Devil may cry ~Fleet Collection~   作:縁(みどり)

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そしてシークレットです!

今回は、ダンテと出会う直前のバージルが何をしていたのか…
そこに焦点を当てていきます!

というわけで時間軸はMission5の最中になります!


4 〜 Encounter 〜

ここは、とある鎮守府の近海である。この鎮守府には様々な噂があるものの、かなりの功績を残した鎮守府である。大規模作戦において多くの戦果を上げ、通常の任務も完璧にこなしていた。

そんな鎮守府の近海に、その2人はいた。

 

「…動キハ?」

 

戦艦レ級は、隣にいる南方棲鬼にそう尋ねる。

 

「…特ニナイワネ。」

 

南方棲鬼は、目で望遠鏡を作るようにして、鎮守府を見ている。

戦艦レ級は、それを聞いて少しため息をつく。

 

「…ソレニシテモ…提督ハ何ヲ考エテイルンダ。」

「…サアネ。」

 

2人はそこまで呟いて、同時にため息をつく。

それは、バージルが言い出した突拍子も無いことが原因となっていた。

 

「…提督、大丈夫カシラ?」

「…ソコハ心配イラナイト思ウケド。」

 

南方棲鬼の言葉に、レ級は静かにそう呟くのであった。

 

 

________________________

 

 

バージルは、先ほど2人が監視していた鎮守府の中を歩く。

完全な部外者であるバージルは、ここの艦娘達に攻撃を加えられてもおかしく無い。だが、未だにそういったことはない。

まるで無人のようにも思えるが、バージルはそうでないことを確信していた。

人間がいない、という意味では無人かもしれないが。

 

「…humph。」

 

バージルは呆れたようにそう呟き、ドアが破壊された鎮守府の建物へと入っていく。

そこには、低級悪魔である4体のブレイドが群れをなしていた。魔帝ムンドゥスに作り上げられた尖兵。身体を鎧で多い、腕にはシールドをつけている。爬虫類のような姿をしており、狡猾に獲物を屠る狩人のようにも見える。

4体が同時に、咆哮をあげてバージルへと襲いかかる。

 

「…失せろ(Be gone)。」

 

しかし、その瞬間にブレイドは吹き飛ばされていた。

バージルが、疾走居合によってブレイド達を全て斬り伏せたからである。ブレイド達は自身らが何をされたのか気がつかぬまま、絶命していった。あたりに血液が飛び散り、崩壊した鎮守府を彩っていく。

バージルは辺りを見渡し、執務室へと向かう。そこから、人の気配を感じ取ったためである。

 

 

________________________

 

 

「…ガハッ…」

 

散乱した書類、飛び散った血液によって装飾が施されている執務室の中、1人の傷だらけの艦娘が苦しそうに呻き声を上げる。彼女の名は木曾。球磨型軽巡洋艦の5番艦である。

ボロボロの執務机に背中を預け、肩で息をする。

手には血塗れの刀を持ち、今にも崩れそうな身体をなんとか保つ。

 

「…くっそ…」

 

そう呟き、何とか立ち上がろうとする。が、身体の痛みと疲労がそれを許さない。

木曾の身体の怪我は、深海棲艦によるものではない。全てブレイドの攻撃のためについたものだ。執務室に入ってくる奴らを、1人で食い止めていたためである。

 

「…もう終わりか…?」

 

特に動きはないが、おそらくあの向こうには化け物がまだまだいるのだろう。

そう頭の中で考えながら、木曾は扉を睨む。

 

「…少し…休む…か…」

 

木曾は少し目を閉じる。あまりにも気を張った状態が続いたため、木曾の精神も限界に近づいていた。

仲間は皆、他の鎮守府へ逃げたか、それとも…

そこまで考えて、軽く笑みを浮かべる。今は他人を気にしているほどの余裕はない。皆無事に決まっている。そう考えておこうと。

その時、どこからか音が聞こえた。カツン、カツン、と響き渡る音。

 

「?…」

 

誰かがこの執務室に向かってきている。

仲間のうちの誰かか、もしくはあの化け物だろうか。

木曾はその刀を強く握りしめて、立ち上がる。

その足音が、ドアの目の前で止まる。

木曾は息を呑んだ。

 

「…誰だ。」

 

そう呟くと同時に、そのドアがゆっくりと開く。

入ってきたのは、青いコートを着た男。木曾はとりあえず、それが化け物ではなかったことに安心し、すぐにその男が何者なのか考える。

 

「…よくここまで来られたな。あの化け物はどうした?」

 

木曾は探るように、男へと尋ねる。男は、そんな木曾のことなど気にもせずに本棚へと歩いていき、おもむろに1つの書類を手に取る。

 

「?…なあ、お前は…」

 

木曾がそこまで呟くと、部屋の中にブレイドが3体ほど入ってくる。それに気がついていないのか、男は視線を書類から離さない。

 

「!…おい、逃げ…!」

 

と、木曾が声をかけた瞬間、その3体は男に飛びかかる。

木曾は、もう遅いと心の中で思った。このまま、男は化け物に殺されてしまうのだと。

しかし、木曾が考えた結果と全く正反対の事態が起こる。

 

「…図に乗るな(Don't get so cucky)。」

 

男はそんな声と共に、その刀を振り抜く。その瞬間、ブレイド3体はその身体を真っ二つにされる。

飛びかかった勢いで、切り離された3体の身体は勢いよく地面へとぶつかり、その鮮血を散らす。

 

「!…」

 

木曾は一瞬で起きたその出来事を、理解できなかった。

男はまるで何事もなかったかのように、その書類にまた目を向ける。

 

「…お前は何者だ?」

 

木曾は男に向けて恐る恐る尋ねる。だが、その言葉には恐怖や警戒の他に、ある種の希望がこもっていた。

この人物なら、この事態を解決することができるのではないかと。

男はその書類を確認すると、木曾をチラと見る。

 

「…貴様に関係があるのか?」

「!…」

 

その言葉を聞いて、木曾に悪寒が走る。

まるで人間が発するものではない威圧感が、彼女を襲う。

しばらくの間、静寂が辺りを支配する。

 

「…humph。」

 

突然、男はそう呟きながら歩き始める。木曾はその光景を黙って見届けるしかなかった。

執務室のドアを開き、男は外へ出る。

残された木曾は、ただその男が残した空気を身体に受けることしかできなかった。

 

 

________________________

 

 

最初にその違和感に気がついたのは、1週間ほど前のこと。深海にて書物を読んでいる時に、悪魔のような気配をこの鎮守府から感じ取ったのだ。その事実は告げずに、戦艦レ級と南方棲鬼を連れてきた。

実際に来てみれば、明らかに異常な数の下級悪魔。確実にこの鎮守府は悪魔の巣窟と化していた。

バージルは静かな鎮守府の中を、その足音を響かせながら歩く。あとは悪魔の気配が強い方面に向かえば、ここでやるべきことは終わりである。

いくつか強い気配を持ったポイントがあったが、中でも1番強い気配を放っていたのは、入渠ドック。おそらくそこに、違和感の正体があるのだろう。

 

「…」

 

バージルは、ただ黙々と入渠ドックへと歩き続ける。時折飛んできたブレイドの攻撃は、もう既に止んでいた。おそらく、ほとんどを倒しきってしまったと思われる。

 

「なあ、お前。」

 

と、バージルを呼び止める声が響く。それを聞いたバージルはその歩みを止めた。

先ほどの執務室で出会った少女が、ここまでバージルを追ってきたのだ。

 

「…何の用だ。」

 

バージルは背中を向けたまま、その少女に声をかける。

少女は息を飲み、しばらく黙り込む。だが、何か覚悟を決めたらしく、溜息のような深呼吸のような音を出す。

 

「…お前は、この鎮守府に何をしに来たんだ?」

「…何度も言わせるな。」

 

少女の言葉に、バージルはそう呟いて歩き始める。

少女は黙ってその後ろ姿をじっと見る。

 

「貴様には関係がないことだ。」

「!…ああ、そうかよ。」

 

少女は苛立ったような表情を浮かべて、バージルを睨みつける。

 

「…俺もいく。この鎮守府のことは、この鎮守府の奴がやるべきだろ。」

 

そう呟いて、バージルのもとへと歩いていく少女は、その目に底知れぬ覚悟を抱いていた。

バージルはその少女を待つことなどせず、歩き続ける。

 

「…俺は木曾だ。」

 

少女はそう名乗り、バージルの反応を伺う。

だが、バージルはそんな木曾のことなどどうでも良いのだ。

 

「…知らん。」

 

そう呟いて、ただ入渠ドックへと歩き続けるだけであった。

 

 

________________________

 

 

「…アァ…提督…」

 

入渠ドックの中、1人の女がそう呟く。背中には4方向に伸びる大きな砲塔を背負っている。あたりにはおびただしい量の血液が飛び散っており、大小の肉片が落ちている。

そして、女の腕の中には、この鎮守府の提督であった男の頭部が抱かれていた。

 

「…モウ…離サナイ…」

 

女は、静かにそう呟いて、涙を流す。

腰まで伸びる長い髪は白く染まり、その全身は血の気がなく、まるで深海棲艦のようであった。

 

「これは…!?」

 

と、そこへ入ってくる2人の影。女はゆっくりとそちらへ視線を向ける。

その片方の顔に見覚えがあった女は、その表情を驚愕のものへと変える。

 

「…木曾…?」

「!!…ぅっ…!!」

 

あまりの惨状に、木曾は口元を抑える。その提督であったものは、もはや何も語ることはない。その瞳からは血液が一筋に流れており、まるで涙を流しているようにも見えた。

なんとか喉の奥から込み上げてくるものを抑え、木曾はその女を睨みつける。

 

「…なんでこんなことをした…提督を1番愛してたじゃないか!!」

 

木曾はその溢れ出る怒りをぶつける。

その女は、艦娘としてかつて提督の秘書艦として苦楽を共にし、その指にはケッコン指輪まではめていた。そんなはずの彼女がなぜこんなことをしたのか。それだけが、木曾の心の中を埋め尽くしていた。

女は静かに笑みを浮かべて、口を開く。

 

「…モウ提督ハ私ノモノ。コレデ誰ニモトラレナイ。」

「!…この…悪魔め…!!」

 

木曾はその顔を怒りに歪め、女へと刀を向ける。女はそれを見て、狂気的な笑みを浮かべる。

 

「悪魔…フフフ!!ソウカモネ!!」

 

女はその背中の主砲を1発だけ発射する。

それを見切った木曾は刀を振り、その砲弾を切り落とす。あたりに爆煙が広がるが、木曾はそのまま走り出す。女を斬り伏せる為、自身の責務を果たす為。

 

「残念。」

 

しかし、その女の声が無慈悲に響いたと同時に、木曾の身体に異変が起きる。

突然、激しい痛みが襲った。

 

「がぁぁあああ!?」

 

木曾は自分の腹部を見る。そこには、得体の知れない何かの腕が突き刺さっていた。

その形状を見て、瞬時に理解した。あの化け物に刺されたのだと。

 

「煙デ気ガツカナカッタ?ソノ子達ッタラ本当ニ優秀ナノヨ。」

 

煙が晴れて、木曾は目の前に立つそのブレイドを睨みつける。

だが、命令を忠実に遂行するそのハンターには、そんな脅しは全く効果がなかった。

勢いよくブレイドが腕を引き抜く。それを受けた木曾は、痛みのせいで身体のバランスを保てずに地面へと倒れこむ。

 

「…フフフ!!モウ誰モ止メラレナイ!!私ノ愛ヲネ!!」

 

女は高らかに笑いながら、木曾を見下す。木曾は歯をくいしばる。

どんな手を使っても、この女を倒さなければならない。それが、自分に課せられた最後の任務。

しかし、どんなに立ち上がろうとしても、痛みがそれの邪魔をする。木曾の敗北は、あきらかであった。

 

「…下らん。」

 

突然、入渠ドックに呆れたような声が響き渡る。

女はその目を声の主であるバージルに向ける。ただじっと様子を見ていたバージルが、女へと歩み寄っていく。

 

「…下ラナイ…?」

 

女は静かな怒りに震えながら、そう呟く。

木曾は、痛みを堪えながらなんとかバージルの方へ視線を向ける。

明らかに余裕綽々と言った雰囲気で女を見るその姿は、やはり普通の人間とは卓越した存在なのだろう。

 

「…そんなことのためにその力を手に入れたのか。」

 

バージルは静かに呟き、ため息をつく。その表情は、まるで幻滅したかと言わんばかりであった。

 

「…ソンナ…コト…?」

 

女は、その憎悪と怒りを鎮めることができず、背中の砲塔をバージルに向けて、鋭い目つきで睨みつける。

だが、バージルにとってそんなことはどうでも良い。

 

「…私ノ愛…ソレヲソンナコトダト言ウノカ!?」

 

そう話す女を尻目に、バージルは木曾の方を見る。腹部からは血液がとめどなく流れ出ており、普通の人間であればすぐに死んでしまうであろう。

だからといって、バージルには木曾のことなど関係がないのだが。

 

「…力が無ければ何も守れない。自分自身さえもな。」

「!…フフフ!!ソウヨ!!ダカラ私ハ提督トノ愛ヲ守レタ!!」

 

女はバージルの言葉に同意するかのようにそう叫ぶ。その表情は、清々しいほどに凶悪な笑みであった。

だが、バージルはそんな女を見下したような目を向ける。

 

「貴様は何も守っていないだろう。」

「!…」

 

バージルの言葉に、女は再びその表情を、憎悪が含まれたものへと豹変させる。

 

「…貴様に、その力は必要ない。」

「黙レ!!」

 

女はそう力強く叫び、右手をバージルへと向ける。

その合図とともにブレイドが計5体ほどになり、バージルへと飛びかかる。

鋭い爪でこの男を貫く。女はそう確信していた。

完璧な不意打ちは、確実に成功するのだろう。それが普通の人間であれば。

 

「…斬る(Cut off)!」

 

バージルはそう力強く呟いたと同時に、その日本刀を抜く。たったそれだけの動作。それだけで、5体のブレイドの身体を完全に斬り伏せる。

全てのブレイドが動かなくなったと同時に、バージルは刀を鞘に収める。

 

「!?…何者ダ…!!」

 

女の言葉にバージルは、睨むように視線を返す。その瞳の奥に、テコでも動かないほどの気高き魂を感じ取った女は、その全身に現れた鳥肌を止めることができなかった。

バージルは、その口をゆっくりと動かす。

 

「…悪魔に名乗る名前はない。」

 

バージルは瞬間移動で女の目の前に現れる。

女のとっさの出来事で思考が停止するも、なんとかそれを回避しようと両腕を伸ばす。

バージルは、ほぼ音速で刀を振り抜く。それによって、女が伸ばした両腕が切り落とされる。

 

「!?…グギァアアアアァァァ!?」

 

女の苦痛に悶える声が辺りに響きわたる。女はそのまま、背中についた砲台をバージルへと向けて放つ。

それを見越していたバージルは、女から距離を取りながら刀をぐるぐると回す。

砲弾は斬り落とされ、辺りに爆煙を広がらせる。

 

「!!…何…!?」

 

女はそう叫びながら、その爆煙が晴れるのを待つ。

だが、その行為を後悔した。

少しずつ晴れる爆煙の中、女はそれを見たのだ。

 

「!!…」

 

刀を構えた、青き魔人。女は、それが先ほどまで話していたあの男だということは理解していた。

だからこそ、それを見た瞬間に理解した。

自身と男の力量の差を。

 

我が絶対なる力を(My power shall be absolute)…!!』

 

バージルのノイズがかかったような声が響き渡った瞬間、バージルは足を踏み出す。そのまま女へと肉薄するかと思いきや____

____その姿が消える。

それを認識した女は、身体を動かすことが出来ない。それは、恐怖で動けないなどという理由ではなかった。

一瞬で消えたバージルが、まるで分身したかのように自分を切り刻んでいたからである。

 

「…嘘…ダ…」

 

そして、その分身していたバージルの像が1つになり、先ほどまで立っていた場所に戻る。

痛みは感じないが、身体は動かない。

何をされたのかも、何が起きたのかも理解出来ない。だがしかし、1つだけ理解していたことがある。

それは、自分がこの男によって殺された、ということ。

 

「…嘘ダァァァァァァ!!!!」

 

女が悲痛な叫びをあげると、その身体がボロボロと崩れ始め、やがて灰になっていった。

いつの間にか姿が元に戻ったバージルは、それを横目で見ながら右手で髪をかきあげ、ため息をつくだけであった。

 

「…つまらん(How boring)。」

 

木曾はその一部始終を見て思った。彼は人間ではない。そして、絶大な力を秘めた、最強の男であると。

 

「…お前は…本当に何者なんだ…?」

 

地面に伏したままの木曾の呟きは、切なく響くだけであった。

 

 




シークレットには、どんどん補填や細かい部分を書き続ける所存です!!

次も早めに書き上げますね!
乞うご期待!
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