Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
はい、お久しぶりです
いかがお過ごしでしょう?
色々艦これのアップデートがあったり、デビルメイクライ5の発売が決定したり、激動の2018年ですね。
なので、こっちもさっさと書かないとやばいという事で、めちゃ間が空きましたが続きいきます〜
「…で、決着はどうつける?」
ネロはそう呟いて、鎮守府前の海を歩く。まるで、面倒になったとでも言いたい様子だったが、天龍のやる気がたっぷりとあることは理解していたので何も言わなかった。その、やる気の源には心当たりはないのだが。
天龍はそんなネロに対して、自信たっぷりにこう言ってのけた。
「ねえぞ。今回はどっちかが、無理だ、って言うまでやる。」
天龍はそう言って、軽く艤装を動かしながら笑う。
それは、演習という名の本気の喧嘩。ネロと天龍の実力をぶつけ合う戦い。
「…まあ、そこまで言うなら手加減はしないぜ。」
ネロはそう言って、面倒臭そうな表情を浮かべていた。それを聞いた天龍は、静かに笑う。
「…そりゃ、手加減されちゃ意味ねえっての。」
天龍は静かに呟いて、自身の得物に手をかけて、そのままネロへと切っ先を向ける。
ネロもそれを見て、臨戦態勢に入る。
耳障りな風がその間を吹き抜けるが、2人の耳には届いていない。
2人の表情は、子供のそれと大差ないほどに楽しそうであった。
「…行くぜ。」
「来いよ。」
その言葉を皮切りに、天龍がネロへと肉薄する。相手を一刀両断するために、高い位置から刀を振り下ろす。位置エネルギーと、天龍の純粋な力によって振り下ろされた刀は、綺麗な弧を描いてネロへと突き刺さろうとする。
しかし、ネロはその刀を受け止めるようにレッドクイーンを振り上げる。天龍の方が力のかかり方としては優位に立っているのにも関わらず、ネロのレッドクイーンは負けじと攻撃を跳ね返す。
あたりには火花が散り、2人はその反動で軽く態勢をよろけさせる。
「!…そう簡単にはいかねえか。」
「…へへ、俺の攻撃も効果あるみたいだな。」
天龍はネロの少し面倒くさそうな表情を見て、その刀が通用することを喜んだ表情を浮かべる。
そのまま、天龍は軽く笑みを浮かべて、ネロへとステップを踏みながら接近する。
対してネロは、天龍から離れるためにブルーローズを撃つ。
「おっと!」
天龍はそれを見て、なんとかその射線上から退避して、そのままネロから距離を取る。
天龍が自分から取ったというよりは、ネロに取らされたという方が正しいが。
「なら、お返しだ!」
天龍はその腰についた発射管を水平にして、そのままネロへと魚雷を射出する。その軌道は、しっかりとネロへと向かっていく。
「当たってたまるかよ。」
ネロはすぐにその魚雷へとブルーローズを放つ。
が、予想に反してその魚雷は真っ直ぐではなくネロを追跡するかのように、かつ銃弾を避けるかのように曲がり始めた。
ネロはそれを見て驚愕の表情を浮かべた。
「!…どうなってる?」
通常の魚雷は、波の揺れなどで多少の方向のズレは生じるが、そこまでの方向転換は不可能である。
だが、それが現実に起きている以上、対応するしかない。
「クソ!」
ネロはすぐにその魚雷を避けるように高くジャンプする。
だが、その魚雷は想定外の動きをする。
高く跳躍したネロを追って、その魚雷は水面から飛び出したのだ。
「!!…」
ネロはなんとか防御しようと右手を差し出す。
その直後に、爆煙が辺りを包んだ。
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「…おお、こりゃマジでパワーアップしたな。」
あの日、あの男と戦い、大敗を期した時から、自身の中に流れる血が力を渇望した。その時に、自分の中のもう一つの力に気がついた。
それは、人間的には悪趣味でも、悪魔にとっては最強の力。究極の闘争本能。
つまり、戦いを楽しむという新しい感情。
「…なるほどな。ネロも、この感覚で戦ってたってわけか。」
天龍はそう呟いて、目の前で海面に片膝をついているネロに視線を向ける。天龍の目から見ても、ネロのその表情には、焦りが見えていた。
「…どうやら、マジで一筋縄じゃいかねえな。」
「へへ、どうだ?俺も強くなるってことだぜ。」
天龍はあからさまに楽しそうな表情を浮かべて、得物の切っ先をネロへと向ける。まるで、勝負を決したかのような振る舞いである。
ネロは、少し笑いながら、ゆっくりと立ち上がる。
「…魚雷が空を飛ぶってのはどんな冗談だよ。」
「さあ、どうだろうな。」
ネロの問いへの返答は、あまりに適当であった。
それでも、呆れるようなことはせず、ただ真っ直ぐに天龍を見据えるネロは、やはりいくつもの修羅場をくぐってきた人間であると実感させる。
あからさまな挑発には乗らない、ネロのスタイルでもある。
「テンリュウ、仮に俺が本気出したら、お前はどうする?」
「…そりゃ、俺も本気出すだけだ。」
その返答には、天龍もそう答えるしかなかった。理由はシンプルで、ネロが本気をまだ出していない以上、どれくらい強さに差が出るのか想像もつかないからである。
「…本来、こんなことには使わねえし、テンリュウが耐えられるかもわからねえが…特別だぜ。」
ネロはそう言って、右手を強く握りしめる。
天龍は心の中で、来た…!と思っていた。あの例の魔人の力を使う気にさせた。ここまでがスタートライン。
ここから天龍は、ネロを納得させるために、完全に倒さなくてはいけない。
『…覚悟はいいか?』
ネロの背後の魔人は、静かに笑い始める。天龍を、嘲笑うかのように。
その瞬間に天龍の背筋には得体の知れない悪寒が走る。
「!…」
天龍は慌てて、その目の前に自身の主砲を向ける。
しかし、それよりも早くネロのレッドクイーンが天龍の身体を強く斬りつける。
その剣の通り道は、天龍の腹部をしっかりと捉えていた。
「ぐぅ!?」
天龍はその衝撃で、5メートルほど吹き飛ばされ、海面を転がる。斬り付けられたと思われる左脇腹が痛み、見た目では全く無傷にもかかわらず血が流れ出ているかのような感覚に陥る。
しばらく、痛みに身体を動かせずにいた。
『…終わりか?』
ネロの目は赤く光り輝いており、妖艶な魅力を醸し出していた。
天龍はそれをチラと見て、素直に笑う。
そして、ゆっくりと片膝をつきながら立ち上がった。
「…じゃあ、俺もとっておきを見せなきゃな。」
『!…なんだって?』
自信満々な天龍の言葉に、ネロは思わずそう返していた。
まさか、天龍にそんな奥の手があるとは思っていなかったのである。
「行くぜ…天龍様のお通りだ…!!」
そう呟いたと同時に、天龍の身体は光に包まれていく。
ここから、天龍の力でネロを苦しめる展開になるとは、誰も思っていなかった。
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「…天龍ちゃん…?」
龍田は、自室内の天龍の姿が見えないことに困惑していた。
こんな夜遅くに外を出歩いているとなると、軍規違反は免れず、最悪の場合は同室である龍田にすらとばっちりが来るかもしれないと考えたからである。
しかし、その直感の他にも、疑わしいことがいくつかあった。
「…確か、天龍ちゃんは…新しい戦闘の方法を思いついたって言ってたかしら〜?」
それも、特別強いあの青いコートの男にすら勝てるかもしれないという戦闘スタイル。
そこまで考えて、龍田はある一つの仮説を立てた。
まさか、あの青年と手合わせしているのではないか?
「…それは…もはや軍規違反じゃ済まされないかもしれないわね〜。」
龍田は落ち着いた表情で、それでいて真剣な眼差しで呟く。
そうとなればやることは一つしかない。それらの戦闘行為を提督の許可なく行っていたとしたら、なんとしても止めなければならない。
「…艤装、あんまり使いたくないのよね〜。」
あの男に負けてから、龍田も少なからず影響はあった。しばらくは、まるで狂ったように訓練をこなして、力をつけていた。
その症状が天龍にも現れているとしたら、大変なことが起きるかもしれない。
「…待っててね〜、天龍ちゃん。」
龍田はそう呟いて、そのまま部屋を飛び出した。
龍田の予想は、奇しくもその後見事に的中することになる。
天龍ちゃんは可愛いけど、やはりかっこよくあっても欲しいというなんとも言えないこの感情。
かっこかわいい女の子とか、かっこかわいくないですか?