Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
気がついたら、日曜に…
ともあれ、続きでございます!!
「…勝手に決めるのはちょっと困るよ。」
時刻は朝の10時を回ったところである。朝日は少し高く登り始め、頂点を目指している。
執務室の中、大佐はネロと天龍が交わした約束を聞いて、少し困惑したような表情を浮かべていた。
2人は勝手に演習を組んでしまったため、許可を取っていないのである。
天龍はそんな大佐を尻目に、笑顔で返答する。
「良いだろ?ネロも俺も、それぞれ練度上げに持ってこいじゃねえか!」
「そうかもしれないけど…だからといって、それをなぜ相談しないのよ…」
大佐は天龍にそう告げて、ため息を深く付いていた。
そんな2人が話している執務室に、ネロが眠そうな表情を浮かべながら入ってくる。
それを見て、天龍はおっ、と声を上げる。
「おっ、ネロ!よく眠れたか?」
「…まあな。朝から何を話してるんだ?」
天龍の言葉に、ネロはそう返しながらソファまで歩み寄り、そのままドカッと座る。
まだ完全な覚醒状態ではないのか、あまりハキハキとしていない。
「天龍と演習の約束をしたの?」
「!?…」
天龍は、大佐のフランクな言葉に驚く。
昨日まではあれだけ他人行儀だったのに、突然のこの距離の縮まり方。それをなんだか、腹立たしいと感じてしまうのは何故だろうか。
そんな天龍をよそに、ネロは右手を軽くあげて大佐の言葉に答える。
「…あぁ、そうだな。昨日の夜にしたぜ。」
「…もう、勝手にそういうことは約束しちゃダメだよ?」
大佐は少し怒ったような表情でそう呟く。
だが、大佐はすぐにその近くにあった用紙を手にとって、サインをする。
「はい。じゃあ、鎮守府前海域を使っての演習を許可します!」
「!…良いのか?」
ネロは大佐の言葉に疑問を持ちながらそう返す。
それに対して、ただ笑顔で大佐はVサインを作る。
「良いよ。だって、その方がネロくんにとっても良さそうだし!」
「…じゃあ、決まりだな!」
大佐の言葉に、天龍はただそう呟いて両手を合わせて、パキパキと指を鳴らす。先ほどの感情は、とりあえずよくわからないので放っておくことにした。
ネロもそれを見て、不敵な笑みを浮かべる。
「…やってやるさ。」
ネロはそう呟きながら、窓の外を見る。
太陽の光が反射して、海が輝いているように見えた。
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波は穏やかで、静かな海。そんな海上に立つ、2つの影。
ネロと天龍は、互いに向き合いながら落ち着いた表情を浮かべている。
「…ルールは説明した通り、お互いに1回でも倒れたら負け。武器の使用は自由でいくぜ。」
「…なあ、本当にそんな感じでいいのか?」
天龍の説明に、ネロは少し呆れた表情を浮かべてそう呟く。
その言葉に、天龍はニヤリとした表情を浮かべている。
「…大丈夫だって。演習弾だから、ちょっと痛いだけだって。」
天龍はそう言いながら、自分の艤装に付いた砲塔を軽く見る。
実弾の使用は禁止されているので、演習弾に換装したのだ。もちろん、威力は健在しているので、素直に当たればただ痛みは走る。
「…そうじゃねえよ。1回倒れたら終わりなんだろ?」
ネロはそう言いながら、頭の後ろで手を組んだ。
「あっという間に終わっちまわねえか?」
その言葉に、天龍は余裕綽々な笑みを浮かべる。
「…そこらへんは考えてある。ネロの火力は強いけど、対策してあるからな。」
「…そうかよ。」
ネロはそう呟いて、楽しそうな表情を浮かべる。
それに応じるように、天龍も右手を軽く上げる。
「…んじゃあ、とっとと始めようぜ…なぁ!?」
天龍はそう言いながら、ネロに主砲を向ける。
ネロは頭を掻きながら、大きく息を吐く。
「…随分とおてんばなお嬢さんだ。痛い目見ても知らねえぞ。」
ネロはそう言いながら、レッドクイーンのエンジンをふかす。
天龍とネロの間に、張り詰めた緊張感が走った。
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「…?」
ベッドの上、空母棲鬼が目を覚ます。
電灯はついていないが、周りにある機材からの明かりで部屋は明るくなっている。
空母棲鬼は身体を起こそうとする。が、その動作は止められる。
「あっ、目が覚めた?ごめんね。検査の時に暴れられると困るから、ベルトで身体は拘束させてもらってるんだ。」
空母棲鬼は、そんな風に語りかけるポニーテールの少女、夕張の方を見る。
その言葉を聞いて視界を自分の身体に下ろして見ると、確かに固そうなベルトが自分の身体を縛っているのが見えた。
「…きついとは思うけど、我慢してね。もう少しで解析が終わるから。」
夕張の言葉を聞いた空母棲鬼は、自分に何が起きたかを冷静に思い出して見る。
確か、あの時、あの男に斬りつけられたのだ。
白い髪、大きな大剣と日本刀。まるで作り物のような、それでいて自分たちに似ているような右手。
「…あの男は…」
と、空母棲鬼は呻くように呟く。
それを聞いた夕張は、驚きつつ、その言葉に返答する。
「?…あ、ネロのこと?」
「…ネロ…」
空母棲鬼は、その男がネロという名前だということを初めて認識した。
頭の中で、ネロという存在が頭の中でこだまする。それは、興味が湧いたということなのか。
「ネロなら確か…今は演習中だったはず。」
夕張はそう言いながら、携帯型端末のデータを見ている。
あと何分で解析が終わる、という表示が消える。
「よし、完了。」
「…そのネロのところに連れて行ってくれない?」
空母棲鬼はそう言って、ただぼんやりと天井を眺める。
今のこの状況を作り出したその男に、会って直接話を聞きたい。こう思うのは、悪いことだろうか。
夕張は、少し考え込むような仕草をする。
「…そうね。解析であなたが絶対に武装をしていないことも証明されたし、別にいいよ?」
「…意外ね。仮にも敵の言うことを聞くつもり?」
空母棲鬼は、断られると思っていたのだが、あまりにも簡単に許可が出るので驚いた。
夕張はそれに対して、屈託のない笑みを浮かべる。
「…まあ、非武装の深海棲艦に負けるほど、私たちヤワじゃないしね。」
「…そう。」
空母棲鬼は、少しため息交じりでそう呟く。何はともあれ、今は動けるようにしてもらえるならそれが1番である。
夕張はそのまま、空母棲鬼の方へと歩み寄って行く。
「じゃあベルト外すから、ちょっと待っててね。」
夕張はそのまま、ベルトを1つずつ外して行く。
空母棲鬼は、ただぼんやりと天井を眺めるだけであった。
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「…オラオラ!行くぜ!!」
天龍はそう叫びながら、主砲を3発ほど放つ。弾道は完璧にネロを捉えていた。
もちろん、ネロが黙ってそれを喰らうわけがないのだが。
「C'mon!」
ネロはコートの内側からブルーローズを取り出し、引鉄を2回引く。4発の弾丸が、3発の砲弾を貫き、爆煙をあげる。
「!…クソ…!」
天龍はすぐにその場から離れ、煙が発生した地点から距離を取る。
眼帯が光り、暗視モードに切り替わる。煙を透過して、向こう側が見える。
向こうでじっと立っている姿が見える。
「…尋常じゃねえな。飛んでくる砲弾に銃弾ぶつけてくるなんてよ。」
天龍はそう呟いて、冷や汗をかく。仮に、敵がそんな技を使って来たらと思うと、ただ恐怖心しか湧かない。
「…Hoo!」
それを聞いた瞬間、天龍は身体が硬直した。ネロは叫びながら、自分へとその右腕を伸ばしていたのだ。
それを視認したと同時に、両手で顔を覆う。
しかし、全身が掴まれるほどの衝撃がすぐに襲ってくる。
「グッ…!?」
天龍の身体はネロの方に引きつけられ、そのままゴロゴロと海面を転がって行く。
途中で海水が口の中に入るが、それを止められない。
ネロの足元で、天龍の勢いが止まる。
「ゲホッゲホッ…!?」
立ち上がりながら咳をする天龍。
あまりに唐突な攻撃で、受け身も何も取れなかったため、全身が痛む。
「…対策はどうした?」
ネロがそう言いながら、両手を頭の後ろで組む。
まるで、退屈だとでも言いたいのだろうか。
天龍は、ハッ、と笑いながら、軍刀を抜く。
「…こりゃ、仕切り直しだな!」
「…そう来なくちゃな。これで終わりなんて、困るぜ。」
ネロも不敵な笑みを浮かべて、ただ天龍を見据えるのであった。
陽が傾き始める。
見てくれる人が意外と多くて嬉しいです…
とか思ってたら、1話投稿から8ヶ月経ってた。(恐怖)