「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
マスターの悲鳴が、カルデアに響く。普段聞かない叫び声に、聞きつけたサーヴァント達は廊下に出てくる。
「どうした奏者よ!」
「傑作の予感がしますな…!」
「な、なんだ!?おいマスター、どうしたんだ!」
「ホラー映画でも見てるんじゃねぇのか?」
ネロ、シェイクスピア、諸葛孔明、クー・フーリンの4人がマスターの悲鳴を聞き、慌てて廊下へ飛び出した。
いや、2人はウキウキしていた。
次に聞こえてくるのは、
「まぁぁぁあてまてまてまてまてまてまてえええええ!」
マスターの悲鳴とは真逆の、なんともなんと〜も呑気な声。
これには4人も顔を合わせ、どういうことなのかを察する。
部屋に戻る孔明。どうやら、戦略ゲームのオンラインプレイ中らしい。対戦相手は、仕事サボり中のロマ二との噂…
クー・フーリンも部屋に戻った。眠たそうな顔は、恐らく寝起きだったからだろう。おやすみなさい。
たまたま廊下で会った、残る2人は…
「何やら楽しそうではないか!余も混ぜてくれ!」
「ふむ、吾輩も時には和やかな空気に触れてみますかな」
声の発生源を探し求め、廊下を移動するのだった。
〜その頃マスターは〜
「ごめん!ごめんってばアストルフォォォォォォォ!」
半泣きで廊下を走る、カルデアのマスター。
その顔は、面白さ半分、恐怖が半分。
「フォウ!」
隣を走るのはフォウ。フォォォと叫んだのを、自分を呼んだのだと勘違いしているよう。
そして、1人と1匹の後ろから追いかけるのは。
「逃がさないぞマスター!ボクもキッチリお返ししてあげるから、さあ!」
両手を開閉し、指がやましい動きを止めない。そのサーヴァント、真名をアストルフォ。
なぜかアストルフォも半泣きで、笑いながらマスターを追いかけている。
「も、もうコチョコチョしないからその手の動き止めてくれ!」
事は数分前...
ソファーで無防備に寝転がり、両腕を広げ気持ち良さそうに寝息をたてる1人のサーヴァントがいた。
あまりにも無防備なその寝顔を見て、マスターは衝動に駆られた。
「これは………!ガラリと空いたその脇にロックオン!」
不敵に口が開き、無防備なサーヴァント、アストルフォの反応を思い浮かべ笑みが零れる。
このマスター、アストルフォの無防備な全身を見て思う事がコレとは、中々に抑制が効いている。
「いざ…!」
真正面に立つと、マスターの瞳がキラリと光る。
スラリと綺麗な10本の指が、アストルフォの脇へと着地。
「ひゃっ!?」
パチリと目が開くアストルフォ。自身の危機に素で気づいていないのだが、そこは気にしないマスター。
「ひゃ、ひゃはははははふひひひひひはは!?」
「こちょこちょ〜」
全身を駆け回るくすぐったさに、堪らずソファーから転げ落ちるアストルフォ。
「あひゃはは!マスひゃははは!ターあははは!」
目から溢れる涙。
口は大きく開き、苦悶のような、愉快のような声を上げて笑う。
やられる本人としては、相当な地獄に違いないー!
執行すること、約1分。
「は…あはは…ゲホッ!ぐぬぬぬ、マスターァァ…!はぁ……はぁ……」
息を荒げ、真っ赤になった顔。目はコチョコチョから逃れた開放感に浸っている。半泣き中。
「よし、ごめんねアストルフォ!さらばだ!」
右腕をくの字に、マスターはアストルフォの笑い顔を堪能し満足だとばかりに、猛ダッシュで走り去る。
そして、今に至る訳だ。
「くっ、アストルフォめ!スタミナ切れを狙ってるのか…だが、甘いね!サーヴァントはそこかしこにいるんだ!誰かに助けを……お!」
全力ダッシュ中のマスターの前に、ウェディングドレスをイメージした戦闘服を着るネロ・クラウディウスが。その横には、世界で最も有名な作家、ウィリアム・シェイクスピア。
なんとも珍しい並びに戸惑いつつも、結構切羽詰まった距離まで迫るアストルフォを見て、たまらず…
「ネーーーーロォォーーーーーー!シェイクスピアァァアア!助けてくれええええ!!!!」
「お、来たな奏者よ!それは鬼ごっこというやつか?そうなのだな!余もまぜよ!」
「おっと、吾輩、身体を動かす系は点でダメなので。なんとな〜く起こりそうなことは掴めましたし、見学と決め込みます」
マスターは悟った。声を掛けるサーヴァント間違えた、と。加え、ネロは悪ノリするタイプだったことも、その時になって思い出してしまった。
「ネロ、マスターを捕まえてよ!鬼ごっこよりもっと面白い遊びをするからさ!!」
「ほほう、うまく乗せられている気もするが。まあよい!」
捕まえる態勢に入るネロを前に、慌てて急ブレーキを掛けるが間に合わず。
両腕を広げ、豊満な胸でマスターを捕まえるネロ。両腕でホールドされ、もう抜け出せそうにはない…。
「ぶふっ!?ちょっ、ネロ!胸が苦しいいいい!」
「照れるでない、マスター。ふふ、憂いなぁ!初心め!」
頰を押し付けられ、マスターの顔は真っ赤に。
目を回すマスターの背後には、追いついたアストルフォが。
「ナイスキャッチ!よ〜し、ちょっとマスターの身体をボクの方に向けてくれない?」
「むぅ?事によるぞ、美男子アストルフォよ。やましいことは許さんからな!お主がお・と・こ、だとしても」
事による?事によっては守ってくれるんだねネロ。やましいことならダメって言うんだよね。じゃあ大丈夫。今からアストルフォがすることは、無理やりにでも、やましいカテゴリに入れてみせる…!
「ネロ、アストルフォはな…「こちょこちょするんだよ〜。ネロもさ、マスターのこちょこちょされた時の反応、見てみたくない!?」ちょ」
「…………仕方ないな、うむ。マスターの意外な一面が見れるなら、仕方あるまい!」
入れる隙間がなかった。
あぁ、体が軽々とアストルフォの方へ向けられてしまった。
ここで更に抵抗しようかとも思ったが、面倒なので止める。
「マスター、かくごぉ〜ーー!!!!」
その後、約10分間。マスターの泣き笑い声がカルデア全域に響き渡る。フォウに引っ張られてきたオカンに、アストルフォとネロはふざけすぎだと雷を落とされた。(項垂れるマスターを見ながら)
「ここから吾輩が少し筆を動かせば…」
といいつつ、既に筆は動き始めている。
右手を挙げるマスター。
「……令呪を持って命ず「冗談ですぞ、マスター」そっか」
「…後は汝の思うがままに!」
よろしければ感想、要望などください。
要望…?だらくさな私へのストーリーの構層です(オイ)
楽しんで頂けたら幸いです。