Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
久々にMGS:PWをやったら、思いの外楽しくてデータ消してまたやり直してたら朝になってました…
というわけで、今回の章最終話でございます!
「クッソ…!!」
天龍が率いる第2艦隊は全速力で鎮守府へと向かう。
まさか、戦艦レ級を囮にして鎮守府へ侵攻を行うとは。想像もしていなかった展開であった。
第2、第3艦隊は第1艦隊の援護に回るという指示があったため、全速力で進んでも5分はかかってしまう。
そして、5分もあれば、艦娘が出払っていてほとんどいない鎮守府は…
「もう…早く戻らなきゃいけないのに…!!」
白露型駆逐艦、白露がそう呟きながら焦りの表情を浮かべる。その隣の村雨も、青ざめたような表情を浮かべる。
これ以上スピードを出せないことへの苛立ち。そして、鎮守府が無事であってくれという祈り。
その2つが混ざり合って、心の中をぐちゃぐちゃにしていく。
「とにかく、急ぐしかねえだろ!」
天龍は振り返らずに、そう言い放つ。もちろん、そんなことなどみんな分かっている。それでも、そう呟くしかないのだ。
それ以外に手はないのだから。
「…無事でいろよ…提督…!」
天龍は顔つきを険しくして呟く。
何とか持ちこたえてくれと、頭の中で叫びながら。
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「サッサト沈メナサイ!!」
空母棲鬼が叫ぶと同時に、駆逐イ級と重巡リ級の主砲が爆音をあげる。その弾道は、一直線にネロを捉えていた。
だが、ネロもそれをただ食らうわけがない。レッドクイーンのエンジンをふかし、下の駆逐イ級を加速させ、一気に艦隊へと近づく。
「Foooo!!」
そのまま駆逐イ級からレッドクイーンを引き抜いて、高くジャンプする。
そのまま直線に移動した駆逐イ級の身体は、重巡リ級の方へと飛んでいく。
「!?…」
重巡リ級はあまりの事態に戸惑い、そのまま立ち尽くすことしかできなかった。
そのままイ級の身体がリ級にぶつかり、轟音を上げる。炎に包まれ、苦しみの咆哮をあげながらリ級は沈んでいく。
その間に、ネロは別の駆逐イ級へとレッドクイーンを突き立て、勢いよく刺す。
そのまま右手を出し、もう1体のイ級を掴んで遠くへと投げる。
投げられたイ級は大きな声をあげて海面にぶつかり、そのまま沈んでいく。
「!!…何ナンダアイツハ…!?」
空母棲鬼はその光景に恐怖を覚える。
今まで敵を散々沈めてきた。艦娘だけでなく、人間の輸送船や、護衛艦なんかも。
それらと対峙する時、自分が絶対的に優位に立つことが多かった。そうやって、確実な勝利をジワジワと楽しんで、狡猾な狩人のように追い詰めていくことで自分の心を満たしてきた。
だが、今はどうだろうか。明らかな実力差。そして、今までの敵とは全く違う戦闘スタイル。
むしろ狩られているのは自分の方ではないか。
「
ネロはそのまま、さらにもう一体のイ級へとブルーローズを放つ。
弾丸はスピンしながら、イ級の主砲へと突き刺さる。大きな爆煙が起きた瞬間に、イ級はそのまま深い海へと沈んでいく。
ネロはそれを確認すると、少し離れたところにいる空母棲鬼へ視線を向ける。
「…後はお前だけだな。」
ネロはそう言いながら、面倒くさそうに右手を握りしめてまた開く動作を何回か繰り返す。その右腕を見てしまった空母棲鬼は息がつまる。
先ほどまでは全く意識していなかったが、その右手があまりにも異質なものであった。
人間ではないその右腕。
「…オマエ…何者ダ…ソノ右腕ハ一体…?」
空母棲鬼は少し後ずさりしながらそう呟く。それを聞いたネロは、軽く頭をかきながら息を吐く。
「…さあな。こっちも迷惑してんだ。」
ネロのその言葉を聞いた空母棲鬼は、絶対的な敗北を感じていた。
未知なる力を持つその敵に、どう足掻けば勝てるというのか。
だが、戦いを諦めたつもりはなかった。
「…ソウカ…」
空母棲鬼はそう呟きながら、艦載機を発艦させる。
その数は、25機以上。白くて丸い歪な形をした機体が、あたりをかなりの速度で飛び回っている。
「…ナラ…全力デ戦ウ。例エ、死ヌコトニナッテモ。」
空母棲鬼がそう呟くと同時に、その両目は紅く光った。ネロはそれを見て、ハッ、と軽く笑う。
「そうかよ。なら、こっちも本気だぜ。」
そう呟いたネロの身体を、少しずつ青白い光が包んでいく。その光が少しずつ集まっていき、ネロの背後に魔人を作り上げる。
「!…」
空母棲鬼はその巨大な姿に、息を呑む。だが、それで立ち止まるわけにはいかない。
空母棲鬼が右手をあげると同時に、艦載機達がネロへと突撃をかける。
爆撃機がネロの直上へと爆弾を投下し、攻撃機がネロが足場にしているその駆逐イ級を沈めようと雷撃を行う。
大きな水柱と爆煙があがり、あたりを包む。
空母棲鬼はその爆風に臆することなくただその場に立ち、じっと爆煙が晴れるのを待つ。
しばらく静寂があたりを支配し、数秒の時間が流れた。
その刹那、煙が晴れると同時に、自身の目の前に長く伸びた右腕が迫っているのが見えた。
空母棲鬼は一瞬で理解した。その腕が、先ほどまで立っていたあの青年のものであることを。
「!?…ガァァ!?」
その腕に身体を掴まれるや否や、空母棲鬼はネロの方へと引き寄せられる。
空母棲鬼は時間がスローモーションになったように感じていた。その先でネロが力を溜めるように、腰を落として刀を構えているのが見えたのだ。
「
ネロは空母棲鬼が目の前に近づいてくると同時に、閻魔刀を振り抜いて、その腹部を勢い良く斬りつける。
「カハッ…!?」
痛みのせいで、空母棲鬼は後ろへと吹き飛ばされ、そのまま海面を2mほど転がっていく。
ネロが閻魔刀を鞘に収めると、右腕に吸い込まれていく。それと同時に、背後にいた魔人も消えていく。
「…アァ…最悪ナ気分ダ…」
空母棲鬼は立ち上がろうとするも、痛みによって身体は言うことを聞かず、なんとか片膝をつくことしかできなかった。
「…ダガ…何故カ心ハ安ライデイル…」
空母棲鬼は顔を少しだけ動かす。
立ち上がれはしないが、なんとかネロの方を向く。
その顔を見たネロは、少しだけ違和感を覚える。
「…悪魔じゃないのか?」
「悪魔…?マア…散々人間ヲ殺シテキタンダ…ソウ思ワレテモ仕方ナイカ…」
ネロが少し眉をひそめてそう呟くのに対し、空母棲鬼は朦朧としかける意識の中でなんとか返答する。
「…純粋ニ闘イヲ突キ詰メタ結果ガコレナラ…マア構ワナイ…」
空母棲鬼はそう呟いて、笑みを浮かべる。
それは、寂しさと悲しさを含んだ笑みであり、ネロは目を逸らす。
まるでその姿が、人間に見えたのだ。
「…アァ…海…冷タい…」
そう言って、空母棲鬼は前に倒れこむ。ネロはそれを見て、何故かキリエのことを思い出す。
ネロはすぐに駆け寄って空母棲鬼を抱きとめる。
「…何だってんだ…」
ネロは小さく苛立ちながらそう呟く。何故自分がそうしたのかはわからない。
ただ、このまま放っておけば、何故かキリエが悲しむような気がした。
「おい!!ネロ!!大丈夫なのか!?」
遠くから、そんな大声が聞こえる。
ネロはそちらに目をやると、天龍達の第2艦隊が近くまで来ていた。
その天龍達の表情は非常に切迫したものであり、鎮守府が本当に心配なのだろう。
「…そろそろ俺も戻らなきゃな。」
自分の足元を見ると、魔力で形成した足場がもう崩れ始めてしまっている。
普段は一瞬だけ作り出す足場を、これだけ長く保っているのだ。慣れないことをすれば、そんなことにもなる。
ネロは少しため息をつく。
「…さっさと戻るか。」
ネロはそう呟くと、背中に空母棲鬼を背負いながら、鎮守府の方へと向かって右手を伸ばす。
日は傾き始め、闇がやってくる。
次回予告
Mission 7
How boring