Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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大変遅くなりました!!

続きでございます!!
今章最後の話です!


疑惑

 

 

「…酷いね。」

 

時雨はあまりの惨状に少し青ざめた表情でそう呟く。

あたりのコンクリートはバキバキに砕かれ、その下の地面が見えている。

工廠の壁は、鉄筋が剥き出しになっており、壁には大きな亀裂が入り、今にも崩れ落ちそうである。

切り倒されてしまったクレーンは、かなりの大きさであるため、人間の力で戻すのは難しい。

さらには、鎮守府中の建物の窓ガラスはほとんど割れてしまった。当分は、建物の中の掃除になるだろう。

 

「…まあ、出来るところからやるっぽい!」

「…そうだね。3日後には技術局長の視察もあるし。」

 

夕立のなんとか明るく振舞っているその様子に、時雨は大きなため息をついて返すのであった。

 

 

_____________________

 

 

 

「…随分パーっと派手にやったもんだねー。」

 

執務室の中、隼鷹が呆れた様子で呟く。

それを聞いた大佐とネロは、少し気まずそうな表情を浮かべていた。

大佐は泳ぐ目で、明るい声を上げて、愛宕の方を見る。

 

「…なんていうか…まあ、全員生きてたしオッケーかなって…?」

「別にはっきり言っていい。」

 

そんな大佐の空元気に、ネロはそうぶっきらぼうに言い放つ。

それは、もちろんこの大惨事のことである。

正直、いつものノリで敵と戦闘をしてしまったため、周囲の被害については何も考えていなかった。

だからこそ、今の現状に対して罪悪感を感じていたのだ。

大佐は、ネロの言葉に大きくため息をついた。

 

「…ごめん…正直、何があったのかは聞いたんだけど…なんというか、実感湧かないし…」

 

大佐は、少ししょんぼりとした表情で呟く。

ネロの言葉と第1艦隊の話を聞く限り、深海棲艦側の提督が単身で乗り込んで来たということだ。

しかも、それはネロの知り合いの親族ということらしい。

天龍と龍田がその人物に深傷を負わされ、それをネロが撃退したようだ。

 

「…その…なんかその相手さんが強かったから、しょうがないんだよね?」

 

大佐はそこまで呟くが、自身の鎮守府の被害はやはり無視できないのか、机に突っ伏す。

それを見て、ネロは言葉に詰まる。

少し、申し訳ないという感情が心にあったからである。

ネロはソファへと近づいていく。

 

「…奴は、何が目的なんだ?」

 

ネロは小さく呟いて、そのままソファにもたれかかる。

ギィ、と軋む音が響くと、隼鷹と愛宕が顔を見合わせる。

ネロの考えてることも少し理解していたので、それしかできなかったのだ。

愛宕は少し咳払いする。

 

「…まあ、いずれにしても、この状態はなんとかしないとね〜。」

 

そばにいた愛宕がそう言って苦笑いする。

それに関してはネロは何も返さなかった。

 

「…妖精さんに頼みましょう!なんとか、技術局長の視察には間に合わせなければ!」

 

大佐がそう言って勢いよく立ち上がると、皆が笑顔で頷いた。

ただ1人、ネロを除いて。

 

「…その妖精ってのは?」

 

当然の疑問をネロは投げかける。

大佐は少し笑いながら、軽く咳払いをした。

 

「艦娘たちの艤装のメンテナンスや、資材を使用した建造なんかを担当している、可愛い妖精さんがいるの!その子達に頼めば、大抵の問題は解決するわ!」

「…へぇ、じゃあ、何とかなるのか?」

 

ネロの質問に、笑顔でVサインを作る大佐。

それを見て、愛宕が少し苦笑いをして、ネロへと耳打ちする。

 

「本当は、妖精さんが気に入った司令官や提督のために色々手伝ってくれるってことなのよ?うちの提督は、しっかり好かれちゃってるみたい。」

「…気に入らない奴には協力しないのか。」

 

ネロはそう呟いて、静かに目を瞑る。

その妖精に、自分が好かれるかどうか思案するのであった。

 

 

_____________________

 

 

 

「…わざわざ、もう1人のスパーダの息子が攻め入ってくるとはね。」

 

妖精は1人、そう呟く。

そのまま目を閉じて、まるで遠くの誰かと話しているかのように頷く。

 

「…ダンテの兄のバージルということか。そしてうちにいるネロは…」

 

そこまで呟いて、妖精はその足音に気がついた。

大佐でも、艦娘の誰かのものでもない。

聞き覚えのない靴音。

 

「…妖精ってのは、お前か?」

 

その声の主は、先ほど話題にも出ていた、ネロという青年であった。

妖精は、少し息を飲んで口を開く。

 

「…君がネロだね。」

「…流石に、名前ぐらいは聞いてるか。」

 

ネロはそう言って、そばにあったちょうどいい木箱に腰掛ける。

妖精は少しばかりため息をついて、静かに語り出す。

 

「…全く、ここ最近は本当に多くの悪魔狩人が現れる。」

「…多くのってことは、俺の他にもいるんだな?」

 

ネロは妖精の言葉に、すぐにそう反応する。

その他の悪魔狩人の中に、自分の見知った顔がいるかどうか、確認するように。

妖精は、その言葉に少し微笑んだ。

 

「…君は、ダンテの知り合いなのかな?どうやら、ダンテが元帥に君を紹介したみたいだけど。」

「…やっぱりかよ。道理で俺なんかにわざわざ話が回ってきたわけだ。」

 

ネロはそう言って、軽くため息をつく。

冷静に考えれば、フォルトナの小さな事務所に、世界有数の大国である日本からのオファーがそう簡単に来るはずがない。

そこに、知り合いの存在があると考えるのは自然だった。

 

「そして、君が戦った相手は、ダンテの双子の兄、バージルだ。」

「双子の兄だって?それにしてはあまり似てないな。顔は、少し似てるかもしれないけどな。」

 

ネロはそう言って、軽く悪態をつく。

妖精は、それを聞いて少しばかり笑みを浮かべた。

確かに、ダンテと会話をした妖精が言うには、ダンテの性格はとても気障ったらしくて、かつ正義感や人の優しさを併せ持つ、とんでもなく人間らしい男だった、ということらしい。

しかし、あのバージルの性格は、冷静沈着で残忍と言うべきか。

まさしく、ダンテとは正反対、悪魔の性格をしていた。

現に、バージルはネロに対してここまでの攻撃をしたのだから。

 

「…で、そのバージルってやつが、深海棲艦の司令官だって言ってたな。」

 

ネロは、あの後からやって来たあの戦艦レ級と呼ばれた深海棲艦を思い出した。

確かにあの時、あのバージルとかいう男を指して、提督という言葉を口にしていた。

 

「…そこに関しては、よくわからない。何か、考えがあるのかもしれないし、良からぬ企みがあるのかもしれない。」

 

妖精は、断片的ではあったが、テメンニグルの事件を耳にしていた。あの時、魔界の封印を解こうとしたのは、バージルであると。

だからこそ、バージルの行いが、必ずしもこちらのためになるとは思えなかったのだ。

 

「…どっちにせよ、ダンテはどこだ?あいつと話がしたい。」

 

ネロはそう呟いて、妖精に軽く歩み寄る。

妖精は、少し困った表情をする。

 

「…それを教えたら、君はすぐにでもここを離れてしまうのかい?」

「?…」

 

妖精の言葉に、ネロは少しばかり戸惑う。

それは、どういう意味合いなのか、ネロにはさっぱりだったからである。

妖精は、その重い口を開く。

 

「…これから視察に来る、技術局長は危険だ。提督を1人にしてはいけない。」

「…どういう意味だよそれは。」

 

ネロは妖精を軽く睨む。

確か、大本営とかいう軍の本部から派遣される人間だったはず。

その本部の人間がなぜ危険なのか、ネロには理解できなかった。

 

「…今は言えない。それでも、彼女を守って欲しい。」

 

妖精のその台詞に、ネロは言葉に詰まる。

その大本営やらと、かつての魔剣教団が頭の中でリンクする。

ネロは軽く右手を振り上げて、その言葉に軽く答える。

 

「…分かった。それが解決したら、俺にダンテの居場所を教えろ。」

「…もちろんだ。」

 

妖精は、ネロの申し出を受ける。その表情は、拭えぬ不安をまとっていた。

外はだんだんと暗雲が立ち込めて、差し込む光が段々と消えていった。

 

 

 

 




次回予告

あの技術局長ってやつが、動き出したな。どうやら、坊や(Kid)の方に何かあるらしい。あいつは何か怪しいからな。坊や(Kid)がなんとかしてられることを祈るぜ。俺はこっちで、動いてみるさ。

Mission 8
Suspicious man

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