Devil may cry ~Fleet Collection~ 作:縁(みどり)
そして、久々にダンテが元居た鎮守府の話を書こうと思います。
この作品の構想当時は、鈴谷の改二が実装されていなかったので、色々と思うところがありますね…
横須賀鎮守府は、今では未曽有の平和を享受していた。
ダンテが残したストロベリーサンデーやピザなどの食べ物は、未だにメニューとして残されていたり、出前として届けられていた。
「う~ん、やっぱ間宮さんは何を作っても美味しいねぇ」
鈴谷は、そのストロベリーサンデーを口に運びながら、そう呟いた。その様子を見て、間宮も少し嬉しそうな表情を浮かべていた。
あれから、鈴谷は今まで通りの生活に戻っていた。
「お口に合ってよかったです」
「…うむ、ダンテがこれを好んで食べている理由もわかる気がするな」
その鈴谷の横で、武蔵がいたって真面目な表情でそう呟く。まるで何かの評論家のような言葉に、鈴谷は少し困惑していた。
「…武蔵って、そんなに甘いもの好きなキャラじゃないよね?」
「ああ。だが、ダンテの強さの秘密はこういうところにあるのではないかと考えてな。こうして食べてみるとわかる。力があふれてくるな」
武蔵はそう呟きながらストロベリーサンデーを口へと運ぶ。その表情は、まるで何かに納得しているかのようなものだが、鈴谷と間宮はあまりにも理解しがたい感覚に陥った。
まさか、ダンテがいなくなって一番ロスになっているのが、武蔵だとは考えられなかったのだ。
「…ってか、武蔵はそこまでダンテと深く関わってないっしょ!何で武蔵がそこまでダンテいなくなって寂しくなってるのさ!」
「…あれほど強い男がいなくなれば、また私は本気を出す相手がいなくてな」
武蔵はそう呟きながら、少し俯く。その言葉を聞いて、鈴谷も思わず言葉を詰まらせる。
今は深海棲艦も暴れておらず、武蔵も演習ぐらいしか出番がない。それどころか、燃費のせいで警護任務すら与えてもらえないため、暇を持て余しているのは理解していたのだ。
「…平和なのはいいことなのだが、やはり艦娘としては張り合いがない。それだけだ」
武蔵はそう呟いて、そのストロベリーサンデーを一気に口へと放り込む。
鈴谷はその様子を隣で静かに見守りながら、ため息をつく。
「…ダンテが大本営でどうなってるか、想像もつかないや」
鈴谷はそう呟きながら、そのストロベリーサンデーをまた口へと運んだのだった。
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「…電、その書類を取ってくれないか?」
提督がそう告げると、電はすぐにその書類を提督のもとへと持っていく。
「はい、なのです」
「ありがとう。あとは休憩していてくれ」
提督がそう言って書類に目を通し始めると、電は静かにため息をついた。
「司令官さん、無理はしちゃダメなのです。電もお手伝いするのです」
「大丈夫だ。いざというときに、僕は何もできない。だからこそ、こういうところで君たちに負担を負わせるわけにはいかないんだ」
提督はそう呟いて、そのまま書類に目を通し、また別の書類へと手を伸ばしていく。
電は仕方ないとでも言わんばかりの呆れ笑いを浮かべながら、執務室のソファへと座りこんだ。
電はその時に、少しダンテのことを思い出していた。
あの時、自分を人間だと言ってくれたその目は、未だに覚えている。
「…電は、幸せなのです」
そう呟いて、電は眼を閉じる。そのまま、意識を手放そうとしたのだが。
『鎮守府正面海域に敵影発見!』
その館内放送を聞いた瞬間、電は跳び起きた。
これまで何の敵襲もなかったこの状況で、まさか敵襲が起きるなど、考えてもいなかったのだ。
「電、至急出撃できる人員を向かわせてくれ!」
「はい、なのです!」
電は、そう返答してすぐにその部屋を出ていく。電の心の奥底には、底知れぬ不安があった。
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「…本当ニ、提督ヲ置イテ行クノ?」
南方棲姫は伸びをしながら、静かにため息をついた。
その姿を見た戦艦レ級は、ただじっとバージルの後姿を見ていた。
「…死にたくなければ、早く行け」
バージルはその二人の方を見ずに力強く言い放つ。表情が見えなかった二人だが、その殺気が自分たちに向けられる可能性があることを理解しているので、二人はそのまま踵を返す。
ふと、戦艦レ級はバージルの方へと振り向く。
そこには、既に提督としてではなく、悪魔としてのバージルが立っていた。
「…提督、気ヲツケテ」
「humph」
レ級の言葉に、バージルは小さくそう返した。
それだけで、レ級はバージルが無事に帰ってくるであろうことを理解し、そのまま静かに離れていった。
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「…戦艦レ級が撤退していくだと?」
武蔵はそう呟きながら、水平線を見る。確かに、先ほどまではその存在が探知できていた。しかし、今はその反応が遠ざかり、戦闘区域になるであろう場所から離れていってしまった。
その後ろで困惑したような表情を浮かべる朧と漣。
「ということは、もう任務終了…ってことですか?」
「それは飯ウマだけど、本当にいいのかな?」
朧の言葉に漣はそう返す。その光景を見ていた大和も少し不安げな様子を見せる。
「目前まで来たのであれば、何かしらの攻撃はあってもおかしくないはず…何故撤退していくのでしょう?」
「…ただの牽制だったのでしょうか?」
そばにいた赤城が疑念を口にする。
その言葉を聞いた鈴谷は、その言葉に難色を示す。
「それって、怪しくない?牽制しに来たなら、攻撃しない理由はないし…」
鈴谷はそう呟いて、思案する。もし、相手がこの鎮守府を襲うつもりなら撤退する必要はなく、確実に攻め落とせるほどの戦力を仕向ければいいだけのことである。
だが、そうしなかった理由はなぜだろうか。
「まさか…ダンテ?」
そう呟いた鈴谷の言葉に、全員の視線が集まる。
その瞬間、その真後ろにその男の姿があった。
「…
その声を聞いた瞬間、鈴谷達は身の毛のよだつほどの悪寒に包まれた。
鈴谷はそのまま、勢いよく振り返り、その砲身を向ける。
しかし、その動作よりも先に男が刀を鈴谷の身体を斬りつける。
「がはっ!?」
普段の戦闘ではまずありえない痛みが、鈴谷の脳を直接刺激する。その動作で、その場にいた全員の身体が臨戦体制になる。
「鈴谷を守りつつ、艦隊を維持!」
そう叫んだ大和の言葉に、その場の全員が呼応するように行動を開始する。
漣と朧はすぐに鈴谷をカバーするように割って入り、赤城の艦載機は男を包囲するかのように飛び立つ。
大和と武蔵はその砲塔をしっかりと男へと向ける。これでいつでもその男を倒せる。
…そう錯覚する。
「…って、ダンテのお兄さん!?」
漣はその姿に見覚えがあり、思わず声を上げる。
その言葉を聞いたその場の面々は、その表情を強張らせる。
ダンテの兄が敵として立つ。それは即ち、この戦いに勝利する確率がかなり低いということ。
「…命は覚悟したほうがいいな」
武蔵はそうため息をつきながら呟いて、自分の感情を押し殺した。
恐怖心と怒りを捨てて、戦闘に集中するために。
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「赤城さん!武蔵さん!応答してください!」
大淀の叫びが執務室にこだまする。この緊急事態に味方との通信が途絶えれば、おそらく鎮守府内に敵は侵入してくるだろう。
その様子を見て、提督は明らかにその表情を重くした。
「…こうなれば、おそらく総力戦になるはずだ。全員の力を結集してもなお、倒せなかった場合は…電、あとは頼む」
その言葉を聞いた電は、その言葉の意味を理解した。
提督は、この鎮守府と共に死ぬ気だと。
「そ、そんな!司令官さん!?」
「…艦娘を守るのは僕の仕事で、この鎮守府を任されているのも僕だ。この状況を、黙ってみているわけにはいかない」
そう呟いた提督の両手は、力が強く籠められ震えていた。
その姿を見た電は、そのまま少し俯く。その提督が決めた覚悟を、無碍にするわけにはいかない。
だが、それと同時に、提督をむざむざ死なせる気も、電にはなかった。
「では、絶対に撃退してみせるのです」
その言葉を聞いた提督は、思わず驚いた表情を浮かべた。
そして、そのまま俯く。
「…僕は、君たちに頼りきりだ」
「そんなことないのです。電達も、何度も怖いと思ったことがあるのです」
電はそう言いながら、提督の手を握りしめた。
その表情には、慈しみのような、自分を勇気づけるようなものが含まれていた。
「…電は、その度に司令官さんに助けられてきたのです。今度は、電達が司令官さんを助ける番なのです」
「…そんな僕は、何度も君たちに助けられているのにか?」
そう言いながら、提督はその目に涙を浮かべる。それを見た電は、思わず目頭が熱くなった。
「…はい、なのです」
そう口から出た言葉は、嘘偽りないものであった。
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「鈴谷、しっかりしろ!」
武蔵が懸命に声をかける。しかし、静谷はそのまま目を覚まさない。その間にも、バージルは大和と赤城へ攻撃を続けていた。
「くっ…これ以上は…」
大和も、この現状を理解していた。このまま戦っていれば、確実なる死が待っていることを。
バージルのその動きを、現在も捉えられていないのだから。
「…
その声と共に、バージルが大和の目の前に現れる。その瞬間に、大和は痛みを知覚した。
そして、鈴谷が受けた痛みはそれ以上だということも。
「ぐぅぅ!?」
大和は痛みを堪えながら、何とか主砲をその男に向けて射出する。しかし、バージルはまたそれを避ける。その隙に、赤城が放った艦載機が、バージルへと攻撃を仕掛ける。
しかし、バージルは決してそれを受けることはなかった。
「
その言葉と共に、その周囲へと幻影剣が降り注ぎ、そのまま艦載機もろとも周りの艦娘たちへと攻撃を加える。
漣や朧はその攻撃を回避するように動くが、大型の艦娘はそれを避けきることが出来ず、少しずつダメージを負ってしまう。
「クソ…ここまで厄介だとはな…!」
武蔵はそう呟きながら、鈴谷を庇うような体勢を取る。しかし、何本かの幻影剣は鈴谷の背中へ刺さっていた。
「…奇跡が起きないと、勝てないの?」
大和がそう呟いたとき、その出来事は起こった。
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ああ、また迷惑かけてるな。こんな風にダメージを負って、ダンテが助けてくれて。今は、またみんなに助けてもらって。
鈴谷って、結局足手まといなんだよね。
もう、このまま沈んじゃおうかな。
『こいつを肌身離さず持っときな』
…そういや、ダンテからもらったこの星、何のためにあるんだろう。
でも、どうせなら…ダンテのこと、信じてみようかな。
…すごい、この星…身体に力が流れてくる。
…これが、ダンテの感覚。ダンテの世界。
こりゃ、悪魔でもなんでも勝てるわけだ。
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「!?…鈴谷!?」
その異変に一番最初に気が付いたのは、武蔵だった。鈴谷が突然立ち上がり、そのまま姿を変質させていったのだ。
鈴谷の主砲の形や背中の艤装が、まるで違うものへと変えられていく。
そして、その形が安定した時、鈴谷のその姿は完全にただの重巡洋艦のそれではなくなっていた。
「…humgh。」
バージルは、その変貌を止めるでもなくただ見ていた。
その様子は、ようやく楽しそうなことが起きそうだという期待感がそうさせたのだ。
「…何これ、鈴谷聞いてないし!」
「航空、巡洋艦?」
鈴谷のその変貌した姿を最初に理解したのは、赤城だった。その甲板のような装備と、主砲の大きさから、その言葉しか出なかったのだ。
「…鈴谷、ひょっとして結構パワーアップした?」
「鈴谷!前を見ろ!」
鈴谷のその目前に、バージルはすでに攻撃態勢で肉薄していた。
武蔵の声を聞いた鈴谷は、すぐにその攻撃をバックステップで回避した。
何も、頭の中で命令を出していないのに。
「あ、っぶな…何でよけられたんだろ?」
そう呟きながら、鈴谷はその左手に装着した甲板から航空機を発艦させた。まるで、当然そこにあるかのように。
その航空機は、バージルへとすぐに突撃し、そのまま機銃や爆撃や魚雷の投下を開始する。
バージルはそれらの攻撃を刀で切り落とし、また鈴谷へと肉迫する。
その横から、朧がバージルへと攻撃を仕掛ける。
「す、鈴谷さんを援護します!」
朧はその魚雷をバージルへと素早射出し、その主砲を何度か発射する。その動作に合わせるように、漣も攻撃を開始する。
その動作を見て、バージルはすぐにひらりとかわし、幻影剣を朧の方へと飛ばした。
「ぐっ!?」
朧はその剣が肩に刺さったことを認識した瞬間、その男が自分の目の前に現れたことに気が付いた。
「!?…どうしっ」
そこまで口にしたとき、朧の身体は男の刀によって切り付けられていた。朧はその痛みによって、言葉を上げられないほどのダメージを受けていた。
その光景を見た鈴谷は、すぐに朧と男の間に割って入り、攻撃を仕掛ける。
その攻撃は一発たりとも当たることなく、全て避けられてしまった。
「!!…みんな、先に逃げてて!ここは鈴谷が頑張るから!!」
鈴谷がそう言った瞬間、大和は武蔵とアイコンタクトを取る。現有戦力では、対処不能と考えたのだ。
そして、その戦力を整えるまでに、鈴谷を犠牲にするということも。
武蔵は、傷ついた朧へと駆け寄り、そのまま静かに抱き上げた。
「…後で増援を連れてくる。それまで耐えてくれ」
武蔵がそう言うと、鈴谷は呆れたような笑みを浮かべる。
「…ま、後で間宮で会うってことにしとこ」
武蔵は鈴谷の軽口を聞いて、思わずダンテのその光景が浮かんだ。
だが、鈴谷がこのまま押し切ってしまえるとは思ってはいなかった。
武蔵がハンドサインを上げると、他の艦娘たちもすぐに鎮守府の方へと動いた。
「…じゃ、やろっか。ダンテのお兄さんだっけ?」
「…貴様はダンテから何か受け取っていたか。道理で悪魔の臭いが強かった訳だ」
バージルがそう呟くと、鈴谷はそのまま少し大きなため息をついた。
「…あの紫の星が教えてくれたけど、何でダンテがわざわざ海の向こうからここまで来たのか、ようやく理解した。ってか、そもそもダンテが悪魔がらみで仕事請け負わないってことは、そういうことじゃん」
鈴谷は、そこまで呟いて、静かにバージルを見つめる。
「…要は、悪魔だってことっしょ。艦娘も、深海棲艦も」
その表情は、いたって悲観のものはなく、冷静に現実を分析した結果を淡々と述べているだけというものだった。
つまり、今のこの戦いは、完全に仕組まれた戦争。自分の為や主義思想の為でもない、ただの同じ種族の殺し合い。
それは、ダンテやバージルと似て非なる半人半魔という存在同士の実験。
「…そこまで理解しておきながら、貴様は戦うのか?」
「…まあ、できることなら戦いたくないんだけどさ」
鈴谷は、そういいながら、その主砲を構えた。
その表情は、決意を込めたものであった。
「…だって、ダンテと違って、艦娘も深海棲艦も全部殺す気じゃん?守ろうなんてちっとも思ってない」
「…そうだな」
バージルはその表情を一切変えることなく、視線を鈴谷に向けていた。
その姿に、油断も隙も無かった。
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工廠の中、多くの艦娘たちが慌ただしく動いている。
「この鎮守府にある資材は全部使っていかないと、まず無理な段階ね!全員の艤装の稼動には確実に耐えられないだろうし!」
明石はそう言いながら、その辺にある弾薬や燃料をバンバン妖精たちに運ばせる。
その妖精たちも、不安げな表情を浮かべながら仕事をしている。
「横須賀鎮守府の総力を上げて、なんとしても負けられない戦いなのです」
電はそう呟いて、周りの艦娘たちを鼓舞する。
それを聞いた面々は、その表情を引き締める。これから、この鎮守府の存続がかかった戦いが始まるのだと、誰もが予感していた。
「誰かいるか!?」
と、そんなところにその声が響き渡る。
その声を聞いた艦娘たちは、一斉にその方へと視線を向ける。
武蔵が、工廠へと傷ついた朧を抱えながら入ってきたのだ。
「む、武蔵さん!?」
「急いで援軍を頼む。傷ついた艦娘の入渠準備もだ。このままでは、鈴谷が危ない」
その言葉を聞いた明石は、すぐに声をあげる。
「駆逐艦の中で手の空いてる人はこっちを手伝って!」
その言葉を聞いた駆逐艦たちは、すぐに明石の方へと走り出す。
その面々を見届けた武蔵は、朧をその場に下ろしながら、踵を返す。
「む、武蔵さん、一度入渠をした方が…」
「このまま、あの男を放っておくわけにはいかない。電は主力艦の出撃準備を急がせろ」
武蔵がそう言って、走り出すのを見届けた電は、あの男という言葉に引っ掛かりを覚えた。
「…もしかして、ダンテさんの?」
電は、深海棲艦に提督と呼ばれていた、あの青い男を思い浮かべたのであった。
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「チッ!!」
鈴谷は、その主砲を何度も射出し、その艦載機を全て発艦させた。攻撃目標は、目の前のバージル。だが、それでも相手を捉えることが出来ない。
バージルは、その姿を縦横無尽に駆け巡らせながら、鈴谷へと肉迫する。
しかし、先ほどから攻撃をしてくる様子はない。
「…なめられてる?」
鈴谷はそう呟きながら、攻撃を何とか続ける。相手は一向に攻撃をしてくる様子はない。しかし、決してそれがいい方向に向かっているとは思えないのだ。
なぜなら、あのダンテの兄ということを理解しているからだ。
「…ねぇ、そろそろ真面目に殺しに来たらいいじゃん。それとも、やる気はない?」
そう鈴谷が問いかけても、バージルは決してその表情を変えない。どころか、一切言葉も発さない。
鈴谷にはまるで、何かを待っているかのような様子に見えた。
「…貴様には関係のないことだ」
バージルは鈴谷にそう言い放ち、その日本刀を抜く。
その動作を見ただけで、鈴谷は確実なる死を覚悟した。
「!!…」
鈴谷は、ありったけの弾丸と艦載機を出し尽くす。しかし、それらの弾丸をバージルは全て切り捨て、日本刀を構える。そのまま、魔力を込め始めて、鈴谷の方へと鋭い視線を向ける。
鈴谷は、バージルがこの後何をしてくるのか、もう既に理解していた。
星と共鳴した時、ダンテの記憶にその技があった。それは、バージルが放つ最強の一撃。
「ここで死ぬわけにはいかないっつうの!!」
鈴谷は、そう叫びながらその最後の主砲の弾丸を射出する。
その弾丸は、虚空を裂いた。
「!?…」
バージルは、既に鈴谷の射程にいなかった。
では、どこへ行ったのか。
『…
その声が背後から聞こえた瞬間、鈴谷は死を覚悟した。
その刃が、もう首筋まで迫っていたのだから。
_____________
「…クソ、鈴谷…無事でいてくれ」
武蔵はそう呟いて、鈴谷の身を案じる。
その後ろから、電と赤城がついていく。
「赤城さん、鈴谷さんが改二になったというのは本当なのですか?」
「…ええ。でも、流石に勝てるかどうか…」
赤城は電の言葉にそう返しながら、俯く。
電はその様子を見て、最悪の予感が頭をよぎる。鈴谷がすでに倒され、敵が私たちを全て皆殺しにするというシナリオが。
「!…鈴谷…!?」
武蔵のその言葉が木霊した時、電と赤城はその目の前の光景を疑った。
鈴谷が、首筋に刀を突き付けられながら、笑顔を浮かべていたのだ。
「あ、戻って来た」
「…humgh」
その男は、鈴谷の首に突き付けていた刀を鞘に納める。
その瞬間、鈴谷は大きく伸びをする。
「…す、鈴谷…いったい何が起きた?」
「…えっと、話すと長くなるんだけど」
鈴谷はそう呟いて、苦笑いを浮かべた。
____________
「!!…」
鈴谷は、死を覚悟していた。
だが、その瞬間は訪れなかった。
「…何で斬らないの?」
「…そもそも、俺は貴様らを殺すつもりなどない」
バージルは、鈴谷の疑問にそう答える。
鈴谷は、その瞬間に色々な感情が湧き上がった。
「…じゃあ、この刀をどけて欲しいんだけど?」
「…その前に聞きたいことがある」
鈴谷の提案を蹴り、バージルはその質問をした。
「_____」
「!!…」
鈴谷は、バージルのその言葉に困惑した。
少なくとも、その質問にどんな意図があるのか、今は理解できなかったからである。
とりあえず、バージルも大本営に向かうかもしれないフラグはできましたね!