Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
すみません、気がついたらすごい時間が空いてしまいました…汗
1週間があっという間に立ってしまうので、困惑してます…
というわけで、新章でござんす!
ダンテだけでなく、皆様にも退屈な時間が流れるかもしれませんが、しばらく戦闘はなしです…!
保護
「…嘘…?」
湾頭まで戻って来た大佐は、あたりの海が静寂に包まれていることに気がつく。
どうやら、戦闘が既に終わってしまったらしい。そこかしこで黒煙が上がっているのが見える。
大佐はその瞬間に気がつく。ネロの姿が、海上には見えないのだ。
考えられる最悪の事態。
「…まさか…ネロさん!!」
「何だよ?」
と、大佐のすぐ横からそんな声が聞こえる。
大佐は、ひゃあ!?と声をあげながらそちらを見る。
無傷のネロがそこには立っていた。
頭を軽くかきながら、面倒くさそうな表情を浮かべている。
大佐は一応安心したのか、ホッとため息をつく。
「…ぶ、無事だったんですね…」
「…一応な。」
ネロはそう呟きながら、後ろに背負っていたそれを下ろす。それを見て、大佐は声にならない悲鳴をあげる。
その少女は、多くの資料で見たことがある姿。そして、先ほど湾頭で確認したものであったからだ。
「く、く、空母棲鬼!?」
大佐はそう叫んで、尻餅をつく。まるで、悪魔と相対した時の人間のように。
ネロはそのまま、チラと空母棲鬼の方を見る。
戦っている時とは違い、白い髪が黒く染まっており、表情も何だか優しそうなものに見えた。
だからこそ、その言葉が出てきたのだ。
「…こいつを治療してやってくれ。」
「ち、治療ですか…?」
大佐はネロの言葉を聞き返す。
敵を助けるとなると、軍法会議にかけられる可能性も高く、最悪の場合なら処分を受けることになるかもしれない。
だが、ネロの言葉は、それをさせるだけの権限がある。
「…わかりました。では、すぐに彼女を治療します!」
「頼むぜ。」
ネロはそう呟きながら、そのまま大佐の手に持っているブーツを軽く見る。
それが、海に浮くことができる道具であると、頭で理解した。
大佐はその視線に気がつき、慌てて説明をする。
「…さっき言っていた、その艦娘用のブーツです!これ、ネロさんなら使えますかね?」
「後で試してみるよ。とりあえず、こいつはどこに運べば良い?」
ネロはそう告げて、そのまま空母棲鬼に手をかけようとする。
が、その瞬間、背後からの殺気を感じ、そちらの方を少しだけ見る。
「…なあ、色々と聞きてえことはあるんだけどな。」
そこには、軍刀をネロの首筋に当てながら、まるで鬼神のような表情を浮かべている天龍が立っていた。
まるで、相手を視線だけで殺せるほどの殺気。
「…まず、何でこいつを助けた。敵なんだぞ?」
天龍はそう力強く言い放つ。
刀を持つ手が軽く震えている。それは、ネロに対しての怒りか、それとも。
大佐はそれを見て、慌てたような表情を浮かべて声を上げる。
「ま、待って!ネロさんは訳あって…!」
「構わねえよ。俺が説明した方がいいだろうしな。」
ネロはそう呟いて立ち上がり、天龍の方へと向きなおる。
その表情は、いつものような面倒臭そうなものであった。
「…こいつをなぜ助けたかは、勘だ。」
「勘…?」
天龍がそう呟いた瞬間、その刀の刃の部分をネロが右手で掴む。
「!…」
天龍はそれを見て、少し驚きながら刀を引こうとする。
だが、刀はビクともせず、引くことはおろか動かすことすらできない。
ネロは軽くため息をつきながら、その刀を離して両手を上げる。
「…こいつは何だか、ただの敵には思えない。お前らと近い存在に見える。だから助けた。俺の勘はまあまあ信頼できるぜ。」
「…っ…何だと?」
天龍はその一瞬の出来事に焦ったが、ネロが敵対する気は全くないことを理解し、それ以上は何もできなかった。
それに、ネロの言葉。空母棲鬼が自分たちに近い存在。それは、空母棲鬼に限った話なのか、それとも…
ネロはそのまま踵を返し、その場を去ろうとする。
天龍は深く息を吐いて、刀を鞘に収めながら呟いた。
「…分かった。じゃあ、もう1つ質問だ。」
「…何だよ、まだあるのか?」
ネロはそれを聞くと、天龍の方へと振り返って力強く言い放つ。しかし、その瞬間にネロは後悔していた。
天龍が目を輝かせていたのに気が付いてしまったからである。
「その腕めちゃくちゃ伸びてたな!!まさか鎮守府のクレーンまで伸びてくとは思わなかったぜ!!」
天龍の言葉に、大佐とネロは思わず呆れた表情を浮かべていた。
ネロが鎮守府へ戻る時、右腕で鎮守府のクレーンを掴み、そのまま身体を引き寄せる形をとったのだ。
その時天龍が、興味津々な目で見ていたのに、ネロは気がつかなかった。
「…そのことかよ。どうでもいいだろ。」
「そんなわけあるかよ!!あんなにカッコいいの見せつけられて気にならない方がおかしいだろ!!お前のその秘密、全部暴いてやるからな!!」
天龍の言葉を心底面倒くさそうな表情で適当にあしらうネロ。それに対して、ひたすら最高潮のテンションでネロに質問攻めをする天龍。
それをただ見守る大佐は、ため息をつきながら微笑む。
(何だかんだ、2人は真逆の性格なのにいいコンビになりそうね。)
心の中でそう呟いて、大佐はただ遠くの水平線を見る。
そこには、戻ってきた他の艦隊が見えていた。
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「…それで本当になんとかなるのか?暴れられたらさすがに俺たちじゃ対応できないぜ?」
そうつぶやく天竜の視線の先には、ベッドの上で横たわる空母棲姫がいた。
ベッドの横には、生命維持に必要な機材が所狭しと並んでいる。その機材の調整をしている艦娘が1人。
「…まあ、このまましっかりと機材が動いてくれたら問題ないんだけどね。」
夕張型軽巡洋艦1番艦『夕張』は、そうつぶやいて汗をぬぐう。
ここにある機材は空母棲姫の生命維持をしていると同時に、その力を抑制する働きも持っている。
この機材が無ければ、空母棲姫が目覚めたときにどうなることか。
「…にしても、大本営のデータとは全然違うわね。何というか、艦娘と近い雰囲気。どういうことかしら?」
夕張はそう呟いて、手に持っていた深海棲艦の資料をじっと見る。
その資料と、機材に表示されている空母棲鬼のデータを見比べている。
確かに、深海棲艦の空母棲鬼の型ではあるが、所々相違点があり、その相違点の中に艦娘との共通点が見られるのだ。
天龍は、少し思い出したかのようにあっ、と声を上げる。
「…ネロもそんなことを言ってたな。」
「…じゃあ、艦娘と深海棲艦の関係が何か分かるかもしれないわね…!」
天龍が少し俯きながら呟くのに対して、夕張はそう呟きながら笑みを浮かべていた。全くもって、邪気がない笑み。
それを見て、なんだか天龍は気味悪く感じてしまう。
「…なんで嬉しそうなんだよ。」
「だって!もしかしたら、この戦いを終わらせられるかもしれないんだから!」
夕張は天龍にそう告げてまた資料へと目を通す。
はっきり言えば、天龍にとって深海棲艦とは敵でしかなかった。
だから今までは散々打ち倒してきたし、これからもそうだと思っていた。
だが、仮に深海棲艦は艦娘と関係があるのだとしたら…
今まで倒してきた『深海棲艦』は一体何だったのだろうか。
「…んなこと考えたくもねえな。」
天龍は小さな声で呟いて、そのまま静かに目を閉じた。
仮にそれが事実だったとしても、今の自分にはどうすることもできないのだから。
「?…何か言った?」
「気にすんな。ただの独り言だよ。」
天龍は夕張の問いにそう返して、そのまま部屋を出て行く。
夕張はそれを不思議そうに見るが、しばらくするとまた資料へと目を向けるのであった。
天龍の心中は、決して穏やかではなかった。
そう言えば気がついたら、話数をそこそこ重ねてましたね笑
50話突破したら何かやりたいけど、でもだからと言ってネタも思いつかないので何もやらない気がする…笑