Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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久々のシークレットミッションです!

今回は、深海鎮守府について書こうと思います。

独自設定の塊になりますので、ご注意を!

時間軸はMission3の後です!


2 〜 Deep Ocean 〜

海の中、1つの影が蠢いている。

それは、戦いにて傷を負った、南方棲鬼であった。

南方棲鬼は、少し苦しそうな表情を浮かべながら右腕を押さえる。

身体中が傷だらけだが、特に右腕があまりにも疼く。それは、ダンテに撃ち抜かれた砲塔。

 

「…ヤラレタナ。」

 

と、南方棲鬼の進行方向に佇む影が1つ。南方棲鬼はその声の主の方を見て、ギロリとした視線を向ける。

 

「…レ級…」

 

南方棲鬼の呟きに、あからさまに不機嫌そうな戦艦レ級は、南方棲鬼を下半身から上半身までじっくりと見る。

 

「…ハァ…舐メテカカルカラコウナルンダ。」

「チョット!?アンナニ強イナンテ聞イテナカッタンダケド!?」

 

戦艦レ級の言葉に、少し怒り気味でそう返す南方棲鬼。それを聞いて戦艦レ級は鼻で笑うような表情を浮かべる。

 

「言ッテナイカラナ。」

「…」

 

そう言って、戦艦レ級は身体を翻し、鎮守府へと進み始める。

南方棲鬼はあまりの怒りに戦艦レ級を責める気力も失せ、さっさと鎮守府へと帰り入渠を済ませたいと考えていた。

 

「…後デ鎮守府デ徹底的ニ問イ詰メルワヨ…」

「アッ、ソウダ。」

 

と、まるで南方棲鬼の言葉を聞いて思い出したかのように、戦艦レ級は大きく声をあげる。

南方棲鬼はキョトンとした表情を浮かべる。

 

「…提督ガ呼ンデタヨ。何デ部隊ヲ動カシタノカッテ。」

「…ハァ!?」

 

戦艦レ級が言う提督。それは、深海の鎮守府にて自分たちの指揮をする人間…と呼べるのか怪しい人物。

本来であれば、深海棲艦である自分たちにそんな存在は必要ないし、実際今も厳密に言えば役に立っているわけではない。普段はもっぱら、執務室に籠って本を読むだけである。

しかし、こういう場合だけは、彼は黙っていない。勝手に何かことをしでかした場合である。

 

「…ネェ、秘書艦ノレ級カラ言ッテヨ…」

「嫌ダ。」

 

南方棲鬼の提案をレ級はさっさと断り、そのまま面倒臭そうに鎮守府へと戻る。

それを見た南方棲鬼は大声で叫ぶ。

 

「元ハト言エバレ級ガ私ヲ唆シタンデショウガ!!コノ悪魔!!」

 

 

 

____________________________

 

 

 

この深海の鎮守府には空気があり、人間でも普通に生活できる程度の最低限の機能はある。

深海という日の光が届かないこの場所には灯りがほとんどなく、全体的な暗さはテメンニグルに匹敵するほどである。

執務室には執務机と大量の本棚があり、そこそこな広さである。

そのうちの一つの本棚の前で一冊の本を読む男が1人。銀色の髪を、オールバックのように後ろに流しており、青色のコートを身にまとった男。

 

「…失礼…スルワ…」

 

そこへ、申し訳なさそうに部屋へと入る南方棲鬼。それを聞いた男は、本をパタリと閉じる。

そして、ギロリと鋭い視線を南方棲鬼に向ける。

 

「…ッ…ソノ…勝手ニ部隊ヲ動カシテ…悪カッタワ…」

 

そう言いながら、南方棲鬼は俯く。

その南方棲鬼を男はしばらく無言で眺める。南方棲鬼はその視線に気がつき、少し顔を赤らめる。

そして、その男が重い口を開く。

 

「…お前がそこまでやられるとはな。」

「!…」

 

それを聞いた南方棲鬼は、少し驚いた。

普段の冷酷な態度からして、決して言わないような台詞を軽々しく自分に向けて言い放ったからである。

まるで、自分の実力を認めてくれているような…

 

「…ソレッテ、ドウイウ…」

「…humph、もういい。失せろ。」

 

と、男は静かにそう呟いてまた本を開く。それを聞いた南方棲鬼は少し苛立ちを覚えた。

いつもは寡黙な提督が自分を認めてくれていたことに対して、一瞬でも舞い上がってしまった自分が腹立たしかった。

 

「…ジャア、入渠シテクルワヨ。全ク…アノ赤コートメ…次ハタダジャオカナイワ…」

 

その言葉を聞いた瞬間、男は再び本をパタリと閉じる。その音を聞いて、南方棲鬼は驚いたようにヒッ!?と声を上げる。

 

「…何だと。」

 

男はそう呟いて、南方棲鬼に視線を戻す。

いつもの無表情と似てはいるものの明らかに違ったものであり、南方棲鬼にとっては、それが恐ろしかった。

 

「…ナ、何ヨ?」

 

辛うじてそう返す南方棲鬼は、先ほどの戦闘にて感じていた鳥肌を、再びこの場でも感じていた。

自分よりもはるかに強者と相対した時の感覚。

その男は少し考え込むように目を閉じる。

 

「…入渠が終わったら貴様の訓練だ。いいな。」

「エェ!?デ、デモ!!チョット疲レテルシ…ッ…!!」

 

南方棲鬼は、そこまで言ってから自らの行いを後悔する。

男が、明からさまに怒りの表情を浮かべていたからである。

 

「…ワカリマシタ…」

 

南方棲鬼はそう言って、渋々入渠施設へと赴くのであった。

男は読んでいた書物を本棚にしまい、そばにあった日本刀を手にする。

 

「…Dante…」

 

男はそう呟いて、その日本刀を勢いよく前に振り抜く。たったそれだけの動作にも関わらず、まるで空間を切り裂いたような音が辺りに木霊する。

男はそのまま、流れるような動作で刀を鞘に収める。あたりの張り詰めていた空気が、一瞬で元に戻る。

しばらく、辺りを静寂が支配した。

何秒ほどか経ち、男は刀をもう一度抜き、それをじっと見る。

 

「…まだ足りん。」

 

男は静かにそう呟く。

かつて、この男が持っていたのは、人と悪魔を別つ力を持つ、閻魔刀と呼ばれた刀。

今の彼が手にしているのは、名前すらもわからない日本刀。しかし、彼の頭の中では、この刀が異質な力を持ってあることがわかっていた。

今この刀が応えないのは、己の弱さ故だと。

 

「…もっと力を…!」

 

その男の名は、バージル。スパーダの血を引くもう1人の男であり、ダンテの双子の兄である。

 

 

____________________________

 

 

 

「モウヤダ…二度トアンタノ口車ニナンカ乗ラナイカラ…!!」

 

半分涙目になった南方棲鬼は、戦艦レ級にそう言い放ちながら入渠施設へと駆けていく。

戦艦レ級は、呆れた表情でため息をつく。

 

「…何ガ口車ニ乗セラレタ、ダ。攻撃ヲ決メタノハ自分ジャナイカ。」

 

そう言いながら、戦艦レ級は執務室のドアをノックする。

中から何の返事も来ない。それは即ち、入室許可が出たということだ。

ドアを開けると、刀をじっと見つめるバージルの姿があった。戦艦レ級はそのバージルに歩み寄る。

 

「…提督。」

「…その呼び方をやめろ。」

 

バージルは一言そう告げて、その刀を戦艦レ級の首筋に向ける。かなりの殺気を含んだ目であるが、その目を見て戦艦レ級は少し笑みを浮かべる。

 

「良イジャナイカ。秘書艦ノ私ガソウ呼ンデモ。」

「…お前がそう呼ぶ時にはろくなことがない。」

 

バージルはそう告げて、刀を鞘に収める。戦艦レ級は軽く笑みを浮かべてそれに応じる。

 

「コノ後、南方棲鬼ノ訓練ッテ聞コエタカラ、僕モ参加サセテホシイト思ッテネ。」

「…好きにしろ。」

 

バージルはそう告げて、部屋を出て行こうとドアを開く。その後ろ姿をじっと見つめる戦艦レ級は、少し懐かしい感覚を思い出していた。

 

「…最初ノ頃ナンカ、問答無用デ殺サレカケタノニ。」

 

戦艦レ級は小さく呟く。

バージルがこの鎮守府に着任したのは、随分と前の話だ。(最も、提督業なんてものは一切していないが。)

ある日、戦艦レ級がこの鎮守府から外へ出て散歩している時に、近くの海底に倒れ伏していたのを見つけた。

バージルが再起した当初の頃は、お互いに距離感が掴めずに衝突することもあった。(大体はバージルに対して仲間が突っかかることが多かったが。)

今となっては、そんなことはほとんどない。(というか、バージルが怖すぎて誰も突っかからない。)

と、不意にバージルが戦艦レ級の方に顔を向ける。

 

「…訓練は2時間後だ。参加するなら遅れるな。」

 

バージルはそう言って、部屋を出てドアを閉める。それを見たレ級は、満足そうに笑顔を浮かべる。

 

「分カッタ。後デネ。」

 

ただ一言、そう呟く声だけが、執務室の中に木霊した。

 

 

 

 

 

 




というわけで、バージルが深海にいました!

1でマレット島にてダンテに敗北し、死亡したと思われるバージルが何故生きていたのか?
次のシークレットミッション辺りでやります!多分…
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