Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
大変遅くなりました!
色々な視点の話を同時に書きます!
ちょっとごちゃごちゃしたらすみません!
「…本当に、行くんですか?」
湾頭にて仁王立ちをしたまま動かないバージルに、提督はそう尋ねる。しかし、バージルは決して動くことなく海面を見つめていた。その横では、戦艦レ級がまるで楽しそうに笑みを浮かべながらぶつぶつと何かを呟いている。
その光景を見ながら、提督は緊迫した表情を浮かべていたが、すぐにそれをやめる。仮にも敵対関係である相手に、少しでも失礼なことをすれば、間違いなく殺されるだろうと考えたのだ。
「…司令官さん、どうするのです?」
「…ここは僕たちにできることはないよ。それに、バージルさんもここまで話をした相手に向かって、突然刃を向けてくるようなことはしないはずだ」
提督はまるで、自分に言い聞かせるようにそう呟いていた。しかし、その言葉を聞いて鈴谷も思わず楽しそうな笑みを浮かべる。
「多分ね~、バージルはダンテのことを認めてはいるって感じだと思うんだよね~。でも、多分プライドの問題でそれが素直に言えないってことだと思う」
「…その口を閉じろ」
鈴谷の言葉に、バージルは顔を向けずにそう反応した。それを聞いた他の艦娘たちは、その緊張感の走りに思わず言葉を失う。
それでも、鈴谷は言葉を続ける。
「でも、事実でしょうが。あんだけ斬りあったのに、今は別に憎んでるわけでもないとか、典型的な…」
「…図に乗るな」
バージルのその重苦しい声が辺りに響くと、駆逐艦の何人かは怯えて艦娘の後ろに隠れ始めてしまった。
まるで、地雷原を走り回っているような鈴谷のその発言の一つ一つに、その場の全員が早く鈴谷が黙ることを祈っていた。
「…提督、来タヨ」
と、戦艦レ級が呟いた瞬間、その水面へと深海棲艦の大艦隊が出現する。それを見たすべての艦娘は、その戦力に驚愕した。
おそらく、周辺海域の全ての深海棲艦がここに集結してきているのだろうかと言わんばかりの数であったからである。
「…この数を呼べと言った覚えはない」
「オヤ、ソウダッタカナ。デモ、面白イジャナイカ」
戦艦レ級が楽しそうにそう呟くと、南方棲姫が苛立ちながら戦艦レ級へと詰め寄る。
「チョット! マタ騙シタノネ! 提督命令デ近海ノ艦ヲ全テ集メル話ジャナカッタノ!?」
「騙シテイナイ。秘書艦ノ命令ハ提督命令ニ近シイ権力ガアッテモオカシイ話ジャナイ」
そんな言い合いをしているのを見て、電は心の中でざわめきが走るのを感じていた。
このまま彼らをただ見送るだけでは、一生後悔するのではないかという疑念が。
「…司令官さん、お願いがあるのです」
電はそのわがままを、生まれて初めて押し通そうとした。
「…電も、一緒に向かいたいのです。ダンテさんの言っていたことをすこしでも理解したいのです」
それを聞いて、提督は思わず言葉を失った。
艦娘である電が、明確にこれをしたいという要望をぶつけてくれたことへ、提督は驚きと感動を覚えていた。
「…僕も、それを命令しようと思っていたところだ。行ってきてくれ」
提督はそう返答しながら、微笑みを浮かべる。その二人を流し目で見ていたバージルは、humgh、と小さく鼻を鳴らした。
「…マルデ引率ノ先生ダネ」
「…黙れ」
戦艦レ級の言葉に、バージルはそう鋭く返答した。
太陽は雲の隙間から、少しずつ顔を覗かせ始めていた。
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鎮守府の門の前、空は苛立ちながら足を進めていた。
「空ちゃん、ダメだって! まだ完全に身体が治ったわけじゃ…」
大佐のその言葉を振り切るように、空はそのまま鎮守府の外へと歩き始めていた。
それを止めるように、高雄と愛宕が空の前に立ちはだかる。
「流石に、怪我人を外へ出すわけにはいかないの。だから、空ちゃんはまだ休んで?」
「…それに、この間みたいなことがまた起きないとも言い切れない以上、提督の言うように今は身体を休めてください」
その二人が真面目な顔でそう告げると、空は苛立ったような表情を浮かべながら、強く言い返す。まるで、子供の癇癪のようでもあり、冷静な大人が怒りを爆発させたように見えた。
「ネロが今も戦ってる! じっとなんかしていられないの!」
「!…」
その言葉を聞いて、大佐は少し心の奥底で罪悪感を覚えた。
空の怪我の原因は、自分が作ったと。そんな自分が、何かを強制することなんてできるのかと。
「でも、今の空ちゃんが行ったら、邪魔になっちゃうっぽい」
と、その大佐の後ろから、そんな声が聞こえる。空はそれを聞いて、怒りに震えながらそちらを見る。
そして、思わず言葉を詰まらせた。
彼女の背中には、艤装がつけられていたのだ。
「だから、私も行くっぽい」
「夕立、それは…」
空は少しためらうかのような言葉を吐く。艦娘が大本営に艤装をつけていくということは、即ち反逆行為をさせるということになる。
と、その隣に並ぶようにその影は現れた。
「…僕も行くよ、提督」
「時雨まで…どうして?」
空はどうしても、尋ねるしかなかった。
自分勝手な行動をしようとしてるのに、それを咎めるのではなく、行動で示そうとしている。自分の立場を危うくしてもである。
「…じゃあ、空ちゃん護衛任務を、時雨と夕立に任せます!」
「提督、ダメよ。そんなことしたら、反逆に…」
空はそこまで言いかけて、その大佐の表情を見た。
それは、まるで空を安心させるような笑み。空のことを微塵も敵とは思っていない笑み。
「大丈夫!何てったって、空ちゃんをあんな風にしたのが技術局長の仕業なら、一発殴ってきて欲しいもの!裏切り者と言われても、私はみんなのことを信じてる!」
「提督…」
空はそれを聞いて、思わず涙をポロリと流した。
それを見たその場の全員が、空のことを人間であると確信していた。
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「さて、手始めに新しい金剛の力を試してやりたいな…!」
技術局長はそう呟いて、その肉塊をじっと眺める。
グジュリという音を立てながら、その肉塊は少しずつ胎動しており、ステンドグラスの光がその肉塊を照らすごとに、その周りの視界が歪んで見えるほどの熱量が生み出されていることがわかる。
「…試すならやはり、あの男か」
技術局長がそう呟いて、このとても大きな部屋の扉へと注視する。
その瞬間に、扉は勢いよくドンという破裂音と共に吹き飛ばされた。
その扉は勢いよく吹きとび、そのまま技術局長に当たるかと思われたが、肉塊がその身体の一部を動かして扉を跳ね返して防いだ。
「…思ったより早かったな。時間通りに来るとはなかなか律儀なやつだ」
「…どうせなら、会場の場所くらい教えてくれよ。こんなに広いと迷っちまう」
ネロは不敵な笑みを浮かべながらそう返事をすると、技術局長はその右手をまるで楽しそうな笑みを浮かべながら上げた。
「…悪いが、パーティーではないんだ。君への一方的な攻撃が開始されるのだからな」
技術局長がそう呟くと同時に、あたりに魔法陣がたくさん現れる。それを見て、ネロはあからさまに不機嫌そうな表情へと変える。
ブレイドが3体ほど現れ、ネロへと肉薄する。
「…面倒だな」
ネロはそう呟きながら、レッドクイーンに手をかける。そして攻撃を仕掛けようと動こうとした瞬間、その後ろから聞こえた声に気を取られた。
「お姉様!」
「…何?」
榛名がそう声をあげた事への動揺で、ネロの初動は遅れた。しかし、ネロはブレイドの攻撃をいなしながら、技術局長の方を見る。
そして、その後ろにあるとてつもなく大きな肉塊に気がつく。
「…そういうことかよ、クソッタレ」
ネロはそう呟きながら、榛名の言うお姉様とやらが、その後ろのそれであることを理解した。
ネロはブレイドのことなど構っていら暇もなく、技術局長へと迫る。
「ふははははははは!!!」
技術局長は、まるで狂ったように笑いながら、ネロをじっと見ていた。
戦いの火蓋は切られた。
とりあえず、集結というタイトルが使いたかったので、今回は色々な鎮守府の話をごちゃ混ぜにしました。
視点変わりが激しいですね。