Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
この間に
・リアルが多忙になった。
・DMC5の完成度に感動していた。
・モチベーションが低下した。
という3つの事象が重なり、執筆を断念せざるを得ない状態でした。
しかし、やはりやり残したことは常に心の奥底に残ってしまうので、少しずつでもこちらの続きを書くことにしました。
久々にUAの数を見たら、どれだけの人が見てくれていたのかを理解しました。
なので、せめて完成させるのが自分の責任ではないのか?という疑念がモチベーションとなり、また続きを書こうと決断に至りました。
もしまだあの時から見ていただけているなら、ありがたいです。
では、続きをどうぞ!
『なあ、どうだよ?』
天龍はそう呟いて、笑顔を浮かべる。
自身の背中には、高角砲がいくつか装備されており、使っていた得物は斬艦刀へ変貌していた。
それは、世間で言われている天龍改二というものであった。
『…こりゃ、参ったな。どうなってる?』
ネロはあまりの変貌に驚きながら、その姿を目に釘づける。今までのどの悪魔たちのデビルトリガーよりも複雑で、とても安定している。
しかし、それを見てある一つの考えに至る。それを、天龍が使いこなせるのかどうか。
『…尚更、手加減できねえな。』
『それでいいんだよ。やるぜ!』
天龍はすぐにその高角砲をネロへと向ける。
しかし、ネロもそれをただ受けるわけにはいかない。すぐにネロはそれを止めるべく、ブルーローズの引き金を2回引く。合計4発の弾丸が、天龍へと向かっていく。
『オラオラァ!そんなの当たらねえよ!』
天龍はそう言いながら、高角砲をばらまく。それによって、ネロの放った弾丸は見事に撃ち落とされていく。そればかりか、ネロへと相当数の砲撃が飛んでいく。
『チッ…』
ネロはその場から離れるために、海面をスケートのようにすべる。そして、天龍の周りをぐるぐると回り始める。
天龍はそれをみて、ニヤリとしながら口を開く。
『そんなに回ってたら、バターになるんだぜ!』
『何の話だよ。』
ネロは軽口を叩きながら天龍へと肉薄する。そのスピードは、まるで瞬間移動かのように素早く、異常なまでの正確さであった。
天龍の首元へとそのレッドクイーンを振り抜き、そのまま力技で天龍を吹き飛ばそうとしたのだ。
だが、それを天龍も読みきっていた。
『貰った!』
そのまま斬艦刀を自身とレッドクイーンとの間に滑り込ませる。そうすることで、ネロの攻撃を防ぐ。
それらがぶつかり合うと、あたりにまたも大きな火花が散る。
その攻防を制したのは、天龍であった。
『グッ!?』
ネロは思い切り振りかぶって攻撃していたため、完全に仰け反る形になってしまった。その隙を、天龍は見逃さなかった。
『とどめだ!』
天龍はそのまま、その無防備な身体に主砲を放つ。その弾道は、ネロの腹部を完璧に捉えた。
『!!…』
ネロはそのまま、後方へと15mほど吹き飛ばされる。海面をゴロゴロと転がり、そのままなんとか態勢を立て直して立ち上がるネロ。
『…一筋縄じゃいかないな。』
『…これでいいだろ?ネロ、大本営にいけよ。』
天龍が急に真面目な表情を浮かべて、そのまま背を向ける。ネロを急かすようにそう告げる天龍は、少し寂しそうでもあった。
それは、自身が越えようと考えていた存在に、手が届いてしまったことへの喪失感。そして、仲間であるネロを旅路へと送り出さなければならないことへの寂しさから来るものであった。
『…おい、俺はまだ参ったなんて言ってねえぞ。』
『…』
ネロのその言葉に、天龍は何も言わずに刀を構える。それは、ネロを必ず屈服させるという意思表示であった。
それを見たネロは、静かにため息をついた。
『…ったく、調子が狂うぜ。いつもの雰囲気はどうしたんだ?』
『…へっ、気にするなよ。俺はただ、自分の強さを試したいだけなんだよ。』
ネロの困ったような言葉に、天龍は思わずニヤリとしながらそう返答する。それを見て、ネロもニヤリと笑みを浮かべる。
『そうかよ。じゃあ…続き行こうぜ。』
『望むところ!』
ネロがそう言いながら天龍へと肉迫すると同時に、天龍もまたネロへと勢いよく突っ込んでいく。そして、2人の得物はまたぶつかり合い、火花を散らす。
その瞬間、お互いがお互いの目を見て、笑った。
暗闇の中にその目が赤く光り、まさしく2人は悪魔のようであった。
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戦いの火花が散る中、湾頭で天龍の強さを見ていた龍田は、静かにため息をついた。
その力を、天龍は使いこなしていた。自身が狂ったように訓練をしていた間に、天龍はもっと悪魔の力を使いこなしていた。
「…天龍ちゃんも、改二になっちゃったか」
そう呟いて、龍田は自分に力を込める。
その瞬間、龍田の艤装は形を変え、その服装すらも変わって行った。
まるで、胎動するかのように動き始めたその艤装が安定した時、その姿は龍田改二の姿に変わっていた。
『…まさか、こんなに悪趣味なものが改二実装だったなんてね〜』
龍田は静かに、ため息をついた。
自分の身体の変化と、天龍の身体の変化に困惑したような感情を抱きながら、それでいて進化を喜んだような表情を浮かべながら。
しばらくすると、戦いの火花は止まった。
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『…はは、楽しいな。』
天龍は、疲れたような表情を浮かべて、海面にへたれこむ。辺りは、先ほどまでの戦いのことなど忘れたかのように静かであった。
ネロはそのまま、静かにため息をつく。
『…参ったよ。ここまでやられりゃ、流石に俺も限界だ。』
『!…おい、今なんて言った?参ったって言ったよな?よっしゃあ!』
天龍はそう言って、大きく両手でガッツポーズをする。それを見て、ネロは少しだけ微笑んだ。
しばらくして、2人ともデビルトリガーを抑えるように力をコントロールする。
「…テンリュウ、あれだけ動いたのになんでそんなに元気なんだ?」
「へへ!俺は強えからな!こんなもん…っと…あれ…?」
天龍はそう言いながら、腰が砕けたように倒れる。海面に、大の字になって倒れるその様は、まるで電池切れを起こした人形型の玩具のようであった。
「…おいおい、大丈夫か?」
「あ…これ、立てねえ…動かねえぞ…」
天龍はそう言いながら、表情を少し不安げに変える。
その光景を見たネロは、少なくともそのまま放置するほど悪人ではなかった。
「…ったく、慣れない力を使いすぎだ」
ネロが天龍を持ち上げて、肩を貸すように支える。
天龍はそのネロを見て、少し恥ずかしくなったが、それでも自分の身体が動かないことを考えたら、最善の手だと理解していた。
「…悪ぃ、サンキュー」
そう呟いて、天龍もそのまま少しずつ陸に向かって歩き始めた。ネロも天龍の動きに合わせて、歩き始めていく。
だが、お互いにその足取りはぎこちなかった。
「…天龍ちゃんの勝ちってことかな〜?」
と、そんな二人の前に、艤装をつけた龍田が現れる。それを見た二人は、ヤバイという感情を抱いた。
この戦いは完全な私闘であり、下手をすれば軍規違反で天龍はクビになってしまうし、ネロであってもただでは済まないかもしれない。
「龍田、これには訳が……」
「天龍ちゃんは、静かにしていてね〜」
と、龍田はそのまま天龍の首に手刀を落とす。
ネロは、それの天龍の体重を支えようと力を込める。
その瞬間、龍田の斬艦刀が首筋に当たる。
「!…」
「…天龍ちゃんと、勝負してどうだった?」
龍田は真っ直ぐネロを見ながら、そう呟いていた。
ネロは、首筋に武器を突きつけられているにもかかわらず、何も恐怖心はなかった。
「…強くなったよ。テンリュウも、タツタも」
「…お見通しってわけね〜」
龍田はそう言って、静かにため息をついた。
もう何もする気はないという意思表示であった。
「…次に会う時は、もっと強くなってるからね〜」
「…ああ」
ネロはその言葉を聞いて、やはり大本営へ行かなければならないということを理解した。
龍田は刀を下ろし、天龍の身体を慈しむように抱き上げて背負う。
「…この鎮守府は、みんな強いから、安心して大本営へ向かってね」
「…そうみたいだな」
ネロは、自分の考えを正した。
俺は、無用な心配をしていたのだと。
とりあえず、大本営行く手前で止まってたことを思い出したので、とにかくネロを大本営に連れて行きますね