Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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戦闘描写の軽いリハビリをかねて、続き行きます!


行先

「…そっか。ネロ君はそのまま大本営に向かっちゃったんだね」

 

大佐はそう呟いて、静かに俯く。

寂しそうではあるが、それも自分たちのためなのだと理解していた。

 

「…ネロ君が大本営に向かって、私たちの戦力はダウンしちゃってるわねぇ、高雄」

「…愛宕、私たちの仕事もたくさん増えるわよ」

 

愛宕たちがそう呟きながら、静かにため息をついた。

そんな二人を見て、時雨が寂しそうな表情を浮かべていた。

 

「…ちょっとだけ、静かになってしまうね。この間までの喧騒が嘘のようだ」

 

時雨の少し寂しい呟きが辺りに広がる。

そんな暗い雰囲気の執務室へ、夕張が駆け込んでくる。

 

「みんな!空ちゃんが目を覚ましたわ!」

 

その夕張の言葉を聞いて、その場にいた全員がその表情を明るくした。

 

「ほんと!?みんな行くよ!!」

 

大佐がそう声を上げた瞬間、その場にいた全員が空がいる集中治療室へと向かったのであった。

 

 

 

___________________

 

 

 

 

「…私、生きてるんだ」

 

空は、ベッドの上でそう呟いた。あの、悪魔に腹部を貫かれて、そして今度は自分の中の深海棲艦としての感覚が少しずつ戻ってきて、この鎮守府を…

 

「…また、ネロが助けてくれたんだ」

 

空はそう呟いて、そのまま静かに項垂れる。

この鎮守府の人たちに、またたくさんの迷惑をかけて、ネロにも迷惑をかけて、どこまでも迷惑をかけて。

それでも、まだ私は生きている。

 

「空ちゃん!」

 

そんな空のもとへ、大佐がそのドアをバンと勢いよく開く。

その後ろから、大佐を落ちつかせるように夕張が駆け込んで来る。

 

「て、提督!!まだ満潮ちゃんが寝てるんですから、落ち着いてください!!」

「あっ…」

 

大佐はその言葉を聞いて、空の隣で寝ている満潮に目線を向ける。

その声を聞いた満潮が、少しだけ目を開き始める。

 

「…ぅ…」

 

その満潮の声が部屋に聞こえたとき、大佐はそのテンションをさらに上げた。

 

「!!…み、満潮ちゃんも目が覚めた!?」

「提督、ちょっと声が大きいよ」

 

その後ろから、時雨が部屋まで入ってきて、大佐の行動を諫める。

大佐は、両手を口元の前までもってきて、口を押える。

 

「…ここ…は…」

「満潮ちゃん、ここは呉鎮守府。安心して、今はもう前の鎮守府から他のみんなを連れてきている最中だから」

 

満潮へ声をかける夕張の姿が、空の目に焼き付く。

自分が眠っている間に、色々と物事が進展していることと、そんな事態になっているのに、自分を信じてくれていたことが、空の心に罪悪感を芽生えさせた。

 

「空ちゃん、良かった無事に目が覚めて…!!」

 

大佐は、空の前までやってきて、その手を包み込むように掴んだ。

その手の温もりを感じて、空はその自分の手に視線を落とす。

今までのような、深海の冷たいものではなく、人間味のあるとても綺麗な手であった。

 

「…ごめんなさい、提督」

 

空はそう呟いて、涙を一粒落とす。

感情があふれ出ていく。自分のことを助けてくれた人たちへ迷惑をかけたという罪悪感が、心の奥底から静かにあふれ出ていた。

そんな空を、大佐は抱きしめる。

 

「…大丈夫だよ。私、空ちゃんと出会えてよかった。だから、空ちゃんは何も気にしなくていいの」

 

空は、その大佐の言葉で、どれだけ救われたのだろうか。心の奥にあった、敵対心やわだかまりが全て溶けて消え失せた。

空は、人の温かさを初めて知ったのだ。

 

「…ありがとう、提督」

 

空はそう呟いて、少し恥ずかしそうに笑顔を浮かべた。

その姿を見た全員が、もう彼女のことを深海棲艦だとは思っていなかった。

ふと、空はその場にいない人物のことを思い出した。

 

「…ネロは?」

 

空がそう呟くと、その場にいた全員が困ったような表情を浮かべていた。

 

「…ネロ君は、大本営に向かったの」

「大本営…?」

 

空には、ネロの考えがまだわからなかった。

この艦娘と深海棲艦の戦いに、終止符を打とうとしているとは、微塵も思っていなかったのだ。

 

 

_____________

 

 

「…それにしたって、なんで歩いていかなきゃいけないんだ」

 

ネロは一人でそう呟いて、その道を歩いていく。

もう随分と歩いたが、決して疲れてはいなかった。それだけでなく、少し離れたところに大本営の大層な建物が見えるところまで来ていた。

 

「…やっぱ、いるんだな。ダンテ」

 

ネロの右腕が少しうずく。その感覚で、あのフォルトナの時に出会った赤い男の姿が鮮明に甦る。

その記憶に残る後姿が、まるで早く来いと急かすようにネロを誘う。

 

「…記憶の中でも俺のことを餓鬼扱いかよ、ダンテ」

 

そう呟いて、ネロはその歩みを早める。一瞬でも早く、その向かうべき場所へとたどり着けるように。

と、そんなネロのそばに、何かの影が迫った。

 

「!!…」

 

ネロはその影を目視した瞬間、軽い動作でそれを避ける。

その影が放った攻撃は、見事に地面へと突き刺さっていた。

 

「…なんだよ、悪魔まみれじゃねえか」

 

ネロはそう呟きながら、静かにため息をつく。

そこには、電気を身にまとった大型の悪魔である、ブリッツの姿があった。

 

「…おいおい、こんなところにこいつがいたら、周りの建物に影響が出るぞ」

 

ネロはそのまま、ブルーローズに魔力を込め始める。

その気配を察知したブリッツは、その動きを電気と同化させて、瞬間移動のように動き始めた。

それを見たネロはすぐさま臨戦態勢を取る。

そのネロの背後に、ブリッツは姿を現し、攻撃を加えようと襲い掛かる。

 

泣き叫べ!(Cry out loud)

 

ネロはそう叫びながら、そのブリッツの攻撃に合わせるかのようにレッドクイーンをふかしてぶつける。

その動作で、ブリッツの突進は完全に防がれており、ブリッツは態勢を崩す。

その隙を、ネロは見逃さない。

 

くらえ!(Catch this)

 

そのブルーローズの弾丸を射出して、ブリッツへと突き刺す。ブリッツは完全にその弾丸をもろに食らい、声にならない叫びをあげる。

そして、その弾丸が刺さった箇所が、爆発した。

 

くたばれ!(Rock you)

 

その瞬間、ネロは感覚でその電気のベールが剥がれたことを感じ取り、そのままその右腕でブリッツを掴み上げ、その両手でブリッツを滅多打ちにする。

右から左、左から右へと何度も何度も殴り続け、最後に思いっきりアッパーカットでブリッツを打ち上げる。

ブリッツはそのまま、回避することができないままに吹っ飛ばされる。

 

「…こんな奴が軍の施設の近くにいてたまるかよ」

 

ネロはそう呟いて、歩き去ろうとする。

その隙を見逃さず、ブリッツはまたも立ち上がりネロへと攻撃をしようと突進する。

ネロはその方を決して振り返りもせず、ただブルーローズを一発だけ打ち込んだ。

その弾丸を食らったブリッツは、そのままのけぞりながら倒れて、赤く発行しながら自爆した。

 

「…だるいな」

 

ネロはそう呟きながら、ただため息をついてまた大本営の方へと歩き始めたのだった。

 

 

 

__________________

 

 

 

大本営の建物の中に、まるで病院の集中治療室のように二階から見下ろすことが出来る部屋がある。

そこは、技術局長の研究室という名目で作られた、実験施設であった。

その二階に、技術局長はまるで楽しそうな表情を浮かべて立ちふさがっていた。

 

「…ダンテ、貴様は俺の研究データのために犠牲になってもらう!」

 

技術局長は、ダンテをその部屋に監禁していた。あたりには見るからに怪しい機材や、試験管などが辺りに散乱しており、挙句の果てには資料などの紙が積み上げられている始末である。

そんな部屋に監禁されているダンテは、全くもって興味がない様子であった。

 

「…俺を犠牲にね。それで、何を生み出すつもりだ?」

 

ダンテは寝転がりながらそう呟いて、大きな欠伸をしていた。

その態度を見ていた技術局長は、あからさまにその表情を怒りのものへと変えた。

 

「その余裕も、いつまで持つかな!!」

 

技術局長がそう叫ぶと、ダンテはその表情を少し楽しそうなものへと変えた。

 

「その野心で、どれだけの人間や悪魔が犠牲になったんだろうな?」

 

そのダンテの言葉には、表情とは裏腹に明らかな怒りが含まれていた。

技術局長はそのダンテの言葉を聞いて、うろたえる。

だが、その態度を決して軟化することはなかった。

 

「…ふ、ふふふはははははは!!」

 

技術局長は、高らかな笑い声をあげながら、ダンテをあざ笑うかのように見る。

その表情を浮かべた技術局長を見ながら、ダンテは馬鹿にしたように小さく「huh」と笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

ようやく俺の出番か。ちょうど暇を持て余していたところだったんだ。そろそろ、本格的に終わらせられる仕事になりそうだ。あいつもここに向かっているみたいだしな。こりゃ、マジで『戦争』になるだろうな。

Mission 9
war fire
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