Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
ダンテの話です。
時間軸としては、ネロ編で技術局長が視察中の時にダンテが何をしていたのかの話です。
軟禁
ダンテはうなっていた。
これからのこの大本営の身の振り方を確定するためにも、この選択を間違えてはいけないと理解していたのだ。
「…こっちだ」
ダンテはその右手を、金剛へと伸ばしていた。
その金剛も、ニヤリと笑みを浮かべてそれに応える。
ダンテの右手が、そのカードに触れた。
「…貰ったぜ」
ダンテがそう呟きながらそのカードを裏返す。
そこには、まるでダンテをあざ笑うかのように笑みを浮かべた、ジョーカーがあった。
「…
「では、私の番デース!」
金剛はそう言いながら、ダンテのカードに手を伸ばそうとする。しかし、ダンテはそれを止めるかのように両手を上げる。
「待てよ、まだ混ぜてないだろ?」
「混ぜてなくても、多分負けるんじゃないですか?」
そのダンテの横で、青葉がそう呆れたように呟く。
ダンテは残ったカード二枚を丁寧にシャッフルしながら、金剛に鋭い視線を向ける。
それを受けた金剛は、一切その表情を崩さない。
ダンテは金剛の顔の目の前に、その二枚のカードを並べる。
「…よし、これでどうだ?」
「では、行きマース!」
金剛はそう言いながら、その手をカードへと伸ばす。そして、金剛から見て右側のカードを引こうとしたとき、とても強い力がそのカードにかかっていることを金剛は知覚した。
二人の間に静寂の時間が流れた。
「おっと、そのカードは固いみたいだな。ということは、隣のカードを引くしかないな?」
「そういうダンテは、子供騙しが通用すると思っているようデース。その希望は簡単にcrashさせてもらうマース!」
金剛はそのまま力を込めながら、そのカードを引こうとする。しかし、そのカードは決して動かない。ダンテの力を、上回ることが出来ない。
「…往生際が悪いデース」
「…じゃなきゃ、こんな商売やってられないからな」
ダンテがそう言うと、金剛は大きなため息をついた。
「…なら、隣のカードを貰いマース」
金剛がそう言って、そのカードから手を離した瞬間、ダンテは力を緩めた。
その瞬間を、金剛が見逃すはずはなかった。
「貰いデース!」
金剛はその右側のカードを勢いよく引き抜いて、そのカードを表に向けた。
そこには、ハートのAが描かれていた。
金剛は飛び切りの笑顔を浮かべて、勝利を喜んだ。
「私の勝ちデース!」
「おいおい、そんなのずるいだろ?」
ダンテはそう言いながら、手元に残ったジョーカーをその机に放った。
それを見て、青葉は苦笑いを浮かべる。
「そもそも、ダンテさんが先に卑怯なことをしたのでは?」
「ああいうのは、遊び心っていうんだ」
ダンテはそう言いながら、小さくため息をついた。
この勝負は、ダンテがババを引いてしまったので、完全なる負けである。
この戦いはすでに三戦行われており、全てがダンテの負けである。
「では、ダンテはしばらく私とデートしてもらいマース!」
「…まあ、いい。コンゴウとならまあまあ楽しめそうだしな」
ダンテはそう呟きながら、少しだけその表情を緩くした。
しかし、ダンテは勝負ごとに負けるのは好きではない。
「…その代わり、今度は別ので勝負しようぜ。どうにもトランプは性に合わない」
「なるほど、ダンテさんはトランプが苦手と」
青葉はそのダンテの発言を聞いて、すぐにメモを取り始める。
そんな青葉が、そのメモを取っている間に、ダンテはその気配を感じ取った。
「…臭うな」
「…what?」
ダンテの言葉に金剛が反応した瞬間、その部屋の電気が一斉に消える。
昼間だというのに、空は曇天に包まれているため、施設内は真っ暗になった。
「な、なんですか!?停電ですか!?」
「…もしかしたら、敵襲の可能性もありマース。でも、警報もならないうちに、接近されたとは考えられないネー」
そう呟く金剛を見て、ダンテはまるで楽しそうに椅子から立ち上がった。
「どうやら俺の客らしい」
ダンテはそう呟くと、そのまま歩き始めてしまった。
金剛と青葉はそのダンテの行動を見て、顔を見合わせる。
そして、その後についていこうと歩き始めたのだった。
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「…あら、停電みたいね」
憲兵に扮したトリッシュは、まるでそこまで驚くほどでもないかのようにそう呟く。
それを聞いた大将は、少し困惑したような表情を浮かべていた。
「馬鹿な、この建物が停電などするはずがない。発電所は地下にあって、仮に襲撃されたとしても停電することないはずだ」
大将の言葉を聞いてもなお、トリッシュはその表情を変えることなく歩き始める。
それは、絶対的に原因が分かっているから。
「…おい、貴様の仕事は」
「私の仕事は、この大本営の規律を守ること。今の状況を正すのも仕事のうちに入るわ」
大将の言葉を軽くあしらうトリッシュ。その表情には、いたずら心が見え隠れしていた。
それを見てもなお、大将は怒りなどを覚えることなくただ静かに後姿を見送る。
「…あの女はいったい何なのだ」
大将のつぶやきは、誰にも聞こえることはなかった。
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ダンテ達は、既にその地下発電所の近くまでやってきていた。
地下の薄暗い場所で、非常灯だけが付いている、ゾンビ物の作品であればいかにもな雰囲気になっていた。
「…ダンテさん、地下発電所の場所を知ってたんですか?」
青葉はダンテにそう問いかける。しかし、ダンテは答えない。
金剛もその雰囲気を察してか、何も言うことなくダンテの後ろを歩いていた。
三人は、その発電所の大きな扉の前までやってくると、その扉を躊躇なく開いていた。
その部屋は、発電質だというのに、とても暗かった。ところどころで、バチ、という音と共に閃光が走っている以外は。
「…ほら、俺の客だ」
ダンテがそう呟くと、その目の前に電気の柱が3つも現れ、ダンテへと襲い掛かる。
ダンテはその柱から出てきたその三体の悪魔を、綺麗にリベリオンではじき返し、そのまま挑発するように声を発する。
「…
その光景を後ろで見ていた青葉と金剛の二人は、その光景に息をのんだ。
目の前で、この人智を超えた姿の敵を相手にして、一切怯えることなく戦おうとしているこの男を。
電気を帯びた三体のブリッツは、敵をダンテを見定めている。しかし、ブリッツは視覚が著しく低下しているので、動くものを見境なく攻撃してしまうことがある。
なので、ダンテはその三体をまとめて相手するために、わざとその二丁拳銃を抜く。
「離れてな」
ダンテがそう言うと、後ろで見ていた二人はダンテから距離を取る。
その瞬間、ダンテの持っていた二丁拳銃からは、弾丸が何発も射出されていた。
その音を聞いたブリッツたちは、ダンテの方へと肉迫してくる。
しかし、その場所からダンテはすでに離れており、一体のブリッツの目の前へと瞬間移動をしていた。
「悪いが、お前らにそこまで構ってられないからな」
ダンテはそう呟いた瞬間、その身体を変質させる。赤い魔人となり、そのブリッツのうちの一体へと
そのブリッツが吹っ飛ばされたことで、他のブリッツもダンテの気配を改めて察知したようで、ダンテへと攻撃をするためにまた高速で動き始めた。
『…Ha-ha!早く動きすぎて、逆に全部見えちまってるぜ』
ダンテはそう言いながら、そのリベリオンを後ろへと大きく振りぬく。その攻撃で、ブリッツの身体が弾き飛ばされ、バランスを崩したように倒れる。電気の道筋が一つ消え、残るは一つ。しかし、ダンテはその動いている奴にはお構いなしに、倒れている二体へと単装砲を向ける。ダンテはすぐに引鉄を引くことなどせず、その単装砲へと魔力を込める。
紅い光が単装砲を包み込んだ瞬間、ダンテはその弾丸を二体へと同時に射出する。
その砲弾を食らった二体は、まるで身体の内側から爆発するかのように破裂してしまった。
『残るは、お前だけだぜ?』
そうダンテが呟いた瞬間、残っていたブリッツは姿を消す。ダンテはそのまま戦闘態勢を解くことはせず、次にどのポイントへと現れるのかを考えていた。
…しかし、ダンテはそのまま静かにため息をついて、魔人化を解いた。
「…逃げちまったな」
ダンテはそう呟いて、後ろの二人の方へと目を向ける。
青葉が気を失っているのを、金剛が抱きかかえているのが見えた。
「…今の、とってもbeautifulな戦い方デース!」
「huh、褒めても何も出ないぜ」
ダンテはそう言いながら、発電所の惨状をただ微笑を浮かべて見つめていた。
この停電によって、ダンテがさらなる窮地へ立たされるとは知らずに。
というわけで、ダンテのところから逃げたブリッツがネロの倒したブリッツでした。
まあ、金剛がなぜ悪魔のことを知っているのかは後程!