
ただ、それは人体にはかなり危険なものだと言うことを大佐は聞いていた。
しかし、その問題すらもネロならば超えられるというなぜか確信があった。
「…艦娘用のブーツを持ってきます!それならば海に受けると思います!!」
「そうかよ。なら、俺は先にあいつらをぶっ飛ばしてくるぜ。」
と、ネロは大佐の言葉を聞くと同時に、海面に浮く駆逐イ級へと飛び移る。それと同時に、レッドクイーンをイ級の身体へと突き刺す。
「!…ネロさん!?」
「そのうち戻るぜ。」
ネロはそのまま、レッドクイーンの柄の部分を捻る。
推進剤が火を噴き、剣を包みこむ。それと同時に、イ級の身体が海面を走る。
そのスピードは、艦娘たちにも引けを取らないほどであった。
「!!…凄い…!?」
あっという間に離れていくネロを、大佐はただ見守ることしかできない。
しかし、すぐにネロのために何をすべきかを思い出し、ハッとなる。
「急いで取りに行かなきゃ…!!」
大佐は工廠へと急いで走った。
このままネロだけに任せるわけには行かない。そう心の中で思っていた。
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「…オカシイ。」
空母棲鬼は、ただ小さく呟く。艦娘達が全く出てこないため、戦闘もなく鎮守府に近づいてこれたことに、何とも言えない不安がある。
こちらは駆逐イ級3隻、重巡リ級2隻と、そんなに大規模な艦隊ではない。
だからこそ、ここまで無傷で来れることがおかしいのだが。
「…ドウヤラ、戦艦レ級ガ時間稼ギヲシテイタヨウデス。」
「?…関係ナイ我々ニ何故協力スル?」
重巡リ級の言葉に、純粋な疑問を浮かべる空母棲鬼。
別に敵同士であるわけではないが、わざわざ援護をしてもらう理由もない。
しかし、それでこのまま止まる理由もない。
「…マアイイ、攻撃ヲ…」
「!…アレハ…何ダ…!?」
もう1人の重巡リ級がそう呟くのを聞いた空母棲鬼は、そちらを見る。
そこには、大きな波を立てて進む何かの影が見えた。
「?…艦娘カ…イヤ…違ウナ…!?」
空母棲鬼は自分の艦載機の艦爆を5機発艦させる。
その影へと向けて、攻撃を開始するように念じる。
しかし、その影はその艦爆を全部撃ち落とす。
「!…バカナ…!?」
空母棲鬼は焦りの表情を浮かべる。
まるで艦娘なんかを相手にすることよりも、何か危険な感じがするのを身体が感じていた。
「何トシテモ止メナケレバ!!」
「了解!!」
その影へと、全艦が砲撃を開始する。しかし、その砲撃は当たらない。
次々と飛来する砲弾を、その影はするりとかわしていく。
「何故当タラナイ…!?」
重巡リ級はそう歯を食いしばりながら呟く。
その瞬間、重巡リ級は身体を撃ち抜かれ、勢いよく後ろへと仰け反る。
「!?…」
それを横目で見た空母棲鬼は、恐怖を感じる。
何が起きたのか理解できないという感触だけが頭に残る。
その敵が少しずつ近づいてくる。
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「…何だよ、あんまり手応えがないな。」
ネロがそう呟くのを、空母棲鬼は明らかに恐ろしいものに出会ったかなような目で見る。
しかし、ここで引くわけには行かない。それだけが空母棲鬼の頭の中をよぎる。
「…フフフ…楽シミハ取ッテオクベキヨ。」
空母棲鬼はただ落ち着いた様子でそう返す。それに対して、ネロはため息をつきながら、軽く手をあげる。
「そうかよ…」
ネロはブルーローズを素早く抜いて、その銃口を空母棲鬼へと向ける。
「!?…」
「Bye Bye!…Ha-ha!」
空母棲鬼が驚くのを尻目に、そう笑みを浮かべて呟きながら、クルクルとブルーローズを回してホルスターへとしまう。
それは明らかな挑発。空母棲鬼がワナワナと震えだす。
「…沈メル…!!!」
空母棲鬼はそう力強く呟いて、目を光らせる。
それを見たネロは、少し驚く。それがデビルトリガーに似ているということに気がついたのだ。
「…やっぱり悪魔か。」
ネロは少し面倒くさそうに呟くと、ブルーローズの銃口を空母棲鬼へと向ける。
両者の間に静寂が流れ、戦いの時を告げようとしていた。
何とか週一投稿をしようと思ったのですが…1日ズレました…すみません…!!
ただ、これからもゆっくりとやりたいと思いますので、今後もよろしくお願いします!!