Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
ついに出会ってしまった2人!
バトル開幕です…!
最初に仕掛けたのは、ネロであった。
炎を纏ったレッドクイーンを持って男へと
まるで地面を滑っているかのような速度で男へと近づいていく。
「
そのままネロは身体を回転させて、男を勢いよく斬りつける。その際に、大きな爆発音が辺りに響き渡り、辺りを焼こうと炎が伸びる。
しかし、男はそれをしっかりと予測して、その刀を強く振り抜く。
ネロのレッドクイーンと男の日本刀がぶつかり、大きな金属音がこだまする。
エンジンによって勢いが強くなっていたはずのレッドクイーンが、一瞬で静かになる。
「!…」
力を相殺されたことへ驚きつつも、ネロは何か危険を察知して、そのまま背後へのパックステップで男との距離を取る。
そして、自分がたった数秒前までいた地点に、数個の青い幻影剣が降り注いだ。
「…そこまでできるなら、閻魔刀も要らねえだろ。」
ネロは悪態をつくようにそう言って、ブルーローズを何発が放つ。
弾丸はまっすぐ男へ向かうが、男は日本刀をくるくると回す動作でそれらを全て切り落としてしまう。
ネロはそれを驚きもせず、真上にマグナムのカートリッジを投げ、そのまま最後の弾丸を撃ち尽くして、弾丸を排莢しながら銃口を僅かに下げる。
少しずつ落ちてくるカートリッジが、ネロの目の前を通り過ぎ、そのままブルーローズの弾倉へと装弾された。
再びネロは男へと銃口を向け、鋭い目線で睨みつける。
「あの刀は、俺がダンテから預かったものだ。誰にも渡す気はないぜ。」
その言葉に、男は何も語らない。
代わりに、円を描きながら男の周りをぐるぐると回転する、大量の幻影剣が現れる。
それを見て、ネロは舌打ちをする。
「…どういう仕掛けだよ。」
「…種明かしなどするつもりもない。」
ネロの言葉に似たようなセリフを男は呟いて、幻影剣を一斉にネロへと飛ばす。
ネロはその幻影剣を避けることを考える。しかし、その瞬間には男が刀に手をかけて、足に力を込めていたのが見えた。
ネロは次に起こる事態を予測する。
「!…バカにしやがって…」
ネロはそのまま、レッドクイーンを抜いて、自分に向かって飛んできた幻影剣をいくつか切り落とす。何個か通り過ぎていったのち、男が瞬間移動で頭上へと現れる。
「焦るなよ…!」
ネロは素早く体勢を整え、その刀が通るであろう線へレッドクイーンを構える。
男の日本刀、ネロのレッドクイーンが再びぶつかり、大きな金属音を響かせる。
その鍔迫り合い越しに、ネロは男の顔を見る。
明らかにこの戦いを楽しんでいるような表情。
「…余裕たっぷりって表情だな。」
ネロはそのまま、力強く男の刀を弾くように押し返す。
男は後ろへ軽くジャンプする程度で、その衝撃を和らげた。
そのまま、再びネロはブルーローズに手をかけようとしたが、背後から轟音がするのに気がつき、振り返る。
男の幻影剣が刺さった鎮守府のクレーンが、音を立てて崩れ始めていたのだ。
ネロは身体を前転のようにぐるりと回し、なんとかそのクレーンを回避する。
少しの間、あたりは砂けむりに包まれる。
しかし、その瞬間も、ネロは決して警戒を緩めなかった。
そして、目の前に男の顔が迫っていた。
刀が鞘から抜かれるまで、もう時間がない。
「!…」
ネロはなんとか右腕でその刀を防ぐ。
まるでバチバチと電流が流れたかのように、刀と右腕が大きな音を立てる。
煙が少しずつ晴れて、2人の姿があらわになる。
男は、ただ静かにhumph、と呟いて、目を細める。
「…マジで、なんなんだよ。」
ネロはそう言って、右腕で男の刀を掴んだままレッドクイーンを勢いよく振り下ろす。
男はそれを瞬間移動で回避してしまう。
ネロは大きくため息をついて、目を細める。
「ちょこまかと面倒くさいやつだぜ。」
ネロは右腕に少しかかるコートを捲り上げて、軽く右腕を振る。
少し、刀から魔力を感じて、痺れるような感触を覚えたが、問題なく動くようだ。
「…さっさとケリをつけようぜ。」
ネロはそう言って、右腕を力強く握る。
その瞬間、背後に青い魔人が現れる。
ネロの体を余裕で超える大きさの魔人。それを見た男は、純粋に笑みをこぼす。
それは、まさしく悪魔の微笑みというべきものであった。
「…
その瞬間、男の周りにもオーラが漂い始める。
あたりの地面は揺れ始め、ビリビリとした感触がネロを襲う。
魔人化したこの状態で、そこまでの感覚にさせるほどの強者。
「…厄介だな。」
ネロはそう呟いて、しっかりと男を見据えていた。
今は、先ほどの姿とは全く違う、青の魔人と化したその男を。
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「な、なんだよ…これ…」
天龍は、あまりの光景に呆然とした。
戦いの途中、何度もネロと男のお互いが危機的な状況に陥っているのをみた。しかし、それを全て2人は回避していく。さも、大したことのないものだと言わんばかりに。
まるで、この世の終わりを見ていると錯覚させる戦いである。
艦娘と深海棲艦のそれとは、明らかに比べ物にならない。
「…悪魔だ…」
天龍は無意識にそう呟いていた。
それが、まさしく今の2人を見て頭をよぎる言葉。
魔人が2人、お互いを見あって構える。
不意に、その甲高い音が響いたと思った瞬間、天龍は後ろへと仰け反る。
建物のガラスが割れて、あたりに破片が散乱する。
「!?…な、なんだ!?」
天龍はそう叫んで2人の方を見る。
ネロと男は、どうやら鍔迫り合いをしただけのようだ。
その衝撃だけで、これほどの力が起きるのか。
「…クッソ…」
あまりの緊迫感に、身体を支えることができない。
片膝をついて、辛うじて2人を見てはいるものの、もはや視界がぼやけて、何も見えない。
「…チクショウ…」
天龍はそう呟いて、意識を手放す。
2人の強さを目の当たりにして、何もできない自分を恨みながら。
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「いつつ…!!」
大佐は執務室の中で、尻餅をついていた。
先ほど、窓の外でクレーンが倒れたかと思ったら、その数秒後にいきなりガラスが割れて、あたりに轟音が響き渡ったのだ。
執務室のドアが開き、慌てた様子の愛宕と高雄が入ってくる。
「!…提督!ご無事ですか!?」
高雄が大佐へと駆け寄って、肩を貸す。
大佐はなんとか立ち上がることができたが、未だ外から聞こえる轟音に怯えていた。
しかし、なんとか指示を出さなければいけない。
大佐は、息を飲んでから、愛宕に声をかける。
「…愛宕!艤装の使用許可を出します!外の脅威を排除して下さい!!編成は任せます!!」
「!…了解!」
愛宕はそう言って、部屋を出ていく。
それを確認したと同時に、高雄に目線を合わせる。
「高雄もお願いします!」
「!…ですが、提督が…!」
高雄は少し困惑したような表情を浮かべていた。
提督を1人にしては、危険だということがすぐに理解できたからである。
しかし、提督は笑顔を見せて、高雄を安心させるように努める。
「大丈夫!みんなでいけば楽勝だから!!」
「!…分かりました…!!」
高雄は、なんとも言えない不安を覚えながら、なんとかそう呟き、大佐を椅子へと座らせて部屋から走り去っていく。
大佐は、誰もいなくなった部屋で、自分の震える手を握りしめる。
どう考えても、何かがあったに違いない。
ネロがこの場に居ないということが、それを証明しているようにも感じて、余計に恐怖を煽る。
「…大丈夫だから…!」
言い聞かせるように呟くが、その心の動揺は拭えなかった。
外は少しずつ曇り空へと変わっていき、嵐の予感であった。
更新に10月まで掛かってしまったことに、お詫び申し上げます!