Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
お疲れ様です!
眠い時、僕は目をつぶって、手を力強く握るとめちゃ眠気が覚めます。
だから、なんだって話ですけどね…
「クソが…!」
天龍は目の前に仁王立ちで立っている男を見る。なんとも冷たい目線で、天龍を見下している。
なんとも最悪な気分を天龍は味わった。目の前に、自分をこんな風にしてしまった犯人がいるのに、身体は動かない。
「…
「!…野郎…!!」
天龍は男の言葉に、身体に力を込める。
身体が動くようになったら、すぐにでも斬りかかってやりたい気分である。動けばの話だが。
その時、天龍はそれに気がつき、焦っていた。
龍田が、その手に持っている得物を高く振り上げて、目の前の男の首をはねようとしていたからである。
「!…龍田…!?」
思わず口に出してしまっていた。
完全な不意打ちであり、間違いなく首を刈り取れるはずのその攻撃。
それが目の前の男に通用するとは、どうしても思えなかったのだ。
「…
やはりというべきか、それを青コートの男は察知していたか、龍田の方へと振り返ると同時にその身体を斬りつける。
龍田は思い切り振り下ろそうとしていたそれを咄嗟に引き戻してガードしようとするが、それをすり抜けて下腹部に刀が激突する。
「かはっ…!?」
龍田はその衝撃で息を全て身体から吐き出し、そのまま後方へと勢いよく吹き飛ばされる。
ゴロゴロと地面を転がる。しばらくするとそれが止まり、なんとか体勢を起こしてそのまま片膝立ちになる。
腹部には、深い傷が出来ていた。
「…あらぁ〜、まさかあれだけの不意打ちでここまでやられるとはね〜…」
龍田は、微笑みながらそう呟く。その口元からは、一筋の血が流れていた。
言葉が持つ柔らかい雰囲気ほどの余裕は、無いようだ。
「龍田!…クソがぁ…!」
天龍は怒りに震えながらそう叫び、少しずつ身体を起こす。
龍田を傷つけられたことへの怒り、何よりも、ここまでコケにされて何も仕返し出来ないことへの不甲斐なさ。
それらの感情が、天龍を突き動かす。
「…humph。」
男はそんな天龍をじっと見ている。
まるで、立ち上がることを待っているかのようなその余裕。
天龍は、全力で男へと飛びかかる。
「うらぁぁあ!!」
そう叫ぶと同時に、天龍は男に向けて刀を振り抜いた。
しかし、刀は空を切る。
そこにはすでに、男はいなかった。
「!…どこへ…」
その瞬間、天龍の頭に鈍い衝撃が走る。男が、天龍の頭にかかと落としを喰らわせたのだ。
その勢いは凄まじく、軽く天龍は仰け反る。
「があぁぁぁあ…!!?」
なんとか体勢を整えるが、頭から生暖かい感触がする。そのことについて深く考え無いようにして、天龍は相手を睨みつける。
天龍は冷静になって考える。
自分が斬りかかっている最中には、男の姿は見えていた。
まるで、刀を振り抜いた瞬間、消えたように感じた。
「…瞬間移動か…?」
天龍はそこまで呟いて、ネロのことを思い出す。
人智を超えた動き、吸い込まれるような銀髪。
そして、あからさまな余裕を醸し出す雰囲気。
共通点は非常に多い。
「…」
男はゆっくりと、天龍の元へと歩み寄る。しかし、あまりの痛みに、天龍は動くことができない。
腹部を貫かれ、さらに頭にも攻撃をくらったのだ。普通なら立っていることすら難しい。
「…この俺がここまでやられるとはな…」
天龍は精一杯、不敵な笑みを浮かべて男を見る。
それは、最低限の強がり。
「…」
男は、そのまま刀を抜き、天龍の首筋に当てる。
「!…天龍ちゃん!」
龍田の悲痛の叫びが辺りにこだまする。
天龍はそれに何も答えずに、ただ目をつぶってその瞬間を受け入れる。
(…こんなところで終わりかよ…)
天龍は覚悟を決めて、歯をくいしばった。
「
と、そんな声が辺りに響き渡り、その男に向かって銃弾が4発ほど飛んでいく。
男はそれを見て、天龍から離れるようにバックステップをして、その飛んできた弾道の方を見る。
天龍もつられてそちらを見ると、ネロの姿があった。
「…何だよこいつは。」
そして、天龍と男の間に入り込むように、ネロは歩み寄る。その銃口を、男に向けながら。
「ネロ!」
「…テンリュウ、タツタを連れて逃げろ。」
ネロは男から一切目を離さずにそう呟く。
目の前の男からは、ダンテよりも強い力を感じていた。
迂闊に目を離せば、危険なことになるのは否めない。
天龍はしばらく黙っていたが、状況を見て歯をくいしばる。
「…クソ…ネロ…任せたぜ…」
天龍は、なんとか身体を動かして、龍田の方へと歩み寄っていく。2人とも満身創痍のため、すぐに入渠しなければならない。
天龍は龍田に肩を貸して、鎮守府の建物へと歩いて行く。
「…任されても困るけどな。」
ネロはそう言って、ため息をつく。
この人物を見ると、右腕の疼きが止まらないのだ。それは相手が強敵であるという証明でもある。
そう簡単にはいかないだろう。
「…」
その人物は無言でネロをじっと見る。
それは、まるで品定めしているようにも見える。
ネロは、その視線に苛立ちながらその人物を睨みつける。
「…あんたの目的は何だよ。」
その言葉に、男はまたhumph、と呟く。
そして、男はその口を開く。
「…閻魔刀を返してもらう。」
「何?」
ネロはあまりの急な単語に、文字通り困惑していた。
なぜ、閻魔刀の存在を知っているのか、そして、なぜ『返せ』という言葉が出てくるのか。ネロは少し考え込む。
その時、ダンテにかつて閻魔刀を返せと迫られた時に言われた言葉を思い出す。
『そいつは俺の兄貴のものでね…』
『俺が持つのが筋なのさ、家族の形見でもあるしな。』
ネロは、その相手へ向けていた銃口を静かに下げる。
「…あんたはダンテから死んだって聞いてるぜ。」
その言葉に、男は静かに笑みを浮かべる。
それは、ダンテの名前が出たからなのか、それとも…
「…お前はそれなりに楽しめそうだな。」
男はそう言って、鋭い視線を向ける。
まさしく、強者の目。
ネロはそれを見て感じたのは、まるでいつもとは違う悪寒であった。
魔教皇サンクトゥス、そしてダンテにすら抱かなかった、心の焦り。
「…そうかよ。」
ネロはそう言って、少し苛立ちながら自分のレッドクイーンに手をかけ、エンジンを蒸す。
さっさとこの男を倒すことで払拭する。
頭の中にはそれだけしかなかった。
「…龍田、こっから先は1人で行ってくれ。」
天龍はそう言って、龍田をそばにあった階段に腰掛けさせる。
龍田の腹部にはしっかりと刀の傷跡が残っている。かなりの重症である。
「…天龍ちゃんはどうするの〜…?」
龍田は力なく、それでいて天龍のことを心配するような表情を浮かべる。
天龍は口を結んで、ただ龍田から目をそらす。
「…行く気なの?」
龍田は苦しそうに呟く。
天龍は、あの戦いの場に戻ろうとしている。
天龍のことを考えて、とにかく止めなければと思案する。天龍の傷もまた、かなり酷いものであり、腹部を刀で貫かれた傷の部分が血液で赤黒くなっており、頭からは血液が一筋に流れている。
正直、とても常人には耐えられるほどの怪我ではない。
「…正直、戦いに割り込むなんてことはできねぇ。今の俺にはネロの手伝いなんて無理だ。」
天龍はそう呟いて、ただ笑う。
「…だから、ネロの戦いを見届けるぐらいしなきゃな。」
「天龍!龍田!その傷はどうしたの!?」
時雨と夕立が、2人のもとへ駆け寄ってくる。
それを見て、天龍は龍田の頭を軽く撫でる。
「あいつらに連れてってもらえ。後でな。」
天龍はそのまま、走ってネロたちの方へと向かって行く。
それを見て、龍田は手を伸ばしていた。
「天龍ちゃん!」
龍田の言葉には耳も貸さず、天龍はただ走ってネロたちのところへと向かうのであった。
そういえば、気がつくとお気に入りの数が増えてて、意外と見てくれてる人がいるんだなぁ、としみじみ思っています。
それでいてさっさと投稿しない投稿者の屑