Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
すみません!許してください!
「…」
朝潮は、ベッドに横たわる2人の姿を見ていた。
自分の姉妹艦である、満潮と大潮が静かに目を閉じて眠っていたからである。
2人は大破状態であったため、回復に時間がかかっているのだ。それも、完治するかどうか分からないほどの損傷。
「…朝潮ちゃん。」
そう言って、朝潮に近づいていく影が1つ。この鎮守府の責任者、大佐である。
朝潮は、なんとか敬礼を作って大佐に向き直る。
「あぁ〜、そんなのしなくて良いのに…」
「…しかし、これをしないと私たちの司令官が…」
朝潮は少し元気がなさそうな声でそう呟く。
それに対して、少し悲しい表情を浮かべて、大佐は朝潮をじっと見る。
それは、これから話そうとしていた事柄に関係していた。
「…あのね、朝潮ちゃん。これからちょっと辛い話をしなきゃいけないかもしれないんだけど、良いかな?」
大佐がそういうと、朝潮は不安げな表情を浮かべていた。
少し言葉を詰まらせるが、大佐はそのまま言葉を連ねる。
「…朝潮ちゃん達は、十分な補給と入渠を受けられてなかったんじゃないかな?」
「!…」
大佐の言葉を聞いた朝潮は、言葉を失う。
それは、大佐が資料を見て感じたことであった。
戦艦レ級との戦闘でついた傷の他に、それ以前までの損傷がたくさんあったのだ。
明らかに万全のコンディションとは言えない状態での出撃。
これらが起こる可能性は2つ。
1つは、その鎮守府の資材の枯渇。艦娘を治すことができないほどの資源不足に陥ってしまったということ。
しかし、この3人の所属していた鎮守府は、かなりの戦果をあげていた。つまり、資材の枯渇はありえない。
となると、もう1つの可能性は…
「…もしかしてだけど…あの鎮守府は朝潮ちゃん達をいじめてたの?」
大佐はオブラートに包んでそう告げる。だが、全くオブラートとしての機能はしていないということは誰の目に見ても明らかであった。
捨て艦、大破進軍、艦娘の非人道的運用。
ここ最近、それらの行為を行う鎮守府が多くなっていた。
それは、功を焦っている人間が行う時もあれば、ただ自分の私腹を肥やしたいが為の人間が行うこともある。
それらの行為によって戦果をあげた鎮守府を、一時的に取り締まる動きも見えたが、残念ながら今もなお横行している。
「…」
朝潮は何も答えない。
それこそが、答えであるということを大佐は理解していた。
だから、大佐は微笑みを作って、朝潮を抱きしめる。
「…絶対に、そんな鎮守府に返さないから。他の娘達もこっちに連れてこれるようになんとか取り計らうから。」
大佐はそう言って、涙を流していた。
それを見た朝潮も、一筋の涙を流していた。
自分のために泣いてくれる人物に、初めて出会ったからである。
朝潮も大佐を抱きかえし、声をあげて泣いた。
今まで耐えて来たことが、無駄にはならなかった。
それだけを、心に深く刻み込んだ。
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「…なあ、ネロ。」
天龍は、目の前でずっと退屈そうに音楽を聴いているネロにそう告げる。
ヘッドホンをつけているネロは、そんな天龍の言葉など聞こえもしなかったため、そのまま音楽を聴いているのであった。
「…おい、ネロ!」
「…ん?」
天龍が声を荒げると、やっと気が付いたのか、ネロがヘッドホンを取りながらそう聞き返す。
天龍は軽くフン、と苛立ちながら腕を組む。
「なんだよ、目の前に俺がいるのに音楽ばっか聞きやがって。」
「…別に良いだろ。」
ネロは天龍が何故苛立っているのかよく分からず、そのまま目を閉じる。
それに対したまた天龍はおい!と声を荒げる。
「なんだよ?」
「…だから、俺は暇なんだよ。」
ネロはだからどうした、と頭の中で考えていた。
別に、仮に天龍が暇であろうと自分が構う必要がないということに気がついていたからである。
「…暇なら、俺に負けないように訓練でもしたら良いだろ。」
「!…確かに、そうだな…よし!じゃあ早速行ってくるぜ!」
天龍はそう言って、勢いよく外へと出て行く。
恐らく、艤装を持ってそのまま海へと出るのだろう。
ネロは天龍が何をしようと特に興味ないが、少なくとも自分の演習の相手になってほしいぐらいのことは考えていた。退屈だから。
「…まあ、そのうち様子でも見に行くか。」
ネロはそう呟くと、再びヘッドホンをしてそのまま目を閉じるのであった。
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艤装を取り、湾頭へとやって来た天龍は、頭の中で考えごとをしていた。
「…ネロのやつを倒すには、どうしたら良いんだろうな。」
天龍はそう呟いて、軽くため息をつく。
ほとんどの攻撃が見破られてしまい、挙句かなり手加減をされて遊ばれていた。
となると、確実にネロに攻撃を当てるには…
「…やっぱ、見破らせない攻撃ってことだな。」
そう呟いてから、また少し考えて見る。
そう考えると、大抵の攻撃は見破られてしまう可能性が高い。予備動作や、自分が動くことによって生じる音ですら、ネロは見逃さないだろう。
「…どうすりゃ良いんだ?」
天龍は頭を抱えながらそんなふうに呟く。
察知されない攻撃なんて、逆にあるのだろうか。
必ず、どんな攻撃でも予備動作がある。主砲を撃つにしても、その砲塔を向けなければならないし、刀で斬りかかるとしても、腕の筋肉を動かさなければならない。
「…なら、予備動作無しで攻撃するしかないのか?」
天龍はそう呟いて、ため息をつく。
そんな練習に付き合う仲間などいない。不可能に近いことに時間を割くのは無意味だと言われてしまうだろう。
だからこそ、そんな天龍は、自分の背後に立っている人物に気がついていなかった。
「…貴様はこの鎮守府の艦娘か?」
そんな声がしたため、天龍は、ん?と呟きながら振り返る。
そこに立っていたのは、青いコートの人物。まるで、心が無いかのように冷淡な表情をしていた。
「…俺は天龍。お前は誰だ?」
天龍は少し身構えた。
まさに今、予備動作がなくこの人物がいきなり現れたように感じたからである。
天龍は、そこまで考えて閃いた。
「!…そうか、ネロが考え事をしている時に攻撃すれば、間違いなくビビるぜ!」
天龍は指を鳴らしてその青コートの方を見る。
青コートは、それに対して何の反応も示さない。
「誰かは知らないけど、ネロ攻略のヒントを貰ったぜ!サンキュー!」
天龍はそう言って、その人物に手を差し伸べようとした。
しかし、その動作は途中で止めなければならなくなる。
「…え?」
天龍は静かに自分の腹部を見る。そこには、鋭い日本刀が自分を貫いているのが見えたからである。
視線を向けたと同時に、痛みがじんわりと広がっていく。
「…humph。」
その青コートは、そう息を吐くと、勢いよく日本刀を引き抜いた。
天龍は、その瞬間、力なく倒れる。まるで、自分の力全てが抜き取られてしまったかのような感覚。
「…嘘…だろ…」
全く身体が動かない。
しかし、意識だけははっきりしている。ただ、自分の意思で身体が動く気がしないのだ。
「_____」
青コートはそう言って、天龍に鋭い視線を向ける。
天龍は、ただそれに対して鋭い視線を返すだけであった。
赤い血だまりが出来ていく。
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「!…」
ネロに悪寒が走った。
悪魔の右腕がうずいていた。それは、初めてダンテと出会ったあの時と同じ。
「…何だってんだ。」
ネロは苛立ちながら、ソファから立ち上がり外へ向かう。
何か自分が被害を受けたわけでも無いのに、頭の中から怒りが消えない。
「…クソ!」
ネロはその原因を未だ理解することはできなかった。
とりあえず、バージルとネロ衝突のフラグは立てられました…(小声)
そろそろシークレットも書かなきゃ…
ダンテ成分が足りない…